研削盤のといしの手入れと安全

周速度の確認・フランジ・バランス・ドレッシング・試運転。周期・油種・数値は研削盤メーカー・といしメーカーの指定と、手元の機械・といしの表示が最優先。ここにある値は公開資料に載っていた例で、取扱説明書を必ず確かめること。研削といしの取替えと取替え時の試運転は、特別教育を受けた人が行う

◉手入れと点検

÷といしの周速度と回転数の計算(最高使用周速度を超えていないかの確認)

  1. といしの表示から最高使用周速度(m/s)を読む(古い表示は m/min)
  2. 研削盤のといし軸の回転数 n(min⁻¹)と、といしの外径 D(mm)を確かめる
  3. 周速度 v(m/s)= 3.14 × D × n ÷ 60000(m/min なら ÷ 1000)
  4. v が最高使用周速度以下であること。逆に、回転数の上限は n = 最高使用周速度(m/s)× 60 × 1000 ÷(D × 3.14)
回転数(ノリタケの式)
回転数(min⁻¹)= 周速度(m/s)× 60 × 1000 ÷(砥石外径(mm)× 3.14)
m/s と m/min
1 m/s = 60 m/min(ノリタケの換算表:33 m/s ≒ 2000 m/min、45 m/s ≒ 2700 m/min、60 m/s = 3600 m/min)

周速度と回転数の確認

はじめの値は厚生労働省の災害事例の平面研削盤(外径 405 mm・1450 min⁻¹・最高使用周速度 1800 m/min)です。といしに表示された最高使用周速度を必ず守ってください。

計算例:条件
厚労省の事例 101224 の平面研削盤:といしの外径 405 mm、最高使用周速度 1800 m/min、モーターの回転数 1450 min⁻¹
計算例:結果
周速度 = 3.14 × 405 × 1450 ÷ 1000 ≒ 1844 m/min となり、最高使用周速度 1800 m/min を超えていた(事例でも超過と判断されている。計算はこの数値からの試算)

外径が大きいといしを付けたり、モーター・プーリを替えたりすると周速度が変わる。安衛則 第119条は最高使用周速度を超える使用を禁じている[24][25][6]

▦研削砥石の回転数 換算表(ノリタケ、単位 min⁻¹)

砥石外径 mm30 m/s33 m/s40 m/s45 m/s57 m/s60 m/s63 m/s72 m/s80 m/s100 m/s
906369700684939554121021273913376152871698521231
1005732630676438599108921146512038137581528719108
1254586504561156879871391729631110061222915287
150382242045096573272617643802591721019112739
18031853503424647776051636966887643849310616
2052796307637284195531355935872671174579321
2552248247329973372427144964721539559957493
3051880206725062819357137593947451150126265
3551615177621532422306832303391387543065383
4051415155718872123268928312972339737744718
4551260138616801890239425202646302433604200
5101124123614991686213622482360269829973747

表の値はその周速度になる回転数。最高使用周速度の欄の回転数を超えて回さない。計算式は 3.14 を使っている[24](資料1件・参考)

▦研削といしの普通使用周速度の限度(研削盤等構造規格 別表、単位 m/s)

といしの種類結合剤が無機質(ビトリファイドなど)結合剤が有機質(レジノイドなど)
平形(補強なし・一般用)3350
平形(補強なし・超重研削用)—63
平形(補強なし・ねじ研削用・みぞ研削用)6363
平形(補強なし・クランク軸・カム軸研削用)4550
平形(補強あり・直径 100 mm 以下で厚さ 25 mm 以下)—80
平形(補強あり・直径 100 mm 超 205 mm 以下で厚さ 13 mm 以下)—72
平形(補強あり・その他の寸法)—50
片テーパ・両テーパ・片へこみ・両へこみ・セーフティ・皿形・のこ用皿形3350
ドビテール形(一般用)3350
ドビテール形(ねじ研削用・みぞ研削用)6363
逃付き形(一般用)3350
逃付き形(クランク軸・カム軸研削用)4550
リング形・リング形のセグメント3035
ストレートカップ形・テーパカップ形3040
ジスク形・ジスク形のセグメント3345
オフセット形(直径 230 mm 以下・厚さ 10 mm 以下、補強なし/補強あり)—57/72
切断といし(補強なし/補強あり)—63/80

これは「普通速度」として扱う上限で、それを超える高速用のといしもある。使ってよい速度は、あくまで一つひとつのといしに表示された最高使用周速度。輸入品のフィート毎分の表示は 6500=33、8500=45、9500=50、12000=60、16000=80、20000=100 m/s に換算する(同じ別表の備考)[5](資料1件・参考)

▦ストレートフランジの寸法(研削盤等構造規格 第16条)

といしの直径 mmフランジの直径逃げ接触幅(Df はフランジの直径)
65 以下といし直径の 1/3 以上1.5 mm 以上0.1 Df を超え 0.26 Df 未満
65 を超え 355 以下といし直径の 1/3 以上1.5 mm 以上0.08 Df を超え 0.18 Df 未満
355 を超えるといし直径の 1/3 以上1.5 mm 以上0.06 Df を超え 0.18 Df 未満

固定側と移動側で直径と接触幅を等しくする(第15条)。セーフティフランジは平形といし用でといし直径の 2/3 以上・両テーパ形用で 1/2 以上、接触幅はフランジ直径の 1/6 以上(第18条)。スリーブフランジ・アダプタフランジは別の式(第17条)。例:直径 305 mm のといしならストレートフランジの直径は約 102 mm 以上[5](資料1件・参考)

÷ドレッサ送り速度の計算(ノリタケの目安:砥粒1粒に約 2.5 山の切れ刃)

  1. といしの粒度から平均粒径 d を表で読む
  2. といしの回転数 N(min⁻¹)を確かめる
  3. ドレッシングリード f(mm/rev)= d(mm)÷ 2.5
  4. ドレッサ送り速度 F(mm/min)= f × N = d × N ÷ 2.5

ドレッシングリードと送り速度

粒度(F)平均粒径 µm
36500
46350
54297
60250
70210
80177
90149
100125
120105
15074
18062
22053
計算例:条件
粒度 60 番(平均粒径 0.25 mm)、といし回転数 1800 min⁻¹
計算例:結果
リード = 0.25 ÷ 2.5 = 0.1 mm/rev、送り速度 = 0.1 × 1800 = 180 mm/min(試算)

粒径は砥粒を球と見なした参考値(ノリタケのカタログ)。面粗さを細かくしたいときはリードを小さく、切れ味を上げたいときは大きくする。切込みは直径で 0.03 mm 以下[14][13][2](資料1件・参考)

📚出典

印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。

  1. ノリタケ「テクニカルサポート:研削砥石の安全な使い方(すべきこと・してはいけないこと)」
  2. ノリタケ「汎用品 総合カタログ vol.3(研削砥石を正しく使うための重要事項・技術資料・ドレッサ・研削油・ポータブルバランサー)」
  3. 米国労働安全衛生局(OSHA)「29 CFR 1910.215 Abrasive wheel machinery」
  4. 厚生労働省「安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)法令等データベース」
  5. 厚生労働省「研削盤等構造規格(昭和46年労働省告示第8号)法令等データベース」
  6. 厚生労働省「労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)e-Gov 法令検索」
  7. ジェイテクト「ジェイテクトグラインディングツール 研削技術コラム「砥石の『バランス取り』『振れ取り』とは?目的と正しい手順」」
  8. UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Typical Grinding Errors – And How to Eliminate Them」
  9. UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Quick Guide: Shutdown Procedures for Grinding Machines」
  10. 厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例:研削砥石が破裂して負傷(CNC 円筒研削盤)」
  11. Marposs(マーポス)「Active Control of Vibrations on Grinders(D6I00007G0)」
  12. Marposs(マーポス)「DITTEL Balancing Systems – Balancing Heads(ODN6L00EN03, 2023)」
  13. ノリタケ「テクニカルサポート:ドレッシングとツルーイング(取付角・送り・切込み・ドレッシングに起因するトラブル)」
  14. ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 技術講座「よくわかるツルーイング・ドレッシング」」
  15. SME(米国製造技術者協会)「Tips for Trouble-Free Centerless Grinding(2017年5月。筆者は Norton|Saint-Gobain Abrasives の応用技術者)」
  16. ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「研削焼けを抑制する使用技術と高能率研削用ビトリファイド CBN ホイール」」
  17. ミクロン精密「技術ニュース「センタレス研削の原理 ~研削の種類とその特徴~」」
  18. ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「センタレス研削用砥石 タフエース」」
  19. Industrial Magnetics(IMI Walker)「Magnetic Chuck Installation and Operations Manual 905023(05/22)」
  20. カネテック「総合カタログ p.43(マグネットチャックの吸着力・電磁チャックの品質基準・研削油剤の選定)」
  21. カネテック「総合カタログ p.57(電磁チャック用電装品 エレクトロチャックマスター・消磁装置)」
  22. カネテック「総合カタログ p.179(用語:消磁・脱磁・残留磁気・磁石の温度特性)」
  23. カネテック「総合カタログ p.133(テーブル形脱磁器・脱磁方法及び使用上の注意)」
  24. ノリタケ「汎用品 レジプロ・ビトプロ 総合カタログ vol1.2(研削砥石の回転数 換算表)」
  25. 厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例:平面研削盤で研削作業中、といしに過大な力が加わって、といしが破裂し飛散」