金属加工の会社が防衛産業に参入するには:3 つの入口・資格と認証・情報管理・国の支え・ハードル
まずは下請けで実績!品質と図面の管理を先に固めよう


防衛費の増額とサプライチェーンの立て直しで、防衛省・防衛装備庁は中小企業の新規参入をはっきり呼びかけるようになりました。旋盤・マシニング・研削・熱処理・表面処理といった金属加工は、戦車・戦闘機・護衛艦を支える部品の土台です。とはいえ、「何の資格が要るのか」「どこに声をかければいいのか」「割に合うのか」は分かりにくいもの。この記事では、3 つの入口、取っておく資格と認証、情報管理(サイバー基準と秘密の保全)、国のお金の支え、現実のハードルを、防衛省・防衛装備庁の公開資料をもとに順番にまとめました(2026 年 10 月時点)。
いま防衛産業が新しい会社を求めている理由
日本には装備品を作る国営工場(工廠)がなく、防衛省から直接受注するプライム企業と、その下で部品を作る多くのサプライヤーに頼っています。令和8年版の防衛白書は、戦車や戦闘機は 1,000 社以上、護衛艦は 8,000 社以上が関わると書いたうえで、多品種少量で顧客が防衛省だけのため投資を回収しにくく、撤退や縮小を決める企業が断続的に出ていると認めています[1]。
そこで国は、2023 年に防衛生産基盤強化法を施行し、サプライチェーンを国が直接調べて弱いところを支える仕組みを作りました[8][9]。2026 年 4 月の衆議院 安全保障委員会では、この法律に基づくサプライチェーン調査を延べ約 1 万 3 千社に行い、2024 年度からは職員が工場を直接訪ねて製造工程のリスクを確かめ、約 130 社を訪問したと政府が答弁しています[10]。「代わりに作れる会社」が求められている、というのが今の状況です。
お金の面でも、2023〜2027 年度の 5 年間で 43 兆円程度の防衛力整備を行う計画があり、令和 8 年度(2026 年度)の防衛関係費は、この計画の対象分で 8 兆 8,093 億円、米軍再編関係などを含めて 9 兆 353 億円です[5][4]。
3 つの入口:まずは下請けから
| 入口 | どんな形か | 必要なもの | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| A 下請け (いちばん多い) | プライムや 1 次サプライヤーの取引先になり、図面どおりの部品・加工・処理を納める | 上位の会社の取引先審査(品質・設備・財務)。品質管理と情報管理の決まりは契約で付いてくる | 旋盤・マシニング・研削・熱処理・表面処理など、特定の工程に強い会社 |
| B 入札 | 防衛省・各自衛隊の公告に応札して、直接契約する | 全省庁統一資格(物品の製造など)+公告ごとの条件 | 完成品・補用品・修理を自社で丸ごと受けられる会社 |
| C 売り込み | 防衛装備庁の新規参入相談窓口に技術を提案する/防衛産業参入促進展(DIPEX)に出展する | 提案書(会社の概要・技術・取引実績)。出展は無料 | 他社にない加工技術・材料・検査がある会社 |
窓口に出すと下請けの道も開ける防衛装備庁の新規参入相談窓口に提案書を出すと、内容はまず防衛省・自衛隊の中で共有され、会社が希望すればサプライヤーを探している防衛関連企業にも共有されます[2]。入口 C は入口 A の近道にもなります。なお日用品や建設工事など、装備品に関係しない提案は窓口の対象外です。
入口 C:相談窓口と DIPEX の使い方
- 新規参入相談窓口:防衛装備庁 装備政策部 装備政策課 防衛産業政策室。「お問合せ・技術提案フォーム(Excel)」に、企業名と事業概要・提案したい技術や製品・防衛装備品の取引実績・連絡先・防衛産業への情報提供の希望の有無を書いてメールで送ります。参入の仕組みを聞くだけの相談もできます[2]。
- 防衛産業参入促進展(DIPEX):中小企業やスタートアップと、防衛省・防衛関連企業を引き合わせる展示会です。DIPEX2026 は 2026 年 11 月 12〜13 日、ベルサール汐留で、出展料は無料(移動・運搬費は自己負担)。出展の受付は 2026 年 7 月 31 日〜9 月 4 日で終わっていますが、来場の申込みはできます。出展資格には「2 次以降の請負者」や「これから防衛分野に関心のある国内企業」も入っています[3][2]。まず来場して、プライムの調達担当とブースの出展者の話を聞くのが手軽です。
入口 B:全省庁統一資格の取り方
防衛省・自衛隊の物品の製造・販売や役務の入札に出るには、国の機関に共通の全省庁統一資格が要ります。防衛装備庁の中央調達も同じ資格で、たとえば 2026 年 9 月の「空気圧縮機の部品の製造」の公示は「物品の製造の A・B・C 等級、関東・甲信越地域」を条件にしていました[15][16]。
- 調達ポータルで申請:今は令和 7・8・9 年度の資格で、定期審査は終わりましたが随時審査を 2028 年 3 月 10 日まで受け付けています。資格は付与された時点から 2028 年 3 月 31 日まで有効です。新規は調達ポータルの「ログインせずに申請」から出せます(郵送・持参も可)。1 か所に出せば、防衛省を含む全府省で使えます[18][17]。
- 等級(A〜D)と地域が決まる:「物品の製造」は、年間平均の生産・販売高(10〜60 点)・自己資本額(2〜10 点)・流動比率(4〜10 点)・営業年数(3〜5 点)・設備の額(3〜15 点)の合計 100 点で等級が決まります。地域は北海道から九州・沖縄までの 8 つから選び、選んだ地域だけで有効です[19][17]。
- 公告を探す:防衛装備庁(中央調達)と、各自衛隊の地方総監部・補給処・駐屯地や基地(地方調達)がそれぞれ公告を出します。
| 等級(物品の製造) | 点数 | 予定価格の目安 |
|---|---|---|
| A | 90 点以上 | 3,000 万円以上 |
| B | 80 点以上 90 点未満 | 2,000 万〜3,000 万円 |
| C | 55 点以上 80 点未満 | 400 万〜2,000 万円 |
| D | 55 点未満 | 400 万円未満 |
全省庁統一資格の等級と予定価格の目安(物品の製造)[19]。ほかの等級も参加できる運用もあり、実際の条件は公告ごとに決まります。
資格なしで出られる小さな案件もある陸上自衛隊のオープンカウンター(見積り合わせ)は、原則として統一資格を条件にしません[22]。調達ポータルのオープンカウンターも、物品は 300 万円未満・役務は 200 万円未満の案件が対象で、GビズID でログインすれば統一資格は原則不要です[21]。駐屯地の部品交換整備のように、資格欄が「なし」の公告も出ています。まず近くの駐屯地・基地の小さな案件で、防衛の書類と検査の流れに慣れるのも一つの手です。
資格は 3 年ごとに更新統一資格は 3 年ごとに更新審査があります。窓口の審査が済んでから通知書が届くまでは 1 週間前後ですが、定期審査の直後は数か月かかることもあるので、狙う入札の前に余裕をもって出します[15][20]。
品質の仕組み:DSP Z 9008 の適用区分と JIS Q 9100・Nadcap
防衛省が品質管理を求める契約では、仕様書 DSP Z 9008「品質管理等共通仕様書」(令和 6 年 9 月改正)が引用されます。中身は「契約の相手方が作る品質マネジメントシステムの要求」で、品物ごとに適用区分 a・b・c のどれかが指定されます[14]。
| 適用区分 | 土台になる規格 | 解説に載っている品目の例(目安) |
|---|---|---|
| a | JIS Q 9100(または SJAC 9110)の全部+防衛省の追加要求 | ミサイル、航空機、航空機用エンジン、航空用の電子・航法装置、ロケットモータ |
| b | JIS Q 9001 相当(JIS Q 9100 から航空宇宙の追加要求を除いたもの)+追加要求 | 火器、戦車、艦船、航空用以外の電子・航法装置、救命器材 |
| c | b から運用の計画、設計・開発、外部提供の管理などを除いたもの+一部の追加要求 | 車両、艦船用の補機、整備用の試験装置、特殊工具、訓練装置 |
DSP Z 9008 の適用区分。品目の例は仕様書の解説によるもので要求事項ではなく、どの区分になるかは個別の仕様書で決まります[14]。
防衛省独自の追加要求には、不適合品を「そのまま使う」かどうかを会社の品質・技術の代表と防衛省の監督官の 3 人で決める再審の手順や、コンプライアンスの体制などがあります。下請けに出した品物の不適合も、この再審の手順に含めることになっています[14]。
認証は「仕様書の義務」ではなく「取引の条件」Z 9008 の本文には「認証を取得しなければならない」という決まりはなく、求められるのは区分どおりの仕組みを作って運用することです[14]。ただ実際には、上位の会社が取引先の条件として ISO 9001 や JIS Q 9100 の認証を求めることが多く、とくに航空の仕事では JIS Q 9100 を求められることが多くなります。
| 認証 | 何を見るか | どんなときに要るか | 仕組み |
|---|---|---|---|
| ISO 9001 (JIS Q 9001) | 品質マネジメントの基本:手順書・記録・教育・不適合の処置・内部監査 | 区分 b・c の品物の部品。陸上・艦船の下請けはまずここから | 認定を受けた認証機関が審査 |
| JIS Q 9100 (AS9100・EN9100 と同等) | ISO 9001 に航空・宇宙・防衛の要求を足したもの:構成管理・初回品検査・偽造部品の防止・製品安全など | 区分 a の品物(航空機・ミサイル・エンジン)の部品 | 航空宇宙の審査ができる認証機関が審査し、取得した会社は国際的なデータベース OASIS に登録される |
| Nadcap | 工程ごとの認定:熱処理・非破壊検査・溶接・化学処理(めっき・陽極酸化)・ショットピーニング・放電加工など。「特殊工程としての機械加工」(旋削・フライス・研削・穴あけ)もある | 機体・エンジンのメーカーが購買条件として求めるとき(Z 9008 自体には要求なし) | 米国の非営利団体 PRI が運営。24 の工程で 4,500 社超が認定。JIS Q 9100 などの認証が前提 |
日本では、日本航空宇宙工業会の航空宇宙品質センター(JAQG)が JIS Q 9100 の原案作りや OASIS の窓口、Nadcap の情報提供を担っています。JIS Q 9100 の審査では、認証機関の審査費用とは別に、JAQG の会員でない会社は審査のたびに国内制度の維持費(税込 55,000 円、2025 年 4 月以降の審査)を負担します[24][25][26]。取得までの期間や総額は会社の状態で大きく変わるので、複数の認証機関に見積りを取って比べます。
防衛省の監督官は下請けの工場にも来る防衛装備庁の中央調達では、監督官・検査官が工程や品質の証拠を確かめる監督と検査を行い、下請負者・再下請負者の工場にも監督が及びます。品質監査には、検査記録の改ざんの有無や検査手順書の適正さを確かめる「品質信頼性確認」もあります[23]。熱処理・めっき・溶接・非破壊検査のように、あとから製品を見ても良し悪しが分からない工程は、炉の温度や液の管理、作業者の資格まで記録で示せるようにしておきます。
情報管理:サイバー基準と「装備品等秘密」
金属加工の会社がいちばん戸惑うのが、図面の扱いです。防衛装備品の図面や仕様には、防衛省が「保護すべき情報」に指定したものがあり、これを扱う契約には防衛産業サイバーセキュリティ基準(正式名「装備品等及び役務の調達における情報セキュリティ基準」)が付きます[11]。
- 中身:米国国防省が契約企業に求めている基準と同じ水準の管理策で、防衛装備庁の FAQ は NIST SP 800-171 と同等と説明しています。2023 年 4 月 1 日以降の契約が対象で、下請け・孫請けにも適用されます。最新の改正は 2025 年 7 月 1 日から適用されています[11][12][27]。
- 出す書類:情報セキュリティ基本方針・規則・実施手順、保護すべき情報を電子で扱うなら「システムセキュリティ実装計画書」。防衛省の確認には最大 2 か月程度かかるので、受注前から準備します[12]。
- すぐ対応できないとき:適合までの事業計画を防衛省と合意すれば、旧基準での履行が認められる経過措置があります。ただし計画の終わりは令和 10 年(2028 年)3 月 31 日を超えられず、多くの企業は 1〜2 年で切り替える計画にしています[27][12]。
- 契約前でも相談できる:防衛装備庁の情報セキュリティ基準相談窓口が、契約のない会社の事前相談も受けています[12]。
さらに防衛生産基盤強化法で、これまで契約上の守秘義務だった「注意」「部内限り」の情報が装備品等秘密という法律上の区分になりました(2024 年 4 月から)。事業者は扱う従業者を本人の同意を得て決め、氏名や役職を防衛省に報告し、ほかの人には扱わせません。従業者は退職後も漏らしてはならず、漏えいは1 年以下の拘禁刑または 50 万円以下の罰金です。これは下請けの従業者にも及びます[28][9]。保全のルールは防衛装備庁の「防衛産業保全マニュアル」にまとめられています[13]。
| 決まり | 守るもの | 金属加工の会社に関わる場面 |
|---|---|---|
| 防衛産業サイバーセキュリティ基準 | 防衛省が指定した「保護すべき情報」(図面・仕様など) | 図面データを CAD/CAM・NC で扱う、メールで受け取る |
| 装備品等秘密(防衛生産基盤強化法) | 防衛省から提供された「注意」「部内限り」相当の情報 | 取扱者名簿に載った従業者に罰則つきの守秘義務 |
| 特定秘密(特定秘密保護法) | 防衛のうち特に秘匿が必要な情報 | 部品加工の下請けで扱うことはまれ |
| 重要経済安保情報(重要経済安保情報保護活用法) | 経済安全保障上の重要な情報(2025 年 5 月施行、セキュリティ・クリアランス) | 政府から情報提供を受ける研究開発などで「適合事業者」と個人の「適性評価」が要る。通常の部品加工では求められないことが多い。防衛の特定秘密は対象外[30][29] |
小さな会社の現実的な一歩防衛向けの図面を扱う PC をネットから切り離す、USB を使わない、取扱者を決めて名簿を作る、入退室を記録する――このあたりは基準の考え方に沿った、すぐできる準備です。必要な費用は、後で述べる基盤強化措置(サイバーセキュリティ強化)の対象になり得ます[7]。
国のお金の支え:基盤強化措置(「君シカオラン」)
防衛生産基盤強化法では、防衛大臣が指定した装備品(指定装備品等)を作る事業者が「装備品安定製造等確保計画」を出して認定を受けると、国が特定取組契約を結んで必要な経費を支払います。補助金ではないので補助率という考え方はなく、計画で認められた額が、ひも付けた装備品の納入が済んだあとに契約の代金として支払われます(前金払いができる場合もある)。法律上は「予算の範囲内」の措置です。防衛省と直接契約していないサプライヤーでも、部品を直接または間接に納めていれば認定を受けられます[7][28][9]。防衛装備庁は相談の合言葉を「君シカオラン」として窓口を案内しています。
| 4 つの取組 | 例 |
|---|---|
| 供給網強靱化 | 原材料の国産化・備蓄、代替素材や部品の研究開発 |
| 製造工程効率化 | 古い工作機械を最新の機械に更新、三次元測定機の導入、AI による検査の自動化、金属 3D プリンタ |
| サイバーセキュリティ強化 | 脆弱性調査、多要素認証、社内教育、監視カメラなど(基準に適合するものに限る) |
| 事業承継等 | 撤退する会社の仕事を引き継ぐための施設整備、ライセンス取得、技能の習得 |
使えるのは「指定装備品等」に関わる取組だけ対象は、防衛大臣が指定した装備品(部品・構成品を含む)の製造等に関わる事業者です。自社の部品がどの装備品に使われているかを上位の会社と確かめてから相談します。また、サイバーセキュリティ強化は、防衛省が経費率(レート)を算定している原価計算方式の企業は対象外です[7]。
利益の面では、防衛省は 2023 年度の調達から、品質(Q)・コスト(C)・納期(D)の取組を評価して 5〜10%、契約期間に応じたコスト変動調整率 1〜5%を付ける新しい利益率の算定方式を入れ、合わせて最大 15% になる仕組みにしました[6]。ただしこれは防衛省と直接契約する会社の予定価格の話で、下請けの単価は上位の会社との交渉で決まります。
参入までの順番(目安)
- 自社の「防衛で効く強み」を書き出す:難削材(チタン・インコネル・高張力鋼・マルエージング鋼)、深穴・薄肉・大物、ミクロン単位の精度、熱処理や表面処理まで一貫、少量多品種への対応、長く同じものを作り続けられる体制など。
- 窓口に相談・DIPEX に来場:新規参入相談窓口に提案書を出し、サプライヤー探しをしている企業への情報提供を「希望する」にしておきます[2]。
- 品質と情報管理の仕組みを先に作る:ISO 9001 と、図面の取扱いルール(保護すべき情報を扱う前提)。取引先審査で必ず見られます。
- 下請けで試作・初回品:初回品検査の記録、材料のミルシート、検査成績書をそろえて出せるかが勝負です。
- 実績ができたら広げる:航空の仕事なら JIS Q 9100、特殊工程を自社で持つなら Nadcap、完成品や補用品を直接受けるなら統一資格で入札へ。
現実のハードル
| ハードル | 中身 | 対策の例 |
|---|---|---|
| 量が少なく、波がある | 顧客は基本的に防衛省だけで生産数が限られ、投資を回収する機会が少ない[1] | 民需と共用できる設備で受ける。防衛は売上の一部に抑える |
| 長く作り続ける責任 | 装備品は運用期間が長く、何十年も同じ部品の供給・修理を求められる[1] | 加工プログラム・治具・手順を残す。事業承継の計画も |
| 記録と検査の手間 | 材料証明・検査記録・トレーサビリティ・不適合の処置を、決められた期間保管する | 検査成績書と記録の様式を最初に決める |
| 情報管理のコスト | 保護すべき情報を扱う PC・ネットワーク・入退室・名簿の整備[12] | 防衛用の端末を分ける。基盤強化措置で費用を相談 |
| 評判への不安 | 防衛事業への忌避観やレピュテーションリスクを心配する企業もある[1] | 社内で目的を話し合い、合意を取る(DIPEX の出展資格にも「社内の合意」がある[3]) |
| 輸出の規制 | 防衛装備に当たる貨物・技術を海外に出すには、防衛装備移転三原則に基づく審査と外為法の経済産業大臣の許可が要る。三原則は 2026 年 4 月 21 日に改正された[31] | 海外向けに出す前に該非判定を。部分品も規制の対象になり得て、判定の責任は輸出者にある[32] |
向いている会社・向いていない会社
- 難削材や高精度の加工で、他社に断られる仕事を受けてきた
- 少量多品種・一品ものに慣れている
- 検査成績書・ミルシートの管理がすでにできている
- 熱処理・表面処理・検査まで社内か、管理された外注先で一貫できる
- 10 年単位で同じ部品を作り続ける覚悟と人の体制がある
- 量産の単価と回転で稼ぐ形の会社
- 図面データを社内で自由にやり取りしていて、分けるのが難しい
- 売上の大半を防衛にしようとしている(波を受けやすい)
- 社内で防衛の仕事への合意が取れていない
よくある質問
- 小さな町工場でも参入できますか?
- できます。サプライヤーの多くは中小企業で、防衛装備庁も中小企業・スタートアップの新規参入を促す窓口と展示会を設けています[1][2]。直接の入札より、まず上位の会社の下請けとして入るのが一般的です。
- 何か一つ「防衛の資格」を取れば仕事がもらえますか?
- そういう資格はありません。直接入札に要るのは全省庁統一資格ですが、これは入札に出るための登録で、技術の証明ではありません。実際に効くのは、品質の仕組み(ISO 9001・JIS Q 9100)、情報管理の体制、そして上位の会社の審査に通る実績です。
- JIS Q 9100 は必須ですか?
- 防衛省の仕様書 DSP Z 9008 は、航空機・ミサイルなどの区分 a で JIS Q 9100、戦車・艦船などの区分 b で JIS Q 9001 相当の仕組みを求めています。仕様書そのものは認証の取得を義務にしていませんが、上位の会社が取引の条件として認証を求めることが多いので、どちらが要るかは取引先に確かめます[14]。
- セキュリティ・クリアランス(適性評価)は社員全員に必要ですか?
- 2025 年 5 月に始まった重要経済安保情報のクリアランスは、その情報を扱う人だけが対象です[30]。部品加工の下請けで多いのは、防衛省の「保護すべき情報」や装備品等秘密の取扱いで、取扱者名簿に載った従業者に守秘義務が課される形です[12][9]。
- 補助金のようにお金はもらえますか?
- 基盤強化措置は補助金ではなく、認定した計画に基づく契約で国が経費を払う仕組みです。指定装備品等に関わる取組が対象で、民需と共用する設備は防需の割合分になります[7]。
防衛向けで多い難削材の加工条件は 材料データベース、穴とはめあいは はめあい公差、表面処理の寸法は 黒染め・めっきの見分け方と寸法変化にまとめています。
出典・参考資料
- 防衛省「令和8年版 防衛白書」第IV部第1章第2節 わが国の防衛生産・技術基盤を取り巻く環境
- 防衛装備庁「防衛産業への参入促進について」(新規参入相談窓口・防衛産業参入促進展・ファストパス調達)
- 防衛装備庁「防衛産業参入促進展 DIPEX2026」出展者応募要項
- 財務省「令和8年度 防衛関係費」(政府案、PDF)
- 防衛省「防衛力整備計画」XIII 所要経費
- 防衛省「令和8年版 防衛白書」第IV部第2章第1節 防衛生産基盤の強化
- 防衛装備庁「装備品等の安定的な製造等の確保のための事業計画の認定を受けることで、必要な経費が国から支払われる制度のご紹介」(PDF)
- 防衛装備庁「防衛生産基盤強化法に基づく施策等について」
- 防衛装備庁「防衛生産基盤強化法に基づく施策等の概要」(令和8年5月、PDF)
- 衆議院 安全保障委員会 第221回国会 第5号(令和8年4月24日)会議録
- 防衛装備庁「防衛産業サイバーセキュリティ基準の整備について」
- 防衛装備庁「情報セキュリティ基準に関するよくあるご質問」(2024年10月、PDF)
- 防衛装備庁「防衛産業保全マニュアルの整備について」
- 防衛省 仕様書 DSP Z 9008「品質管理等共通仕様書」(令和6年9月25日改正、PDF)
- 防衛省「入札参加資格」
- 防衛装備庁 公示第143号(令和8年9月11日、PDF)
- 調達ポータル「競争参加資格(全省庁統一資格)について」
- 調達ポータル「有効な資格・審査の受付期間」
- 調達ポータル「資格審査の付与数値と等級」(別記、PDF)
- 調達ポータル「統一資格審査申請 記入要項」(PDF)
- 調達ポータル「オープンカウンター」
- 陸上自衛隊「オープンカウンター方式実施要領」(PDF)
- 防衛装備庁訓令第39号「中央調達により調達する調達品等に係る監督及び検査に関する訓令」(PDF)
- 日本航空宇宙工業会 航空宇宙品質センター(JAQG)「JIS Q 9100 認証制度」
- JAQG「日本国内認証制度の維持・改善費用について」(PDF)
- Performance Review Institute「Nadcap」
- 防衛装備庁「装備品等及び役務の調達における情報セキュリティの確保に関する特約条項」(令和7年版、PDF)
- e-Gov 法令検索「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律」(令和5年法律第54号)
- e-Gov 法令検索「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」(令和6年法律第27号)
- 内閣府「重要経済安保情報保護活用法」
- 経済産業省「防衛装備移転三原則」
- 経済産業省「該非判定」


