表面性状
表面性状の図示記号、要求事項の位置、Ra・Rz の書き方。7 語。用語ごとに、意味・図面への書き方・具体例・よくある間違い・JIS と ASME の違いをまとめています。
√表面性状の図示記号ひょうめんせいじょうのずしきごうsurface texture symbol
面の粗さ・除去加工の要否・筋目方向・加工方法などをまとめて指示する記号。60°に開いた長さの違う折れ線が基本で、除去加工が必要な面は三角形を閉じた記号、除去加工をしない面は円を入れた記号を使う。[1][2][3]
図面への書き方
- 3種類の記号を使い分ける除去加工の有無を問わない面は基本記号、除去加工が必要な面は三角形を閉じた記号、除去加工をしない面は円を入れた記号。[1][2][3]
- 記号のまわりの位置に要求を書くa:通過帯域または基準長さ・パラメータとその値、b:2つ目以降のパラメータ、c:加工方法、d:筋目とその方向、e:削り代。[2][1][3]
- 対象の面に当てる記号は対象面を表す外形線、その延長線、または引出線に当てる(向きの決まりと図示例は JIS B 0031 とミスミの抜粋)。[2]
- 大部分が同じなら一括部品の大部分が同じ要求なら表題欄付近に一括で書き、違う面だけ個別に書く。[2][4]
例キーエンスの研削面の図示例:除去加工の記号の長い線の上に「研削」、その下に「0.008-0.8/Rz6 4.8」、記号の左に削り代「3」、右下に筋目記号「⊥」。
[1] よくある間違い
- パラメータ記号を書かずに数値だけ書くなぜ:Ra か Rz かで、同じ数値でも意味がまったく変わる。対策:「Ra 3.2」のようにパラメータ記号と値を書く。[2][1]
JIS と ASME米国は ASME Y14.36 で表面性状の記号を定める(細部の違いは本調査では確認できず)。
[9] 規格:JIS B 0031:2003(ISO 1302:2002 に一致、2022年に追補)。ISO 1302 は廃止され、ISO 21920-1:2021 に置き換わっている。[5][6][7][8]
関連:表面性状の要求事項の書き方筋目方向の記号算術平均粗さ Ra大部分が同じ表面性状の簡略図示
表面性状の要求事項の書き方ようきゅうじこうのかきかたindication of surface texture requirements
記号の a の位置に書く要求事項の並び。上限・下限の区別、フィルタの種類、通過帯域(λs−λc)、パラメータ記号、評価長さ(基準長さの数、標準は5)、判定ルール(16%ルールか max)、許容限界値の順に書き、標準どおりの項目は省略する。[1][2]
図面への書き方
- 標準どおりなら省略標準条件の項目は省き、必要な項目だけを書く。[1]
- 上限・下限上限は U、下限は L。両方を指示するときは2段に書く。[1][2]
- 最大値ルールは maxどの測定値も超えてはならないときはパラメータ記号の後に max を付ける。[1][2]
例「U "X" 0.008-0.8/Rz 6 max 4.8」:上限値、フィルタ X、通過帯域 0.008〜0.8 mm、最大高さ Rz、評価長さは基準長さ6個分、最大値ルール、許容限界 4.8 µm。普段は標準条件の項目を省いて「Rz 4.8」のように書く。
[1] 規格:JIS B 0031:2003。判定ルールは JIS B 0633:2003(ミスミが引用)。[5][2]
関連:表面性状の図示記号16%ルールと最大値ルール
算術平均粗さ Raさんじゅつへいきんあらさarithmetical mean roughness / Ra
基準長さの粗さ曲線について、平均線からの高さの絶対値を平均した値(単位 µm)。[10][3]
図面への書き方
- 記号の a の位置に書く「Ra 3.2」のように、パラメータ記号の後に値を書く。[2][4]
例島根大学の歯車部品図:全体を Ra 6.3 とし、一部の面に Ra 3.2・Ra 1.6 を個別に指示して、上部に「Ra 6.3(Ra 3.2、Ra 1.6)」と一括表示している。
[4] よくある間違い
- Ra だけで表面の機能を保証できると考えるなぜ:Ra は平均値なので、凹凸の形の情報を持たず、山と谷の区別もしない。対策:必要に応じて Rz など高さのパラメータを併記する。[11]
規格:定義は JIS B 0601:2013、図示は JIS B 0031。[12][6]
関連:最大高さ粗さ Rz(旧 Ry)と RzJIS表面性状の図示記号
=筋目方向の記号すじめほうこうのきごうlay symbols / direction of lay
除去加工の刃物の跡(筋目)の方向を指示する記号。= は投影面に平行、⊥ は投影面に直角、X は斜めに2方向に交差、M は多方向に交差、C は面の中心に対してほぼ同心円状、R はほぼ放射状、P は粒子状のくぼみ・突起または無方向。[2][1]
図面への書き方
- 記号の d の位置に書く表面性状の図示記号の右下(d の位置)に筋目記号を書く。[2][1][3]
例形削り・旋削・研削面で筋目を投影面に直角にしたいときは「⊥」、正面フライス・エンドミル削り面は「M」、正面旋削の端面は「C」、端面研削は「R」、放電加工・ブラスト面は「P」。
[2][1] よくある間違い
- 筋目の向きが機能に効く面で方向を指示しないなぜ:加工者は工程の都合で方向を選ぶので、意図と違う向きになる。対策:筋目が機能上重要な面だけ、記号で方向を指示する。[11]
規格:JIS B 0031:2003。[5][2]
関連:表面性状の図示記号
16%ルールと最大値ルールじゅうろくぱーせんとるーる16% rule / max rule
表面性状の合否の決め方。16%ルールは、測った値のうち上限を超えるものが16%以下なら合格とする既定のルール。最大値ルールは、パラメータ記号に max を付けて指示し、どの測定値も上限を超えてはならないとする。[2][3]
図面への書き方
- 既定は16%ルールmax を付けなければ16%ルールになる。[2][3]
- 最大値ルールは max「Rz max 4.8」のように max を付ける。[2][1]
例ミツトヨ米国が紹介する16%ルールの手順:1回目が上限の70%未満なら合格。そうでなければ2か所追加し、3つとも上限未満なら合格。まだ決まらなければ9か所追加し、計12か所のうち上限超えが2つ以下なら合格。
[3] よくある間違い
- 1回測って上限を少し超えたら即不合格にするなぜ:16%ルールでは追加測定で判定する手順になっている。対策:図面に max がなければ16%ルールの手順で判定する。[3][2]
規格:JIS B 0633:2003(ミスミが引用)、ISO 4288。[2][3]
関連:表面性状の要求事項の書き方
大部分が同じ表面性状の簡略図示かんりゃくずしsimplified indication of surface texture
部品の大部分が同じ表面性状のとき、その要求を表題欄付近に1つ書き、続く括弧の中に個別に指示した要求を並べる(または基本記号だけを入れる)省略法。[2][4]
図面への書き方
- 表題欄付近に一括大部分の面の要求を書き、続く括弧の中に個別に指示した要求を並べる(または基本記号だけを入れる)。[2][4]
例「Ra 6.3(Ra 3.2、Ra 1.6)」:括弧の外が大部分の面、括弧の中が図中で個別に指示した面の要求。
[4][2] 規格:JIS B 0031:2003。[5][2]
関連:表面性状の図示記号