ケズリバ(kezuriba.net)/maintenance/gear-cutting/accuracy/ より印刷
歯切り盤の精度の点検
水平出し・主軸の振れ・ボールバーなど。規格と測り方。周期・油種・数値は機械メーカー・工具メーカーの指定と、手元の機械の取扱説明書が最優先。ここにある値は公開資料に載っていた例。油性切削油の貯蔵・取扱いは消防法と市町村の火災予防条例に従い、管轄の消防署の指導を受けること
⌖点検のしかた
- ホブ盤の精度を規格の項目で確かめるホブ盤
道具規格の試験方法による(幾何精度・工作精度は ISO 230-1 の方法)
やり方幾何精度、工作精度(試し削りの歯車を測る)、運動精度(ホブ軸とテーブルの回転の伝達の正確さ)の3つで見る
許容値JIS B 6216・ISO 6545 の許容値(本文は有料のため読んでいない)
受入れのときと、オーバーホール・大きな修理のあとに。ISO 6545 は機械の主な要素の用語も決めている
- ホブ盤に付けたホブのボスの振れを測るホブ盤
道具ダイヤルゲージ(てこ式)
やり方アーバの振れを先に確かめ、ホブ両端のボスの外周と端面にゲージを当てて回す。両端の振れの向きが同じなら偏心、逆なら倒れ(ウォブル)
許容値ホブの等級ごとの許容値(Cluff が引く米国 AGMA のホブ規格はボスの振れを等級別に決めている。日本のホブの精度規格は JIS B 4355)
Cluff は、取付けや刃付けのときのホブの振れが、ホブ切りの歯形の悪化の最大の原因としている
- 刃付けしたホブの溝分割・向心度(すくい)・溝のリードを測るホブ盤
道具両センタ台、ストレートマンドレル、てこ式ダイヤルゲージ(目量 0.002 mm)2個、ブロックゲージ、マイクロメータ(ホブの専用測定機があればそれ)
やり方溝分割と向心度の測り方は工具の手入れの項目のとおり。溝のリードの誤差はホブの外径の先細り(テーパ)として現れるので、同じ列の両端の歯の高い所の読みの差から間接に見つけられる(Moderow)
許容値JIS B 4355・ISO 4468 の等級ごとの許容値
刃付けの誤差は肉眼では見えないので、刃付けのたびに測る(Moderow)
- ホブをシフトしながら歯厚の変化を見るホブ盤
道具オーバーピン(ボール)マイクロメータ、またぎ歯厚マイクロメータ
やり方シフトの始めと終わり(あるいは一定個数ごと)の歯厚を記録して比べる
許容値歯厚の公差
刃付けで溝のリードを誤ったホブは先細りになり、シフトにつれて歯厚が変わる(Cluff・Liston)。マルチシフトでは、ホブの振れの影響で歯厚・歯形が変わるおそれがある(ニデックマシンツール)
- 冷えた状態から温まった状態までの歯厚の動きを確かめるホブ盤
道具オーバーピン(ボール)マイクロメータ
やり方始業直後から一定時間ごとに歯厚を測って記録する
許容値歯厚の公差(カシフジは、補正装置を使って冷えた状態からでもオーバーピン寸法を ±10 µm 以内にできるとしている)
熱変位の補正や主軸・テーブル軸の冷却が働いているかの確かめにもなる
- 歯形の合否は、同じ測定機・同じ歯・同じ管理点でそろえて判定するシェービング盤
道具歯車試験機
やり方試し削りの判定がずれたら、測定機の違い(機差)、測った歯の違い、歯形の管理点の違いを先に疑う。試し削りの機械の違い、加工条件の違い、前加工(下切り)の精度の違いも確かめる(ニデックマシンツール)
許容値—
測定機そのものの検査の規格は JIS B 1758(歯車測定機の受入検査)
- 研削した歯面の研削焼け(表面焼戻し)を化学的エッチングで検査する歯車研削盤
道具JIS B 1756 の装置・試薬
やり方規格の手順による(本文は有料)
許容値図面・顧客の指示による
目では見えない軽い研削焼けを見つける方法で、熱処理後のハードターニングや、浸炭・脱炭の異常の発見にも使える(プレビュー)
- 削った歯車の歯形・歯すじのチャートを読み、工具・機械の原因を切り分ける共通
道具歯車試験機(歯形・歯すじ・ピッチの測定)
やり方歯形は全歯形誤差・歯形形状誤差・歯形勾配誤差、歯すじは全歯すじ誤差・歯すじ形状誤差・歯すじ傾斜誤差の3つずつで読む(評価範囲の中の平均線を基準にする)。歯形が倒れている(勾配誤差)ならすくい角・向心度・ボスの振れ、うねっているなら溝分割・ボスの振れ・ホブ穴、歯すじの不良なら機械の精度・取付具、を疑う(ニデックマシンツールの不具合表)
許容値図面の精度等級(JIS B 1702-1)
記号は JIS・ISO と DIN で違う(JIS・ISO の fHα・Fα・ffα に対し DIN は fHα・Ff・ff など)。チャートの読み方の図はニデックマシンツールの資料にある
- 定期点検で軸のアライメント・振れ・レベル・基準位置を測って直す共通
道具メーカーの点検道具
やり方Gleason の点検は、簡易点検で軸のアライメントと振れを、上位の点検で機械のレベル出し、幾何精度と基準位置の調整まで行う。同社は、各軸の基準寸法の求め方と機械データへの入力、よくある誤りとその影響を講座で教えている。カシフジはオーバーホールで各ユニットの精度を点検し、重要な部品の精度を入念に確かめ直す
許容値機種ごとの検査成績書・規格の許容値
≡関係する規格
- ホブ盤JIS B 6216:1998 ホブ盤―精度検査/ISO 6545:1992(修正採用=MOD)。原案作成は日本工作機械工業会。JIS は 2023 年に確認ISO 6545 は、ホブ盤の幾何精度の試験と工作精度の試験(ISO 230-1 による)に加えて、運動の伝達の正確さを見る運動精度の試験を決めている。ISO 側は見直し予定(90.92)で、改訂版が作業中。ISO の工作機械の精度試験の一覧(ICS 25.080.20)で歯車工作機械の規格はこれだけで、歯車形削り盤・歯車研削盤・シェービング盤の精度試験の ISO・JIS は見つからなかった[1][2][3]
- ホブ盤JIS B 4355:2016 歯車用ホブの精度/ISO 4468:2009(MOD)。ISO 側は 2020 年版(第3版)が現行JIS はモジュール 0.1〜40、基準圧力角 20°、1〜7条、外径 24〜400 mm、全長 8〜510 mm のホブの精度と試験方法の規格(プレビュー)。ISO 4468:2020 はモジュール 0.5〜40 の一般用ホブを 4A・3A・2A・A・B・C・D の7等級(4A が最高)に分け、要素ごとの試験と、切れ刃に沿った総合試験の許容値を決めている。刃付け後の検査の方法(溝分割・向心度)もここにある[4][5][6]
- ホブ盤JIS B 4354:2013 歯車用ホブ―第1部:むくホブの形状・寸法/ISO 2490:2007(MOD)ホブの穴径・ボスなどの寸法の規格。題名と対応 ISO だけを確かめた(本文は有料)[7](資料1件・参考)
- 歯車形削り盤JIS B 4356:2024 ピニオンカッタモジュール 0.2〜12 mm、基準圧力角 20° のインボリュート平歯車・はすば歯車用のピニオンカッタの規格。2024 年に改正(2009 年版を置き換え)。JSA の書誌では対応国際規格を確かめられなかった[8][9](資料1件・参考)
- シェービング盤JIS B 4357:2000 丸形シェービングカッタ(2026 年に確認)JSA の書誌では対応国際規格を確かめられなかった[10](資料1件・参考)
- 共通JIS B 1702-1:2016 円筒歯車―精度等級―第1部:歯車の歯面に関する誤差の定義及び許容値/ISO 1328-1:2013(MOD)削った歯車の精度の基準。歯車の精度の詳しい内容はケズリバの歯車のページにある[11](資料1件・参考)
- 共通JIS B 1758:2013 歯車測定機の受入検査歯車の精度を測る測定機そのものの検査の規格。ピニオンカッタの規格(JIS B 4356)もこれを引用している[12][9](資料1件・参考)
- 歯車研削盤JIS B 1756:2017 歯車―研削後の表面焼戻しの化学的エッチング検査方法/ISO 14104:2014(MOD)。原案作成は日本歯車工業会目で見えない程度の軽い研削焼け(表面焼戻し)を、化学的エッチングで見つける方法。通常の硬さ試験より表面硬さの変化に敏感で、表面焼戻しの検出にはこの方法が望ましいとしている。鉄鋼製の歯車が対象(プレビュー)[13][14](資料1件・参考)
- 共通JIS B 6016-2:1998 工作機械―潤滑システム/ISO 5170:1977(MOD)。潤滑指示図の表示方法は JIS B 6016-1:1998題名と対応 ISO だけを確かめた(本文は有料)[15](資料1件・参考)
規格の本文は有料のため、許容値は機械メーカーが公開している社内基準などで書いています。規格の対応は 規格の対応表 も見てください。
📚出典
印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 6216:1998 ホブ盤―精度検査(書誌)」
- 国際標準化機構(ISO)「ISO 6545:1992 Acceptance conditions for gear hobbing machines — Testing of the accuracy」
- 国際標準化機構(ISO)「ICS 25.080.20 Boring and milling machines(規格一覧。歯車工作機械の精度試験は ISO 6545 だけ)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 4355:2016 歯車用ホブの精度(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 4355:2016 プレビュー(序文・適用範囲)」
- 国際標準化機構(ISO)「ISO 4468:2020 Gear hobs — Accuracy requirements」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 4354:2013 歯車用ホブ―第1部:むくホブの形状・寸法(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 4356:2024 ピニオンカッタ(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 4356:2024 プレビュー(適用範囲・引用規格)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 4357:2000 丸形シェービングカッタ(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 1702-1:2016 円筒歯車―精度等級―第1部:歯車の歯面に関する誤差の定義及び許容値(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 1758:2013 歯車測定機の受入検査(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 1756:2017 歯車―研削後の表面焼戻しの化学的エッチング検査方法(書誌)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 1756:2017 プレビュー(序文・適用範囲)」
- 日本規格協会(JSA)「JIS B 6016-2:1998 工作機械―潤滑システム(書誌)」
- Gear Technology(米国の歯車専門誌。現在は AGMA Media の発行)「B. W. Cluff(American Pfauter)Effects of Hob Quality and Resharpening Errors on Generating Accuracy, 1987年9/10月号」
- Gear Technology(米国の歯車専門誌。現在は AGMA Media の発行)「K. Liston(Pfauter-Maag Cutting Tools)Hob Basics Part II, 1993年11/12月号」
- ニデックマシンツール「切削工具トピックス「ホブ加工に関する不具合と要因」」
- ニデックマシンツール「切削工具トピックス「ホブ刃付精度の測定方法 ~歯溝分割編~」」
- ニデックマシンツール「切削工具トピックス「ホブ刃付精度の測定方法 ~向心度編~」」
- Gear Technology(米国の歯車専門誌。現在は AGMA Media の発行)「R. Moderow(ITW Illinois Tools)The Right and Wrong of Modern Hob Sharpening, 1992年1/2月号」
- ニデックマシンツール「切削工具トピックス「基本的な歯車チャートの読み方」」
- ニデックマシンツール「切削工具トピックス「ホブシフト方法」」
- カシフジ「6軸CNCホブ盤 KE201/251(製品ページ。テーブルのバックラッシュ除去装置・摺動面きさげ・潤滑・歯厚安定装置)」
- 三菱重工業「プレスリリース(2014)ホブ盤「GE10A」を開発(主軸とテーブル軸の冷却による熱変位対策)」
- ニデックマシンツール「切削工具トピックス「シェービング加工に関する不具合と要因」」
- Gleason「Service Programs for Gear Manufacturing Machines(Fast Check/Basic/Silver/Gold)」
- Gleason「Gleason Academy: Setting of Machine Geometry, Referencing Dimensions and Updating of Machine Data」
- カシフジ「サポート:レトロフィット/オーバーホール」