汎用フライス盤の給油・潤滑

給油する場所・油の種類と粘度(ISO VG)・交換の目安。周期・油種・締付けトルク・許容値は、手元の機械の取扱説明書が最優先。ここにある値は公開資料に載っていた例(海外の小形タレット形フライス盤の取扱説明書や、国内メーカー 1 社の検査成績表など)で、機種によって違う。ギブ・主軸頭の調整は、主軸と送りを止め、電源を切ってから行う

⛽給油する場所と油

場所機械油(例)間隔の目安
しゅう動面の自動給油装置立て機種の指定油エツキは、油量が少ないとギブやしゅう動面の摩耗が早く、精度を保てなくなると注意している(厚労省のマニュアルの巻末資料)吐出量を十分な量に調整しておく[5](資料1件・参考)
主軸頭のオイルカップ(主軸軸受など)タレット形Baileigh は 10W のマシン油Baileigh は1日1回満たす。ワシントン州の教材は「定期的に。量と頻度は取扱説明書による」[1][3]
クイルの歯車タレット形取扱説明書の指定毎日[1](資料1件・参考)
主軸頭の縦のかさ歯車、テーブル・サドル・ひざの送りねじタレット形取扱説明書の指定(ひざの昇降ねじは #2 のチューブグリース)毎週[1](資料1件・参考)
R8 コレットの外側テーパ、主軸テーパの入口、ドローバーのねじと座面・座金タレット形焼付き防止剤(アンチシーズ)を薄くコレットの内側と工具のシャンクには塗らない(乾いた清浄な状態にする)。主軸テーパに塗るのは入口から 1 インチ(約 25 mm)ほどでよい。塗りすぎてコレットの内側に回らないようにする(Tormach の試験に基づく推奨)工具を付けるとき[6](資料1件・参考)
テーブル・サドル・ひざの案内面と送りねじ(ワンショット給油器)共通機種の指定油。Baileigh は給油器のタンクに 10W のマシン油を入れる給油器から延びる配管で、テーブル・サドル・ひざの案内面へ1回の操作で同時に送る(Baileigh)。Hardinge(Bridgeport)は送りねじにも計量して送ると説明しているBaileigh は運転1時間ごとに1回引く。ワシントン州の教材は1日の使い始めに1回(重作業ならもう1回)。点検表の表も参照[1][2][3][4]
バイスのねじ・案内共通バイスメーカーの指定定期的に[3](資料1件・参考)

🛢油の種類と選び方

しゅう動面油(案内面の油)モービルのしゅう動面油は ISO VG 32・68 を小形・中形機の水平な案内面に、VG 150・220 を大形機や垂直・傾斜した案内面に勧めている
案内面の摩擦を下げ、低速で動き出すときの付着とすべりの繰返し(スティックスリップ)を防ぐ ひざとコラムの案内面は垂直なので、油が流れ落ちて油膜が切れにくい「張付き性」が大事になる(ENEOS)。実際の銘柄・粘度は機種の指定に従う[7][8]
10W マシン油(Baileigh の指定)SAE 10W 相当(取扱説明書の表記)
主軸頭のオイルカップとワンショット給油器のタンクに入れる Baileigh のタレット形の取扱説明書の例。機種ごとに指定が違うので、手元の取扱説明書を優先する[1](資料1件・参考)
焼付き防止剤(アンチシーズ)
コレットの外側・ドローバーのねじと座面のすべりをよくし、ドローバーの締付け力をコレットの把握力に変える 乾いたまま締めると、ドローバーの座面と座金がすぐにかじった(Tormach の試験)[6](資料1件・参考)
水溶性切削液希釈の例:Baileigh は水 10 に対し原液 1(同社の推奨品は 20 対 1)。カリフォルニア大学リバーサイド校は原液 5%
冷却・潤滑・切りくずの排出 使い終わったら機械から切削液を拭き取って乾かす(同校)[1][4]

📚出典

印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。

  1. Baileigh Industrial(JPW Industries)「Operator's Manual VM-1054-3 Vertical Milling Machine(Rev. 3/2013)」
  2. Hardinge(Bridgeport)「Bridgeport Series I(製品カタログ。ピッツバーグ大学の工作室のページに掲載)」
  3. ワシントン州コミュニティ・テクニカルカレッジ委員会(WA Open ProfTech、Wenatchee Valley College 制作)「Introduction to Machining 9.2 Machine Maintenance(手動立てフライス盤。CC BY 4.0、LibreTexts 掲載)」
  4. カリフォルニア大学リバーサイド校 機械工学科「Machine Shop Standard Operating Procedures for Manual Milling Machines(V5、2011-11-15)」
  5. 厚生労働省「技能競技大会を活用した人材育成の取組マニュアル フライス盤職種編(巻末参考資料2:株式会社エツキ提供のギブ調整手順・静的精度検査方法・検査成績表を含む)」
  6. Tormach「770M Knowledge Base: Preventing Collet Slip(R8・TTS のコレットの保持力試験と推奨)」
  7. ExxonMobil(モービル)「Mobil Vactra Oil Numbered Series 製品データシート(日本語)」
  8. ENEOS「ENEOS Technical Review 第53巻第3号(2011年10月)高性能摺動面油ユニウェイXSについて」