ニュース

超硬工具が 10 月 1 日受注分から価格改定:インサートは +25% 以上、ソリッドドリル・エンドミルは値下げもある「−25〜+10%」

インサートは上がって、ソリッドは下がることも。径ごとに見積を取り直してみよう!

マスコットのチップス
超硬工具が 10 月 1 日受注分から価格改定:インサートは +25% 以上、ソリッドドリル・エンドミルは値下げもある「−25〜+10%」

住友電気工業は、超硬工具などハードメタル事業の製品の価格を 2026 年 10 月 1 日受注分から改定しました[1]。超硬インサートは +25% 以上の値上げです。一方で、ソリッドドリル・エンドミル・超硬製ホルダは工具径によって −25〜+10%、先端交換式ドリルヘッドは −20〜0% で、値下げになるものもある改定です[1]。同社は 6 月 1 日受注分でも価格を改定しており、今年 2 回目です[2]。

このニュースの要点
  • 対象は 10 月 1 日受注分から。発表は 8 月 7 日[1]
  • 超硬インサート +25% 以上、鋼製工具(ホルダ・カッタ・部品)+10% 以上、サーメットインサートとスミボロン・スミダイヤ工具 +5% 以上[1]
  • ソリッドドリル・エンドミル・超硬製ホルダは −25〜+10%(工具径による)。6 月の改定では「+60% 以上」だった品目です[1][2]
  • 理由は、原料のタングステンが「主要生産国における輸出規制による入手難」で高い水準にあること[1]

10 月 1 日受注分からの改定率

発表文に書かれた製品ごとの改定率です。棒は改定率の幅、右向きの矢印は「〜% 以上」を表します。書かれていない製品や詳しいことは、個別に問い合わせるよう案内されています[1]。

-30%-20%-10%0%+10%+20%+30%+40%← 値下げ値上げ →超硬インサート(超硬製の部品を含む)+25% 以上鋼製工具(ホルダ・カッタ・部品)+10% 以上その他の超硬製の素材・工具0〜+15%サーメットインサート+5% 以上スミボロン・スミダイヤ工具全般+5% 以上ソリッドドリル・エンドミル・超硬製ホルダ-25〜+10%先端交換式ドリルヘッド-20〜0%幅のある品目は工具径などで率が違う。特殊品は「都度見積を継続」
住友電気工業のニュースリリース(2026-08-07)から作図[1]

6 月の改定と比べると

同じ年の 6 月 1 日受注分の改定と、品目ごとに並べました。インサートは上げ幅が大きくなり、ソリッド工具は逆に下がる方向に変わっています[2][1]。

品目6 月 1 日受注分10 月 1 日受注分
超硬インサート+13% 以上(サーメットを除く)+25% 以上(超硬製の部品を含む)
サーメットインサート—(対象外)+5% 以上
ソリッドドリル・エンドミル+60% 以上−25〜+10%(超硬製ホルダ類を含む、工具径による)
先端交換式ドリルヘッド—(記載なし)−20〜0%(工具径による)
スミボロン・スミダイヤ工具全般+5% 以上+5% 以上(バインダレス・コート製品は個別設定)
ロウ付けバイト+20% 以上—(個別の記載なし)
スミクリスタル・スミダイヤ WD 素材+15%/+25% 以上—(個別の記載なし)
その他の超硬製の素材・工具—0〜+15%
鋼製工具(ホルダ・カッタ・部品)—+10% 以上
合金素材・金型耐摩製品・径 12mm を超えるソリッド回転工具など在庫品から特殊品の扱いに変更特殊品は都度見積を継続
読み方の注意:改定率はそれぞれ「その時点の価格」に対する率です。6 月と 10 月の率を掛け合わせた累計は、品目や工具径で違うため、ここでは出していません。「—」は発表文に個別の記載がないもので、改定がないという意味ではありません[2][1]。また、発表の価格は同社からの販売価格で、販売店の再販価格を決めるものではないと注記されています[1]。

背景:原料のタングステン

超硬工具の主原料はタングステン(炭化タングステン)です。発表文では、タングステン価格が「主要生産国における輸出規制による入手難」で高い水準にあり、「想定を上回る相場高騰の長期化」が見込まれることを理由に挙げています[1]。

  • 中国の日本向けの輸出管理:中国商務部は 2026 年 1 月 6 日の公告(2026 年第 1 号)で、日本の軍事能力の強化につながると判断した場合のデュアルユース(軍民両用)物品の輸出を禁止し、即日施行しました。影響の大きい鉱物としてタングステンが挙げられています[3]。
  • 相場は 3 月に高値、その後は下落:業界紙の報道では、中国のタングステン精鉱(鉄マンガン重石 65% 以上)の価格は 3 月 16 日の 1 標準トン 105 万 500 元から、5 月 19 日には 44 万 5,500 元へと約 58% 下がりました。理由は超硬・機械加工など川下の需要の弱さとされています[4]。

相場が下がった中でインサートの上げ幅が大きくなり、ソリッド工具が下がる方向になった理由は、発表文には書かれていません[1]。品目ごとの事情は、取引先や販売店を通じて確かめるのが確実です。

現場・購買でできること

  • 「受注分」の日付を確かめる:改定は 10 月 1 日の受注分からです[1]。9 月中に出した注文と 10 月の注文で単価が違うことがあるので、見積の有効期限と発注日を見直しておきましょう。
  • ソリッド工具は見積を取り直す価値がある:工具径によっては値下げもある改定です[1]。6 月の値上げのあとに刃先交換式へ切り替えたものがあれば、径ごとに比べ直してみてください。
  • インサートは 1 コーナーあたりの費用で考える:インサートの単価が上がるほど、切削速度を少し落として寿命を延ばす効果が大きくなります。工具寿命の延ばし方(テイラーの寿命式の計算機)で、速度と工具費の関係を試算できます。
  • 欠け・異常摩耗を減らす:寿命の前に欠けで捨てるインサートは、値上げの影響をそのまま受けます。損傷の種類ごとの原因と対策は加工トラブル事典にまとめています。
ほかのメーカー:ほかの工具メーカーの 2026 年の価格改定は、ケズリバでは各社の発表文で確かめられたものだけを載せます。お使いのメーカーの改定は、販売店か各社のお知らせで確認してください。

出典・参考資料

  1. 住友電気工業「ハードメタル事業製品の価格改定について」(ニュースリリース、2026-08-07、2026 年 10 月 1 日受注分より)
  2. 住友電気工業「ハードメタル事業製品の価格改定について」(ニュースリリース、2026-04-20、2026 年 6 月 1 日受注分より)
  3. グリーンバーグ・トラウリグ法律事務所「中国、日本向けデュアルユース物品の輸出管理を強化」(2026-02-13、中国商務部 公告 2026 年第 1 号の解説)
  4. SMM(上海有色網)「タングステン価格が高値から半減」(業界紙の報道、2026-05-20)

ほかの読みもの