ARCHIVE国産工作機械アーカイブ

日本の工作機械が、輸入した機械を見よう見まねで作るところから、世界一の生産国になり、NC と複合加工の時代を切り開くまでを、一次資料で 1 つずつ確かめてまとめていくアーカイブです。社史・当時の業界誌と年鑑・技報・機械遺産の登録資料・国立科学博物館の資料・日本工作機械工業会の刊行物を読み、年・機種名・メーカーには出典を付け、確かめられないことは載せません。国立国会図書館の資料はコマ番号まで書いているので、同じページを開いて確かめられます。

古い社史に
答えが
あるんだ!

マスコットのチップス

章の一覧

機種ごとの系譜を 1 章ずつ足していきます。いま読めるのは第 1〜3 章です。

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年表(1868〜2026)全章の出来事を 1 本の年表に。和暦・西暦、出典つき。
メーカー別の沿革今あるメーカーとなくなったメーカー、合併・社名の移り変わりの系図。
名機図鑑機械遺産・重要科学技術史資料(未来技術遺産)などに選ばれた機械と、見に行ける所。
人物工作機械と NC を育てた技術者・経営者。
数字で見る歴史生産額・NC 化率・輸出の長い推移(日本工作機械工業会の統計)。
一次資料の一覧社史・業界誌・年鑑・技報・統計の所在(国会図書館の番号つき)。

⌛主な出来事(ミニ年表)

第 1〜3 章で確かめた出来事のうち、流れをつかむのに大事なものです。番号は下の出典、「コマ」は国立国会図書館デジタルコレクションのページです。

  1. 1889年5月明治22年池貝庄太郎が東京・芝金杉で池貝工場を創業(5月)。英式旋盤 2 台付きの借り工場から始め、同年末、弟の喜四郎と自家用の英式 9 フィート旋盤を作る。動力式で現存最古の国産旋盤(機械遺産第53号、国立科学博物館)[1][2・コマ45][2・コマ25][3・コマ26][4]
  2. 1905年明治38年池貝がフランシスの仕様書にもとづいて米式旋盤を作り、「池貝式標準旋盤」の量産を始める(それまでは主に英式)。月産 30 台ほどの量産も試みた[5・コマ65][4][3・コマ43][3・コマ44]
  3. 1921年10月大正10年農商務省が日本初の工作機械展覧会を大阪で開く(出品 126 社)。旋盤では池貝 GC 形・新潟の歯車掛け米式旋盤などが 1 等賞。国産機は輸入機の半値から 8 割ほど[2・コマ46][3・コマ49][3・コマ57]
  4. 1930年昭和5年岡本が呉海軍工廠の注文で国産初の平歯車研削盤 ASG-2 形を完成。最大ピッチ円直径 500mm・モジュール 8。終戦までに 13 台作られ、これを機に岡本は研削盤の総合メーカーになる[6][7]
  5. 1938年昭和13年工作機械製造事業法(法律第40号、3 月公布)。1 工場に設備工作機械 200 台以上などを条件に許可会社を指定し、池貝・新潟・東京瓦斯電気工業・大隈などが許可会社に(大隈は 7 月)[8][9・コマ22][3・コマ71][3・コマ72][3・コマ75]
  6. 1956年昭和31年機械工業振興臨時措置法。合理化基本計画で工作機械メーカーの設備が改まる。生産額は 1955 年 37 億円→1957 年 150 億円[3・コマ110][10・コマ18]
  7. 1956年3月昭和31年大隈の GPB 形サイクリック円筒研削盤が完成。荒削り・仕上げ・定寸を一続きのサイクルで行い、第 2 回大阪国際見本市で注目される。非真円平軸受を使い、1969 年までに約 700 台(機械遺産第 59 号)[11・コマ72][11・コマ66][12]
  8. 1957年2月昭和32年東京工業大学精密工学研究所が NC 旋盤の試作に成功=日本で最初の NC 旋盤。油圧ならい旋盤を改造した同時 2 軸制御[2・コマ75][13・コマ34]
  9. 1958年3月昭和33年牧野が立フライス盤 K シリーズと、日本最初の NC フライス盤を開発。NC 装置は富士通信機製造の商用 1 号機[14][15][16]
  10. 1958年4月昭和33年大隈の LS 形実用高速旋盤(1956 年着手)。4 月の大阪国際見本市で初公開し月産 30 台で生産開始、1962 年に組立コンベアを完成。累計 3 万台を超える[17][11・コマ65][11・コマ74][11・コマ77]
  11. 1960年昭和35年日立製作所のグループが、2 アーム式の ATC(工具 8 本)を持つ NC 万能工作機を開発=マシニングセンタの国産第 1 号機。自社製の NC 装置 HIDAM-43、おそらく国産 NC 機で初のボールねじ、磁気テープの NC。翌 1961 年の東京国際見本市に出品[2・コマ92]
  12. 1962年昭和37年第 1 回日本国際工作機械見本市にオーエム製作所の NC 立旋盤が出品される。立タレット旋盤に富士通信機製造の NC 装置 207A の 1 号機を載せ、電気油圧パルスモータでボールねじを回す。「わが国初の NC 立旋盤」とされる[18][19][20・コマ4][20・コマ16]
  13. 1964年10月昭和39年第 2 回日本国際工作機械見本市に、大隈が自社の NC 装置 OSP200 を付けた GCS-N 形数値制御円筒研削盤を出品。メーカーが自分で開発した NC 装置として注目される[11・コマ81][11・コマ84][11・コマ86]
  14. 1966年昭和41年日本国際工作機械見本市に池貝鉄工・日立精機・牧野フライス製作所・安田工業などがマシニングセンタを出品。厳密には ATC を持たないものもあったが、MC 時代の始まりを示した[2・コマ92]
  15. 1967年昭和42年NC 旋盤の生産台数:1967 年 8 台 → 1968 年 66 台 → 1969 年 282 台 → 1970 年 589 台 → 1973 年 1,459 台(日本工作機械工業会の統計による)[21]
  16. 1968年9月昭和43年山崎鉄工所が NC 旋盤の第 1 号機「マザックターニングセンター(MTC)」を完成。発表時は 1 台 730 万円、FANUC 260 をもとにした簡易な NC[22][21]
  17. 1970年昭和45年山崎鉄工所の NC 旋盤 MTC-2500R(製造番号 200、FANUC 240・紙テープ・電気油圧パルスモータ)。国産の NC 旋盤として初めて米国へ輸出された。2008 年に里帰りし、2024 年に機械遺産第126号[23][22]
  18. 1972年昭和47年コンピュータを内蔵した CNC の時代へ。富士通の NC 部門が富士通ファナックとして独立して CNC を発表、大隈も自社の CNC(OSP2000)を出す。この年から工作機械の輸出が輸入を上回り続ける[15][16][24][25][26]
  19. 1977年10月昭和52年豊田工機の CBN 生産形カム研削盤が第 12 回機械振興協会賞を受ける[9・コマ78]
  20. 1978年昭和53年森精機製作所の NC 旋盤 SL-2。NC 装置を機械に組み込んだ機電一体型で、9 年間に約 2,500 台を売り SL シリーズの元に[27]
  21. 1981年昭和56年工作機械の生産額に占める NC 化率が 50% を超える。旋盤の NC 化率は 70% を超え、NC 旋盤の生産額は 1,613 億円でピーク[10・コマ21][10・コマ46]
  22. 1982年昭和57年日本の工作機械生産額が米国を抜いて世界一に。2008 年まで 27 年間首位[10・コマ9][10・コマ22][26][28]
  23. 1983年4月昭和58年山崎鉄工所が複合加工機「SLANT TURN 40N ATC ミルセンタ」を完成[22]

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第 2 章の年表(全部の出来事)へ →

第 3 章の年表(全部の出来事)へ →

🔎一次資料の探し方

このアーカイブで使っている資料の多くは、だれでも同じものを見られます。メーカーの社名・機種名・年で引くのが近道です。

出典

国立国会図書館の資料は、個人向けデジタル化資料送信サービスで 2026 年 10 月に全文検索とページの画像で確かめました。

  1. 日本機械学会「機械遺産 第53号 池貝工場製第1号旋盤」
  2. 『日本の技術100年 ビジュアル版 第7巻』筑摩書房(1989)コマ 25・45・46・75・92
  3. 一寸木俊昭『日本の工作機械工業の発展過程の分析』(1963)コマ 26・43・44・49・57・71・72・75・110
  4. 池貝「企業情報(沿革)」
  5. 日本工学会『明治工業史 機械・地学篇』(1930)コマ 65
  6. 日本機械学会「機械遺産 第106号 ASG-2形平歯車研削盤」
  7. 岡本工作機械製作所「会社沿革」
  8. 国立公文書館デジタルアーカイブ「工作機械製造事業法・御署名原本・昭和十三年・法律第四〇号」
  9. 豊田工機『技に夢を求めて:豊田工機50年史』(1991)コマ 22・78
  10. 日本工作機械工業会『成長、変革-。10年の記録 1982-91』(1992)コマ 9・18・21・22・46
  11. 大隈鉄工所『製品沿革写真集:創業70周年記念』(1968)コマ 65・66・72・74・77・81・84・86
  12. 日本機械学会「機械遺産 第59号 大隈式非真円平軸受とGPB形円筒研削盤」
  13. 『工作機械の数値制御』日刊工業新聞社(1960)コマ 34
  14. 牧野フライス製作所「沿革」
  15. ファナック「ファナックの歴史」
  16. 電気学会「でんきの礎 NC装置(数値制御装置)」(2013年顕彰)
  17. 国立科学博物館 産業技術史資料データベース「実用高速旋盤 LS540×800形」
  18. 国立科学博物館 産業技術史資料データベース「立旋盤 VT5-14 NC付立旋盤」
  19. 日本工作機械工業会「日工会の沿革」
  20. 『Fujitsu:技術情報誌』13(6)(1963年4月)コマ 4・16
  21. 日髙千景「NC工作機械に関する考察(2):1950年代・1960年代の日本」『三田商学研究』62巻6号 pp.73-94(2020年)
  22. ヤマザキマザック「沿革」
  23. 日本機械学会「機械遺産 第126号 米国輸出を果たしたNC旋盤 MTC-2500R」
  24. オークマ「沿革」
  25. 国立科学博物館 産業技術史資料データベース「数値制御装置 OSP2000シリーズ」
  26. 日本工作機械工業会「日本の工作機械産業のあゆみ」
  27. 国立科学博物館 産業技術史資料データベース「NC旋盤 SL-2」
  28. 発明協会「戦後日本のイノベーション100選 NC工作機械」