ボール盤の主軸・チャック・テーブルの手入れ

ドリルチャックの取付け・外し方・締め方、テーパ、ベルトの張りと回転数、テーブルとワークの固定。給油の箇所・油種・周期、ベルトの張り、回転数は機種ごとに違う。ここにある値は公開されている取扱説明書の例で、手元の機械の取扱説明書が最優先。運転中は手袋を着けない(安衛則 第111条)

⚙手入れと点検

▦回転数の段とドリル径の例(卓上ボール盤、鉄工ドリル)

機種ベルトの段回転数(min⁻¹)ドリル径の目安
マキタ TB1311 速50 Hz:570/60 Hz:69010〜13 mm
マキタ TB1312 速50 Hz:890/60 Hz:1,0706〜9 mm
マキタ TB1313 速50 Hz:1,300/60 Hz:1,5604〜5 mm
マキタ TB1314 速50 Hz:1,900/60 Hz:2,2803 mm 以下
マキタ TB1315 速50 Hz:2,670/60 Hz:3,2003 mm 以下
ホーザン K-21上段(低速)2,1003.0〜6.0 mm
ホーザン K-21中段(中速)4,5001.5〜3.0 mm
ホーザン K-21下段(高速)6,2000.5〜1.5 mm

電源の周波数で回転数が変わる(マキタの表は 50 Hz と 60 Hz で別の値)。キラ NSD-340 は 4 段(50 Hz:415・750・1,330・2,300、60 Hz:500・900・1,600・2,800)[3][10]

÷回転数と加工時間の計算

  1. 材料からドリルの切削速度 V(m/min)を選ぶ(切削速度の表)
  2. 回転数 n = 1000 × V ÷(3.14 × D)を計算する(D はドリル径 mm)
  3. 機械のベルトの段のうち、計算値に近い段を選び、取扱説明書のドリル径の目安とも照らす
  4. 送り f(mm/rev)を決め(送りの表)、加工時間 t = 60 × 穴の深さ L ÷(n × f)秒を出す
回転数 n(min⁻¹)
1000 × V ÷(3.14 × D)
切削速度 V(m/min)
3.14 × D × n ÷ 1000(mm を m にするため 1000 で割る)
加工時間 t(秒)
60 × L ÷(n × f)
送り速度 vf(mm/min)
f × n
計算例:条件
炭素鋼(炭素 0.4〜0.7%)に直径 10 mm、深さ 20 mm の穴。V = 20 m/min、f = 0.2 mm/rev
計算例:回転数
1000 × 20 ÷(3.14 × 10)≒ 637 min⁻¹ → マキタ TB131 なら 1 速(50 Hz:570、60 Hz:690)。同機の表でも 10 mm は 1 速
計算例:加工時間
60 × 20 ÷(570 × 0.2)≒ 10.5 秒(50 Hz の 1 速)
計算例:キラの早見表の例
送り 0.18 mm/rev・回転数 450 min⁻¹・深さ 40 mm → 60 × 40 ÷(450 × 0.18)≒ 29.6 秒

回転数と加工時間の式はキラの早見表と三菱マテリアルの技術情報に同じ形で載っている(三菱マテリアルは加工時間を分で出し、60 を掛けて秒にしている)[17][18][19][3]

▦ドリルの切削速度と切削油剤の標準(ハイスドリル、キラ)

被削材切削速度(m/min)切削油剤
炭素鋼(炭素 0.4% 以下)24〜33水溶性切削油か硫黄添加油
炭素鋼(炭素 0.4〜0.7%)18〜24水溶性切削油か硫黄添加油
炭素鋼(炭素 0.7% 以上)12〜18水溶性切削油か硫黄添加油
合金鋼(引張強さ 60〜80 kgf/mm²)9〜15水溶性切削油
合金鋼(引張強さ 80 kgf/mm² 以上)5〜9水溶性切削油
ステンレス鋼(マルテンサイト系)10〜20不水溶性切削油(鉱油・植物油)
ステンレス鋼(フェライト系)15〜18不水溶性切削油(鉱油・植物油)
ステンレス鋼(オーステナイト系)5〜15不水溶性切削油(鉱油・植物油)
鋳鉄(HB150)25〜45乾式
鋳鉄(HB170)20〜25乾式
鋳鉄(HB250)15〜20乾式
アルミニウム・アルミニウム合金60〜90軽油
青銅(一般)45〜75水溶性切削油
銅・黄銅(中軟)45〜90乾式か鉱油
プラスチック30〜90せっけん水か乾式

キラの技術参考資料から抜き出した。合金鋼のいちばん弱い区分の行は、表記が読み取りにくいので載せていない。ドリルの種類(超硬など)・メーカーで値は変わる[17](資料1件・参考)

▦ドリルの送りの標準(mm/rev、キラ)

ドリル径(mm)一般鋼材ステンレス鋼(オーステナイト系)・ニモニック合金
1.6〜30.05〜0.060.05〜0.08
3〜40.05〜0.10.06〜0.15
4〜5.50.08〜0.150.1〜0.23
5.5〜80.1〜0.20.13〜0.3
8〜110.15〜0.250.19〜0.35
11〜14.50.2〜0.30.25〜0.45
14.5〜17.50.23〜0.330.28〜0.5
17.5〜20.50.25〜0.360.31〜0.53
20.5〜240.28〜0.380.34〜0.56
24〜28.50.3〜0.40.38〜0.6
28.5〜380.35〜0.450.44〜0.68
38 以上0.4〜0.50.5〜0.7

自動送りの機種で使う値。手送りの卓上ボール盤では、送りの手ごたえの目安になる。オーエスジーは穴の拡大を抑える送りの目安を「ドリル外径 × 0.02」としている(直径 10 mm で 0.2 mm/rev。キラの表の 8〜11 mm の範囲に入る)[17][15]

📚出典

印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。

  1. キラ・コーポレーション「卓上ボール盤 NSD-340 取扱説明書(DOC1-NSD340-JOM-01-02、第2版 2024-07-29)」
  2. キラ・コーポレーション「卓上ボール盤 KID-420 取扱説明書(DOC1-KID420-JOM-01-02)」
  3. マキタ「卓上ボール盤 TB131 取扱説明書」
  4. ユキワ精工「ドリルチャック Q&A「トラブル対処について」」
  5. ユキワ精工「ドリルチャック Q&A「使用方法について」」
  6. キラ・コーポレーション「ボール盤 カタログ・各種ダウンロード「テーパ一覧」」
  7. ユキワ精工「ドリルチャック Q&A「ドリルチャック、キーレスドリルチャックの仕様について」」
  8. 日本規格協会(JSA)「JIS B 4003:1999 工具用テーパシャンク部及びソケット―形状・寸法(書誌)」
  9. 日本規格協会(JSA)「JIS B 4634:1998 ドリルチャック(書誌)」
  10. ホーザン「取扱説明書 デスクドリル K-21」
  11. キラ・コーポレーション「ボール盤 カタログ・各種ダウンロード「テーブルの角度が振れる機種」」
  12. 厚生労働省「職場のあんぜんサイト ヒヤリ・ハット事例「ボール盤での穴あけ作業中、手袋が巻き込まれそうになった」」
  13. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.718「センタリングをしているのに穴位置が不安定になる」」
  14. オーエスジー「ドリルテクニカルデータ「9. トラブルシューティング」(FAQ No.721 の参考資料)」
  15. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.705「ドリル加工における穴拡大の原因と対策は?」」
  16. オーエスジー「加工相談Navi FAQ No.721「ドリル穴がおにぎり状になる。なぜ?」」
  17. キラ・コーポレーション「技術参考資料「ドリル・リーマの切削条件」」
  18. キラ・コーポレーション「技術参考資料「ドリル切削時間早見表」」
  19. 三菱マテリアル「技術情報「Formula for Drilling」(切削速度・送り・加工時間の式)」