比較して測る
ダイヤルゲージ(スピンドル式)Dial indicator / Mechanical dial gauge
別名:ダイヤルインジケータ、デジマチックインジケータ(デジタル)、デジタルインジケータゲージ

≡規格・測定範囲・精度
- 規格
- JIS B 7503:2017 ダイヤルゲージ
- JIS B 7563:2021 デジタルインジケータゲージ
- ISO 463:2006 mechanical dial gauges
- ASME B89.1.10M Dial Indicators
- 測定範囲
- 一般 標準品は 1〜10 mm。短い機種は 0.08 mm、長い機種は 100 mm(テクロックは 150 mm まで)
- byMaker
- ミツトヨ 2044A 5 mm(目量 0.01 mm)
- 最小表示量・目量
- 一般 0.01 mm と 0.001 mm が代表。テクロックは 0.0005〜0.1 mm の 6 種類
- デジタル 0.001 mm など
- 精度(器差・最大許容誤差)
- 考え方
- JIS B 7503:2017 では、1/10 回転・1/2 回転・1 回転・全測定範囲の指示誤差、戻り誤差、繰返し精密度、測定力をそれぞれ最大許容誤差(測定力は許容限界)で決める
- 指示誤差は、スピンドルを押し込みながら決まった間隔(最初の 2 回転は 1/10 回転ごと など)で読み、戻り方向も同じ点で読む
- MPE は標準温度 20 ℃での値
- ミツトヨ・テクロックとも、精度は縦姿勢(測定子下向き)で検査・保証している
- byMaker
- ミツトヨ 2044A(0.01 mm、5 mm) 1/10 回転 5 µm、1/2 回転 9 µm、1 回転 10 µm、全範囲 12 µm、戻り誤差 3 µm、繰返し 3 µm、測定力 1.4 N 以下
- 考え方
▦種類
◎各部の名称と役目
| # | 名称 | 英語 | 役目 |
|---|---|---|---|
| 1 | スピンドル | Spindle / Plunger | 測定子と一緒に上下する軸。ラックが刻まれている。[6][8][5] |
| 2 | 測定子 | Contact point | スピンドル先端に付く。ねじは M2.5×0.45 に統一。[6][8][5] |
| 3 | ステム | Stem | 治具やスタンドに取り付ける軸(ø8 mm、メートル品)。[6][5] |
| 4 | 耳金(ラグ)・裏ぶた | Lug / back | 背面で取り付けるときに使う。向きを 90° 変えられる。[6][10] |
| 5 | 長針・短針(回転計) | Pointer, revolution counter | 長針で細かい量、短針で回転数(mm)を読む。[6][5] |
| 6 | 目盛板・外枠(ベゼル) | Dial face, bezel | 外枠を回して目盛板の 0 を長針に合わせる。[6][5][8] |
| 7 | リミッタ(限界指針) | Limit pointers | 公差の上下限の位置に置く目印。[6][11] |
| 8 | オオイ板・キャップ・内枠 | Crystal, cap, inner frame | [6][8] |
| 9 | ラック・ピニオン・歯車列(内部) | Rack, pinion, gear train | スピンドルの直線運動を回転に変え、歯車で拡大して指針に伝える。[8][6] |
◷目盛りの読み方
短針 2(mm)+ 長針 37 目盛(0.37 mm)= 2.37 mm
短針(回転数)で mm、長針で 0.01 mm を読み、足します。目盛板の作りは機種によって違います(1回転 0.2 mm・0.5 mm の機種もあります)。
✋使い方の手順
- 作動確認:長針・短針・スピンドルの動きが滑らかで、静止点が安定しているか。測定子と裏ぶた(耳金)がゆるんでいないか[7][6][11]
- 取付け:ステムか耳金でのみ固定し、剛性の十分な保持具を使う。測定子を品物に当てた状態で内枠(器枠)を指で上下から軽く押し、長針がセット位置に戻るかで取付けの良否を見るステムをねじで締める場合:取付け穴 ø8G7、M4〜M6、ステム下端から 8 mm 以上、M5 一点締めで最大 150 N·cm。締めすぎるとスピンドルの動きが悪くなる(ミツトヨ)[6][11]
- 向き:スピンドルを測定方向と平行(測定面に直角)に取り付ける。傾くと実際の変位 L1 に対して読み L2 が違う値になる[7][10][11]
- 基点合わせ:予想される寸法範囲(公差+α)を考え、測定範囲の中央付近で 0 を合わせる。予想外の寸法でも範囲内で読める[7]
- デジタル形の原点・プリセットは、スピンドルを静止端から 0.2 mm 以上持ち上げた位置で行う(端から 0.2 mm の範囲は精度保証外)[10][5][11]
- 測定:マスタとの差(比較測定)、回転体の振れ、平面度などを読む。品物は当て物に沿わせて、ゲージを正面に見る方向に動かすのが望ましい[7][8][6]
- スピンドルを急に動かしたり、横方向に力をかけたりしない[6][11]
- 温度変化のある場所では、マスタで長針のセット位置をこまめに確認する[6]
ケズリバ(kezuriba.net)/gauges/dial-indicator/ より印刷
!よくある測定ミスと対策
✓手入れ・保管と点検・校正
手入れ・保管
- スピンドルは注油しない。動きが悪いときは乾いた布かアルコールを含ませた布で上下の摺動面を拭き、直らなければ修理に出す[10][7][6]
- オオイ板は柔らかい乾いた布か中性洗剤を少し含ませた布で拭く。ベンジン・シンナー・アルコール等の有機溶剤は使わない[6][7]
- 使用環境:温度 0〜40 ℃・湿度 30〜70 %、結露させない。ほこり・オイルミスト・直射日光を避ける(テクロック)[6]
- 静止点で長針・回転計が大きくずれていたら内部の損傷の可能性。分解せず修理に出す[11]
- 測定子や裏ぶたはメーカー指定品を使う[6]
点検・校正
- JIS の方法:支持台に固定し、マイクロメータヘッドや測長器を基準として、行き・戻りの各点で指示誤差を読む。繰返しは同じ位置で 5 回動かして最大差、測定力はばね式はかりで読む[5][6]
- 使用頻度・環境・使い方を考えて社内規格で周期を決め、定期的に点検する[6]
ダイヤルゲージは単体では測れず、スタンドやマグネットベース・治具と組み合わせる比較測定器(ミツトヨ、テクロック)。
⇄関連する器具
📚出典
印のない内容は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。手順や注意は資料をもとにケズリバの言葉でまとめ、図はケズリバが描いたものです。精度の値は JIS の数表ではなく、メーカーの公表値です。
- 日本規格協会「JIS B 7503:2017 ダイヤルゲージ(書誌)」
- 日本規格協会「JIS B 7563:2021 デジタルインジケータゲージ(書誌)」
- ISO「ISO 463:2006 Design and metrological characteristics of mechanical dial gauges」
- ASME「ASME B89.1.10M Dial Indicators (for Linear Measurement)」
- ミツトヨ「Quick Guide to Precision Measuring Instruments(Catalog No. E11003(7)、2024年8月時点)」
- テクロック「総合カタログ 1 ダイヤルゲージ(使用上の諸注意・JIS B 7503 部品図を含む)」
- ミツトヨ「ダイヤルゲージの正しい使い方、読み方と注意点」
- 新潟大学「新潟大学工学部 技術職員 実習テキスト 第1章 工作測定」
- ミツトヨ「Mitutoyo Product Fundamentals(Bulletin No. 2180、Mitutoyo America)」
- ミツトヨ「デジマチックインジケータ・ダイヤルゲージ・テストインジケータの基礎知識」
- ミツトヨ「Check Points for Measuring Instruments(Catalog No. E12024)」
- ミツトヨ「ダイヤルゲージ 標準形 2044A 仕様」
- 新潟精機「標準シリンダゲージ WCDI-35 取扱説明書」