製図の基本
投影法・図の選び方・線の種類と使い分け・断面図・省略の決まり・表題欄。40 語。用語ごとに、意味・図面への書き方・具体例・よくある間違い・JIS と ASME の違いをまとめています。
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第三角法だいさんかくほうthird-angle projection
正面図を中心に置き、上から見た図を正面図の上、右から見た図を正面図の右に置く投影法。見た側にその方向から見た図が来る並びになる。日本の機械製図はこの方法を使う。[1][2][3][4]
図面への書き方
- 正面図を決めて中央に置く品物の形が最もよく分かる向きを正面図にし、図面の中央に置く。[1][2]
- ほかの図を見た側に並べる上から見た図(平面図)は正面図の真上、右から見た図(右側面図)は真右、必要なら左側面図は左、下面図は下に置き、正面図と高さ・幅の位置をそろえる。[1][2][4]
- 必要な図だけにする6方向すべてを描く必要はなく、形が決まる最少の図数(1面図・2面図・3面図)にとどめる。[2][4]
- 投影法の記号を表題欄に描く円すい台を2方向から見た記号(同心円と台形)を表題欄の投影法欄に描き、どちらの投影法かを示す。第三角法と第一角法では記号の並びが逆になる。[2][5][4][6]
例段付きの軸:中心線を水平にした側面形を正面図にして段や溝の寸法をそこに集め、端面の円形が必要なときだけ正面図の右に右側面図を添える。
(資料の決まりから組み立てた例)[2] よくある間違い
- 投影法の記号を入れずに第一角法で描くなぜ:受け取った側が第三角法と思い込み、左右・上下が逆の形で加工される。大学の工場で実際に製作ミスが起きた報告がある。対策:表題欄に投影法の記号を必ず描く。海外製 CAD や ISO 設定のテンプレートが第一角法になっていないか確かめる。[3]
- 情報の少ない面を正面図にするなぜ:形の特徴が複数の図に散り、寸法も分かれて読みにくくなる。対策:形の情報が最も多く、置いたときに安定する向きを正面図にする。[2][3]
JIS と ASMEASME 圏(米国・カナダ)も第三角法が標準で、並びは JIS と同じ。ISO は両方を認めており、規格の図例は第一角法で描かれている(JIS の図例は第三角法)。
[4][3] 規格:JIS B 0001:2019 の 8.3「第三角法」。投影法は JIS Z 8315 シリーズ(第2部:正投影法)。国際規格は ISO 128-3、米国は ASME Y14.3。[7][8][9][10]
関連:第一角法正面図表題欄
第一角法だいいちかくほうfirst-angle projection
正面図を中心に、上から見た図を正面図の下、左から見た図を正面図の右に置く投影法で、第三角法と並びが逆になる。欧州を中心に使われ、JIS でも規定されている。[4][3]
図面への書き方
- 並びを第三角法の逆にする上から見た図は正面図の下、右から見た図は正面図の左に置く。[4]
- 投影法の記号を必ず描く日本で第一角法を使う場合、記号がないと第三角法と誤認されやすい。[3]
よくある間違い
- 海外から来た図面を第三角法のつもりで読むなぜ:第一角法では側面図の位置が逆なので、形を反転して読んでしまう。対策:表題欄の投影法記号を最初に確かめる。記号がなければ正面図のかくれ線などから推定し、発行元に確認する。[3]
JIS と ASMEASME 圏(米国・カナダ)は第三角法が標準。第一角法は欧州など他の国の図面で出会う。
[4] 規格:JIS B 0001:2019 の 8.4「第一角法」、JIS Z 8315-2(正投影法)。[7][8]
関連:第三角法
正面図しょうめんずfront view / principal view
品物の形や機能を最もよく表す向きから見た図で、ほかの投影図の基準になる。寸法もできるだけ正面図に集める。[2][3][11]
図面への書き方
- 情報が最も多い面を選ぶ形の特徴が最も多く見える向きを正面にする。[2]
- 安定した置き方にする実際に置いたときに安定する姿勢で描く。[2]
- 軸・円筒部品は中心線を水平に軸のような円形の部品は中心線が水平になる向きを正面図にする。[2]
- フランジ・歯車は軸に直角な方向から円板状の部品も、軸に直角な方向から見た図を正面図にする。[2]
よくある間違い
- 寸法を複数の投影図にばらばらに入れるなぜ:一つの形を加工するのに複数の図を見比べる必要が出て、読み違いと手間が増える。対策:一つの形体の寸法は、その形が最もよく見える図にまとめる。[3][11]
規格:JIS B 0001:2019 の 8.2「投影図の名称」、10.1「投影図の表し方」。[7]
関連:第三角法補助投影図
補助投影図ほじょとうえいずauxiliary view
斜面のように主な投影図では実際の形(実形)が出ない部分を、その面に正対する向きから投影して示す図。[12]資料1件・参考
図面への書き方
- 斜面に垂直な方向から投影する斜面の実形が出る向きに投影面を置いて描く。[12]
よくある間違い
- 斜面の形や穴を正面図・側面図だけで寸法記入するなぜ:斜面は投影図の上では縮んで見え、穴の形や位置を正しく表せない。対策:斜面に正対する補助投影図を描き、そこに寸法を入れる。[12]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.1「投影図の表し方」に含まれる(プレビューでは細目まで確認できず)。[7]
関連:正面図
線の種類と太させんのしゅるいとふとさtypes of lines / alphabet of lines
図面の線は、形(実線・破線・一点鎖線・二点鎖線・ジグザグ線など)と太さ(細線・太線・極太線)の組み合わせで用途が決まっている。線を正しく使い分けることが、図面を読み違えないための前提になる。[13][1][14]
図面への書き方
- 太線と細線をはっきり分ける外形線などの太線と、寸法線などの細線の太さに明確な差を付ける(東工大の教材は倍以上を勧めている)。[1]
- 用途ごとに線種を割り当てる外形線=太い実線、寸法線・寸法補助線・引出線・ハッチング=細い実線、かくれ線=細い破線(または太い破線)、中心線=細い一点鎖線、想像線=細い二点鎖線、特殊指定線=太い一点鎖線、破断線=不規則な細い波線またはジグザグ線。[13][1][14]
- 極太線は薄肉の単線図示に鋼板やガラスなどの薄肉部を1本の線で表すときは極太の実線を使う。[13]
よくある間違い
- すべて同じ太さで描くなぜ:外形と寸法線などの区別がつかず、図面が読みにくくなる。対策:太線と細線を明確に分け、線の種類も用途どおりに使う。[1]
JIS と ASME米国の教材でも外形線は太い実線、かくれ線は細い破線、中心線は細い長短の鎖線、想像線は細い二点鎖線で、基本の対応は同じ。切断線は ANSI 式では太い線で描く例がある。
[14] 規格:JIS B 0001:2019 の 6「線」(6.1 線の太さ、6.2 線の種類及び用途、6.3 線の優先順位)。線の基本原則は JIS Z 8312(引用規格)、国際規格は ISO 128-2:2022。[7][15]
関連:外形線かくれ線中心線想像線線の優先順位
外形線がいけいせんvisible line / object line
対象物の見える部分の形を表す線。太い実線で描く。[13][1][14]
図面への書き方
- 太い実線で描く図面の中で最も目立つ線にする。[1][14]
- 重なったら外形線を優先外形線はかくれ線や中心線と重なったときに優先して描く。[14]
よくある間違い
- 寸法線と同じ細さで描くなぜ:形と寸法の線が区別できず、図面らしく見えない。対策:外形線は太線、寸法関係の線は細線にする。[1]
規格:JIS B 0001:2019 の 6.2「線の種類及び用途」。[7]
関連:線の種類と太さ線の優先順位
かくれ線かくれせんhidden line
対象物の見えない部分(裏側や内部)の形を表す線。細い破線(または太い破線)で描く。[13][1][14]
図面への書き方
- 細い破線で描く一定間隔の短い線の並びで描く。[1][14]
- 内部を見せたいときは断面図内部の形をはっきり示したいときは断面図を使う。[16][17]
よくある間違い
- かくれ線に寸法を入れるなぜ:破線と寸法が重なって、形も寸法も読みにくくなる。対策:寸法は外形線で見えている図か断面図に入れる。[3]
規格:JIS B 0001:2019 の 6.2「線の種類及び用途」。[7]
関連:線の種類と太さ全断面図
中心線ちゅうしんせんcenter line / centerline
図形の中心や、中心が移動する軌跡を表す線。細い一点鎖線で描く。丸穴・円筒などの中心には必ず入れる。[13][1][14]
図面への書き方
- 細い一点鎖線で描く長い線と短い線を交互に並べる。[13][14]
- 丸いものは正面と側面の両方に丸穴・ねじ穴・円筒部品は、正面図と側面図のそれぞれに中心線を入れる。[1]
- 円として見える図では十字に穴が円に見える図では、中心を通る直交2本の中心線を引く。[14][5]
よくある間違い
- 丸穴に中心線を入れないなぜ:穴の中心がどこか、位置寸法がどこから測られているか読み取れない。対策:すべての丸穴・円筒に中心線を入れる。[1]
規格:JIS B 0001:2019 の 6.2「線の種類及び用途」。[7]
関連:線の種類と太さ
想像線そうぞうせんphantom line
投影上は現れないが説明のために補助的に示す形を表す線。細い二点鎖線で描き、隣接部品、工具や治具の位置、可動部の移動位置、加工前後の形などに使う。[13][14]
図面への書き方
- 細い二点鎖線で描く長い線と短い線2本の繰り返しで描く。[13][14]
- 使う場面隣接部分の参考、工具・ジグの位置、可動部の特定位置や移動限界、加工前・後の形、繰り返す部分、断面の手前にある部分を示すのに使う。[13]
- 繰り返す細部の代わりに歯車の歯のように繰り返す細部を省くときにも使われる。[14]
例レバーの可動範囲:レバー本体を外形線で描き、最大に振った位置を細い二点鎖線で重ねて描き、振れ角を寸法で示す。
(資料の決まりから組み立てた例)[13][14] よくある間違い
- 隣接部品を外形線で描くなぜ:自分の部品と隣の部品の境目が分からず、隣の形まで加工対象と読まれる。対策:自分の部品以外は想像線で描く。[13][14]
JIS と ASME米国の教材の phantom line も細い二点鎖線で、可動部の別位置や相手部品を示す用途は同じ。
[14] 規格:JIS B 0001:2019 の 6.2「線の種類及び用途」(重心線も細い二点鎖線)。[7][13]
関連:線の種類と太さ
寸法線・寸法補助線すんぽうせん・すんぽうほじょせんdimension line / extension line
寸法線は寸法を記入するために測る方向に引く線、寸法補助線は寸法を記入するために図形から引き出す線。どちらも細い実線で描く。[13][1][14]
図面への書き方
- 寸法補助線を測る位置から引き出す測る位置から寸法線の位置まで細い実線で引き出す(米国の教材では、部品の外形にわずかに触れない所から引き始める)。[13][14]
- 寸法線の両端に端末記号寸法線の端には矢印などの端末記号を付ける(JIS Z 8317-1 の 5.3「端末記号及び起点記号」)。[18]
よくある間違い
- 図面から寸法を測らせるなぜ:尺度どおりでない部分や印刷の伸縮で、測った値が実際の寸法と合わない。対策:必要な寸法はすべて数値で記入し、図面は測って読ませない。[11]
規格:JIS B 0001:2019 の 11.2「寸法補助線」・11.3「寸法線」、JIS Z 8317-1 の 5.2〜5.4、国際規格は ISO 129-1。[7][18][19]
関連:線の種類と太さ寸法補助記号
引出線ひきだしせんleader line / leader
記述・記号・寸法などを、指し示す箇所から引き出して書くための細い実線(参照線を含む)。[13][14]
図面への書き方
- 指す箇所から斜めに引き出す指す箇所に矢印を当て、文字を書く側に引き出す。[14]
- 穴の指示は引出線に続けて穴の個数・径・深さ・ざぐりは、穴の位置から引いた引出線に続けて書く。[20][21]
規格:JIS B 0001:2019 の 6.2、JIS Z 8317-1 の 5.5「引出線」。[7][18]
関連:穴の寸法の表し方
破断線はだんせんbreak line
対象物の一部を破った境界、または一部を取り去った境界を表す線。不規則な波形の細い実線またはジグザグ線で描く。[13][14]
図面への書き方
- 部分断面の境界に波線部分断面図では、断面にした範囲を不規則な細い波線で区切る。[14][13]
- 長い部品の中間省略にジグザグ線長く一様な部品の中間を省くときは、平行な2本のジグザグ線で切り取る。[14][13]
JIS と ASME米国の教材では、短い破断(short break)にフリーハンドの波線、長い破断(long break)にジグザグ付きの直線を対で使い、円筒には S 字形の破断も使う。
[14] 規格:JIS B 0001:2019 の 6.2「線の種類及び用途」。[7]
関連:部分断面図中間部の省略
切断線せつだんせんcutting-plane line
断面図を描くとき、どこで切ったかを対応する図に示す線。細い一点鎖線で描き、両端と向きが変わる所を太くする。[13][17][14]
図面への書き方
- 細い一点鎖線で切断位置を示す基本中心線以外の位置で切るときに切断線を描く。[13][17]
- 両端と曲がり角を太くする端部と方向が変わる部分を太い線にする(ほかの線と紛れなければ太くしなくてよい)。[13][17]
- 両端に矢印と記号見る方向を矢印で示し、記号(A など)を付けて、断面図の近くに「断面 A-A」のように書く。[17][14]
よくある間違い
- 断面の見る向きを示さないなぜ:どちら側から見た断面か分からず、形を逆に読む。対策:切断線の両端に矢印と記号を付け、断面図に同じ記号を書く。[17]
JIS と ASME米国(ANSI 式)の教材では切断線を太い線で描き、矢印で見る向きを示す。ISO・JIS 式は細い一点鎖線で端部だけ太い。
[14][13] 規格:JIS B 0001:2019 の 6.2 と 10.2「断面図」。[7]
関連:全断面図組合せによる断面図
ハッチングはっちんぐhatching / section lines / section lining
断面の切り口など、図形の限られた部分をほかと区別するために、細い実線を規則的に並べたもの。[13][14]
図面への書き方
- 細い実線を等間隔に並べる切り口の範囲を細い平行線で埋める。[13][14]
- ねじ部は山の頂の線までねじの断面では、ハッチングをねじ山の頂を表す太い実線まで延ばす。[22]
- 切らない部品にはかけない軸・ピン・ボルト・キーなど長手方向に切らない部品や、薄いリブ・スポークには切り口のハッチングをかけない。[17][16]
よくある間違い
- ねじ部のハッチングを谷の線で止めるなぜ:ねじの山の頂と谷の判別がつかなくなる。対策:ハッチングは山の頂の太線まで延ばす。[22]
規格:JIS B 0001:2019 の 6.2 と 10.2「断面図」。[7]
関連:全断面図長手方向に切断しない部品
特殊指定線とくしゅしていせんthick chain line / chain line
熱処理など特別な要求を適用する範囲を示す線。太い一点鎖線で描く。[13][14]
図面への書き方
- 範囲に沿って太い一点鎖線を引く要求を適用する範囲に沿って太い一点鎖線を引き、引出線で要求の内容を注記する(JIS B 0001:2019 には 11.11「加工・処理範囲の表示」の項がある)。[13][14][7]
例軸の軸受部だけ焼入れする:その範囲の外形に沿って太い一点鎖線を引き、範囲の長さを寸法で入れ、「高周波焼入れ」と注記する。
(資料の決まりから組み立てた例)[13][14] JIS と ASME米国の教材では同じ太い一点鎖線を、特別な処理範囲のほか突出公差域の範囲表示にも使う。JIS 系の解説(キーエンス)は突出部を細い二点鎖線で描く。
[14][23] 規格:JIS B 0001:2019 の 6.2 と 11.11「加工・処理範囲の表示」。[7]
関連:線の種類と太さ突出公差域
線の優先順位せんのゆうせんじゅんいprecedence of lines
種類の違う線が同じ位置で重なったときに、どの線を描くかの決まり。外形線はかくれ線・中心線より優先し、かくれ線は中心線より優先する。[14]資料1件・参考
図面への書き方
- 重なったら上位の線だけ描く外形線、かくれ線、中心線の順に優先し、上位の線だけを残す。[14]
よくある間違い
- 重なった線を両方描こうとするなぜ:線が二重になって、どちらの形か判別できなくなる。対策:優先する線だけを描く。[14]
規格:JIS B 0001:2019 の 6.3「線の優先順位」(プレビューでは順位の細目まで確認できず)。[7]
関連:線の種類と太さ
全断面図ぜんだんめんずfull section
品物を一つの平面で完全に切ったと考え、切り口と、その奥に見える形を描いた断面図。[16][17]
図面への書き方
- 基本中心線で切るのが原則断面は基本中心線で切って描くのが原則。それ以外で切るときは切断線で位置を示す。[17]
- 切り口にハッチング切り口を細い実線のハッチングで示す。[13][16]
よくある間違い
- 全断面と片側断面を取り違えるなぜ:半分だけ切った片側断面を「半分に切った全断面」と呼ぶ取り違えがよくある。対策:全体を切るのが全断面、中心線を境に半分を断面にするのが片側断面と使い分ける。[16]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.2「断面図」、ISO 128-3。[7][9]
関連:片側断面図切断線ハッチング
片側断面図かたがわだんめんずhalf section
対称な品物を、対称の中心線を境に半分は外形、半分は断面で描いた図。外側と内側の形を1つの図で示せる。[16]資料1件・参考
図面への書き方
- 対称中心線を境にする中心線の片側を断面、反対側を外形として描く。[16]
よくある間違い
- 片側断面を全断面と呼ぶなぜ:断面の範囲を取り違えて読む。対策:名前と範囲を正しく使い分ける。[16]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.2「断面図」。[7]
関連:全断面図
部分断面図ぶぶんだんめんずbroken-out section / local section
外形図の一部だけを破って、必要な範囲の内部を断面で見せる図。境界は破断線で示す。[16][14][13]
図面への書き方
- 見せたい範囲だけ破る不規則な細い波形の破断線で範囲を区切り、その中だけをハッチングする。[14][13]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.2「断面図」。[7]
関連:破断線
回転図示断面図かいてんずしだんめんずrevolved section / removed section
アーム・リブ・軸などの切り口を90°回転させて示す断面図。図形の中に重ねて描く方法と、図形の外に取り出して描く方法がある。[13][16]
図面への書き方
- 図の中に重ねるときは細い実線切り口を90°回して図形内に重ねるときは、その外形を細い実線(回転断面線)で描く。[13]
- 図の外に描くときは位置を示す切断位置を切断線か中心線の延長で示し、離れた所に描くときは記号で対応させる。[16][17]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.2「断面図」。[7]
関連:全断面図
組合せによる断面図くみあわせによるだんめんずoffset section / aligned section
一直線上に並んでいない穴や溝を1つの断面図で見せるため、切断面を途中で曲げたり組み合わせたりして切った断面図。[16][17]
図面への書き方
- 切断線を曲げる切断線を途中で折り曲げ、曲がり角を太い線にする。[17][13]
- 断面図に折れ目は描かない断面図の上では、切断面の折れ目の線は描かない。[16]
- 周囲に並ぶ形は回して示す中心の周りに並ぶ穴やリブは、切断面の上に回して実形で示すことがある。[16]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.2「断面図」。[7]
関連:切断線
長手方向に切断しない部品ながてほうこうにせつだんしないぶひんparts not sectioned
断面図の中でも、切っても理解の助けにならない部品は切らずに外形で描く。軸・ピン・ボルト・ナット・リベット・キーなどが当たり、薄いリブやスポークも切り口として扱わない。[17][16]
図面への書き方
- 外形のまま描く断面図の中でも、これらの部品は切らずに外形線で描き、ハッチングしない。[17][16]
よくある間違い
- 組立図の断面でボルトや軸までハッチングするなぜ:部品の境界が分かりにくくなる。対策:ボルト・軸・キーなどは長手方向に切らず外形で描く。[17]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.2「断面図」。[7]
関連:ハッチング
対称図示記号たいしょうずしきごうsymmetry symbol / symmetry line
対称な品物の片側だけを描くとき、省略したことを示す記号。対称中心線の両端に、中心線と直角な短い平行2本線を付ける。[14]資料1件・参考
図面への書き方
- 片側だけ描く対称中心線より片側の形だけを描く。[14]
- 中心線の両端に2本線中心線の両端に、直角な短い平行線を2本ずつ描く。[14]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.3「図形の省略」、JIS Z 8317-1 の 7.8「対称部品」(プレビューでは細目まで確認できず)。[7][18]
関連:繰返し図形の省略
繰返し図形の省略くりかえしずけいのしょうりゃくrepetitive features / equally spaced features
同じ形の穴などが並ぶとき、両端や要点だけを描いて、ほかはピッチ線と中心線で位置を示し、個数を数字で指示する省略法。[20][24]
図面への書き方
- 両端または要点だけ描く読み誤りのおそれがなければ、両端(片側は1ピッチ分)や要点だけを実形で描く。[20]
- 個数は「総数-寸法」引出線で「6-φ9」のように、総数・短線・穴の寸法の順に書く。[20][1]
- 円周上に等配するときピッチ円の直径と個数、等配であることを示す(米国の教材では EQL SP と略す)。[24]
例ピッチ円 φ60 上に φ6.6 の穴を6個等配:ピッチ円を細い一点鎖線で描き、穴は1個だけ描いて引出線で「6-φ6.6」と書き、ピッチ円直径 φ60 を寸法で入れる。
(資料の決まりから組み立てた例)[20][24] よくある間違い
- 角の穴を外形の円弧に沿って配置するなぜ:穴ごとに位置出しが必要になり、加工費が上がる。対策:辺の交点など、位置出しをまとめてできる位置に置く。[20]
規格:JIS Z 8317-1 の 7.7「等間隔の繰返し図形」、JIS B 0001:2019 の 10.3「図形の省略」・11.14「同一形状の寸法」。[18][7]
関連:穴の寸法の表し方ボルト穴・ねじ穴の配置
中間部の省略ちゅうかんぶのしょうりゃくconventional break / long break
軸や形鋼のように同じ断面が長く続く部分を、破断線で切り取って短く描く省略法。大きな尺度で描けるようになる。[14][13]
図面への書き方
- 一様な部分を2本の破断線で切り取る平行な2本の破断線の間を省く。[14]
規格:JIS B 0001:2019 の 10.3「図形の省略」。[7]
関連:破断線
尺度しゃくどscale
図に描いた長さと実物の長さの比。表題欄に「1:2」のように記入する。図の大きさではなく、記入した寸法数値で形を読む。[2][5][11]
図面への書き方
- 表題欄に書く現尺は 1:1、縮尺は 1:2 などと書く。[2]
- 詳細図は別の尺度で小さい部分を拡大した詳細図には、その図の近くに尺度を書く(例:B部詳細(2:1))。[5]
よくある間違い
- 図から寸法を測らせるなぜ:尺度違いや印刷の伸縮で実物と合わない。対策:必要な寸法はすべて数値で記入する。[11]
- スライド作成ソフトなどで描くなぜ:縦横比や縮尺が記入した寸法と食い違い、見た目と完成品にずれが出る。対策:CAD で描き、使ったソフトを確認する。[3]
規格:JIS B 0001:2019 の 9「尺度」(尺度の規格は JIS Z 8314)。尺度に比例しない寸法は JIS Z 8317-1 の 7.10。[7][18]
関連:表題欄
表題欄ひょうだいらんtitle block
図面の右下に置き、部品名・図番・尺度・投影法・材料・数量・作成者と日付・検図や承認などを書く欄。[2][6]
図面への書き方
- 右下に配置図枠の右下に置く。[6][2]
- 記入する項目部品名(組立図なら製品名)、用紙サイズ、尺度、図番、数量、材料、投影法の記号、製図者・検図者・承認者と日付、社名。[2]
- 普通公差・表面性状の欄表題欄の近くに普通公差の欄や表面性状の一括指示を置く図枠が多い。[2][6]
よくある間違い
- 投影法や尺度を空欄にするなぜ:読み手が投影法や縮尺を推測することになり、誤読の元になる。対策:投影法記号と尺度は必ず記入する。[3][2]
JIS と ASME米国の教材では、表題欄の公差欄で「小数点以下の桁数ごと」に許容差を決める方式(例:2桁なら ±0.02)が紹介されている。JIS は普通公差の規格と等級で一括指示する。
[6][25] 規格:JIS B 0001:2019 の 5.2「図面の様式」(用紙と様式は JIS Z 8311)。[7]
関連:尺度第三角法普通公差
図面の訂正・変更ずめんのていせい・へんこうdrawing revision / drawing change
発行後に図面を直すとき、どこを何回目に直したかを図上に残すこと。島根大学の教材では、訂正箇所に三角形の中へ訂正回数の数字を入れた記号(三角訂正)を付ける例を示している。[2]資料1件・参考
図面への書き方
- 訂正箇所に記号を付ける直した寸法などの近くに、三角形の中に訂正回数を入れた記号を付ける。[2]
規格:JIS B 0001:2019 の 14「図面の訂正・変更」(プレビューでは細目まで確認できず)。[7]
関連:表題欄
組立図と部品図くみたてずとぶひんずassembly drawing / detail drawing / part drawing
組立図は部品の組み合わせ方と主な関係寸法を示す図、部品図は1つの部品を作るための形・寸法・公差・材料・仕上げをすべて示す図。部品図は加工指示書に当たる。[1][26][7]
図面への書き方
- 組立図で寸法を決めてから部品図へ組立図で各部品の寸法を決め、その情報から部品図を描く。[1]
- 全体組立図には代表寸法装置全体の外形や、扉を開いた状態の幅など、搬入やレイアウトに使う代表寸法を入れる。[26]
- サブユニット組立図は関係寸法を多めに組立状態の関係寸法を多く入れておくと、部品図の照合がしやすい。[26]
よくある間違い
- 部品図を自分だけが分かる略図で済ませるなぜ:加工者に意図が伝わらず、作り直しになる。対策:誰が見ても同じ物が作れる部品図にする。[1]
規格:JIS B 0001:2019 は主として部品図と組立図の製図を対象とする(適用範囲)。[7]
関連:表題欄
φ寸法補助記号すんぽうほじょきごうdimensioning symbols
寸法数値の前に付けて、その寸法が何を表すか(直径・半径・正方形の辺・面取り・板厚・ざぐり・穴深さなど)を示す記号。[21][27]
図面への書き方
- 数値の前に書く記号は寸法数値の前に書く。[21]
- 記号と読み方φ(まる・ふぁい)直径、Sφ(えすまる)球の直径、□(かく)正方形の辺、R(あーる)半径、CR(しーあーる)コントロール半径、SR(えすあーる)球の半径、⌒(えんこ)円弧の長さ、C(しー)45°の面取り、t(てぃー)厚さ、⌴(ざぐり・ふかざぐり)、⌵(さらざぐり)、↧(あなふかさ)。[21]
- 2010年改正で加わった記号CR・ざぐり・皿ざぐり・穴深さの記号は JIS B 0001:2010 で加わった。[21]
よくある間違い
- 半円以下の円弧に φ を使うなぜ:φ は180°を超える円弧や円の直径に使う記号。対策:180°以下の円弧は半径 R で指示する。[21]
JIS と ASME米国の教材でも正方形(□)、ざぐり(⌴)、皿ざぐり(⌵)、深さ(↧)は同じ形の記号を使う。ASME はざぐり記号に SF を添えて浅いスポットフェースを区別するが、JIS はざぐりと深ざぐりを同じ記号で表す。
[27][21][28] 規格:JIS B 0001:2019 の 11.6「寸法補助記号」、JIS Z 8317-1 の 7.1〜7.6。[7][18]
関連:ざぐり・深ざぐり皿ざぐり穴深さ記号コントロール半径面取り(C面取り・角の丸み)
⌴ざぐり・深ざぐりざぐり・ふかざぐりcounterbore / spotface
穴の入口側を一段大きな径で削ったもの。ボルトの頭を沈めるための深いものを深ざぐり、ボルトやナットが当たる座面を平らにするための浅いものをざぐりという。[27][21][29]
図面への書き方
- 穴の指示に続けて記号で穴の径と、⌴ に続けたざぐり径、↧ に続けた深さを引出線で一続きに書く(並べ方の細目は JIS B 0001 の 11.7「穴の寸法の表し方」)。[21][27][7]
JIS と ASMEASME はスポットフェース(浅いざぐり)を ⌴ に SF を添えて区別する(キーエンスも「浅座ぐり(ASME のみ)」の記号として SF を挙げる)。JIS はざぐり・深ざぐりとも ⌴ で表す。
[27][28][21] 規格:JIS B 0001:2019 の 11.6・11.7。ボルト穴とざぐりの径は JIS B 1001「ボルト穴径及びざぐり径」。[7][21][30]
関連:寸法補助記号ばか穴(ボルト通し穴)穴の寸法の表し方
⌵皿ざぐりさらざぐりcountersink
皿ねじの頭を沈めるため、穴の入口を円すい状に広げたもの。[27][21]
図面への書き方
- 記号 ⌵ に続けて入口の径と角度皿ざぐりの入口の直径と開き角を示す。[27][24][21]
JIS と ASMEASME も同じ ⌵ 記号を使う(以前は CSK と略記していた)。
[27] 規格:JIS B 0001:2019 の 11.6・11.7。[7][21]
関連:寸法補助記号
↧穴深さ記号あなふかさきごうdepth symbol
穴・ざぐり・溝の深さを示す記号。↧ に続けて深さの数値を書く。[21][27]
図面への書き方
- 記号の後に深さ穴径やざぐりの指示に続けて、↧ の後に深さの数値を書く。[21][27]
JIS と ASMEASME も同じ形の深さ記号を使い、古い図面では DP と略記されていることがある。
[27] 規格:JIS B 0001:2019 の 11.6・11.7(JIS B 0001:2010 で記号化)。[7][21]
関連:寸法補助記号穴の寸法の表し方
CRコントロール半径こんとろーるはんけいcontrolled radius / CR
直線部と円弧部が滑らかにつながり、半径が最大と最小の許容半径の間に収まるように規制する半径の指示。CR に続けて半径を書く。[21]資料1件・参考
図面への書き方
- CR に続けて半径半径の数値の前に CR を書く。[21]
JIS と ASMEASME Y14.5-2018 では半径公差の扱いが変更されている(5.16)。
[31] 規格:JIS B 0001:2019 の 11.6(JIS B 0001:2010 で追加)。[7][21]
関連:寸法補助記号
直列寸法記入法ちょくれつすんぽうきにゅうほうchain dimensioning
形体から次の形体へと、寸法を順につないで記入する方法。各寸法の公差が足し合わされるので、端から端までの距離のばらつきが大きくなる。[11][32]資料1件・参考
図面への書き方
- 一直線上に寸法線を連ねる隣り合う形体どうしの寸法を順に並べる。[11]
- 全長が要るなら参考寸法全長も公差付きで入れると矛盾するので、どれか1つを省くか括弧付きの参考寸法にする。[32][3]
例直列に並ぶ3つの長さが各 ±0.1 なら、両端の間の長さは最大 ±0.3 ばらつき得る。
(資料の決まりから組み立てた例)[32] よくある間違い
- 機能上重要な距離を直列寸法でつなぐなぜ:公差が累積し、重要な距離が狙いから外れる。対策:重要な距離は基準から直接(並列寸法で)指示するか、TED と位置度で指示する。[32][1][33]
規格:JIS Z 8317-1:2008 の 8.4「直列寸法記入法」。[18]
関連:並列寸法記入法公差の累積参考寸法
並列寸法記入法へいれつすんぽうきにゅうほうparallel dimensioning / baseline dimensioning
共通の基準(端面や中心)から各形体までの寸法を並べて記入する方法。個々の寸法の公差がほかの寸法に影響しない。[11][1][34]
図面への書き方
- 基準面を決める組立で当てる面、けがきや測定の起点、工作機械のテーブルに当てる面を意識して基準を選ぶ。[1]
- 基準から各位置まで寸法を入れる同じ基準から各形体までの距離を並べて記入する。[11][1]
例左端面を基準に、段の位置を 20・45・80 のように左端からの距離で入れると、どの段の位置も ±公差の範囲で直接決まる。
(資料の決まりから組み立てた例)[11] 規格:JIS Z 8317-1:2008 の 8.2「並列寸法記入法」(累進寸法記入法 8.3、座標寸法記入法 8.5 も基準からの書き方)。[18]
関連:直列寸法記入法基準面(加工・組立・機能の基準)座標寸法記入法
座標寸法記入法ざひょうすんぽうきにゅうほうcoordinate dimensioning / tabular dimensioning / hole table
基準からの X・Y 座標で穴などの位置を示し、表にまとめて記入する方法。穴の多い部品で図を煩雑にしない。[11]資料1件・参考
図面への書き方
- 穴に記号を付けて表にまとめる各穴に記号を付け、基準からの X・Y 座標と穴の寸法を表にまとめる。[11]
規格:JIS Z 8317-1:2008 の 8.5「座標寸法記入法」、5.8「表形式寸法記入法」。[18]
関連:並列寸法記入法
参考寸法さんこうすんぽうreference dimension / REF
理解を助けるために入れる、公差の付かない寸法。数値を括弧で囲んで示し、合否判定には使わない。[32][3]
図面への書き方
- 括弧で囲む(25)のように数値を括弧で囲む。[32]
- 重複・矛盾する寸法に使うほかの寸法から計算できる寸法や、普通公差を当てると矛盾が出る寸法を参考寸法にする。[32][3]
よくある間違い
- 参考寸法で合否を判定するなぜ:参考寸法は公差を持たず、ほかの寸法の公差が累積した値になる。対策:合否はほかの公差付き寸法で判定する。[32]
JIS と ASME米国の教材では括弧のほか、数値の後に REF と書く方法も紹介されている。
[32] 規格:JIS Z 8317-1:2008 の 7.11「参考寸法」。[18]
関連:重複寸法直列寸法記入法
重複寸法ちょうふくすんぽうover-dimensioning / duplicate dimension
同じ寸法を複数の図に書いたり、全長と各部の寸法をすべて公差付きで書いたりして、寸法が二重に決まっている状態。図面が煩雑になり、公差どうしが矛盾する。[3][32][1]
図面への書き方
- 1つの寸法は1か所に同じ寸法はいちばん形がよく見える図に1回だけ書く。[3][1]
- 全長は参考寸法に各部の寸法から決まる全長は、括弧付きの参考寸法にする。[32][3]
よくある間違い
- 全長と各段の寸法をすべて公差付きで書くなぜ:各段の公差の合計と全長の公差がかみ合わず、どれを守ればよいか決められない。対策:重要でない寸法を1つ省くか参考寸法にする。[32][3]
- 同じ寸法を正面図と側面図の両方に書くなぜ:図面が煩雑になり、訂正時に片方だけ直して食い違う。対策:1つの寸法は1か所だけに書く。[3][1]
規格:JIS Z 8317-1:2008 の 4「寸法記入及び公差記入の原則」。[18]
関連:参考寸法
穴の寸法の表し方あなのすんぽうのあらわしかたhole callout
穴の径・個数・深さ・ざぐりなどを、穴の位置から引いた引出線に記号で続けて書く表し方。JIS B 0001:2010 で穴深さ・ざぐり・皿ざぐりが記号で書けるようになった。[21][20][1]
図面への書き方
- 個数は総数と短線「4-φ5.5」のように総数・短線・寸法の順に書く。[20][1]
- 深さとざぐりは記号で↧ 深さ、⌴ ざぐり、⌵ 皿ざぐりを使う。[21]
よくある間違い
- 組み付ける相手の穴まで両方ねじ穴にするなぜ:ボルトが両方にかみ合い、組み立てられない。対策:片側はボルトを通すばか穴にし、ねじ穴は相手側だけにする。[3][1]
規格:JIS B 0001:2019 の 11.7「穴の寸法の表し方」。[7]
関連:ざぐり・深ざぐり穴深さ記号ばか穴(ボルト通し穴)繰返し図形の省略