G32

旋盤モーダル・グループ 01

ねじ切り(1 回ぶんの送り)

書き方と注意点

G32 X(U)_ Z(W)_ F_(F はリード。多条ねじは Q_ で開始角)

例

G97 S600 M03 ;        (回転数を一定に。G96 は使わない)
G00 X25. Z5. ;        (端面の 5 mm 手前=助走 δ1)
X19.4 ;               (1 回目の切込み)
G32 Z-22. F1.5 ;      (ねじ切り 1 回分。逃げ溝の中まで=δ2)
G00 X25. ;            (逃げ)
Z5. ;                 (戻り)
X18.9 ;               (2 回目の切込み)
G32 Z-22. ;           (F は前の値が続く)
G00 X25. ;
Z5. ;
X18.16 ;              (仕上げ:谷径 ≒ 20 − 2×0.6134×1.5)
G32 Z-22. ;
G00 X25. ;
Z5. ;

M20×1.5 の外径ねじ(G コード体系 A)をケズリバで書いた例です。説明のため切込みは 3 回だけにしています。実際は 1 回の切込みを少しずつ減らしながら 6〜10 回に分けます。

図解:G32(旋盤):ねじ切り 1 回分の動きと不完全ねじ部

早送り(G00)ねじ切り(G32)チャック中心線①② G32 Z_ F_(F=リード)③④開始点1 回転の信号を待って送り始めるδ2必要なねじの長さδ1逃げ溝δ1:助走(送りが追いつくまで)δ2:抜け(止まるまで)ZX
G32 が受け持つのは ② の 1 本だけで、①切込み・③逃げ・④戻りは自分で G00 で書く。ねじの始めと終わりは送りが主軸に追いつかずリードが狂うので、必要なねじの長さに助走 δ1 と抜け δ2 を足して指令する。毎回、主軸の 1 回転の信号を待ってから送り始めるので、切込みを変えても同じ溝に刃が入る。

図解:多条ねじの開始角 Q(端面から見たところ)

2 条ねじ1 回転の信号の位置=0°0°180°開始角 0° と 180°Siemens: Q0 Q180.Haas: Q0 Q1800003 条ねじ1 回転の信号の位置=0°0°120°240°開始角 0°・120°・240°Siemens: Q120. Q240.Haas: Q120000 Q240000
n 条ねじの k 本目は、開始角 Q = 360 ×(k − 1)÷ n だけずらして同じ G32 をくり返す。F はピッチではなくリード(ピッチ × 条数)。Q の書き方は機種で正反対で、Siemens の ISO 方言は小数点を付けて度で書き(Q180.)、Haas は 0.001° 単位の整数で書く(Q180000)。

計算:ねじ切りの回転数の上限と、多条ねじの開始角 Q

回転数の上限 F ÷ L—min⁻¹
ピッチ(L ÷ n)—mm
何本目開始角Siemens の ISO 方言(小数点を付ける)Haas(0.001° 単位の整数)

回転数の上限 R = 最大切削送り速度 ÷ リード(三菱電機の説明書の制約) 開始角 Q = 360 ×(k − 1)÷ n

主軸エンコーダの許容回転数・チャックの許容回転数でも頭打ちになります。低い方を使ってください。リードが大きいねじほど回転数を上げられません。開始角の書き方(小数点を付けるか、どの単位か)は機種で正反対なので、表の右 2 列を取り違えないでください。

検算例:F 5000 mm/min、L 1.5 mm → 3333 min⁻¹。L 3 mm(ピッチ 1.5 の 2 条)→ 1667 min⁻¹。2 条の 2 本目は 180°、3 条は 0°・120°・240°。

メーカー・機械による違い

同じコードでも、NC 装置や機械メーカーで書き方や割り当てが違うことがあります。必ずお使いの機械の取扱説明書で確かめてください。

「資料1件・参考」は 1 つの資料でしか確かめられなかった行、「CAM ポストの出力・参考」は CAM メーカーのポストプロセッサが出力する書き方で、NC メーカー自身の公開資料では確かめられなかった行です。

資料機械項目内容
Siemens(ISO 方言)旋盤番号G コード体系 A は G32、体系 B・C は G33
三菱電機旋盤番号G コード一覧 2・4・6 は G32、3・5・7 は G33
Siemens(ネイティブ)旋盤書き方G33 Z_ K_(K がリード)。多条ねじは SF=(開始角)
LinuxCNC旋盤書き方G33 Z_ K_(K は主軸 1 回転あたりの移動量)
Haas旋盤書き方Q は 0.001° 単位の整数で、小数点を付けない(180° は Q180000)。Q はモーダルでなく毎回書く。G99 が必要
Siemens(ISO 方言)旋盤書き方Q は度で、小数点を付けて書く(最小単位 0.001°。2 条ねじの 2 本目は Q180.)
三菱電機旋盤書き方Q(開始角)は 0.001〜360.000°
Haas旋盤補足シングルブロック停止とフィードホールドは、G32 の連続の最後の行まで遅れる。M23・M24(ねじの終わりの面取りの切り替え)は G32 には効かない
Siemens(ISO 方言)旋盤補足毎分送り(G94)のまま指令するとアラーム
三菱電機旋盤補足回転数 R は「1 ≤ R ≤ 最大切削送り速度 ÷ リード」で、さらに主軸エンコーダの許容回転数以下資料1件・参考

出典

このコードの意味は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。説明はケズリバの言葉で書いています。

  1. Siemens AG「SINUMERIK 802D sl/840D/840D sl/840Di/840Di sl/810D Programming Manual ISO Turning, 04.2007 Edition」 cache.industry.siemens.com
  2. 三菱電機(Mitsubishi Electric)「MITSUBISHI CNC 700/70 Series Programming Manual (Lathe System)(IB-1500057)」 mitsubishielectric.com
  3. Haas Automation, Inc.「G32 Thread Cutting (Group 01)(旋盤、コード別解説ページ)」 haascnc.com
  4. Siemens AG「SINUMERIK 840D sl/840D/840Di sl/810D Fundamentals, Programming Manual, Edition 08/2005(6FC5398-1BP10-0BA0)」 cache.industry.siemens.com
  5. LinuxCNC project「G-Codes(LinuxCNC Documentation)」 linuxcnc.org