帯のこ盤の不調の早見表

症状から、考えられる原因・点検する所・処置を引く。張り・のこ速度・送り・ならしの数値は刃メーカーが公開している目安で、刃の種類・メーカー・材料で変わる。手元の機械の取扱説明書と刃メーカーの推奨が最優先。木材加工用の帯のこ盤は対象外(法令の条文も別)

曲がって切れる(切れ曲がり・切断面が傾く)共通

考えられる原因点検する所処置
刃の張りが弱い張力計で張りを測る規定の範囲まで張る(刃の手入れの表)。WIKUS は 250〜300 N/mm² を推奨[1][2][3]
サイドガイドのすき間が大きい・サイドローラーやインサートの摩耗ガイドのすき間、ローラー・インサートの摩耗とゆるみ機械式ガイドは 0.02〜0.05 mm に合わせる(WIKUS)。摩耗したローラー・インサートは替える(オーエスジー)。新しい刃を掛けたらガイドアームを合わせ直す(Starrett)[1][3][2]
ガイドアームの間隔が広すぎるガイドアームと材料の間のすき間ガイドアームをできるだけ材料に近づけるStarrett は、ガイドアームの間隔が広いときは張りを範囲の上側にするとしている[1][3](資料1件・参考)
送り(降下速度)が大きすぎる送りの目盛・降下速度送りを下げる(刃メーカーの推奨値に合わせる)[1][3](資料1件・参考)
刃が摩耗して切れ味が落ちている歯先の丸み・切断時間の延び刃を替えるDoALL は、直角に切れなくなること、切断時間が延びることを切れ味の低下のしるしに挙げている[1][4]
材料の固定がゆるい(特に束ね切り)バイスの締付け、束ねた材料の動き材料をしっかり固定する。丸棒の束は束ね用のクランプを使う(Starrett)[3][2]
アサリの不ぞろい(切りくずブラシが片側の歯を傷めている・アサリ不良)歯の左右の摩耗の差、ブラシの当たりブラシを合わせ直すか替える。アサリの傷んだ刃は替える[1][3](資料1件・参考)
溶接部が真っすぐでない(コンターマシンで自分で溶接した刃)溶接部の曲がり溶接し直すか、溶接済みの刃を使う[5](資料1件・参考)

刃がすぐ切れなくなる(摩耗が早い)共通

考えられる原因点検する所処置
のこ速度が速すぎる材料に対するのこ速度のこ速度を下げて刃メーカーの推奨値に合わせる。いろいろな材料を切るときはいちばん硬い材料に合わせる(DoALL)[1][4][6]
切削油の不足・当たる位置が悪い・濃度が合わないノズルの向き、流量、濃度(屈折計)ノズルを歯に当て直し、量と濃度を合わせる[1][4][2]
ならし運転をしていない新しい刃を最初から全負荷で使っていないか次の刃からならし運転をする(刃の手入れの項目)[1][4][7]
材料の表面に砂・黒皮(スケール)が付いている、または硬い介在物がある材料の表面条件や刃の種類を見直す。必要なら切る部分の表面を清掃・研磨する[1](資料1件・参考)
送りが小さすぎて歯が食い込まず、こすれて材料が加工硬化している切りくずが出ているか、こすれた跡がないか送りの力を上げる。すでに切れ味が落ちていれば刃を替える[2](資料1件・参考)
材料に合わない刃(刃の材質・ピッチ)材料・寸法と刃の仕様材料に合った刃を選ぶ。摩耗が早いときはグレードの高い材質の刃に変える(オーエスジー)[4][8][2]

歯が欠ける・歯が飛ぶ共通

考えられる原因点検する所処置
送り(降下速度)が大きすぎる送りの目盛・降下速度送りを下げる[1][9][2]
のこ速度が低すぎる(歯が食い込みすぎる)材料に対するのこ速度のこ速度を推奨値まで上げる[1][2]
ピッチが材料の断面に合っていない切る厚さとピッチピッチを選び直す(刃の手入れの表)オーエスジーは、角材の切り始めに角へ歯が当たるとき、角材・角パイプの切り終わりで切削長さが急に増えるときも、ピッチや降下速度を変えるよう挙げている。Starrett は、ピッチが合わないと歯底に切りくずが詰まって歯が飛ぶとしている[1][9][2]
材料の固定が不十分(バイスの中で材料が動く)バイスの締付け、バイス面の汚れ、油圧材料をしっかり固定する。オーエスジーはバイス面の清掃・油圧の確認・作動油の交換を挙げているStarrett は、歯の背側の割れは材料がバイスの中で動いているしるしとしている[1][9][2]
切りくずの溶着(切削油の不足・切りくずブラシの不良)歯底の切りくず、ブラシの摩耗と位置、切削油ブラシを合わせるか替える。切削油を増やし、ノズルを合わせる[1][9][2]
ならし運転が足りない新しい刃のならしの有無ならしを十分に行う[9][2]
前の刃の歯のかけらが切り溝に残っている歯が飛んだあとに同じ切り溝へ新しい刃を入れていないか新しい位置から切るか、材料を裏返して反対側から切る[2](資料1件・参考)
刃の上下の振れが大きい(アイドリングドラムの偏摩耗・ガイドアームのゆるみ)ドラムの摩耗、ガイドアームの固定、刃の芯出しゆるみを締め、刃の芯出しを合わせる。摩耗した部品は整備で直す[9](資料1件・参考)

刃が切れる(胴の破断・溶接部の破断)共通

考えられる原因点検する所処置
張りが強すぎる張力計で張りを測る張りを規定の範囲まで下げる(WIKUS は 250〜300 N/mm²)[1][10][11]
ガイドの位置の狂い・ガイドローラーの締めすぎ・ガイドの摩耗ガイドとのこ車の芯の通り、ローラーのガタと締め具合、インサートのゆるみ・傾きガイドを合わせ直し、摩耗したものは替える[1][10][2]
バックアップガイド(バックローラー)の摩耗・押し付けすぎ刃の背の亀裂、バックアップガイドの溝・割れバックアップガイドを替えるか合わせ直す。オーエスジーは摩耗 0.3 mm を交換の限度に挙げている[2][10]
刃の背がのこ車のつばに当たっている刃の背とつばのすき間のこ車とガイドで刃の通りを合わせ直す[1][2]
のこ車の面の傷・テーパ状の摩耗・軸受の不良・振れのこ車の面、軸受のガタのこ車を修理・交換する。軸受のガタを調整するか替える[1](資料1件・参考)
刃がガイドの中に深く入りすぎている歯と歯底がガイドから出ているか歯の全部と歯底の 1〜2 mm がガイドから出るように合わせる[1](資料1件・参考)
降下速度が大きすぎる送りの目盛適正な降下速度にするオーエスジーは、冬季の油圧送りでは特に注意するよう挙げている[10](資料1件・参考)
疲労(真っすぐな破断)破断面が真っすぐか刃の寿命として替える。張り・のこ車の径・ガイドの状態を見直す[2](資料1件・参考)
溶接部の不良(溶接部で切れる)溶接部が真っすぐに切れたか、斜めに切れたかWIKUS は、溶接部で切れた刃は捨てずに溶接し直し、ガイドとのこ車の隠れた不良を点検するよう挙げているオーエスジーは、刃が正常に摩耗して溶接部が真っすぐに切れたなら材質の選定、摩耗していないなら張り・ローラーの摩耗やピッチ、斜めに切れたならピッチの粗さ・降下速度・機械の振動を疑うとしている[12][1](資料1件・参考)

切断面が波打つ・粗い共通

考えられる原因点検する所処置
のこ速度が低すぎる、または送りが速すぎて歯に切りくずが詰まるのこ速度と送りのこ速度と送りを推奨値に合わせる[2](資料1件・参考)
刃の支えが足りない(ガイドアームのゆるみ・張り不足)ガイドアームの固定と張りガイドアームを合わせて締め、張りを規定値にする[2](資料1件・参考)
歯の損傷・摩耗歯の欠け・摩耗刃を替える[2][4]

びびり・振動・騒音共通

考えられる原因点検する所処置
新しい刃がなじんでいない新品の刃か振動の音が聞こえなくなるまでのこ速度を下げ、ならし運転をする[13](資料1件・参考)
のこ速度が速すぎる材料に対するのこ速度適正なのこ速度に下げる[8](資料1件・参考)
ピッチが粗すぎる・合っていない切る厚さとピッチピッチを細かくする、または可変ピッチの刃に変えるWIKUS は、可変ピッチは振動を抑えるとしている。DoALL は、ピッチが合わないと振動が増えるとしている[8][14][4]
刃の摩耗歯の摩耗刃を替える。摩耗が早いときはグレードの高い刃に変える[8][4]

加工条件・工具の側の原因は 加工トラブル事典 にまとめています。

📚出典

印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。

  1. WIKUS「Guidebook「Cause of Failures」(摩耗・切れ曲がり・溶接部の割れ・破断・歯欠けの原因と対策)」
  2. Starrett「News & Events「Signs that it is Time to Replace Your Band Saw Blade」」
  3. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.131「バンドソーにおける、切れ曲がりの原因と対策」」
  4. DoALL「News「20 Common Maintenance Mistakes with Band Saw Blades」」
  5. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.9824「コンターマシンの替刃溶接(溶接後替刃の販売)」」
  6. DoALL「News「7 Costly Mistakes to Avoid When Operating a Band Saw」」
  7. Starrett「News & Events「Why and How to Break-In Band Saw Blades」(2023-05-02)」
  8. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.133「バンドソーのビビリ(振動・騒音)の原因と対策」」
  9. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.132「<バンドソー>加工トラブル 刃欠けの原因と対策」」
  10. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.130「バンドソーの胴破断(ボディ割れ)の原因と対策」」
  11. Starrett「No.682 Saw Tension Gage 取扱説明(張力の目安表を含む)」
  12. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.127「バンドソーの溶接部が破断する原因と対策」」
  13. WIKUS「Guidebook「Breaking-In Information」(ならしの条件)」
  14. WIKUS「Guidebook「Technical FAQs & support」(保管・開梱・張力・切削油)」