ケズリバ(kezuriba.net)/maintenance/grinder/troubles/ より印刷
研削盤の不調の早見表
症状から、考えられる原因・点検する所・処置を引く。周期・油種・数値は研削盤メーカー・といしメーカーの指定と、手元の機械・といしの表示が最優先。ここにある値は公開資料に載っていた例で、取扱説明書を必ず確かめること。研削といしの取替えと取替え時の試運転は、特別教育を受けた人が行う
びびりマーク(工作物の表面に一定の間隔の模様・うねり)が出る共通
模様が一定間隔か、全体に一様か、不規則かを見る(ノリタケはこの3つで対策を分けている)。びびりマークはうねり模様として測れる(栃木県産業技術センター)[1][2]
| 考えられる原因 | 点検する所 | 処置 |
|---|---|---|
| といしのアンバランス | バランス台での静バランス、バランサの振動値 | バランスを取り直す。研削液を止めたあと空転させて液を振り切る[1][3][4][5] |
| といしの取付け不良・取付けの振れ | フランジへの取付け、といし外周の振れ | といしをフランジに確実に付け直し、ツルーイングする[3][1] |
| ドレッサの固定のゆるみ・先端の摩耗、ツルア(ドレッサ)のバランス不良 | ドレッサの取付け、先端の形、シャンクの出すぎ | ドレッサを確実に固定し、先端の平らなものは替える。ドレス直後にといしの角を面取りする[6][1][3] |
| 機械の外や中の振動源(研削液ポンプ・ファン・近くのプレス・フォークリフト、ベルトのゆるみ、床から伝わる振動) | といしを止めても振動が残るか、周りの機械を止めると消えるか | 振動源をなくすか切り離す(ポンプ・ファンのバランス取り、防振の据付け、独立基礎)[4][3][1] |
| 工作物の支え不足(振れ止め・センタ・チャック) | 剛性の低い工作物を振れ止めで支えているか、センタの状態 | 振れ止めを使う。取付けを直す[4][3][7] |
| といしの形の崩れ・目づまり・砥粒の脱落による再生びびり(前の回転のうねりが次の回転で大きくなる) | といし表面の状態(目づまり・目つぶれ・目こぼれ) | 定期的にツルーイング・ドレッシングをする[3][8] |
| 研削条件(切込み・送り・工作物周速度が大きい)、スパークアウト不足 | 条件表 | 切込みと送りを下げる。スパークアウトの回数を増やす。円筒研削では工作物と砥石の回転数が同期しないようにする[3][1] |
| 研削液の濃度不足・供給量や圧力の過不足・異物 | 濃度(屈折計)、ノズル、ろ過 | 濃度を推奨値に戻す。供給量・圧を合わせる。清浄な液を使う[3][1] |
送りマーク・ねじ状(らせん状)の模様が出る共通
| 考えられる原因 | 点検する所 | 処置 |
|---|---|---|
| ドレス不良でといしの面がらせん状・円でない形になり、その形が工作物に写る | ドレスの送り・方向 | 一方向だけにドレスし、ドレッサの送りと切込みを小さくする[4][6] |
| といしの作業面がテーブルの長手方向の動きと平行でない | ドレッサの摩耗・発熱、ワークと砥石軸の平行 | ドレス工具の摩耗を確かめ、冷却する。ワークと砥石軸の平行を調整する[4][1] |
| テーブル速度(トラバース送り)が速い、研削取り代が多い | 条件表 | テーブル速度を下げる。取り代を減らす[9][1] |
| ツルーイング不足でといしの形が崩れている | といし外周の振れ・形 | 十分にツルーイングする[9][10](資料1件・参考) |
| (ねじ状のスクラッチ)ドレッサの固定不良、ドレス後のといしの角 | ドレッサの固定 | ドレッサを確実に固定し、ドレッシング直後にといしの角を面取りする(R を付ける)[1][6](資料1件・参考) |
研削焼け(黄色・茶色の変色、らせん状の焼け跡)が出る共通
目に見える変色だけでなく、加工変質層や引張りの残留応力ができ、耐摩耗性・疲労強度が落ちる(ノリタケ)。研削熱は研削割れや反りも起こす[11][4]
| 考えられる原因 | 点検する所 | 処置 |
|---|---|---|
| ドレスが細かすぎて砥粒の切れ刃が小さい・目つぶれしている | ドレッシングリード・切込み | ドレッサの送り(リード)と切込みを大きくし、総切込み量を増やす。ロータリドレッサならダウンカットにし周速度比を 1 に近づける[11][6][4] |
| 研削液が研削点に届いていない・量や圧が足りない | ノズルの向き、流量、濃度 | 研削点に直接当て、供給量を増やし圧を上げる。潤滑性・浸透性のよい研削液にする[11][4][9][12] |
| といし周速度が速い、取り代が多い | 条件表 | 周速度を下げ、取り代を減らす[11][1](資料1件・参考) |
| といしが硬すぎる・気孔が少ない | といしの仕様(結合度・組織) | 軟らかめ・気孔の多いといし、切れ味のよい砥粒(セラミック・CBN)を検討する[4][11] |
| 大きな工作物・端面の研削で接触面積が大きく、研削液が入りにくい | 加工の部位 | 上の対策を組み合わせる。工程全体の条件を見直す[11](資料1件・参考) |
研削割れが出る共通
寸法がばらつく・時間とともにずれる共通
| 考えられる原因 | 点検する所 | 処置 |
|---|---|---|
| 機械の熱変位、研削熱による工作物の膨張 | 朝夕・連続運転後の寸法の変化、加工直後と冷えたあとの差 | 暖機する。研削液・室温を一定に保つ(研削液と室温の差 ±1℃ 以内が理想)[13][14] |
| 送り系のバックラッシ、といしの摩耗、補正値 | 補正の回数が増えていないか | 補正値を見直す。送り系の点検[13](資料1件・参考) |
| テーブル駆動部品(ボールねじ・サポート軸受・案内)の劣化 | 同じ条件でも結果がばらつくか | 計画的に部品を交換する(メーカーに相談)[15][13] |
| 静圧ブロックの目詰まりで静圧の状態が悪い | 静圧部の流量 | 静圧ブロックを整備する[16](資料1件・参考) |
| 研削条件(切込み・送りが大きい、取り代が多い) | 条件表 | 切込みと送りを小さくし、取り代を減らす[1](資料1件・参考) |
面粗さが悪い共通
不規則なスクラッチ(短いコンマ状のきず)が出る共通
テーパが付く・円筒度が悪い(円筒研削)円筒
真円度が悪い(円筒研削)円筒
| 考えられる原因 | 点検する所 | 処置 |
|---|---|---|
| センタ穴の精度不良・異物のかみ込み | センタ穴 | センタ穴を清掃・修正研削する[7][1] |
| といし・工作物・ツルアの取付け不良、支持部(主軸台・心押台・スピンドル)の劣化 | 回転軸の振れ | 取付けを直す。劣化していればメーカーに修理を依頼する[7][13](資料1件・参考) |
| センタの押し圧不良、駆動金具(ケレ)の不良、チャックの締付け位置、レストの押し代 | 段取り | 段取りを直す[7](資料1件・参考) |
| といしの目つぶれ・目づまり、ドレッサの摩耗 | といしの使用面 | ドレスし直す。ドレッサを新品に替える[6][1](資料1件・参考) |
| スパークアウト不足、研削サイクル | サイクル | スパークアウトを増やす。研削サイクルを変える[7][1] |
といしの目づまり(気孔に切りくずが詰まり、切れ味が落ちる)共通
砥石主軸のモータ電流から研削抵抗や目づまりの状態を推定できる(栃木県産業技術センターの研究)[2]
といしの目つぶれ(砥粒の先が平らにすり減り、面が光って切れない)共通
工作物がマグネットチャックから外れにくい・切りくずや鉄粉が付く(残留磁気)平面
マグネットチャックの吸着が弱い・工作物がずれる平面
研削した工作物の平行度が悪い(チャック面の平面度不良)平面
反りが出る(平面研削)平面
といし軸が熱くなる・異音がする共通
長く止めたあと、動かない・過負荷の警報が出る・原点が消えた共通
テーブルの動きが悪い・かじる(静圧案内)共通
センタレス研削で送り速度が合わない・工作物の円筒度が悪いセンタレス
加工条件・工具の側の原因は 加工トラブル事典 にまとめています。
📚出典
印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。
- ノリタケ「テクニカルサポート:トラブル対策(研削中の現象と対策)」
- 栃木県産業技術センター「研究報告 No.21(2024)山下健介ほか「AE センサを用いた研削加工状態の推定」」
- ジェイテクト「ジェイテクトグラインディングツール 研削技術コラム「研削加工におけるビビリの原因と対策」」
- UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Typical Grinding Errors – And How to Eliminate Them」
- Marposs(マーポス)「Active Control of Vibrations on Grinders(D6I00007G0)」
- ノリタケ「テクニカルサポート:ドレッシングとツルーイング(取付角・送り・切込み・ドレッシングに起因するトラブル)」
- ジェイテクト「ジェイテクトグラインディングツール 研削技術コラム「円筒研削における真円度不良の原因と対策」」
- ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 技術講座「よくわかるツルーイング・ドレッシング」」
- ジェイテクト「ジェイテクトグラインディングツール「研削加工のトラブルシューティング」」
- ジェイテクト「ジェイテクトグラインディングツール 研削技術コラム「砥石の『バランス取り』『振れ取り』とは?目的と正しい手順」」
- ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「研削焼けを抑制する使用技術と高能率研削用ビトリファイド CBN ホイール」」
- UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: The use of cooling lubricant for grinding」
- ジェイテクト「技術・情報コラム「円筒研削盤の基礎と精度不良の見極めガイド|診断チェックリスト付」(2026-04-10 更新)」
- UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Five ways to increase the quality of ground workpieces and extend the working life of your machine」
- セイコーインスツル「精機事業部 保全ニュース 第39号(X/Z 軸テーブルのメンテナンス)」
- セイコーインスツル「精機事業部 保全ニュース 第37号(静圧ブロックの整備)」
- UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Six Tips for Optimizing the Performance of Your Grinding Machine」
- ノリタケ「汎用品 総合カタログ vol.3(研削砥石を正しく使うための重要事項・技術資料・ドレッサ・研削油・ポータブルバランサー)」
- カネテック「総合カタログ p.57(電磁チャック用電装品 エレクトロチャックマスター・消磁装置)」
- カネテック「総合カタログ p.179(用語:消磁・脱磁・残留磁気・磁石の温度特性)」
- カネテック「総合カタログ p.133(テーブル形脱磁器・脱磁方法及び使用上の注意)」
- カネテック「総合カタログ p.43(マグネットチャックの吸着力・電磁チャックの品質基準・研削油剤の選定)」
- Industrial Magnetics(IMI Walker)「Magnetic Chuck Installation and Operations Manual 905023(05/22)」
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例:平面研削盤で研削作業中、といしに過大な力が加わって、といしが破裂し飛散」
- ジェイテクト「ボール&ローラーベアリング 技術解説 CAT.NO.B2001-8(Koyo)12. 軸受の潤滑」
- ジェイテクト「JTEKT ENGINEERING JOURNAL No.1015(2017)製品紹介 GE3Pi-HYPER CNC 円筒研削盤」
- セイコーインスツル「精機事業部 保全ニュース 第32号(バッテリーの寿命・長期停止後のサーボ過負荷)」
- セイコーインスツル「精機事業部 保全ニュース 第33号(長期停止設備の注意)」
- セイコーインスツル「精機事業部 保全ニュース 第4号(長期停止とボールねじの錆)」
- UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Quick Guide: Shutdown Procedures for Grinding Machines」
- ミクロン精密「技術ニュース「センタレス研削の原理 ~研削の種類とその特徴~」」
- SME(米国製造技術者協会)「Tips for Trouble-Free Centerless Grinding(2017年5月。筆者は Norton|Saint-Gobain Abrasives の応用技術者)」
- ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「センタレス研削用砥石 タフエース」」