ケズリバ(kezuriba.net)/maintenance/drill-press/safety/ より印刷
ボール盤の保全作業の安全
止めて・錠を掛けて・札を付ける。法令と規格が求めること。給油の箇所・油種・周期、ベルトの張り、回転数は機種ごとに違う。ここにある値は公開されている取扱説明書の例で、手元の機械の取扱説明書が最優先。運転中は手袋を着けない(安衛則 第111条)
⚠法令・規格が求めること
- 労働安全衛生規則 第111条(手袋の使用禁止)
ボール盤・面取り盤など、回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、手袋を使わせてはならない。労働者も、禁止されたら手袋を使ってはならない
ボール盤の運転中は軍手を含め手袋を着けない。手袋がドリルに巻き付くと、手や腕ごと引き込まれる 厚生労働省のヒヤリ・ハット事例では、ステンレス板の穴あけ中に軍手をした手でテーブルの上の物をどけようとして、手袋が回転中のドリルに巻き込まれそうになった。対策は素手で作業する、テーブルの不要物を先に片付ける、ほかの作業は電源を切ってから行う。キラは機械に「運転作業中の手袋着用禁止」のラベルを貼っている[1][2][3][4][5]
- 労働安全衛生規則 第110条(作業帽等の着用)
動力で動く機械に頭髪や被服が巻き込まれるおそれのあるときは、適当な作業帽か作業服を着用させなければならない
袖口・すそが締まった作業服を着て、長い髪は帽子で覆う。だぶついた服やネックレスなどの装身具は着けない 厚生労働省の災害事例(No.101340)では、ラジアルボール盤で刃を替えた直後、回転していた刃に右上腕が作業服ごと巻き込まれ、体ごと宙づりになって亡くなった[1][6][3][4]
- 労働安全衛生規則 第107条・第108条(掃除等・刃部の掃除等の場合の運転停止等)
機械の掃除・給油・検査・修理・調整と、刃部の掃除・検査・修理・取替え・調整は、運転を止めて行い、起動装置に錠を掛けて表示板を付けるなどして他の人が動かせないようにする
ドリルやチャックの交換、ベルトの掛け替え、給油、掃除は、スイッチを切り電源を外してから行う キラは保守・点検中に不意に電源が入れられないよう、配電盤・制御盤の目立つ所に注意札を掛けるよう求めている。マキタ・ホーザンはドリルの取付け・取外しの前に電源プラグを抜くよう求めている[1][3][4][5]
- 労働安全衛生規則 第108条第3項・第4項(運転中の刃部の切粉払い)
運転中の機械の刃部で切粉を払ったり切削剤を使ったりするときは、ブラシその他の適当な用具を使わせなければならない
ドリルにからみついた切りくずを素手で取らない キラは、刃具やツーリングにからみついた切りくずは主軸を止めて回転が止まったのを確かめてから、保護めがねをしてブラシなどで取り、素手でさわらないよう求めている[1][3]
- 労働安全衛生規則 第101条(原動機、回転軸等による危険の防止)
機械の原動機・回転軸・歯車・プーリー・ベルトなど、危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い・囲いなどを設けなければならない
ベルトカバーを開けたまま運転しない。カバーは主電源を切ってから開ける キラは、ベルトに巻き込まれたときは主電源を切ってからベルトを手で送って外すよう示している。ホーザンは回転数を変えたあと必ずベルトカバーを付けるよう求めている[1][3][5]
- 労働安全衛生規則 第106条(切削屑の飛来等による危険の防止)
切削屑が飛んで危険なときは機械に覆いか囲いを設け、それが難しいときは保護具を使わせる
ボール盤の作業では、短い作業でも保護めがねを着ける 厚生労働省のヒヤリ・ハット事例では、卓上ボール盤のわずかな修正加工で保護めがねを着けず、切りくずが目に入りそうになった[1][7][3][4][5]
- メーカーの取扱説明書・厚生労働省のヒヤリ・ハット事例
ワークは必ずバイスなどでテーブルに固定する。テーブルの上の不要な物は作業の前に片付ける
ワークを手で押さえて穴をあけない。ドリルにワークが振り回される・持ち上げられる キラは、固定しないで加工するとワークが回されたり持ち上げられたりして大変危ないとしている[3][4][2]
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト 労働災害事例 No.101340(ラジアルボール盤)
フランジの穴あけの準備で刃を交換し終えたところ、回転していた刃に右上腕が作業服ごと巻き込まれた。原因として、主軸の正逆転スイッチを逆転の位置に入れ、クラッチレバーを中立にしていたこと、段取りの間も刃を回していたことが考えられている
段取り(ワークの固定・刃の交換)の間は主軸の正逆転スイッチを停止の位置にする。刃の近くに非常停止を設ける。回転中の刃に体を近づけない 事例の対策には、リスクアセスメントを行って安全作業手順書を作り、ボール盤を使う人に周知・再教育することも挙げられている[6](資料1件・参考)
- JIS B 6034:2020 工作機械―安全性―ボール盤
据付け形の手動ボール盤(直立ボール盤・ラジアルボール盤)の危険源の除去・リスク低減の要求事項を定めた JIS。自動ボール盤と、作業台に据え付けて使う卓上ボール盤には適用しない
直立・ラジアルボール盤を選ぶ・改造するときの安全の基準。要求の中身は規格本文で確かめる 2020 年に制定(主務大臣は厚生労働大臣・経済産業大臣、原案は日本工作機械工業会と日本規格協会)[8][9](資料1件・参考)
条文は要点をケズリバの言葉でまとめたものです。正確な文言は e-Gov 法令検索の原文で確かめてください。
📚出典
印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。
- 厚生労働省「労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)e-Gov 法令検索」
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト ヒヤリ・ハット事例「ボール盤での穴あけ作業中、手袋が巻き込まれそうになった」」
- キラ・コーポレーション「卓上ボール盤 NSD-340 取扱説明書(DOC1-NSD340-JOM-01-02、第2版 2024-07-29)」
- マキタ「卓上ボール盤 TB131 取扱説明書」
- ホーザン「取扱説明書 デスクドリル K-21」
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例 No.101340「ラジアルボール盤の刃に作業服が巻き込まれ、身体ごと宙吊りになった」」
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト ヒヤリ・ハット事例「ボール盤で加工中、キリ粉が飛散し眼に入りそうになる」」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 6034:2020 工作機械―安全性―ボール盤(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 6034:2020 プレビュー(まえがき・適用範囲)」