幾何公差

14 の幾何特性・公差記入枠・データム・最大実体公差方式・突出公差域・共通公差域・TED。46 語。用語ごとに、意味・図面への書き方・具体例・よくある間違い・JIS と ASME の違いをまとめています。

▦幾何特性の記号の一覧

記号名前英語
⏤真直度straightness
⏥平面度flatness
○真円度roundness / circularity
⌭円筒度cylindricity
⌒線の輪郭度profile of a line / line profile
⌓面の輪郭度profile of a surface / surface profile
∥平行度parallelism
⟂直角度perpendicularity / squareness
∠傾斜度angularity
⌖位置度position / true position
◎同軸度coaxiality
◎同心度concentricity
⌯対称度symmetry
↗円周振れcircular run-out
⌰全振れtotal run-out
幾何公差公差記入枠公差域単独形体・関連形体外殻形体・誘導形体形状公差姿勢公差位置公差振れ公差真直度平面度真円度円筒度線の輪郭度面の輪郭度平行度直角度傾斜度位置度同軸度同心度対称度円周振れ全振れデータムデータム記号データム系(三平面データム系)共通データムデータムターゲット実用データム形体理論的に正確な寸法(TED)最大実体公差方式最大実体状態・最大実体サイズ最小実体公差方式実効状態・実効寸法ボーナス公差ゼロ幾何公差方式データムへの最大実体公差方式(データムの浮動)RFS(実体状態に無関係)突出公差域共通公差域自由状態(非剛性部品)全周記号(輪郭度)不均等配分の輪郭度複合位置度公差方式動的公差線図

幾何公差きかこうさgeometrical tolerance / GD&T

形(真っすぐさ・平らさ・丸さ)、姿勢(平行・直角・傾き)、位置、振れについて、許される狂いの範囲(公差域)を記号と数値で指示する公差。サイズ公差では表せない設計意図を伝えられる。[1][2][3][4]

∥0.02A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 公差記入枠で指示する幾何特性の記号・公差値・データムを公差記入枠に書き、指示線で対象の形体に結ぶ。[5][3]
  2. データムの要否を確かめる形状公差はデータム不要、姿勢公差と振れ公差はデータムが必要。位置度は JIS B 0021 の表では「要・否」。[6][2][7]
例板の上面に「∥|0.02|A」(A=下面)と平行度を指示すると、厚さが公差内でも斜めに削れた板や反った板を不合格にできる。(資料の決まりから組み立てた例)[1][4]

よくある間違い

JIS と ASME記号の大半は ISO・JIS・ASME で共通だが、ASME Y14.5-2018 は同心度と対称度を廃止した。また不均等な輪郭度 Ⓤ や連続形体 CF など ASME だけの記号がある。[12][3][13][14]

規格:JIS B 0021:1998(形状・姿勢・位置・振れの公差表示方式)、データムは JIS B 0022。国際規格は ISO 1101:2017、米国は ASME Y14.5-2018。[8][9][10][11]

関連:公差記入枠公差域データム独立の原則

公差記入枠こうさきにゅうわくfeature control frame / tolerance frame

幾何公差を書き込む長方形の枠。左から順に、幾何特性の記号、公差値(必要なら前に φ や Sφ)、付加記号、データム文字を区切って書く。[5][2][3]

⌖φ0.05 ⓂABC
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 左から順に区切って書く1区画目に幾何特性の記号、2区画目に公差値(mm)と付加記号(Ⓜ・Ⓛ・CZ など)、3区画目以降にデータム文字を書く。[5][3]
  2. φ が要る特性公差域が円や円筒になるときに φ を付ける。2次元の円:位置度・同心度、3次元の円筒:真直度・平行度・直角度・傾斜度・位置度・同軸度、球:位置度(Sφ)。[5][7]
  3. データムは優先順に左から複数のデータムは優先順位の高い順に左から並べる。[5][2]
  4. 指示線で形体に結ぶ枠の端から指示線を引き、矢を対象に当てる。寸法線の延長に当てると中心(軸線・中心面)、ずらして外形線に当てると表面が対象になる。[15][16][7]
例「⌖|φ0.05 Ⓜ|A|B|C」:位置度、直径 0.05 の円筒公差域、最大実体公差方式、データムは A→B→C の順。(資料の決まりから組み立てた例)[5][2]

よくある間違い

JIS と ASMEASME でも feature control frame の並びは同じ(記号・公差値・修飾記号・データム)。[3]

規格:JIS B 0021:1998、ISO 1101。[8][9]

関連:幾何公差データム系(三平面データム系)公差域

公差域こうさいきtolerance zone

幾何公差で、形体が入っていなければならない領域。対象と記号によって、平行二直線・平行二平面・円・円筒・同心円・同軸円筒・球などの形になる。[6][7][2]

図面への書き方

  1. 点の公差域点が対象なら、その点を中心とした円(平面内)または球。[6][7]
  2. 線の公差域直線が対象なら、公差値の半分ずつ離れた平行二平面、または φ を付けた直径 t の円筒。[6][2]
  3. 方向の指定平行二平面の公差域は、指示線の矢の方向に幅 t を取る。[17][7]

規格:JIS B 0021:1998 の 18(公差域の定義)。[7][8]

関連:公差記入枠

外殻形体・誘導形体がいかくけいたい・ゆうどうけいたいintegral feature / derived feature

外殻形体は表面や表面上の線のように実体のある形体、誘導形体は外殻形体から導かれる中心線・中心面・中心点。公差記入枠の矢の当て方で、どちらを規制するかが変わる。[18][16][12]

図面への書き方

  1. 表面を指すとき矢を寸法線からずらして外形線(またはその延長)に当てる。[19][16]
  2. 中心を指すとき矢をサイズ形体の寸法線の延長に当てる。[19][15]

よくある間違い

規格:形体の用語は JIS B 0672-1(JIS B 0001 の引用規格)。[20]

関連:サイズ形体真直度

形状公差けいじょうこうさform tolerance

データムを使わず、形体そのものの形の狂いを規制する公差。真直度・平面度・真円度・円筒度と、データムを持たない線の輪郭度・面の輪郭度がある。[15][2][7][3]

図面への書き方

  1. 記入枠はデータム欄なし「記号|公差値」の2区画で書く。[2][5]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.1〜18.5、18.7、ISO 1101。[7][8][9]

関連:幾何公差

姿勢公差しせいこうさorientation tolerance

データムに対して、形体があるべき向き(平行・直角・決まった角度)からどれだけ傾いてよいかを規制する公差。平行度・直角度・傾斜度と、データム付きの線・面の輪郭度。[17][2][7][3]

図面への書き方

  1. 記入枠はデータム欄あり「記号|公差値|データム」で書き、基準の面や軸にデータム記号を付ける。[17][2]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.6、18.8〜18.11、ISO 1101。[7][8][9]

関連:幾何公差

位置公差いちこうさlocation tolerance

データムと理論的に正確な寸法で決めた位置(真位置)に対して、形体がどれだけずれてよいかを規制する公差。位置度・同心度・同軸度・対称度と、データム付きの線・面の輪郭度。[21][2][7][3]

図面への書き方

  1. 位置は TED、記入枠にデータム理論的に正しい位置を TED で示し、記入枠にデータムを書く。[6][2]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.12〜18.14、ISO 1101。[7][8][9]

関連:幾何公差

振れ公差ふれこうさrun-out tolerance

データム軸直線の周りに部品を回転させたときの、表面の振れの大きさを規制する公差。円周振れと全振れがある。必ずデータムが必要。[22][2][7][3]

図面への書き方

  1. 回転の基準をデータムに軸受部など回転の基準になる部分をデータム(両端なら共通データム A-B)にする。[7][22]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.15〜18.16、ISO 1101。[7][8][9]

関連:幾何公差

⏤真直度しんちょくどstraightness

直線形体(表面上の線、円筒の母線、軸線)の真っすぐさの狂いを規制する形状公差。データムは使わない。[15][2][7][3]

⏤φ0.1
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「⏤|公差値」。データム欄はない。[5][2]
  2. 表面の線を規制するとき矢を寸法線からずらして外形線に当てる。公差域は指定した方向の平行二直線(円筒の母線なら平行二平面)。[7][19]
  3. 軸線を規制するとき直径の寸法線の延長に矢を当て、公差値の前に φ を付ける。公差域は直径 t の円筒。[15][2][7]
例φ20 の軸の直径寸法に「⏤|φ0.1」を結ぶと、軸線が直径 0.1 mm の円筒の中に入っていなければならない。(資料の決まりから組み立てた例)[15][2]

よくある間違い

JIS と ASMEASME でも表面の真直度と軸線の真直度を区別する点は同じ。ASME ではサイズ形体の表面の真直度は、Rule #1 によりサイズ公差でも規制される。[3][13]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.1、ISO 1101。[7][8][9]

関連:形状公差平面度

⏥平面度へいめんどflatness

平面の平らさの狂いを規制する形状公差。表面全体が、距離 t だけ離れた平行二平面の間に入っていなければならない。[15][2][7][3]

⏥0.08
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「⏥|公差値」。矢は対象の面の外形線(またはその延長)に当てる。[2][15]
  2. 離れた複数の面を1つの公差域で同じ平面にそろえたい複数の面には、公差値の後に CZ を付ける。[2]
例「⏥|0.08」:その表面は 0.08 mm 離れた平行二平面の間になければならない。[7]

よくある間違い

JIS と ASMEASME では、板厚のようなサイズ形体の表面の平面度は Rule #1 によりサイズ公差の中で自動的に規制される。キーエンスの例では、ISO なら平面度は指示値のまま、ASME では最大実体の境界が優先される。米国の教材も「平面度の値は関係するサイズ公差より小さくする」としている。[13][3]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.2、ISO 1101。[7][8][9]

関連:形状公差平行度共通公差域

○真円度しんえんどroundness / circularity

軸・穴・円すいなどの任意の横断面で、輪郭が同心の二つの円(半径差 t)の間に入るように丸さを規制する形状公差。[15][2][7][3]

図面への書き方

  1. 記入枠「○|公差値」。矢は円筒・円すいの表面に当てる。[2][15]
  2. 公差域は横断面ごと軸に直角な任意の断面で、半径差 t の同心円の間に入るかを見る。[7][2]
例φ55±0.2 の円筒に真円度 0.02:直径は 54.8〜55.2 の範囲で、各断面の丸さは 0.02 以内。円筒が円すい状や太鼓状になっていても、真円度の規制の対象外。[2]

よくある間違い

JIS と ASMEASME では circularity(roundness とも)と呼び、考え方は同じ。[3]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.3、ISO 1101。[7][8][9]

関連:円筒度形状公差

⌭円筒度えんとうどcylindricity

円筒面の丸さと真っすぐさを合わせて規制する形状公差。表面全体が、半径差 t の同軸の二つの円筒の間に入っていなければならない。[15][2][7][3]

⌭0.1
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「⌭|公差値」。矢は円筒面の外形線に当てる。データムは使わない。[2][15]
例「⌭|0.1」:対象の円筒面は、半径で 0.1 mm 離れた同軸の二つの円筒の間に入る。[7][15]

よくある間違い

規格:JIS B 0021:1998 の 18.4、ISO 1101。[7][8][9]

関連:真円度形状公差

⌒線の輪郭度せんのりんかくどprofile of a line / line profile

曲線の輪郭が、理論的に正確な寸法(TED)で決めた形にどれだけ沿っているかを、断面ごとの線として規制する公差。データムなしなら形状公差、データム付きなら姿勢・位置公差として働く。[27][2][7][3]

⌒0.05
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 形は TED で定義する輪郭の R や位置を枠で囲んだ TED で示す。[2][7]
  2. 公差域理論輪郭線の上に中心を置いた直径 t の円が作る、2本の包絡線の間(両側に t/2 ずつ)。[27][2][7]
  3. 一周に適用するとき指示線の折れ目に小さな丸(全周記号)を付ける。[2][14]
例外形の一周に「⌒|0.05」と全周記号:理論形状の両側 ±0.025 の帯の中に、各断面の輪郭が入る。[2]

よくある間違い

JIS と ASME公差域を理論輪郭の片側に寄せるとき、ISO・JIS は UZ、ASME は Ⓤ を使う。[13][14]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.5・18.6、輪郭の寸法と公差は JIS B 0027。[7][8][28]

関連:面の輪郭度理論的に正確な寸法(TED)全周記号(輪郭度)不均等配分の輪郭度

⌓面の輪郭度めんのりんかくどprofile of a surface / surface profile

曲面などの面全体が、TED で決めた理論的な面にどれだけ沿っているかを規制する公差。データムなしなら形状公差、データム付きなら姿勢・位置公差として働く。[27][2][7][3]

⌓0.1A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 形は TED で定義する理論的な面の形と位置を TED で示す。[2][7]
  2. 公差域理論的な面の上に中心を置いた直径 t の球が作る、2つの包絡面の間。[27][7][2]
例「⌓|0.1|A」:面は、データム A に対して理論的に正確な位置にある理論面の上に中心を置いた直径 0.1 の球が作る2つの包絡面の間に入る。[7]

よくある間違い

JIS と ASMEASME Y14.5-2018 は輪郭度を位置の規制にも使う考え方を強め、輪郭度・姿勢・形状を別々の節に整理し直した。[11]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.7・18.8、JIS B 0027。[7][8][28]

関連:線の輪郭度理論的に正確な寸法(TED)

∥平行度へいこうどparallelism

データムに対して、平面や直線(軸線)が平行であるべき狂いを規制する姿勢公差。[17][2][7][3]

∥0.05A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「∥|公差値|A」。基準にする面や軸にデータム記号を付ける。[17][2]
  2. 軸線の平行度公差値に φ を付けると、データムに平行な直径 t の円筒が公差域になる。[2][7]
例「∥|0.05|A」:矢の面は、データム平面 A に平行で、矢の方向に 0.05 mm 離れた平行二平面の間に入る。[17]

よくある間違い

規格:JIS B 0021:1998 の 18.9、ISO 1101。[7][8][9]

関連:姿勢公差平面度データム

⟂直角度ちょっかくどperpendicularity / squareness

データムに対して、平面や直線(軸線)が直角であるべき狂いを規制する姿勢公差。公差値は角度ではなく長さ(mm)で表す。[17][2][7][3]

⟂φ0.1A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「⟂|公差値|A」。[17][2]
  2. 穴や軸の軸線公差値に φ を付けると、データムに直角な直径 t の円筒が公差域になる。[2][7]
例穴の軸線に「⟂|φ0.1|A」:穴の軸線は、データム平面 A に直角な直径 0.1 mm の円筒の中に入る。[7][2]

よくある間違い

規格:JIS B 0021:1998 の 18.10、ISO 1101。[7][8][9]

関連:姿勢公差

∠傾斜度けいしゃどangularity

データムに対して 90°以外の決められた角度で傾いているべき面や軸線の狂いを規制する姿勢公差。角度は TED で示し、公差値は mm で表す。[17][2][7][3]

∠0.08A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 角度を TED(枠付き)で書く傾きの角度は枠で囲んだ理論的に正確な角度にする。[2][7]
  2. 記入枠「∠|公差値|A」。[2]
例面に「∠|0.08|A」と TED の 40°:その面は、A に対して理論的に正確に 40°傾き、0.08 mm 離れた平行二平面の間に入る。[7][2]

よくある間違い

規格:JIS B 0021:1998 の 18.11、ISO 1101。[7][8][9]

関連:姿勢公差理論的に正確な寸法(TED)

⌖位置度いちどposition / true position

点・直線(軸線)・面が、データムと TED で決めた理論的に正確な位置(真位置)からどれだけずれてよいかを規制する位置公差。[21][2][7][3]

⌖φ0.05 ⓂABC
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 位置は TED で決める穴の位置などは枠付きの TED で示し、±は付けない。[6][2]
  2. 記入枠「⌖|φt(必要なら Ⓜ)|A|B|C」。穴・軸の軸線なら φ を付けて円筒の公差域、球の中心なら Sφ。[5][2][7]
  3. 複数の穴穴の個数と寸法(例:6×)を書いた指示に記入枠を結ぶ。[2]
例φ20H7 の穴に「⌖|φ0.05 Ⓜ|A|B|C」:穴の軸線は、データム A・B・C と TED で決まる真位置を中心とした直径 0.05 mm の円筒の中に入る。穴が最大実体サイズ φ20.000 より大きく仕上がった分だけ、位置度を広げてよい。(資料の決まりから組み立てた例)[2][30][5]

よくある間違い

JIS と ASMEASME では position(true position とも)と呼ぶ。2018年版で同心度・対称度が廃止されたため、同軸や対称の形体の位置も位置度や振れ・輪郭度で規制する。[3][12]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.12、位置度公差方式は JIS B 0025。[7][8][31]

関連:位置公差理論的に正確な寸法(TED)最大実体公差方式データム系(三平面データム系)

◎同軸度どうじくどcoaxiality

データム軸直線と同じ直線上にあるべき軸線の狂いを規制する位置公差。公差値に φ を付け、データム軸と同軸の直径 t の円筒が公差域になる。[21][2][7]

◎φ0.03A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「◎|φt|A」。両端の軸受部などを共通データム A-B にすることも多い。[2][7]
例「◎|φ0.03|A」:矢の円筒の軸線は、データム軸直線 A を軸とする直径 0.03 mm の円筒の中に入る。[21]

よくある間違い

JIS と ASMEミツトヨ米国は、ISO の同軸度は軸線(中心線)を規制するのに対し、ASME 2009 の同心度は向かい合う点の中点を規制するので、同じ記号でも意味が違うと指摘している。ASME 2018 では同軸の位置を位置度・振れ・輪郭度で規制する。[12]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.13.2、ISO 1101。[7][8][9]

関連:同心度位置公差共通データム

◎同心度どうしんどconcentricity

平面図形(横断面)で、データム円の中心に対する円の中心の位置の狂いを規制する位置公差。同軸度と同じ記号を使い、対象が軸線ではなく中心点になる。[21][2][7]

◎φ0.1A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記号は同軸度と同じ ◎公差値に φ を付け、データム点を中心とする直径 t の円が公差域になる。[7][2]
例薄い円板の外周の中心に「◎|φ0.1|A」(A=内径の円):外側の円の中心は、データム円 A と同心の直径 0.1 mm の円の中に入る。(資料の決まりから組み立てた例)[7]

よくある間違い

JIS と ASMEASME Y14.5-2018 で同心度は用語・記号・概念ごと廃止された。米国の教材は、古い図面には残っていることがあるとしている。[12][3]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.13.1、ISO 1101。[7][8][9]

関連:同軸度

⌯対称度たいしょうどsymmetry

データム中心平面(または軸直線)に対して対称であるべき形体の中心面の狂いを規制する位置公差。公差域は、データムに対称で距離 t の平行二平面。[21][2][7]

⌯0.05A
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「⌯|公差値|A」。データムは幅の中心面などにする。[21][2]
例キー溝の幅に「⌯|0.05|A」(A=軸の中心平面):溝の中心面は、A に対称に 0.05 mm 離れた平行二平面の間に入る。(資料の決まりから組み立てた例)[21][7]

よくある間違い

JIS と ASMEASME Y14.5-2018 で対称度は廃止され、位置度などで規制する。[12][3]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.14、ISO 1101。[7][8][9]

関連:位置公差

↗円周振れえんしゅうふれcircular run-out

データム軸直線の周りに部品を1回転させたとき、任意の測定位置での表面の振れ(読みの最大と最小の差)を規制する振れ公差。半径方向・軸方向・斜め方向がある。[22][2][7][3]

↗0.1A-B
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「↗|公差値|A」(共通データムなら A-B)。[7][22]
  2. 矢の向きで方向を示す円筒面に直角に当てれば半径方向、端面に当てれば軸方向の振れになる。[7][2]
例両端の軸受部を共通データム A-B とし、中央の外周に「↗|0.1|A-B」:1回転させる間、どの横断面でも振れが 0.1 mm 以下。[7]

よくある間違い

JIS と ASMEASME でも circular runout として同じ考え方。[3]

規格:JIS B 0021:1998 の 18.15、ISO 1101。振れの読みの最大と最小の差を T.I.R. と呼ぶ。[7][8][18]

関連:全振れ振れ公差共通データム

⌰全振れぜんぶれtotal run-out

データム軸直線の周りに回転させながら測定器を表面に沿って動かし、表面全体での振れを規制する振れ公差。[22][2][7][3]

⌰0.1A-B
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 記入枠「⌰|公差値|A-B」。矢は円筒面(半径方向の全振れ)または端面(軸方向の全振れ)に当てる。[7]
例「⌰|0.1|A-B」:円筒面は、共通データム軸直線 A-B と同軸で半径差 0.1 mm の二つの円筒の間に入る。[7]

よくある間違い

規格:JIS B 0021:1998 の 18.16、ISO 1101。[7][8][9]

関連:円周振れ

データムでーたむdatum

姿勢・位置・振れの公差域を決めるために設定する、理論的に正確な基準(平面・直線・点)。部品上の実際の面や穴(データム形体)から設定する。[19][2]

図面への書き方

  1. データム記号で指示する基準にする面や軸にデータム記号を付ける。[19][2]
  2. 精密な面に当てて実現する実際の面は凹凸があるので、定盤やマンドレルなど精密な面(実用データム形体)に当てて基準を作る。[19][2]
例穴の中心をデータムにする場合:穴に最大内接する精密な軸を差し込み、その軸線をデータム軸直線とする。[34]

よくある間違い

JIS と ASMEASME は、データム形体からデータムを実際に作る道具や面を datum feature simulator と呼ぶ(JIS の実用データム形体に当たる)。[34]

規格:JIS B 0022:1984(幾何公差のためのデータム)、ISO 5459:2024。用語の定義は JIS Z 8114。[10][36][19]

関連:データム記号データム系(三平面データム系)実用データム形体データムターゲット

データム記号でーたむきごうdatum feature symbol

どの面や軸をデータムにするかを図に示す記号。データムを表す英大文字を四角の枠に入れ、白抜きまたは塗りつぶしの三角形とつないで、データム形体に当てる。[19][2][3]

図面への書き方

  1. 三角形は白抜きでも塗りつぶしでもよい三角形を外形線や寸法線に当てる。[19]
  2. 文字は図面を見る向きに枠の中の文字は回転させず、図面を見る向きで書く。[19]
  3. 面をデータムにするとき外形線またはその延長線上に、寸法線からずらして三角形を当てる。[19][2]
  4. 軸線・中心平面をデータムにするときサイズ形体の寸法線の延長上(寸法線と一直線)に三角形を当てる。[19][2]
例φ30 の軸の中心をデータム A にする:φ30 の寸法線の延長上にデータム三角記号を置き、枠に A と書く。(資料の決まりから組み立てた例)[19][2]

よくある間違い

JIS と ASMEASME も四角の枠に文字を入れ、三角形で形体に当てる形は同様。[3]

規格:JIS B 0022、JIS B 0021 の付加記号(データム指示)。[7][10]

関連:データム

データム系(三平面データム系)でーたむけいdatum system / datum reference frame

2つ以上のデータムを優先順位をつけて組み合わせたもの。互いに直交する3つのデータム平面で部品の姿勢を完全に拘束するものを三平面データム系という。[37][2]

⌖φ0.1ABC
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 優先順位は記入枠の左からデータム欄に第1次・第2次・第3次の順に左から書く。設計者はふつう優先度の高い順にアルファベットを振る。[5][2]
  2. 当てる順番第1次・第2次・第3次の順に押し当てて部品を完全に拘束する(治具の3-2-1の考え方と対応する)。[37][38]
例「⌖|φ0.1|A|B|C」:A(底面)→B(長い側面)→C(短い側面)の順に当てて基準を作る。(資料の決まりから組み立てた例)[37][5][2]

よくある間違い

JIS と ASMEASME は datum reference frame と呼び、自由度の拘束として説明する(2018年版でデータムと自由度の記述を拡充)。[11]

規格:JIS B 0022、ISO 5459:2024。[10][36]

関連:データム3-2-1の原則公差記入枠

共通データムきょうつうでーたむcommon datum

2つのデータム形体から1つのデータムを作るもの。たとえば軸の両端の軸受部を合わせて1本の共通の軸直線とする。記入枠には「A-B」のようにハイフンでつないで1つの欄に書く。[37][7]

↗0.1A-B
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. データム欄にハイフンで2つのデータム形体にそれぞれデータム記号(A・B)を付け、記入枠のデータム欄には「A-B」と1つにまとめて書く。[37][7]
例両端の軸受部をデータム A・B とし、中央部の振れを「↗|0.1|A-B」で指示する。[7][37]

よくある間違い

規格:JIS B 0022、JIS B 0021:1998。[10][7]

関連:データム系(三平面データム系)円周振れ

データムターゲットでーたむたーげっとdatum target

面全体ではなく、加工・測定の装置を当てる点・線・限られた領域を指定してデータムを設定する方法。鋳物・鍛造・板金のように面がうねっている部品で使う。[35][2]

図面への書き方

  1. データムターゲット記入枠横線で上下に分けた円を描き、下段にデータム文字と番号(A1 など)、上段に領域の大きさ(φ2 など)を書く。[35][2][14]
  2. 点・線・領域の示し方点・線・円形の領域・長方形の領域を、それぞれ決められた図示記号で示す。[35][2]

よくある間違い

JIS と ASMEASME には可動データムターゲットの記号がある(ISO・JIS は提案中とキーエンスは説明)。[13][14]

規格:JIS B 0022、JIS B 0021:1998 の付加記号(データムターゲット)。[10][7]

関連:データム図面のデータムと治具の基準を合わせる

実用データム形体じつようでーたむけいたいsimulated datum feature / datum feature simulator

データム形体に接触させてデータムを実際に作る、十分に精密な面や軸(定盤・軸受・マンドレルなど)。[19][34][2]

図面への書き方

  1. 平面は定盤でデータム平面は定盤の面で作る。[34][2]
  2. 穴は最大内接円筒、軸は最小外接円筒穴には密着する精密な軸、軸には密着する精密な穴を当て、その軸線をデータムにする。[34]
  3. 三次元測定機で求めたもの測定点から計算で求めたデータムは、代用データムと呼ぶことがある。[2]
JIS と ASMEASME Y14.5 では datum feature simulator と呼ぶ。[34]

関連:データム

□理論的に正確な寸法(TED)りろんてきにせいかくなすんぽうtheoretically exact dimension / TED / basic dimension

位置度・輪郭度・傾斜度などの公差域の位置や形を決めるための、公差を持たない理論上の寸法。数値を長方形の枠で囲んで示し、ばらつきは公差記入枠の幾何公差で与える。[6][2][3]

図面への書き方

  1. 数値を枠で囲む例:[50]。角度も同じ。[2][14]
  2. ばらつきは記入枠でTED には±を付けず、位置度などの公差で許容を与える。[6][3]
例キーエンスの例:穴の間をサイズ公差でつなぐと最大 45.3、TED と位置度で決めると最大 45.1 となり、公差が累積しない。[6]

よくある間違い

JIS と ASMEASME では basic dimension と呼び、枠で囲む表し方は同じ。[3]

規格:JIS B 0021:1998 の付加記号(理論的に正確な寸法)。[7][8]

関連:位置度公差の累積線の輪郭度

Ⓜ最大実体公差方式さいだいじったいこうさほうしきmaximum material requirement / MMR / MMC modifier

形体が最大実体状態(穴なら最小径、軸なら最大径)から離れて仕上がった分だけ、姿勢公差や位置公差を広げてよいとする方式。はめあう部品が確実に組めることを保ちつつ、公差を有効に使える。[30][39][2][3]

⌖φ0.1 ⓂABC
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 公差値の後に Ⓜ記入枠の幾何公差の数値の後に Ⓜ を付ける。データムにも適用するときはデータム文字の後に Ⓜ を付ける。[39][30][2]
  2. 動的公差線図で確かめる横軸にサイズ公差、縦軸に幾何公差をとると、仕上がりサイズに応じた幾何公差の増え方(ボーナス公差)が分かる。[30]
例穴 φ10 +0.1/0 に「⌖|φ0.1 Ⓜ|A|B|C」:穴が φ10.00(最大実体)なら位置度は φ0.1、φ10.06 に仕上がれば φ0.16 まで許される(最大で φ0.2)。(資料の決まりから組み立てた例)[2][30]

よくある間違い

JIS と ASMEISO・JIS は「最大実体公差方式(MMR:requirement)」という方式の名前で呼び、ASME は記号を「最大実体状態(MMC:condition)」の修飾記号として扱う。ASME では記号を付けなければ実体状態に関係しない(RFS)扱いで、旧 ANSI の Ⓢ 記号は 2009 年版で削除されている。[39][3][14]

規格:JIS B 0023(最大実体公差方式及び最小実体公差方式)、JIS B 0021:1998 の付加記号。[40][7]

関連:最大実体状態・最大実体サイズボーナス公差実効状態・実効寸法最小実体公差方式

最大実体状態・最大実体サイズさいだいじったいじょうたい・さいだいじったいさいずmaximum material condition / MMC / maximum material size / MMS

最大実体状態は、形体の実体(材料の体積)が最大になる許容限界の状態で、穴なら最小の穴径、軸なら最大の軸径。そのときのサイズが最大実体サイズ。[16][2][41]

例キーエンスの図例では、φ20 の軸(凸)の最大実体サイズを φ20.1、穴(凹)の最大実体サイズを φ19.9 として示している(軸は大きい側、穴は小さい側)。[16]

よくある間違い

JIS と ASMEASME も MMC・LMC の定義は同じ。米国の教材は、MMC 側から削り始めれば材料を残して加工できると説明している。[41]

規格:JIS B 0023。[40]

関連:最大実体公差方式包絡の条件

Ⓛ最小実体公差方式さいしょうじったいこうさほうしきleast material requirement / LMR / LMC modifier

形体が最小実体状態(穴なら最大径、軸なら最小径)から離れた分だけ幾何公差を広げてよいとする方式。端に近い穴の残り肉厚やパイプの肉厚など、強度の確保に使う。[42][39][2]

図面への書き方

  1. 公差値の後に Ⓛ記入枠の幾何公差の数値の後に Ⓛ を付ける。場合によりデータム文字の後にも付ける。[42][39]
例キーエンスの例:穴 φ24(最小実体は φ24.1)の位置度 φ0.5 に Ⓛ を付けると、φ0.5 は穴が φ24.1 のときの値になり、穴が小さく仕上がるほど位置度が緩和される。[42]

よくある間違い

JIS と ASMEASME では LMC(最小実体状態)の修飾記号として扱う。[3]

規格:JIS B 0023。[40][7]

関連:最大実体公差方式

実効状態・実効寸法じっこうじょうたい・じっこうすんぽうvirtual condition / virtual size

最大実体サイズと Ⓜ 付きの幾何公差の総合効果で決まる、完全形状の限界。外側形体(軸)は最大実体サイズ+幾何公差、内側形体(穴)は最大実体サイズ−幾何公差で、機能ゲージの設計寸法になる。[2][18][30]

⟂φ0.05 ⓂA
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. ゲージ寸法に使う機能ゲージの穴(または軸)の寸法を実効寸法にする。[2]
例ミツトヨの例:軸 φ150 0/−0.04 に「⟂|φ0.05 Ⓜ|A」→ 実効寸法は φ150.05。[2]

よくある間違い

規格:JIS B 0023。[40]

関連:最大実体公差方式ボーナス公差

ボーナス公差ぼーなすこうさbonus tolerance

最大(最小)実体公差方式によって、仕上がりサイズに応じて幾何公差に上乗せされる分。[18][2][30]

図面への書き方

  1. 判定のしかた測ったサイズと最大実体サイズの差を、記入枠の公差値に足して判定する。[2][18]
例ミツトヨの例:穴の下限 φ59.9、位置度 φ0.02 Ⓜ、測った穴径 φ60.000 → 上乗せ 0.1、判定に使う位置度は φ0.12。[2]

よくある間違い

関連:最大実体公差方式実効状態・実効寸法

ゼロ幾何公差方式ぜろきかこうさほうしきzero geometric tolerancing at MMC

最大実体状態では幾何公差をゼロとし、最小実体状態に近づくほど、その差を幾何公差として与える指示。[18]資料1件・参考

⌖φ0 Ⓜ
公差記入枠の例
例穴 φ10 +0.1/0 に「⌖|φ0 Ⓜ」:穴が φ10.00 なら位置ずれは許されず、φ10.1 に仕上がれば φ0.1 まで許される。(資料の決まりから組み立てた例)[18]

規格:JIS B 0023。[40]

関連:最大実体公差方式

データムへの最大実体公差方式(データムの浮動)でーたむのふどうdatum feature at MMB / datum shift

データムがサイズ形体のとき、データム文字の後に Ⓜ を付けてデータムにも最大実体公差方式を適用し、データムを固定しない(浮動させる)指示。[18][39]資料1件・参考

図面への書き方

  1. データム文字の後に Ⓜ記入枠のデータム欄で、文字の後に Ⓜ を付ける。[39][30]
JIS と ASMEキーエンスは、ASME には最大実体境界(MMB)・最小実体境界(LMB)の記号があり、ISO・JIS には対応する記号がないと説明している。[13]

規格:JIS B 0023。[40]

関連:最大実体公差方式データム

Ⓢ(旧RFS(実体状態に無関係)あーるえふえすregardless of feature size / RFS

サイズの仕上がりに関係なく、指示した幾何公差の値をそのまま適用すること。旧 ANSI 規格では記号 Ⓢ で示したが、ASME Y14.5-2009 で削除された。[14]資料1件・参考

JIS と ASMEISO・JIS ではもともと、Ⓜ・Ⓛ を付けなければ実体状態に関係なく公差を適用する。[39][2]

関連:最大実体公差方式

Ⓟ突出公差域とっしゅつこうさいきprojected tolerance zone

公差域を、形体そのものではなく、組み合わせる相手部品の側へ突き出した仮想の範囲に適用する指示。ねじ穴に立てたボルトやピンが、相手部品の穴に確実に入るようにする。[43][3][2]

図面への書き方

  1. 記入枠に Ⓟ と突出長さ記入枠の公差値に Ⓟ を付け、突出させる長さを指示する。[43][3]
  2. 突出部は細い二点鎖線突出させた仮想の部分は細い二点鎖線で描く(キーエンスの解説)。[43]
例キーエンスの例:仮想空間にある φ28 の軸心は、データム A に直角でデータム B から 40 の位置にあり、突出長さ 30 mm の全長で φ0.5 の円筒に入っていなければならない。[43]

よくある間違い

JIS と ASME米国の教材では、突出範囲を太い一点鎖線(chain line)で示す。JIS 系の解説(キーエンス)は細い二点鎖線。[45][43]

規格:JIS B 0029(突出公差域)。JIS B 0021 の付加記号表の参照先は ISO 10578。[44][7]

関連:位置度特殊指定線

CZ共通公差域きょうつうこうさいきcommon zone / CZ

離れた位置にある複数の形体を、1つの公差域でまとめて規制する指示。公差値の後に CZ を書く。[2][14][5]

⏥0.1 CZ
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 公差値の後に CZ「⏥|0.1 CZ」のように書き、1つの記入枠から対象の各面へ指示線を引く。[2]
例離れた2つの面に「⏥|0.1 CZ」:2面とも同じ一組の平行二平面(間隔 0.1)の中に入る。CZ がなければ、各面が別々に 0.1 以内であればよい。[2]

よくある間違い

規格:JIS B 0021:1998 の付加記号(共通公差域)。[7][8]

関連:平面度

Ⓕ自由状態(非剛性部品)じゆうじょうたいfree state / non-rigid part

ゴム・樹脂・薄肉品のように、自由状態で公差を超えて変形しうる部品(非剛性部品)について、重力だけを受けた自由状態で適用する公差を示す記号。[46][7][2]

図面への書き方

  1. 公差値の後に Ⓕ自由状態で適用する幾何公差に Ⓕ を付ける。[46]
  2. 拘束条件を注記する非剛性部品であることと、拘束状態で適用する公差の条件(重力の方向など)を注記で明記する。[46]
例キーエンスの例:データム B に真円度 5.0 Ⓕ(どの姿勢でも自由状態で 5.0 以内)、左側の円周振れは注記した拘束状態で適用。[46]

規格:JIS B 0026(非剛性部品)、JIS B 0420-1 の 7.8。[47][7][48]

関連:平行度

全周記号(輪郭度)ぜんしゅうきごうall around symbol

輪郭度などを、図に表れた輪郭の一周全体に適用するとき、公差記入枠の指示線の折れ目に小さな丸を付ける記号。[2][14][7]

⌒0.05
公差記入枠の例

図面への書き方

  1. 指示線の折れ目に丸公差記入枠から出た指示線の折れ目に小さな丸を描く。[2][14]
例外形の一周に「⌒|0.05」と全周記号:理論形状の両側 ±0.025 の帯に外周全体が入る。[2]

よくある間違い

規格:JIS B 0021:1998 の付加記号(全周(輪郭度))。[7][8]

関連:線の輪郭度全周溶接・現場溶接の記号

UZ(ISO・JIS)/Ⓤ(ASME)不均等配分の輪郭度ふきんとうはいぶんのりんかくどunequally disposed profile

輪郭度の公差域を理論輪郭の両側に均等ではなく、片側に寄せて配置する指示。ISO・JIS は UZ、ASME は Ⓤ で表す。[13][14]資料1件・参考

関連:線の輪郭度

複合位置度公差方式ふくごういちどこうさほうしきcomposite positional tolerancing

記入枠を上下2段にし、位置度の記号は1つにまとめて、上段でデータム系に対する位置、下段で形体どうしの相互位置に、それぞれ異なる公差値を与える方法。[18]資料1件・参考

図面への書き方

  1. 2段の記入枠位置度の記号は1つにまとめ、上段にデータム系に対する公差、下段に形体どうしの相互位置の公差を書く。[18]

関連:位置度

動的公差線図どうてきこうさせんずdynamic tolerance diagram

横軸にサイズ公差、縦軸に幾何公差をとり、両者のばらつきと、最大実体公差方式で得られるボーナス公差を同時に表す図。[30]資料1件・参考

図面への書き方

  1. 軸の取り方横軸にサイズ、縦軸に許される幾何公差をとり、最大実体から最小実体までの変化を線で示す。[30]

関連:最大実体公差方式ボーナス公差

📚出典

印のない説明は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。規格の本文は有料のため、測定機・部品メーカーの技術資料、大学・公設試の教材、規格の公開ページで確かめ、説明はケズリバの言葉で書いています。記入枠の図はケズリバが描いたものです。

  1. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:幾何公差とは(サイズ公差との違い・独立の原則・2016年の用語変更)」
  2. ミツトヨ(栃木県産業技術センター掲載)「幾何公差の基本(Document No. BSE-M3UGD26185、2026年、71枚)」
  3. WisTech Open(米ウィスコンシン州テクニカルカレッジ・システム)「Blueprint Reading Ch.9 Print Symbols and Notes」
  4. ミスミ「ミスミ技術情報:公差設計と幾何公差(公差設計2)」
  5. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:公差記入枠について」
  6. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:幾何公差図面と記号について(特性の分類・TED・公差域)」
  7. ミスミ「ミスミ技術情報:幾何公差表示方式(JIS B 0021:1998 より抜粋)」
  8. 日本産業標準調査会(JISC)JIS 検索「JIS B 0021 GPS-幾何公差表示方式-形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式」
  9. ISO「ISO 1101:2017 Geometrical tolerancing — Tolerances of form, orientation, location and run-out」
  10. 日本産業標準調査会(JISC)JIS 検索「JIS B 0022 幾何公差のためのデータム」
  11. ASME「Y14.5-2018 (R2024) Dimensioning and Tolerancing」
  12. Mitutoyo America(Mitutoyo Institute of Metrology)「GD&T and the new ASME Y14.5-2018(J. Salsbury、2019)」
  13. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:国際工業規格と幾何公差(ISO と ASME の対比)」
  14. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:幾何公差記号・付加記号一覧」
  15. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:形状公差(形状偏差)」
  16. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:包絡の条件」
  17. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:姿勢公差」
  18. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:幾何公差用語集」
  19. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:データム(datum)とは」
  20. 日本規格協会(JSA)「JIS B 0001:2019 機械製図(プレビュー:目次・適用範囲・引用規格)」
  21. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:位置公差(位置偏差)」
  22. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:振れ公差(振れ偏差)」
  23. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:真直度の測定」
  24. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:平面度の測定」
  25. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:真円度の測定」
  26. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:円筒度の測定」
  27. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:線の輪郭度・面の輪郭度」
  28. 日本産業標準調査会(JISC)JIS 検索「JIS B 0027 製図-輪郭の寸法及び公差の表示方式」
  29. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:平行度の測定」
  30. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:最大実体公差方式(MMR)」
  31. 日本産業標準調査会(JISC)JIS 検索「JIS B 0025 製図-幾何公差表示方式-位置度公差方式」
  32. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:同軸度の測定」
  33. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:対称度の測定」
  34. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:主なデータム形状の種類」
  35. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:データムターゲット」
  36. ISO「ISO 5459:2024 Geometrical tolerancing — Datums and datum systems」
  37. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:共通データムとデータム系」
  38. ミスミ「ミスミ技術情報:位置決め基準面の基本型(ワークホールド技術-2)」
  39. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:最大実体公差方式(MMR)と最小実体公差方式(LMR)」
  40. 日本産業標準調査会(JISC)JIS 検索「JIS B 0023 製図-幾何公差表示方式-最大実体公差方式及び最小実体公差方式」
  41. WisTech Open(米ウィスコンシン州テクニカルカレッジ・システム)「Blueprint Reading Ch.8 Tolerance on Dimensions」
  42. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:最小実体公差方式(LMR)」
  43. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:突出公差域とは」
  44. 日本産業標準調査会(JISC)JIS 検索「JIS B 0029 製図-姿勢及び位置の公差表示方式-突出公差域」
  45. WisTech Open(米ウィスコンシン州テクニカルカレッジ・システム)「Blueprint Reading Ch.3 Types of Lines Found on Prints」
  46. キーエンス「ゼロからわかる幾何公差:非剛性部品の幾何公差」
  47. 日本産業標準調査会(JISC)JIS 検索「JIS B 0026 製図-寸法及び公差の表示方式-非剛性部品」
  48. 日本規格協会(JSA)「JIS B 0420-1:2016 寸法の公差表示方式-長さに関わるサイズ(プレビュー:目次・適用範囲)」
  49. Washington State Board for Community and Technical Colleges(WA Open ProfTech)「Welding 1, §16.6 Basic Elements of Welding Symbols」