歯車の計算とデータ
歯車の寸法・かみ合い・歯厚の計算と、モジュールや精度等級の表です。式と値は歯車メーカーの公開技術資料と規格の公開情報から取り、出典の番号を付けています。
モジュールと歯数から
歯車の寸法を
計算できるよ。

平歯車
モジュール・歯数・転位係数から、基準円・歯先円・歯底円・基礎円の直径、かみ合い圧力角、中心距離、正面かみ合い率を出します。
⫽はすば歯車
歯直角モジュール・ねじれ角・歯数・転位係数から、正面モジュール・正面圧力角、各直径、中心距離、かみ合い率(正面・重なり)を出します。
↔またぎ歯厚
モジュール・圧力角・歯数・転位係数(はすば歯車はねじれ角も)から、またぎ歯数とまたぎ歯厚 W を出します。歯厚の管理・測定に。
◎オーバーピン
ピン(はすば歯車は玉)を歯溝に入れて測る寸法 M を出します。ピン径を空欄にすると、理想のピン径で計算します。
▦歯切り法の比較
ホブ切り・ギヤシェーパ・スカイビング・シェービング・研削・ブローチなど10の工法を、内歯・段付き・精度・焼入れ前後で比べます。
⛭歯切り工具と切削条件
ホブ・ピニオンカッタ・スカイビングカッタ・シェービングカッタ・ブローチ、材種とコーティング、メーカーの加工事例。
🏭歯切り工具のメーカー
日本・韓国・中国・欧米の歯切り工具と歯車加工機のメーカー。製品の種類・材種・コーティング。
▦標準モジュール(平歯車・はすば歯車)
JIS B 1701-2:1999 円筒歯車-インボリュート歯車歯形-第2部:モジュール(1 以上は ISO 54:1996 と同じ。1 未満は同規格の附属書(規定)で規定)。対象:一般機械及び重機械用の平歯車・はすば歯車(はすば歯車は歯直角モジュール)。単位 mm。[1][2]
| I 列(第1系列) | 0.10.20.30.40.50.60.811.251.522.5345681012162025324050 |
|---|---|
| II 列(第2系列) | 0.150.250.350.450.550.70.750.91.1251.3751.752.252.753.54.55.5(6.5)7911141822283645 |
モジュール m 1〜6 の歯(基準ラック歯形、圧力角 20°)を同じ倍率で 1 ピッチずつ並べた図。m が 2 倍になると、ピッチ p(= πm)も歯の高さ(= 2.25m)も 2 倍になります。歯数が同じなら、歯車の直径(= z × m)も 2 倍です。
- できるだけ I 列(第1系列)を用いる
- モジュール 6.5(II 列)はできる限り使用しない(表では括弧書き)
- ISO 54:1996 は平歯車・はすば歯車の歯直角モジュールの値を規定する(2ページ、2022 年確認)。1 未満のモジュールは ISO 54 に規定が無く、JIS B 1701-2 の附属書で補っている。[3][2]
すぐばかさ歯車のモジュール 資料1件・参考
JIS B 1706-2:1999 すぐばかさ歯車-第2部:モジュール及びダイヤメトラルピッチ(1 未満は附属書。ISO 678 対応)[2]
| I 列 | 0.30.40.50.60.811.251.522.53456810 |
|---|---|
| II 列 | 0.350.450.550.70.750.91.1251.3751.752.252.753.54.55.5(6.5)79 |
協育歯車の資料は「抜粋」として 10 までを掲載。10 を超える値と DP の表は未確認。
⇄ダイヤメトラルピッチ(DP)とモジュールの換算
インチ系の歯車は DP(基準円直径 1 インチあたりの歯数)で表します。m = 25.4 ÷ DP。[2][4][1][5]
| DP | m(mm) | 円ピッチ(mm) | 近い I 列のモジュール |
|---|---|---|---|
| 2 | 12.7 | 39.898 | 12 |
| 3 | 8.467 | 26.599 | 8 |
| 4 | 6.35 | 19.949 | 6 |
| 5 | 5.08 | 15.959 | 5 |
| 6 | 4.233 | 13.299 | 4 |
| 8 | 3.175 | 9.975 | 3 |
| 10 | 2.54 | 7.98 | 2.5 |
| 12 | 2.117 | 6.65 | 2 |
| 16 | 1.588 | 4.987 | 1.5 |
| 20 | 1.27 | 3.99 | 1.25 |
| 24 | 1.058 | 3.325 | 1 |
| 32 | 0.794 | 2.494 | 0.8 |
| 48 | 0.529 | 1.662 | 0.5 |
表の値は式からの計算値です。DP の歯車とモジュールの歯車は、値が近くてもかみ合いません(例:DP10 は m2.54 で、m2.5 とは別物)。
◎精度等級(新旧 JIS・ISO)
等級ごとの許容値の数表は規格本体の値なので、ここには載せていません。規格の版と等級の数え方を整理しています。
| 規格 | 等級 | 確からしさ |
|---|---|---|
| JIS B 1702-1:2016 円筒歯車-精度等級-第1部:歯車の歯面に関する誤差の定義及び許容値対応:ISO 1328-1:2013(MOD)1998-03-20 制定 → 2003・2008・2013 確認 → 2016-04-20 改正 → 2021-10-20 確認[6][7][8] | ISO 1328-1:2013 は 1〜11 の 11 等級(数字が大きいほど公差が大きい)JIS 側の等級数・呼び方(N 付き表記の扱い)と、1998 年版との等級の対応関係は公開資料で確認できなかった(規格本体のみ)。推測で埋めていない。 | 複数の資料で一致 |
| JIS B 1702-1:1998 円筒歯車-精度等級 第1部:歯車の歯面に関する誤差の定義及び許容値対応:ISO 1328-1:1995(2016 年に改正され、ISO 側も 2013 年版で置き換え)[9][10][2] | 0 級(最高)〜12 級(最低)の 13 等級。旧規格と区別するため N を付けて N○級 と呼ぶ | 複数の資料で一致 |
| JIS B 1702-2:1998 円筒歯車-精度等級 第2部:両歯面かみ合い誤差及び歯溝の振れの定義並びに精度許容値[9][2] | 最高 4 級〜最低 12 級の 9 等級 | 複数の資料で一致 |
| 旧 JIS B 1702-1976(平歯車及びはすば歯車の精度。1995 年確認を経て 1998 年に廃止)[9][10][2] | 0〜8 級の 9 等級旧 JIS ははすば歯車を正面モジュールで、新 JIS は歯直角モジュールで区分する(比較するときは mt = mn/cosβ に換算) | 複数の資料で一致 |
| JIS B 1704:1978 かさ歯車の精度[11] | 0〜8 級の 9 等級。単一・隣接・累積ピッチ誤差、歯溝の振れの 4 項目(許容値の式は formulas.json の bevel_accuracy_jis1704) | 資料1件・参考 |
旧 JIS(1976)と新 JIS(1998)の目安
新 JIS(1998)精度等級 ≒ 旧 JIS(1976)精度等級 + 4(例:旧 0 級 ≒ N4 級、旧 4 級 ≒ N8 級)[10][2][12]
- モジュールと基準円直径の区分が違うため詳細な対応はできない
- 歯数が比較的少ない範囲・多い範囲では当てはまらない部分がある
- 変換が必要なときは日本歯車工業会 JGMA/TR0001(2000)『新旧 JIS 歯車精度の規格値対比表』を参照(KHK の案内。表そのものは未参照)
- 2016 年版(1〜11 級)と 1998 年版(N0〜N12 級)・旧 JIS との対応は公開資料で確認できず未記録
≋歯車の誤差の項目(記号と意味)
| 記号 | 名前 | 意味 |
|---|---|---|
| fpt(ISO 1328-1:2013 では fp) | 単一ピッチ誤差 | 隣り合った同じ側の歯面の、ピッチ円上の実際のピッチと理論ピッチとの差(ミツトヨ:その絶対値の最大値)[9][13][8] |
| fu(fpu) | 隣接ピッチ誤差 | 隣り合った 2 つのピッチの差の絶対値の最大値[13][14][8] |
| Fp | 累積ピッチ誤差(全累積ピッチ誤差) | 全歯面での累積ピッチ誤差曲線の全振幅(基準の歯から任意の歯までの実ピッチの和と理論値の差の最大−最小)[9][13][8] |
| Fα | 全歯形誤差 | 歯形検査(評価)範囲で、実歯形を挟む 2 本の設計歯形の間の距離[9][13][8] |
| ffα / fHα | 歯形形状誤差 / 歯形こう配誤差 | ffα:実歯形を平均線に平行な線で挟んだ幅。fHα:平均線が評価範囲の始点・終点と交わる点の設計歯形方向の距離[13][8] |
| Fβ | 全歯すじ誤差 | 歯すじ検査範囲で、実歯すじを挟む 2 本の設計歯すじの間の距離。大きいと歯幅端に片当たり → クラウニング・エンドレリーフで対策[9][13][8] |
| ffβ / fHβ | 歯すじ形状誤差 / 歯すじ傾斜誤差 | 歯形の ffα・fHα と同じ考え方を歯すじに当てたもの[13][8] |
| Fr | 歯溝の振れ | 全歯溝に測定子(玉・ピン)を順に入れたときの半径方向位置の最大値と最小値の差。偏心を含む。取付具の振れの影響が大きい。ISO 1328-1:2013 では Part 1 に戻った[9][13][8] |
| Fi″ / fi″ | 両歯面全かみ合い誤差 / 両歯面1ピッチかみ合い誤差 | 被検査歯車を親歯車と両歯面接触でかみ合わせて 1 回転させたときの中心距離の最大値と最小値の差(JIS B 1702-2 / ISO 1328-2 で規定)[9][2][8] |
| Fis / fis | 片歯面かみ合い誤差(全 / 1ピッチ) | ISO 1328-1:2013 の用語表にある項目(定義の本文は未確認)[8]資料1件・参考 |
| Fpk / FpSk | 区間累積ピッチ誤差 | k ピッチ区間の累積ピッチ誤差(ISO 1328-1:2013 の用語表。定義の本文は未確認)[8]資料1件・参考 |
📚出典
- 小原歯車工業(KHK)「歯車技術資料(web版)3.1 歯車の歯形及び寸法(基準ラック・モジュールの標準値)」
- 協育歯車工業(KG)「技術資料(PDF・176ページ。歯車の基礎・転位・かみ合い率・歯厚の測定・精度・各種歯車の計算)」
- ISO「ISO 54:1996 Cylindrical gears for general engineering and for heavy engineering — Modules(規格紹介ページ)」
- 小原歯車工業(KHK)「数式・単位・その他の資料 7 歯車のピッチ比較表(m・CP・DP)」
- 東京理科大学(野田)「設計製図 第8章 歯車(講義資料 s2-2.pdf)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 1702-1:2016 規格紹介ページ(発行日・確認日・対応国際規格・履歴)」
- ISO「ISO 1328-1:2013 Cylindrical gears — ISO system of flank tolerance classification — Part 1(規格紹介ページ:概要・状態)」
- iTeh Standards(ISO 規格の公式頒布サイトのプレビュー)「ISO 1328-1:2013 プレビュー(前書き・序文・適用範囲・用語表)」
- 小原歯車工業(KHK)「歯車技術資料(web版)7.1 平歯車及びはすば歯車の精度」
- 小原歯車工業(KHK)「歯車に関連するJIS規格 1.平歯車及びはすば歯車の精度(JIS B 1702-1/-2:1998 抜粋・新旧比較)」
- 小原歯車工業(KHK)「歯車技術資料(web版)7.2 かさ歯車の精度」
- 協育歯車工業(KG)「総合カタログ 参考資料(KG4001WEB-10、PDF)」
- ミツトヨ「歯車用語と誤差の定義」
- 小原歯車工業(KHK)「歯車技術資料(web版)1.2 歯車記号と用語」