ボール盤の不調の早見表

症状から、考えられる原因・点検する所・処置を引く。給油の箇所・油種・周期、ベルトの張り、回転数は機種ごとに違う。ここにある値は公開されている取扱説明書の例で、手元の機械の取扱説明書が最優先。運転中は手袋を着けない(安衛則 第111条)

穴が曲がる・傾く共通

考えられる原因点検する所処置
テーブル(本体)の固定ねじがゆるんでいるテーブルのクランプボルト、本体の高さを固定するねじ高さを合わせたらクランプボルトをしっかり締めるキラは、ゆるめたまま作業するとテーブルが前下がりになり、傾いた穴があくとしている[1][2][3]
加工する面がテーブル(主軸)に対して水平でないワークの上面とテーブルの傾き水平に合わせるか、前加工で面を出す[4](資料1件・参考)
食い付きのときにドリルが振れる(位置決めのくぼみがない)センタポンチやセンタ穴の有無センタポンチでくぼみを付ける(マキタ)か、センタリングしてからあける(オーエスジー)。工具・ワーク・クランプの剛性を上げる[4][5]
センタリングのドリルの先端角が本加工のドリルより小さいセンタリングのドリルと本加工のドリルの先端角本加工のドリルと同じか大きい先端角のドリルでセンタリングする。面取りとセンタリングを分ける[6](資料1件・参考)
ドリルの先端が左右非対称(リップハイトの差・チゼルの偏り)再研削の出来正しく再研削し、研削後に精度を確かめる(リップハイトの差 0.03 mm 以下)[4][7](資料1件・参考)
ドリルの摩耗・剛性の不足ドリルの摩耗、長さと太さ再研削するか替える。剛性の高いドリル(短いもの・超硬)にする[4](資料1件・参考)

穴が大きくなる・おにぎり状(多角形)になる共通

考えられる原因点検する所処置
ドリルの取付け振れが大きいチャックに付けた状態の外周振れ振れを 0.02 mm 以内に抑える(オーエスジー)。チャックの 3 か所の穴を均等に締める(ユキワ精工)[8][7][1][9]
主軸のガタが大きい主軸の振れ・ガタ主軸を点検し、メーカーの整備を受ける[4](資料1件・参考)
再研削の不良(リップハイトのばらつき・チゼルの偏り)リップハイトの差、チゼルの位置リップハイトの差を 0.03 mm 以下にし、シンニングを見直す[8][7](資料1件・参考)
送りが大きすぎる(切削負荷が大きい)1 回転あたりの送り送りを見直す。オーエスジーは目安を「ドリル外径 × 0.02」mm/rev としている[8][4](資料1件・参考)
穴の入口でドリルが振れる入口の穴の形1 回転あたりの送りを上げ、押し付け力(スラスト)でドリルを安定させる送りが大きすぎても穴は大きくなるので、入口の振れと区別して見る[7](資料1件・参考)
ワークの固定が不十分バイスとテーブルの固定ワークをバイスで固定し、バイスをテーブルに固定する[4][1]

ドリルが振れる共通

考えられる原因点検する所処置
チャックや主軸のテーパに油・ごみ・さび・傷があるテーパ部の汚れと傷テーパ部を拭き、木ハンマーで打ち込み直す。傷やさびが多いテーパはメーカーで修正するか替える(ユキワ精工)[10][1]
チャックハンドルを 1 か所の穴だけで締めている締め方3 か所の穴を均等に少しずつ締める[9][5]
小径のドリルを大きなチャックでつかんでいるドリル径とチャックのつかみ範囲つかみ径のできるだけ小さいチャックを使う[9](資料1件・参考)
チャックのツメの摩耗(締めすぎ・工具のすべり)ツメの傷・摩耗チャックを替える。締めすぎず、すべるほどの負荷を掛けない[9](資料1件・参考)

ドリルチャックが抜け落ちる共通

考えられる原因点検する所処置
テーパに油・ごみが付いているチャックと主軸(アーバ)のテーパ両方のテーパをきれいな布で拭いてからはめ直す[10][1][2]
打ち込みが足りない取り付けたときに叩いたかツメを引っ込め、端面を木ハンマー・プラスチックハンマーで打ち込む。鉄のハンマーは使わない[10][1][5]
テーパのさび・細かい傷が多いテーパの表面チャック側のテーパはメーカーで修正できる場合がある(ユキワ精工)キラは、チャックが抜け落ちてテーパ部に傷が付くと主軸が使えなくなるとしている[10][1]

異音・振動がする共通

考えられる原因点検する所処置
ベルトの張りが強すぎる・弱すぎる(すべる)ベルトのたわみ張りを合わせ直す(手入れの項目。マキタは約 5 kg で押して 10〜15 mm たわむ程度)[3][1][5]
ベルトが斜めに掛かっているベルトがプーリーの溝に平行に掛かっているか上下のプーリーで同じ段の溝に平行に掛け直す[3][5]
軸受・モーターの異常回転部の異音・振動・におい作業をやめ、販売店・メーカーに点検・修理を依頼する[1][2][3]
主軸をワークなどに誤ってぶつけた衝突のあとに音や振れが出ていないか運転を続けず、販売店・メーカーに連絡する[1](資料1件・参考)

回転が落ちる・止まる・ドリルが折れる共通

考えられる原因点検する所処置
ハンドルを押し付けすぎている送りの力ハンドルをゆっくり下ろし、力を加減する[3][5]
ベルトを強く張りすぎているベルトのたわみ張りを弱める(ホーザンは、強すぎると回転が落ち、ベルトとモーターの寿命を縮めるとしている)[3][1]
定格時間を超えて連続で使っている使用時間定格時間内で使い、使った時間と同じだけ休ませる(ホーザン K-21 は 15 分)[3](資料1件・参考)
ドリルが摩耗している切れ刃の摩耗再研削するか替える[5][4]

チャックのツメが開かない・閉まらない共通

考えられる原因点検する所処置
エアブローで切りくずがチャックの中に入ったツメの動き綿棒で中を掃除するか、本体を木ハンマー・プラスチックハンマーで軽く叩いて切りくずを出す[10](資料1件・参考)
キーレスチャックのツメや底に工具がくい付いた工具が外れるか分解修理(部品交換)をメーカーに依頼する[10](資料1件・参考)

加工条件・工具の側の原因は 加工トラブル事典 にまとめています。

📚出典

印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。

  1. キラ・コーポレーション「卓上ボール盤 NSD-340 取扱説明書(DOC1-NSD340-JOM-01-02、第2版 2024-07-29)」
  2. キラ・コーポレーション「卓上ボール盤 KID-420 取扱説明書(DOC1-KID420-JOM-01-02)」
  3. ホーザン「取扱説明書 デスクドリル K-21」
  4. オーエスジー「ドリルテクニカルデータ「9. トラブルシューティング」(FAQ No.721 の参考資料)」
  5. マキタ「卓上ボール盤 TB131 取扱説明書」
  6. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.718「センタリングをしているのに穴位置が不安定になる」」
  7. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.721「ドリル穴がおにぎり状になる。なぜ?」」
  8. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.705「ドリル加工における穴拡大の原因と対策は?」」
  9. ユキワ精工「ドリルチャック Q&A「使用方法について」」
  10. ユキワ精工「ドリルチャック Q&A「トラブル対処について」」