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NC 旋盤プログラム入門:ブラウザで動くシミュレータと採点つき練習問題

打って、動かして、間違えて覚えよう。ここなら機械は壊れないよ

マスコットのチップス
NC 旋盤プログラム入門:ブラウザで動くシミュレータと採点つき練習問題

NC 旋盤のプログラムは、覚えるコードが少ないわりに「書いたものが本当に合っているか」を確かめにくいのが難所です。機械で試すには段取りが要り、間違えれば工具や機械を壊します。そこでこの記事では、ブラウザの中で動く NC 旋盤のシミュレータを作りました。プログラムを打って ▶ を押すと、工具が動き、材料が削れ、回転数・加工時間・衝突や小数点忘れの警告が出ます。後半には、図面どおりに削れたかを自動で判定する採点つきの練習問題 5 問があります。書いたプログラムはリンクにして人に送れるので、先輩に見てもらうのにも使えます。

書き方は、多くの機械で使われている FANUC 互換の G コード体系 A を基準にしました。FANUC の取扱説明書は一般に公開されていないため、FANUC 互換の書き方は Siemens の ISO 方言[1]と三菱電機[2]の公開説明書で確かめ、Haas などとの違いはその都度書いています。実際の機械では、必ずその機械の説明書と社内の決まりに従ってください。

まず動かしてみる:NC 旋盤シミュレータ

上の図が旋盤を真上から見た断面(チャックが左、工具は中心線の上側= +X 側から削ります)、その下の黒い欄が NC プログラムです。うすい線は、これから工具が通る道です。▶ 実行を押してみてください。プログラムは書き換えられます。数字を変えたり、わざと間違えたりして、何が起きるかを見てください。

X—
Z—
S0min⁻¹
T—
時間0.0s
行—

┅ 早送り G00━ 切削送り━ ねじ切り

    • グレーの点線が早送り(G00)、緑の線が切削送り(G01・G02・G03)、オレンジがねじ切りです。図の下の黒い帯(DRO)に、いまの X・Z・回転数・工具・経過時間と、実行中の行が出ます
    • メッセージをクリックすると、その行がエディタで選ばれます。書いたプログラムはこのブラウザに保存されます(「最初のプログラムに戻す」で消せます)
    • 「このプログラムのリンクをコピー」を押すと、いま書いているプログラムが入ったリンクができます。開いた人の画面では、そのプログラムが自動で動きます
    • 高専などの機械加工の授業でも、シミュレーションで工具の動きや削れていく様子を画面で確かめてから実機に進む教え方が報告されています[18][19][20]。海外の職業高校の報告では、事故の心配なく何度でも試せるシミュレータを使った生徒のほうが、実機の前の自信と理解が高かったとされています[23]
    • 一方で、5 軸機の VR(ゴーグルをかけて機械の中に入る教材)を初心者に使った実験では、見た目は楽しくても、操作に気を取られて理解のテストは低くなりました[24]。このシミュレータを、わざと断面の 2D だけにしているのはそのためです。見るのは「プログラムと工具の動きの対応」だけに絞りました
    • このシミュレータは学習用の簡易版です。刃先は点(刃先 R=0)、工具の形は簡略化、穴(内径)は扱いません。早送りの速さ(12 m/min)と機械の最高回転数(4000 min⁻¹)も仮の値です

    座標:X は直径、Z は長さ、原点は端面の中心

    旋盤の軸は 2 本です。Z 軸は主軸の向き(ワークの長さの方向)、X 軸はそれに直角な半径の向きです。X・Z のどちらも工具がワークから離れる向きがプラスと決まっています(JIS B 6310/ISO 841)[17][2]。つまり、チャックから離れる右向きが +Z、中心から外へ向かう向きが +X です。

    ワーク原点(X0 Z0)仕上げ後の端面の中心+Z+X外へ(工具の側)X は直径で書くチャックから離れるチャック側が Z マイナス工具(刃先)
    旋盤を真上から見た図(刃物台が奥にある機械。工作機械の絵はイメージ図)。工具がワークから離れる向きがプラスなので、中心から外へ向かう向きが +X、チャックから離れる右向きが +Z です。原点を端面の中心に置くと、削る部分は Z マイナスになります。
    • X は直径で書く:図面の寸法が直径なので、旋盤では X を直径で指令するのがふつうです(直径指定)[1][2]。X30. と書けば「直径 30 mm の位置」。1 mm 削り込むと X の値は 2 mm 減ります
    • 原点は仕上げ後の端面の中心(X0 が主軸の中心線、Z0 が端面)に置くのが一般的です[13][1]。これで、端面より右(工具が待つ側)は Z プラス、削る部分は Z マイナスになります
    • 機械の原点(機械座標)からワーク原点までのずれは、プログラムではなく工具補正(オフセット)やワーク座標系の画面に入れます。プログラムには図面の寸法をそのまま書けます

    プログラムの形:O 番号・ブロック・ワード

    NC プログラムは、1 行(ブロック)ごとに「アルファベット+数字」のワードを並べたものです。1 ブロックの終わりは EOB(画面では ;)、プログラムの先頭には O 番号を書きます。この形は ISO 6983-1(JIS B 6315-1)で決められています[17][2]。

    「N30 の行で、直線補間(G01)で X30.・Z-25. まで、1 回転あたり 0.2 mm の送りで動け」という 1 ブロック。G のように、一度書くと次に別の G が来るまで効き続けるコードをモーダルと呼びます(モーダルなコード)。

    ほとんどのプログラムは、次の決まった始まり方と終わり方の間に、削る動きをはさんだ形になります。

    O0001                (プログラム番号)
    G28 U0 W0            (機械の原点へ戻る:U・W は増分なので「今いる所から」戻る)
    T0101                (1 番の工具を 1 番の補正で呼ぶ)
    G50 S3000            (回転数の上限 3000 min-1)
    G96 S150 M03         (周速一定 150 m/min で主軸を回す)
    G99                  (送りは 1 回転あたり mm)
    G00 X44. Z2. M08     (早送りでワークの近くへ・切削油を出す)
      ... 削る動き ...
    G00 X100. Z100. M09  (離れる・切削油を止める)
    G28 U0 W0            (機械の原点へ)
    M05                  (主軸を止める)
    M30                  (プログラムの終わり・先頭へ戻る)
    コード意味メモ
    M03・M04・M05主軸の正転・逆転・停止工具の取り付け向き(刃を上向き・下向き)に合わせて使い分ける。どちらが正転かは機械の説明書で確かめる[12][2]
    M08・M09切削油を出す・止める
    M00・M01プログラムの一時停止・オプショナルストップM01 は操作盤のスイッチが入っているときだけ止まる。計測や切りくず取りに
    M30プログラムの終わり先頭に戻る
    T0101工具の選択上 2 桁が工具(タレットの位置)、下 2 桁が補正の番号[1][2]
    G28 U0 W0原点復帰中間点を「今いる所」にして機械の原点へ。G28 X0 Z0 と書くとワーク原点を通ろうとして危ない[22][5][2]

    ( ) の中は注釈(コメント)で、NC は読み飛ばします。機種によっては日本語が表示できないので、注釈は英数字で書くのが無難です。このシミュレータでも ( ) の中は読み飛ばします。

    主軸:G50・G96・G97 と回転数

    切削速度 Vc(m/min)・直径 D(mm)・回転数 n(min⁻¹)の関係は n = 1000 × Vc ÷ (π × D) です[16]。旋盤では、この関係を NC に任せるかどうかで 2 つの書き方があります。

    コードS の意味使うところ
    G96 S150周速(切削速度)150 m/min を保つ。直径が小さくなるほど回転が上がる外径・端面・テーパなど、直径が変わる削り
    G97 S800回転数 800 min⁻¹ で一定ねじ切り・ドリル・センタ穴など、中心で削るときや回転を変えたくないとき[10][1]
    G50 S3000回転数の上限 3000 min⁻¹(体系 A)G96 の前に必ず。体系 B・C では G92 S になる

    G96 で端面を削ると、工具が中心に近づくほど回転が上がり、計算上は中心で無限大になります。実際には機械の最高回転数まで上がり、チャックの把握力が遠心力で落ちてワークが飛ぶおそれがあります。だから G96 の前に G50 S で上限を決めます[8][9][13][22]。下のつまみで、直径が小さくなると回転がどう上がるかを確かめてください。

    横軸が直径、縦軸が回転数。緑の曲線が G96 の計算どおりの回転数、オレンジの線が G50 の上限です。直径が小さいところでは上限で頭打ちになり、そこでは周速が設定より下がります。

    動き:G00・G01・G02・G03

    コード動き書き方注意
    G00早送り(位置決め)G00 X_ Z_削ってはいけない。X と Z が同時に動くとき、各軸がそれぞれの早送りで動くので、通り道はまっすぐとは限らない[1]
    G01直線で削るG01 X_ Z_ F_X と Z を同じ行に書くと斜め(面取り・テーパ)
    G02円弧で削る(時計回り)G02 X_ Z_ R_終点と半径 R(180° を超える円弧は R をマイナス)。中心で指定するなら I・K(始点から中心までの増分。I は直径指定の機械でも半径値)[1][2]
    G03円弧で削る(反時計回り)G03 X_ Z_ R_同上

    G02 と G03:どちら回りかの見方

    円弧の向きは、旋盤の加工面(ZX 平面、G18)を Y 軸のプラス側から見たときの時計回り・反時計回りで決まります[2][1][3]。この記事の図とシミュレータは、刃物台が中心線の向こう側(奥)にある機械を上から見た向き(+X が上)で描いているので、見たまま時計回りが G02 です。外径を端面側からチャックへ向かって削るとき、ふくらむ角(凸 R)は G03、へこむ角(凹 R)は G02 になります。

    刃物台が奥(+X が上)=この記事の図G03凸 RG02凹 R凸 R は反時計回り、凹 R は時計回りに見える刃物台が手前(+X が下)G03凸 RG02凹 R同じプログラムが逆回りに見える
    練習問題 4 の形(先端 R3・根元 R2)を、両方の向きで描いた図(計算で描画)。左は刃物台が奥の機械を上から見た向きで、見たとおり凸 R が反時計回り(G03)、凹 R が時計回り(G02)。右は刃物台が手前の機械で、図が上下にひっくり返るため、同じプログラムの円弧が逆回りに見えます。

    刃物台が手前にある機械の図では向きが逆に見える刃物台が作業者側にある旋盤(+X が手前)を上から見ると、図が上下ひっくり返るので、同じ G02 が反時計回りに見えます。プログラムは同じで、変わるのは見え方だけです。三菱電機の説明書は、刃物台が奥と手前の両方の図で同じ形を同じ G02 と書いており、LinuxCNC の説明書も「上から見ると G2・G3 が逆に見える」と注意しています[2][15]。教科書や図面の向きと、自分の機械の向きを確かめてから読んでください。

    小数点を忘れると 1000 分の 1 になる

    FANUC 互換の NC の多くは、小数点のない数を最小設定単位(0.001 mm)で読みます。X30 は 30 mm ではなく 0.03 mm です[1][2]。工具が中心へ向かって突っ込む、典型的な事故の原因です。シミュレータで X30 と打つと、警告が出て、本当に 0.03 mm へ動きます。「小数点のない数も mm として読む(電卓型)」にチェックを入れると、電卓型小数点入力の設定にした機械のように動きます。

    絶対値 X・Z と増分値 U・W

    体系 A では、X・Z が原点からの位置(絶対値)、U・W が今いる所からの移動量(増分値)です。U は X と同じく直径の値で、U-2. は「直径で 2 mm(半径で 1 mm)中へ」です。G28 U0 W0 の U0・W0 は「今いる所から動かずに」という意味で、そこを中間点にして原点へ戻ります[1][2]。マシニングのように G90・G91 で切り替えるのではないので注意してください(体系 A の旋盤の G90 は外径の固定サイクル)。

    送り:F と仕上げ面

    旋盤の送りは、ふつう 1 回転あたりの mm(毎回転送り)で書きます。体系 A では G99 が毎回転送り、G98 が毎分送りです[2][11]。電源を入れたときにどちらになるかは機械の設定で決まるので、冒頭に G99 を書いておくと確実です。体系 B・C では同じ働きが G95・G94 になり、G98・G99 は穴あけサイクルの戻り位置という別の意味になります[2][1]。F0.2 なら、主軸 1 回転で工具が 0.2 mm 進みます。G96 で直径が小さくなって回転が上がると、毎分の送りの速さも上がります(シミュレータの加工時間はこれも計算しています)。

    送りを大きくすると早く削れますが、仕上げ面は粗くなります。刃先の丸み(ノーズ R)を r、送りを f とすると、理論上の仕上げ面の高さは h ≒ f² ÷ (8r) です。たとえば f=0.2 mm/rev、r=0.8 mm なら約 6.3 µm です[16]。

    送り f(mm/rev)ノーズ R 0.4ノーズ R 0.8ノーズ R 1.2
    F0.13.1 µm1.6 µm1.0 µm
    F0.157.0 µm3.5 µm2.3 µm
    F0.212.5 µm6.3 µm4.2 µm
    F0.2519.5 µm9.8 µm6.5 µm
    F0.328.1 µm14.1 µm9.4 µm

    表は理論値です。実際の粗さは、工具の摩耗・構成刃先・びびり・材料で変わります。荒削りは送りを大きく、仕上げは小さく、が基本です。

    工具と補正:T0101・刃先 R 補正

    T0101 の下 2 桁は補正の番号で、そこに入っている工具の長さのずれ(X・Z の形状補正)と摩耗補正が効きます。補正があるので、プログラムには工具の長さを書かず、図面の寸法だけを書けば済みます[1][2]。

    もうひとつ大事なのが刃先 R 補正です。チップの刃先は丸い(ノーズ R)のに、NC は X 方向と Z 方向の刃の線が交わる点(仮想刃先)を動かします。X か Z に平行に削るときは問題ありませんが、テーパや円弧では、丸い刃先の当たる点が仮想刃先からずれて、寸法が狂います[1][7]。

    仮想刃先(NC が動かす点)実際の刃先(ノーズ R)━ プログラムしたテーパ(30°)┅ 補正なしで実際に削れる面■ 削り残し(太くなる)
    ノーズ R 1.6 mm(見やすく大きめ)の刃先で、30° のテーパを補正なしで削った場合を計算で描いた図。仮想刃先は線の上を正しく動いても、丸い刃先がテーパに当たる点は仮想刃先より外にあるため、斜面に約 0.59 mm(ノーズ R の 0.37 倍)の削り残しが出て、テーパは太くなります。Z に平行な面と端面では誤差は出ません。

    テーパの角度を θ(Z 軸から測る)、ノーズ R を r とすると、補正なしで削ったときの面に垂直な削り残しの厚さは r(sin θ + cos θ − 1)、X 方向(半径)では r(1 + tan θ − 1/cos θ) になります(幾何から求めた式で、Haas の説明書の補正量の表と合います)[14]。

    ノーズ Rテーパ 30°テーパ 45°テーパ 60°
    R0.4φ0.34 mm 太いφ0.47 mm 太いφ0.59 mm 太い
    R0.8φ0.68 mm 太いφ0.94 mm 太いφ1.17 mm 太い
    R1.2φ1.01 mm 太いφ1.41 mm 太いφ1.76 mm 太い
    • 外径をチャックへ向かって削るときは G42(工具の進む向きに対して右側に補正)、内径は G41(左側)、G40 で補正を取り消します[1][2][7]
    • 補正には、ノーズ R の値と、刃先がどちらを向いているかを表す仮想刃先番号(0〜9)を補正の画面に入れておきます。+X を上・+Z を右に描いた図で、ふつうの外径バイトは 3 です(Siemens・三菱電機・Haas で同じ番号)。番号が間違っていると、かえって寸法がずれます[1][2][14]
    • 補正の始め(G41・G42 を書いたブロック)と終わり(G40)で工具は補正の分だけ斜めに動くので、ワークから離れた所で始め、離れた所で取り消します

    溝とねじ:G04・G32・G92

    溝入れは、溝入れバイトを G01 で X 方向に送り込み、溝の底で G04(ドウェル=その場で待つ)を入れて底を 1 回転以上なめてから戻すのが基本です。G04 X0.5 や G04 U0.5 は 0.5 秒、G04 P500 は 500 ミリ秒(P は小数点を付けない)です[1][2][4]。止まる時間は回転数から決めます。たとえば 500 min⁻¹ で 2 回転させたいなら 60 ÷ 500 × 2 = 0.24 秒です。

    ねじ切りは、主軸の回転と Z の送りをぴったり合わせる必要があるので、G97 で回転数を一定にし、F にリード(1 回転で進む量。1 条ねじならピッチ)を書きます。G32 は 1 回分のねじ切り送りだけ、G92 は「切込み → ねじ切り → 逃げ → 戻り」の 4 動作をまとめた単一形のサイクルで、下に X だけの行を並べると少しずつ深くしながら繰り返します[1][2][6]。ねじ切りは主軸の 1 回転の信号に合わせて送りを始めるので、何回くり返しても同じ溝に刃が入ります。

    • ねじの始めと終わりは、送りが回転に追いつく・止まるまでの遅れでリードが正しくならない(不完全ねじ部)ので、必要なねじの長さに助走と逃げを足してプログラムします[1][2]。必要な長さは回転数・リード・機械で変わるので、機械の説明書の式で確かめてください(練習問題 5 は端面の 5 mm 手前から始めています)
    • ねじの終わりに逃げ溝があると、工具を安全に抜けます(練習問題 5)
    • 切込みの回数と量を NC に計算させるなら G76 です(旋盤の複合固定サイクル)

    練習問題:図面どおりに削れるか(採点つき)

    青い点線が図面の形です。プログラムの「(---- ... ----)」の行に足りない動きを書いて ▶ を押すと、削れた形を図面と比べて採点します(直径で ±0.02 mm)。警告やエラーが出ているときも「もう少し」になります。答えの例は各問の下にあります。

    問 1端面を削る

    素材は φ40、端面に 1 mm の削り代があります。工具(外径バイト T0101)は X44. Z0. まで来ています。ここから中心まで送りで削って、端面を Z0 に仕上げてください。

    ヒント

    X だけを動かす G01 を 1 行。送りは F0.15 くらい。

    X—
    Z—
    S0min⁻¹
    T—
    時間0.0s
    行—

    ┅ 早送り G00━ 切削送り━ ねじ切り┅ 図面の線

      答えの例を見る
      O0001
      G28 U0 W0
      T0101
      G50 S3000
      G96 S150 M03
      G99
      G00 X44. Z0. M08
      G01 X0. F0.15
      G00 Z2.
      G00 X100. Z100. M09
      G28 U0 W0
      M05
      M30

      問 2段を 2 回に分けて削る

      φ40 の素材を、端面から長さ 25 mm だけ φ30 にします。この工具の切込みは半径 2.5 mm まで。1 回目(X35.)は書いてあるので、2 回目で X30. に仕上げてください。

      ヒント

      1 回目と同じ形で、X だけを 30. に。最後に X42. へ逃げるのを忘れずに。

      X—
      Z—
      S0min⁻¹
      T—
      時間0.0s
      行—

      ┅ 早送り G00━ 切削送り━ ねじ切り┅ 図面の線

        答えの例を見る
        O0001
        G28 U0 W0
        T0101
        G50 S3000
        G96 S150 M03
        G99
        G00 X42. Z2. M08
        X35.
        G01 Z-25. F0.2
        X42.
        G00 Z2.
        X30.
        G01 Z-25.
        X42.
        G00 Z2.
        G00 X100. Z100. M09
        G28 U0 W0
        M05
        M30

        問 3面取り C1 とテーパ

        素材は φ30。端面の角を C1(1 mm × 45°)で面取りし、φ26 を Z-15 まで、そこから Z-25 で φ30 になるテーパを削ります。

        ヒント

        面取りもテーパも、X と Z を同じ行に書けば斜めに動きます(G01 X26. Z-1.)。

        X—
        Z—
        S0min⁻¹
        T—
        時間0.0s
        行—

        ┅ 早送り G00━ 切削送り━ ねじ切り┅ 図面の線

          答えの例を見る
          O0001
          G28 U0 W0
          T0101
          G50 S3000
          G96 S150 M03
          G99
          G00 X24. Z2. M08
          G01 Z0. F0.15
          X26. Z-1.
          Z-15.
          X30. Z-25.
          X32.
          G00 Z2.
          G00 X100. Z100. M09
          G28 U0 W0
          M05
          M30

          問 4凸の R と凹の R

          素材は φ24。先端の角を R3 で丸め(φ14 → φ20)、φ20 を Z-18 まで削り、根元を R2 で丸めて φ24 につなげます。

          ヒント

          先端の丸め(ふくらむ R)は G03、根元の丸め(へこむ R)は G02。どちらも終点の X・Z と R を書きます。

          X—
          Z—
          S0min⁻¹
          T—
          時間0.0s
          行—

          ┅ 早送り G00━ 切削送り━ ねじ切り┅ 図面の線

            答えの例を見る
            O0001
            G28 U0 W0
            T0101
            G50 S3000
            G96 S150 M03
            G99
            G00 X14. Z2. M08
            G01 Z0. F0.12
            G03 X20. Z-3. R3.
            G01 Z-18.
            G02 X24. Z-20. R2.
            G01 X26.
            G00 Z2.
            G00 X100. Z100. M09
            G28 U0 W0
            M05
            M30

            問 5逃げ溝とねじ M20×1.5

            素材は φ20(ねじの外径まで削ってある)。溝入れバイト T0202(幅 3 mm、位置の基準は左=チャック側の角)で Z-20〜Z-23 に φ17 の逃げ溝を入れ、ねじ切りバイト T0303 で M20×1.5 のおねじを G92 で切ります。最後の X は 18.16(= 20 − 2 × 0.6134 × 1.5)。

            ヒント

            溝は G01 X17. で入れて G04 で少し止まる。ねじは G92 の下に X だけの行を並べると、同じサイクルを少しずつ深く繰り返します。

            X—
            Z—
            S0min⁻¹
            T—
            時間0.0s
            行—

            ┅ 早送り G00━ 切削送り━ ねじ切り┅ 図面の線

              答えの例を見る
              O0005
              G28 U0 W0
              T0202 (GROOVE W3)
              G97 S600 M03
              G00 X22. Z-23. M08
              G01 X17. F0.05
              G04 X0.5
              G00 X22.
              G28 U0 W0
              T0303 (THREAD 60DEG)
              G97 S800 M03
              G00 X22. Z5.
              G92 X19.4 Z-21.5 F1.5
              X18.9
              X18.5
              X18.3
              X18.16
              G00 X100. Z100. M09
              G28 U0 W0
              M05
              M30

              よくある失敗(シミュレータでも警告が出ます)

              1. 小数点を忘れる:X30 は 0.03 mm。工具が中心へ突っ込む[1][2]
              2. G50 を書かずに G96:端面で中心に近づくと回転が機械の最高まで上がる[8][9]
              3. G00 のまま材料に入る:G01 に切り替え忘れ。早送りで当たると工具と機械を傷める
              4. 工具交換をワークの近くでする:タレットが回るときに隣の工具がワークに当たる。G28 U0 W0 や十分離れた位置で
              5. M03 を忘れる・S がない:回っていないワークに工具が当たる
              6. ねじ切りを G96 のまま:回転数が変わると、毎回の刃の入る位置(ねじ山の位相)がずれる。ねじ切りは G97[1][2]
              7. G02 と G03 を取り違える:凸 R と凹 R、刃物台の位置(奥・手前)で見え方が違うことを思い出す
              8. 1 回の切込みが深すぎる:工具の推奨の切込みを超えると欠ける・びびる。何回かに分ける
              9. テーパ・R を刃先 R 補正なしで仕上げる:寸法が合わない(上の図)

              よくある質問

              このシミュレータは実際の機械と同じ動きですか?
              いいえ、学習用の簡易版です。FANUC 互換の体系 A の基本のコード(G00〜G03・G04・G28・G32・G50・G90・G92・G94・G96〜G99 と主な M コード)を読みますが、刃先 R・工具の形・機械の加減速・パラメータの設定は考えていません。G71 などの複合固定サイクル・カスタムマクロ・内径は動かしません。
              G50 と G92 はどう違いますか?
              G コード体系で番号が違います。体系 A の G50 S(回転数の上限)・G50 X Z(座標系の設定)は、体系 B・C では G92 です。体系 A の G92 はねじ切りサイクルなので、別の体系の機械のプログラムを流用するときは注意してください[1]。
              X をマイナスまで送るのはなぜですか?
              端面を中心まで削るとき、刃先の丸み(ノーズ R)の分だけ中心に削り残しが出るので、実際にはノーズ R の 2 倍ほど中心を越えた X(たとえば X-1.6)まで送ることがあります。どこまで越えてよいかは工具と機械で決まります。
              技能検定(数値制御旋盤作業)の勉強にも使えますか?
              プログラムの基本を手で確かめる練習には使えます。試験の課題や過去問は中央職業能力開発協会の公開ページで確かめてください[25][26](公開サイトの問題は閲覧のみで、複製・二次使用は禁止されています)。

              次の一歩として、荒削りを NC に任せる 旋盤の複合固定サイクル(G71・G70・G76)、変数と計算を使う カスタムマクロ入門、1 つずつのコードの意味は G・M コード辞典、回転数・送りの計算は 旋削の切削条件の計算にまとめています。学会誌の入門記事としては、精密工学会誌の「はじめての NC プログラムの作成」(2026)もあります[21]。

              出典・参考資料

              1. Siemens「SINUMERIK ISO Dialects Turning Programming Manual」(ISO 方言、2007)
              2. 三菱電機「700/70 Series Programming Manual (Lathe System)」IB-1500057
              3. Haas Automation「G02 CW / G03 CCW Circular Interpolation Motion」(旋盤)
              4. Haas Automation「G04 Dwell」(旋盤)
              5. Haas Automation「G28 Return to Machine Zero Point」(旋盤)
              6. Haas Automation「G32 Thread Cutting」(旋盤)
              7. Haas Automation「G41 / G42 Tool Nose Compensation」(旋盤)
              8. Haas Automation「G50 Spindle Speed Limit」(旋盤)
              9. Haas Automation「G96 Constant Surface Speed ON」(旋盤)
              10. Haas Automation「G97 Constant Surface Speed OFF」(旋盤)
              11. Haas Automation「G99 Feed Per Revolution」(旋盤)
              12. Haas Automation「M03 / M04 / M05 Spindle On Fwd / Rev / Stop」(旋盤)
              13. Haas Automation「Lathe Programming Workbook」(PDF)
              14. Haas Automation「Lathe Operator’s Manual(NGC, 2018)」5.7 刃先 R 補正
              15. LinuxCNC「Lathe User Information」(工具の向き・旋盤の円弧)
              16. 工具メーカーの技術資料(旋削の仕上げ面粗さ・切削速度の式)
              17. 日本規格協会「JIS ハンドブック 2023 工作機械」目次(JIS B 6310:2003=ISO 841:2001 IDT、JIS B 6315-1:2013=ISO 6983-1:2009 MOD)
              18. 岡本邦夫・矢口久雄・浅見博「機械加工シミュレーションを用いた多軸加工教育の展開」群馬高専レビュー 37(2018)
              19. 鹿又祐二・朝比奈奎一「都立工業高専における機械シミュレーション活用による機械加工教育」日本機械学会 技術と社会部門講演会論文集(2005)
              20. 今井慎一・新谷翠「実践教育のための安全性を考慮した NC 工作機械の開発とその実践」工学教育 63(3)(2015)
              21. 西田勇「はじめての NC プログラムの作成」精密工学会誌 92(3)(2026)
              22. 厚生労働省「数値制御旋盤作業編」(ものづくりマイスターの技能検定課題の解説)
              23. 「A Case Study of using Swansoft CNC Simulator Software in Vocational Education」Atlantis Press(職業高校での事例)
              24. 「The Cognitive Cost of Immersion: Experimental Evidence from VR-Based Technical Training」Applied Sciences 15(23)(2025)
              25. 中央職業能力開発協会「技能検定 作業の内容」(機械加工 数値制御旋盤作業)
              26. 中央職業能力開発協会「技能検定試験問題公開サイト」

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