長さを測る

外側マイクロメータOutside micrometer

別名:マイクロメータ、マイクロ、標準外側マイクロメータ、デジマチックマイクロメータ

外側マイクロメータを使っているところのイラスト

≡規格・測定範囲・精度

規格
  • JIS B 7502 製品の幾何特性仕様(GPS)-寸法測定器-マイクロメータ(JSA の現行は 2026 年版。ミツトヨの解説は 2016 年版を説明)
  • ISO 3611:2023 Design and metrological characteristics of micrometers for external measurements
  • ASME B89.1.13 Micrometers
[1][2][3][4]
測定範囲
  • 一般 スピンドルの移動量は 25 mm。0〜25、25〜50、50〜75 mm … と 25 mm 刻みで、0〜2000 mm まである
  • 選び方の例 95 mm 付近を測るなら 75〜100 mm 用を使う
  • byMaker
    • ミツトヨ 103-137/103-138 0〜25 / 25〜50 mm
    • テクロック SSM-750/850 0〜30 / 30〜66 mm(デジタル、10 mm/回転)
[6][7][9][5][12]
最小表示量・目量
  • 標準 目量 0.01 mm(線の太さが間隔の約 1/5 なので 0.001 mm まで目分量で推定できる)
  • バーニヤ付き 0.001 mm
  • デジタル 0.001 mm(0.0001 mm の機種もある)
  • ねじ 標準はピッチ 0.5 mm のねじ。シンブル 1 回転でスピンドルが 0.5 mm 進む。2 mm ピッチで早送りできる機種もある
[3][6][7][10]
精度(器差・最大許容誤差)
  • 考え方
    • JIS B 7502(2016)で『器差』は『指示誤差』に変わり、最も重要な指示誤差は『全測定面接触誤差 J』。最大許容誤差 J_MPE で上限を決める
    • J は、最小測定長で定圧装置を使って基点を合わせた後、JIS B 7506 の 0 級または 1 級のゲージブロックを測定面全体ではさみ、指示値からゲージ寸法を引いて求める
    • 精度を決める主な要素は、ねじの精度・測定面の平面度・測定面の平行度・フレームの剛性
  • byMaker
    • ミツトヨ 103-137(0〜25 mm、0.01 mm) J_MPE ±2 µm、平行度 2 µm、平面度 0.6 µm、測定力 5〜10 N
    • テクロック SSM-750(0〜30 mm、0.001 mm デジタル) 指示誤差 ±2 µm
[3][9][5][12][1]

▦種類

標準外側マイクロメータ(アナログ、目量 0.01 mm)

[5][6][7]

バーニヤ付き(目量 0.001 mm)

スリーブの基準線の上にバーニヤ目盛があり、0.001 mm を直読できる[3][8]資料1件・参考

機械式カウンタ付き(デジット)

[3][9]資料1件・参考

デジタル(デジマチック・最小表示量 0.001 mm、0.0001 mm の高精度品もある)

[10][9][11][12]

定圧装置の違い:ラチェットストップ/フリクションシンブル(F形)/ラチェットシンブル

ラチェットストップは音と手応えで分かるがカチカチという微小な衝撃があり、片手操作に向かない。フリクションシンブルは音も衝撃もなく片手で使える。ラチェットシンブルは片手で使え音で確認できる[3][9][7][6]

専用マイクロメータ:ポイント、ブレード、スプライン、片球面・球面(パイプ厚)、U字形鋼板、ディスク(歯厚)、ねじ(替駒式)、V アンビル、玉歯厚、キャリパ形内側など

[3][9][7][11]

替アンビル式(広範囲)

[9]資料1件・参考

◎各部の名称と役目

#名称英語役目
1フレームFrameU 字形の本体。アンビルとスピンドルを保持する。剛性が精度に効く。[13][6][11]
2アンビルAnvil固定側の測定面。超硬チップ付きが多い。[13][6][11]
3スピンドルSpindleねじで前後する可動側の測定面。アンビルと同じ軸上にある。[13][6][11]
4測定面Measuring faces平面度と平行度が精度を左右する。超硬が一般的で、コスト優先なら焼入れ鋼。[13][9]
5クランプ(スピンドルクランプ)Spindle clampスピンドルを固定する。保管時はゆるめる。[13][6]
6スリーブ(外筒)と基準線・スリーブ目盛Sleeve, index (fiducial) line, sleeve scale基準線の上側に 1 mm 目盛、下側に 0.5 mm 目盛。[13][6][11]
7シンブル・シンブル目盛Thimble, thimble scale円周を 50 等分した目盛。1目盛 0.01 mm。[13][6][11]
8ラチェットストップ(定圧装置)Ratchet stop一定の測定力を超えると空回りして力をそろえる。[13][6][11]
9防熱板(防熱カバー)Heat insulating plate手の熱がフレームに伝わるのを抑える。ここを持つ。[13][9][11]
10スピードラ(スピーダ)Speederスピンドルを速く送るための部品。[9][3]
11ZERO/ABS・ORIGIN・HOLD ボタン、表示部(デジタル形)Buttons and display原点設定・相対ゼロ・ホールド。[13][9][11]

◷目盛りの読み方

  1. スリーブで、シンブルの端の左に見えている一番大きい目盛を読む(上側の 1 mm 目盛と下側の 0.5 mm 目盛の両方を見る)例:7 mm の線は見えるが 7.5 mm の線は見えない → 7.0 mm[6][7][3]
  2. シンブル目盛で、スリーブの基準線と合っている線を読む。ずれているときは基準線の下側の線を読む例:基準線にシンブルの 37 が合う → 0.37 mm[7][6][3]
  3. 両方を足す例:7.0 + 0.37 = 7.37 mm(ミツトヨ)。新潟大学の例は目分量で半目盛まで読み 7.000 + 0.375 = 7.375 mm、0.5 mm 線が見えていれば 7.5 + 0.375 = 7.875 mm[3][6]
  4. バーニヤ付き(0.001 mm):スリーブ → シンブル → バーニヤの一致線の順に足す例:スリーブ 6 mm + シンブル 0.21 mm(基準線が 21 と 22 の間)+ バーニヤ 0.003 mm = 6.213 mm[3]
  5. 機械式カウンタ付き:カウンタの 4 桁にバーニヤの 0.001 mm を足す例:2.99 mm(カウンタ)+ 0.004 mm(バーニヤ)= 2.994 mm[3]
  6. 目分量で 1 µm まで読むときの目安:目盛線の太さは約 2 µm。基準線とシンブルの線の重なり具合で 1 µm、2 µm を判断する[13][3][14]
  7. 目盛は正面から、基準線とシンブル線の合致点の真上から読む[7][13][3]
外側マイクロメータの読み方(スリーブ+シンブル)
スリーブ(上=1 mm、下=0.5 mm)05シンブル(1 目盛 0.01 mm)303540← 基準線と一致

スリーブ 7.0 mm + シンブル 0.37 mm(37 目盛)= 7.37 mm

スリーブは上側が 1 mm、下側が 0.5 mm の目盛。シンブルは1回転 0.5 mm を 50 等分しています(1 目盛 0.01 mm)。

✋使い方の手順

  1. 選定:種類・測定範囲・精度を確かめて選ぶ[3][7]
  2. 温度なじみ:マイクロメータと品物を室温に十分なじませる[7][3]
  3. 清掃:アンビルとスピンドルの測定面に白紙(糸くずの出ない紙)をはさみ、静かに引き抜いてごみを取る。スピンドル外周の切粉も拭く[7][13][3][6]
  4. 作動確認:シンブルを全範囲回し、引っかかりやムラがないか見る[13]
  5. 基点(ゼロ点)確認:ラチェットストップをゆっくり回して測定面を合わせ、シンブルのゼロ線とスリーブの基準線が合うか見るミツトヨはラチェットを 1.5〜2 回転、定圧を 3〜5 回かけて確認するとしている(0〜25 mm 品)。25 mm を超える品はマイクロメータ基準棒を使う。ずれているときはフックスパナでスリーブを回して合わせるか、ずれ量を補正値として使う[7][13][6]
  6. スタンドに付けるときは、フレームの中央をはさみ、締めすぎない。目盛が上下均等に見える角度に固定する[7][3]
  7. 測定:基点確認と同じ姿勢・条件で、両測定面を軽く品物に当て、ラチェットストップをゆっくり 3〜5 回まわして読む品物に近づけるときは必ずラチェットストップを回す。シンブルを直接回すと測定力が過大になり、ねじが摩耗して精度が落ちる[7][6]
  8. 読み取り:正面から読む。読み終えたらクランプを使った場合は解除する[7][13]
  9. 長時間使う場合は、熱膨張に備えて定期的に基点を確認する[13][14]

!よくある測定ミスと対策

手の熱

なぜフレームを素手で持ち続けると熱で膨張し、基点が変わる(ミツトヨの実験グラフ)。基準棒も手の温度で伸びる

対策防熱板を持つ。基準棒は手袋をして持つか断熱部で軽く支える。伸びた基準棒は元の長さに戻るまで時間がかかる[3][7]

マイクロメータと基準棒の温度差

なぜ置き場所が違うと両者の温度が違い、基点合わせがずれる

対策両方を同じ場所に少なくとも数時間置いてから基点を合わせる[3]

測定力のかけすぎ・シンブル直回し

なぜねじを傷め、品物も変形させる。乱暴に回すとアンビル側を押しすぎる

対策定圧装置を正しく使う。ゆっくり当てる[6][7][3]

視差

なぜ眼の位置で目盛の合致位置が変わって見える

対策基準線とシンブル線の合致点の真上から読む[7][3][13]

0.5 mm の読み落とし

なぜスリーブ下側の 0.5 mm 線が見えているかを見落とすと 0.5 mm 違う

対策上下の目盛を両方確認する(1 mm ピッチのマイクロメータヘッドはこの誤読を避けられる)[6][3]

大形マイクロメータの姿勢・支え方

なぜ支え方と姿勢でフレームがたわみ、基点が数 µm〜数十 µm 変わる

対策実際の測定と同じ姿勢・支え方で基点を合わせる[13][3]

点・線接触での品物のつぶれ

なぜ球や円柱を平面ではさむと測定力で弾性変形し、見かけ上小さく出る(ヘルツの式)

対策必要なら変形量を見積もる。測定力の小さい器具を選ぶ[3]

✓手入れ・保管と点検・校正

手入れ・保管

点検・校正

マイクロメータは測られる物と標準尺(ねじ)を測定方向の一直線上に置くアッベの原理に従うので、ノギスより高精度に測れる(ミツトヨ)。ねじの有効径の三針法(E = M − 3d + 0.866025P、最適針径 0.577P)もマイクロメータで行う。

⇄関連する器具

📚出典

印のない内容は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。手順や注意は資料をもとにケズリバの言葉でまとめ、図はケズリバが描いたものです。精度の値は JIS の数表ではなく、メーカーの公表値です。

  1. 日本規格協会「JIS B 7502:2026 製品の幾何特性仕様(GPS)-寸法測定器-マイクロメータ(書誌)」
  2. ISO「ISO 3611:2023 Design and metrological characteristics of micrometers for external measurements」
  3. ミツトヨ「Quick Guide to Precision Measuring Instruments(Catalog No. E11003(7)、2024年8月時点)」
  4. ASME「ASME B89.1.13 Micrometers」
  5. ミツトヨ「標準外側マイクロメータ M110 103-137 仕様」
  6. 新潟大学「新潟大学工学部 技術職員 実習テキスト 第1章 工作測定」
  7. ミツトヨ「マイクロメータの正しい使い方と注意点」
  8. ミツトヨ「外側マイクロメータ M310/M320 102-301 仕様」
  9. ミツトヨ「Mitutoyo Product Fundamentals(Bulletin No. 2180、Mitutoyo America)」
  10. ミツトヨ「測定とは? 測定と計測の違い」
  11. 新潟精機「デジタルマイクロメータ QEM29 シリーズ 取扱説明書」
  12. テクロック「総合カタログ 5 マイクロメータ」
  13. ミツトヨ「Check Points for Measuring Instruments(Catalog No. E12024)」
  14. ミツトヨ「替ロッド形デプスマイクロメータの使い方」