比較して測る

てこ式ダイヤルゲージDial test indicator (lever type)

別名:テストインジケータ、レバーテスト、ピックテスト(俗称・資料での確認なし)

てこ式ダイヤルゲージを使っているところのイラスト

≡規格・測定範囲・精度

規格
  • JIS B 7533:2015 てこ式ダイヤルゲージ
  • ISO 9493:2010 Dial test indicators (lever type)
[1][2][3][4]
測定範囲
  • byMaker
    • ミツトヨ TI-113HX(513-404-10H) 0.8 mm(目量 0.01 mm)
[6][9]資料1件・参考
最小表示量・目量
  • 一般 0.01 / 0.002 / 0.001 mm(メートル)
  • 測定子球径の目安 1 mm:非常に小さな形状、2 mm:一般用、3 mm:粗い面で読みを安定させたいとき
[5][3]資料1件・参考
精度(器差・最大許容誤差)
  • 考え方 JIS B 7533:2015 は、全測定範囲の行き方向の指示誤差、10 目盛の指示誤差、1 回転の指示誤差、戻り誤差、繰返し精密度、測定力を規定する。行き方向は測定力に逆らう方向
  • byMaker
    • ミツトヨ 513-404-10H(0.01 mm、0.8 mm) 10 目盛 5 µm、全範囲 9 µm、戻り誤差 4 µm、繰返し 3 µm、測定力 0.3 N 以下
[3][6]資料1件・参考

▦種類

水平形・垂直形・傾斜形・平行形・ユニバーサル(測定子が首振り)・ポケット形・ロング測定子形

[5][6]資料1件・参考

切換レバーで測定方向を変えられるもの

[7][4][8]

◎各部の名称と役目

#名称英語役目
1測定子(スタイラス)Stylus / contact pointてこの一部として動き、先端の球が品物に当たる。角度を約 200° の範囲で変えられる。[9][4][10][8]
2指針・目盛板Pointer, dial目盛は 0 を中心に左右対称(バランス目盛)が多い。[4][8][10]
3切換レバーSwitching lever測定方向(押し・引き)を切り換える。[4][8]
4アリ板(ドブテール)・ステムDovetail, stemハイトゲージやスタンドへの取付け部。[4][8][5]
5外枠・オオイ板Bezel, crystal[4][8]

◷目盛りの読み方

  1. コサイン補正:測定子と測定方向のなす角 θ が大きいときは、読みに補正係数(cos θ)を掛ける例:読み 0.002 mm、θ=30° → 0.002 × 0.87 = 0.00174 mm(ミツトヨ E11003 の例)[3][10]
  2. 補正係数の表(ミツトヨ):10° 0.98、20° 0.94、30° 0.86〜0.87、40° 0.76、50° 0.64、60° 0.50[10][3]
  3. 目量 0.01 mm・測定範囲 0.8 mm での基点からの比較読み(ミツトヨの解説に例図あり)[9]
てこ式ダイヤルゲージのコサイン誤差:測定子と品物の面のなす角 θ
品物(面が上下に動く=測りたい方向)てこ式ダイヤルゲージθ測る方向

測定子が品物の面と平行(測る方向と直角)なら読みのままです。角度 θ がつくと読みが大きく出るので、本当の変位は「読み × cos θ」で補正します(下の計算)。

コサイン補正の計算

補正係数 cos θ = — 補正した値 = — mm

cos θ を計算した値です。メーカーの係数表は 30° を 0.86 とするものと 0.87 とするものがあります(cos 30° = 0.866)。角度が 10°(資料によっては 15°)より小さければ、補正しなくてもよいとされています。

✋使い方の手順

  1. 作動確認:測定子を指で軽く動かし、指針が滑らかについてくるか、戻りが遅くないか見る。測定子が軸受部に確実に固定されているか確認[9][4]
  2. ステム・アリ溝付ステムがゆるんでいないか確認する(テクロックは測定子ねじの締付けトルクを 1.5〜2 kg·cm としている)[9][4]
  3. 取付け:剛性のある保持具に、正面から見て傾かないように固定する[9][10][5]
  4. 測定子の角度:測定子を測定方向(変位の方向)に対して直角(測定面と平行)にセットする[9][4][8][3]
  5. 基点:測定範囲の中央で基点を合わせると、想定外の寸法でも範囲内で読める[9]
  6. 用途:回転体の振れ、精密定盤を基準にした平行度、基準との比較、旋盤での心出し、フライス盤での段取りなど[9][5]

!よくある測定ミスと対策

コサイン誤差(測定子の角度)

なぜてこ式は測定子と品物の移動方向の角度で倍率が変わり、そろっているときだけ等倍になる

対策角度をできるだけ小さくする。ミツトヨ E12024 は 10° 未満なら無視できるとし、ミツトヨ米国資料は 15° 未満を勧める。大きいときは補正係数を掛ける[10][3][9][4][8]

長さの違う測定子を使う

なぜてこ比が変わり大きな誤差になる

対策機種ごとに決められた長さの測定子を使う。ロング測定子はぶつけやすいので必要なときだけ[10][9][4][5]

測定方向以外からの力

なぜ性能劣化や破損の原因

対策横から無理な力をかけない[4]

✓手入れ・保管と点検・校正

手入れ・保管

点検・校正

コサイン誤差は角度と補正係数の図にしやすい。資料間で 30° の係数が 0.86(E12024)と 0.87(E11003)と違う(cos30° ≒ 0.866 の丸め方の差)。

⇄関連する器具

📚出典

印のない内容は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。手順や注意は資料をもとにケズリバの言葉でまとめ、図はケズリバが描いたものです。精度の値は JIS の数表ではなく、メーカーの公表値です。

  1. 日本規格協会「JIS B 7533:2015 てこ式ダイヤルゲージ(書誌)」
  2. ISO「ISO 9493:2010 Dial test indicators (lever type)」
  3. ミツトヨ「Quick Guide to Precision Measuring Instruments(Catalog No. E11003(7)、2024年8月時点)」
  4. テクロック「総合カタログ 1 ダイヤルゲージ(使用上の諸注意・JIS B 7503 部品図を含む)」
  5. ミツトヨ「Mitutoyo Product Fundamentals(Bulletin No. 2180、Mitutoyo America)」
  6. ミツトヨ「テストインジケータ TI-113HX 513-404-10H 仕様」
  7. テクロック「総合カタログ 2 レバーテスト」
  8. 新潟大学「新潟大学工学部 技術職員 実習テキスト 第1章 工作測定」
  9. ミツトヨ「テストインジケータ(てこ式ダイヤルゲージ)の正しい使い方と注意点」
  10. ミツトヨ「Check Points for Measuring Instruments(Catalog No. E12024)」