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半導体業界の機械加工:どんな加工があるか・大物から小物まで・国内の大手・工作機械と工具・新技術・参入のしかた

寸法の次は「汚れ・ガス・漏れ」。削る前と後の工程まで持てると強いよ

マスコットのチップス
半導体業界の機械加工:どんな加工があるか・大物から小物まで・国内の大手・工作機械と工具・新技術・参入のしかた

半導体の製造装置への投資は過去最高が続き、日本の装置メーカーの販売高は 2026 年度に 6 兆 5,000 億円を超える見込みです。その装置の中身は、アルミの真空チャンバー、電解研磨したステンレスのガス部品、セラミックスや石英の精密部品といった機械加工の部品のかたまりです。この記事では、どんな加工があるか、大物から小物までの部品と求められる精度、材料ごとの勘どころ、寸法以外に求められる清浄度とリーク、使う工作機械と工具、国内の大手、論文で見る新しい技術、そして参入の入口と順番・ハードルを、メーカー資料・SEMI 規格・特許・J-STAGE などの論文・業界団体と各社の公開資料をもとにまとめました(2026 年 10 月時点)。

プラズマガスの継手・配管SUS316L・電解研磨(接ガス面 Ra 0.13 µm の例)ガスブロックSUS316L の削り出し・交差する細い穴チャンバー本体A6061・A5052 の削り出し+アルマイト・溶射ウエハの出し入れ口ゲートバルブとつなぐ。シール面の傷は禁物リフトピンウエハを持ち上げる細いピン排気口真空ポンプへ。ここも削り出しのフランジシャワーヘッド(電極板)φ0.1〜0.6 mm の穴が数万個の設計も。Al・Si・SiCウエハ(φ300 mm)これ自体も研削・研磨・ダイシングで加工するフォーカスリングSi・SiC・石英。プラズマで削れる消耗品静電チャックアルミナ・AlN のセラミックス+冷却板ベローズSUS316L の溶接ベローズ。上下に動く軸を封じるイメージ図。部品の形・材料・数値は特許やメーカー資料の例で、装置によって違う。
プラズマエッチング装置のチャンバーの断面(イメージ図)。ウエハのまわりは、削り出しのアルミ、電解研磨したステンレス、セラミックス、石英・シリコン・SiC の部品でできている。シャワーヘッドの穴の数・径は特許[34]、上部電極とフォーカスリングは特許[35]、ガス部品の面粗さはメーカーの仕様[25] による。

いま半導体に目を向ける理由

SEMI の集計では、世界の半導体製造装置の販売額は 2025 年に 1,351 億ドル(前年比 15%増)で過去最高でした。2026 年の予測は 1,659 億ドル(23.2%増)、2028 年は 2,295 億ドルまで伸びる見通しです[1][2]。2026 年 4〜6 月期の販売額も 405 億ドルで、2 四半期続けて過去最高を更新しました[3]。AI のサーバー向けの先端ロジックと、HBM を中心としたメモリーへの投資が引っぱっています[4]。

日本の装置メーカーの販売高(日系企業が国内外に売った額)は、日本半導体製造装置協会(SEAJ)の 2026 年 7 月の予測で、2025 年度の実績 5 兆 1,986 億円から、2026 年度 6 兆 5,502 億円(26%増)、2027 年度 7 兆 4,017 億円、2028 年度 7 兆 7,718 億円に伸びます。国内の工場向けの需要(日本市場)も 2028 年度に初めて 2 兆円を超える見込みです[4]。

日本製の半導体製造装置の販売高(億円、年度)実績予測(7 月)日本市場(国内の工場向け)020,00040,00060,00080,0001.6162.0172.2182.1192.4203.4213.9223.7234.8245.2256.6267.4277.828棒の上の数字は兆円。横軸は年度(16=2016 年度)。2026〜2028 年度は 2026 年 7 月の予測。
日本製の半導体製造装置の販売高(日系企業の国内・海外への販売)と、国内の工場向けの販売高(日本市場。外資系の装置を含むので、日本製の内数ではない)。SEAJ の需要予測(2026 年 7 月)の表による[4]。

国内では、熊本の TSMC の工場(JASM)に国が第 1 工場で最大 4,760 億円、第 2 工場で最大 7,320 億円の助成を決め[7]、北海道千歳市の Rapidus は 2nm のロジックを 2027 年度後半に量産する計画です[8][9]。政府は 2030 年度までに 10 兆円以上の公的支援で官民 50 兆円超の投資を引き出す枠組みを掲げています[6]。熊本では 2024 年 9 月時点で 68 社が進出や増設を公表し[7]、千歳とその周辺には 2026 年 6 月時点で 62 社が拠点を決めました[9]。

2025 年の装置の納め先販売額前年比
中国493 億ドル−0.5%
台湾315 億ドル+90%
韓国258 億ドル+26%
北米109 億ドル−20%
日本95 億ドル+22%
欧州29 億ドル−41%

SEMI の地域別(装置が納められた地域)[1]。中国・台湾・韓国で全体の 79%。国内の工場向けの需要(2025 年度 1 兆 4,395 億円)は日本製装置の販売高の 3 割弱の規模で[4]、国内の部品加工の仕事もアジアの工場の投資に左右されます。

ただし波は大きいリーマン・ショック後の 2009 年、世界の装置販売額は前年からほぼ半減し(約 46%減、1〜3 月期は前年同期の 71%減)、日本向けは約 68%減りました[5]。国内の工場向けの需要は 2019 年度に 29.5%減っています[4]。予測そのものも動き、SEAJ の 2026 年度の予測は 1 月から 7 月の半年で 1 兆円以上上がりました[4]。好況のいま設備を増やす会社ほど、落ちる年の資金繰りを先に考えておく必要があります。

半導体の機械加工は 3 つの世界に分かれる

「半導体の加工」と聞くとウエハの上の微細加工(露光・エッチング)を思い浮かべがちですが、それは装置の中で化学と光が行う仕事です。旋盤やマシニング、研削盤の出番は、大きく分けて次の 3 つです。

世界何を削るか主な材料仕事の性格
① 装置の部品真空チャンバー、架台・フレーム、ステージ、ゲートバルブ、ガスブロック・継手、搬送ロボットの部品アルミ(A5052・A6061)、ステンレス(SUS316L)、鋼の溶接構造装置メーカーの図面で作る。景気の波を受けやすいが、量が大きい
② プロセス部品(消耗品)シャワーヘッド(電極板)、フォーカスリング、静電チャック、石英のチューブ・ボートシリコン、SiC、石英、アルミナ・AlN などのセラミックスプラズマや熱で削れるので定期的に交換。工場が動く限り毎月出る。再生(作り直し)の仕事もある[35]
③ ウエハ・チップそのものインゴットのスライス、研削・ラップ・研磨、裏面研削、ダイシングシリコン、SiC、GaN、ガラス専用の装置と工具の世界。加工の会社としては装置・工具・治具の側から関わることが多い

旋盤・マシニングの会社がまず入りやすいのは ①、研削や硬脆材の加工に強い会社は ②、③ は装置・工具・砥石のメーカーや研究機関が中心です。この記事では ① と ② を中心に、③ は「何が起きているか」と新しい技術を紹介します。

大物から小物まで:部品ごとの大きさと求められること

架台・フレーム真空チャンバーベースプレートガスブロック・弁体セラミック部品石英・SiC リング継手・ピン・ねじ大物:1〜数 m・数十〜数百 kg門形・5 面加工機、横中ぐり盤、製缶溶接、大型のアルマイト槽中物:数百 mm立形・横形・5 軸マシニング精密部品・小物:φ300 mm 級〜数 mm研削盤・超音波加工・放電・自動盤イメージ図。大きさは同じ縮尺ではない。分け方と機械はこの記事での目安。
半導体製造装置の部品の並び(イメージ図)。大物は門形・5 面加工機や大型の表面処理槽が要り、精密部品はセラミックス・石英などの硬くて割れやすい材料が多い。
部品材料大きさの例求められること(例)主な機械
架台・フレーム鋼の溶接構造数 m溶接ひずみを抑え、取付面を一度に削る。製缶→機械加工→塗装→組立の一貫[41]5 面加工機(X 6,700 mm 級の例)、横中ぐり盤
真空チャンバーA5052・A6061、SUS316Lφ500〜600 mm の内部部品から、長さ 2.7 m 級まで[42][40]幾何公差 0.01 mm 以下・Ra 0.2〜0.4 µm の例[42]。シール面の傷・打痕は真空漏れの元5 軸・門形マシニング、大型のアルマイト槽
ゲートバルブステンレス・アルミ口径 250 mm 級で 1 台 50 kg[31]本体のリーク 5×10-10 mbar·L/s 未満などの仕様[31]マシニング、溶接、リーク検査
ガスブロック・継手SUS316L(二重溶解材)数 mm〜百数十 mm接ガス面 Ra 0.13 µm を電解研磨で、表面の Cr/Fe 比 2.0 以上などを分析で確認[25]CNC 自動盤・複合加工機、電解研磨、TIG 溶接
シャワーヘッド(電極板)アルミ、シリコン、SiCφ300 mm 超の板。穴 φ0.1〜0.6 mm が数万個の設計も[34]穴径・位置のそろい、穴の中のバリ・汚れがないこと高速マシニングの小径ドリル、細穴放電、レーザー
フォーカスリングSi、CVD-SiC、石英外径 φ360〜380 mm の例[35]削れたら交換。SiC は盛り直して作り直す方法もある[35]平面・円筒研削、ダイヤモンド工具
静電チャック・ステージアルミナ・AlNφ300〜500 mmアルミナ φ500 mm で平面度 1 µm の加工例[37]平面研削・ラップ、超音波加工
石英のチューブ・ボート石英ガラス長さ 1 m 級も穴の最小径 φ0.3 mm(マシニング・レーザー)、溶接・アニールまで[36]マシニング、レーザー、火加工
ピン・ねじ・小物セラミックス、樹脂、SUS数 mm〜数は多いが清浄度の要求は大物と同じ自動盤、研削

数値はメーカー資料・特許・加工事例のもので、装置や顧客によって違います。

大物の制約は「機械」より「槽」と「部屋」大物チャンバーは削れても、アルマイトや溶射の処理槽、洗浄機、クリーンルーム、ヘリウムリークの検査室に入らなければ納められません。長さ 2.7 m・400 kg まで処理できる会社がある、というのが一つの目安です[40]。自社で持たない工程は、処理会社とセットで提案します。

材料別の加工の勘どころ

アルミ(A5052・A6061):真空のために「面」を作る

チャンバーやプレートの大半はアルミの削り出しです。半導体の搬送装置向けアルミでは、バイト・切削油・工程を見直して面を Ra 56 nm から 23 nm にしたところ、深さ約 100 nm あった加工変質層が見られなくなりました[43]。A5052 のガス放出速度は、普通の仕上げの 8.4×10-12 から、面を細かくすると 3.9×10-12、化学研磨で 2.8×10-12 Pa·m³/(s·m²) まで下がっています[44]。面を細かくすると真空が早く引ける・ガスが出にくいということで、面粗さは見た目ではなく性能の値です。

  • 素材は、半導体・液晶の装置向けに平坦度と板厚の公差を詰めた 5052 系の厚板が出ています[39]。ひずみの少ない材料を選ぶと、薄肉の反りを減らせます。
  • 主軸 20,000 min-1 級の高速機と、DLC コートの超硬エンドミル(溶着しにくい)や PCD カッタが定番です[48][57][58][59]。
  • 傷・打痕を作らない段取り(樹脂の当て、治具の面)、バリを残さない工具経路が要ります。

ステンレス(SUS316L):電解研磨と溶接までが仕事

ガスの通る部品は、非金属介在物を減らした 316L の二重溶解材(VAR・VIM-VAR)を削り、電解研磨と不動態化をします。メーカーの超高純度仕様の一例は、接ガス面 Ra 0.13 µm、表面の Cr/Fe 比 2.0 以上、酸化膜 15 Å 以上、洗浄水の比抵抗 17.5 MΩ·cm 以上で、組立はクリーンルーム(ISO クラス 5)で行います[25]。素材・表面・粗さの測り方・リーク・溶接は SEMI 規格(F20・F19・F1・F78 など)が共通語です[28][27][29][30]。

セラミックス・石英・シリコン・SiC:割らずに削る

硬くて割れやすい材料は、切込みを小さくすると割れずに「延性モード」で削れます。その境目(臨界切込み深さ)は 0.1 µm 程度といわれ[70]、理論式では破壊靭性の 2 乗に比例し硬さの 3 乗に反比例します(BK7 ガラスで約 60 nm、超硬で約 160 nm。ただし実測とは大きくずれることがある)[71]。見た目が鏡面でも表層に欠陥が残ることがあり[70]、ノリタケの測定では SiC ウエハの研削ダメージは粗研削で約 2.6 µm、仕上げで 0.6〜1.2 µm でした[65]。

  • 工具:電着ダイヤモンドの専用工具(ドリル・溝入れ・タップ M3〜M12)、ダイヤコート・PCD のエンドミル・小径ドリル[53][54]。
  • 時間:ダイヤコートドリル φ0.5 でアルミナに深さ 5 mm の穴をあけると、1 穴に約 4 分かかった例があります[56]。シャワーヘッドの穴の数を考えると、見積りは穴 1 個の時間で決まります。
  • 課題:従来の砥石では工具の摩耗が大きく形状精度が安定しないことが、国の研究開発事業のテーマになっています[72]。
  • 石英:切断→マシニング・レーザーで研削→研磨→溝→火加工(溶接・アニール)→洗浄の順で、最小穴径は φ0.3 mm[36]。

硬脆材の部品は日本の部品メーカーが強い分野で、京セラは装置向けセラミック部品で 40〜50% のシェアがあると説明しています[38]。

「削って終わり」ではない:清浄度・表面・リーク・変更管理

半導体の部品でいちばん戸惑うのは、寸法が合っていても汚れ・粒子・ガス・漏れで不合格になることです。工場では 1 個の異物や微量の金属がウエハの不良につながるため、部品にも同じ考え方が求められます。

項目中身加工の会社でやること
精密洗浄超音波洗浄と多段の純水リンス。純水の比抵抗 17.5 MΩ·cm 以上などの管理[25]切削油を選ぶ(残りにくい油)。自社で洗えなければ洗浄会社と組む
クリーン梱包洗浄後はクリーンルームで 1 個ずつ密封した袋に入れ「使う直前まで開けない」と表示。不揮発残渣 66 mg/m² 以下の例[26]二重袋・キャップでの保護、袋を開けずに読める識別
表面の状態接ガス面の粗さ・Cr/Fe 比・欠陥数(SEMI F19)[27]電解研磨の外注先を決め、測定データを付ける
リークゲートバルブ本体 5×10-10 mbar·L/s 未満[31]、配管ユニットの全数検査 1×10-10 Pa·m³/s 以下[32]ヘリウムリークディテクタ(最小可検 5×10-13 Pa·m³/s の例[69])。値には真空法かスニファ法かを添える
表面処理アルマイト、溶射(イットリアなど)、Ni めっき。プラズマで削れて粒子が出るので材料の選び方が研究されている[45]処理会社の槽の大きさと前後の洗浄を確かめる
変更管理工程・材料・外注先を変えるときは事前に顧客へ通知(電子部品業界の規格 J-STD-046A など)[33]機械・工具・油・外注先を勝手に変えない。変えるなら申請

「速く削れるようにした」も変更半導体の工場は、決めた条件で同じものを作り続けることを重く見ます。切削油を替えたら残りかすの種類が変わり、外注のめっき会社を替えたら膜が変わります。改善は申請してからが原則です。航空機の初回品検査と同じ考え方です(航空機部品の加工に参入するには)。

半導体の部品加工で使う工作機械と工具

用途機械例(メーカーの公開資料)
大物アルミ・架台門形 5 面加工機、横中ぐり盤門幅 2,650/3,150 mm、20,000 min-1 の高速主軸ヘッドの例(オークマ MCR-S)[47]
チャンバー内部の部品5 軸立形マシニングφ500〜600 mm の部品を 5 面ワンチャッキングで荒〜仕上げ。工程を分けて約 8 時間かかっていた加工のリードタイムを約 50% 減らした(オークマのユーザー事例)[42]
アルミの中・小物高速立形マシニング主軸 20,000 min-1 が標準、30,000 min-1 も選べる(牧野 V56i)[48]
セラミックス・ガラス超音波援用加工機回転工具に超音波振動を重ねて加工力を最大約 50% 下げる(DMG森精機 ULTRASONIC)[49]
細い穴細穴放電加工機電極 φ0.08 mm(オプション φ0.05)(ソディック K1BL)[51]、最小 φ0.038 mm(三菱電機 VH10)[52]。開く穴は電極より 0.1〜0.3 mm 大きい[50]
ウエハの研削ウエハ用グラインダ8 インチ・2 軸の全自動機(ディスコ DFG8640)[60]、研削から研磨・テープ貼りまで一貫(東京精密 PG3000RMⅡ)[61]
ウエハの切断ダイサー、マルチワイヤソー60,000 rpm の対向 2 軸(東京精密 AD3000T-PLUS)[62]、SiC インゴット用に最大 14 インチ(タカトリ)[63]
測定三次元測定機、リークディテクタ長さ測定誤差 (0.23+0.7L/1000) µm(ミツトヨ LEGEX 匠)[68]、最小可検リーク 5×10-13 Pa·m³/s 未満(アルバック HELIOT 900)[69]
被削材工具例(メーカーの公開資料)
アルミDLC コート超硬エンドミル、PCD カッタ三菱マテリアル ALIMASTER の DLC 品[57]、オーエスジー AE-VTS-N[58]、住友電工ハードメタル アルネックス[59]
セラミックス・石英電着ダイヤモンド工具、ダイヤコート・PCD エンドミル旭ダイヤモンド工業 CERAMATE[53]。日進工具のダイヤコートボール R0.3 で超硬を 30,000 min-1・切込み 2 µm、Ra 0.05〜0.15 µm に仕上げた例[55]
小径穴(硬脆材)ダイヤコートドリルユニオンツール UDCMX φ0.5 でアルミナに深さ 5 mm を 100 穴、100 穴目もコバ欠けなし[56]
SiC ウエハ研削ホイールノリタケの新ボンドで粗研削の摩耗が従来の約 1/4[65]。仕上げ後は 1 nm レベル[64]
ウエハ・パッケージダイシングブレード厚さ 0.015〜0.3 mm の電鋳ブレード(ディスコ NBC-Z)[66]。超音波ダイシングで SiC のチッピングが約半分[67]

条件はいずれも各社の試験条件での一例です。被削材が違う条件(例:超硬での条件)をセラミックスにそのまま使わないでください。

切削条件の計算は 計算機、5 軸の基本は 5 軸加工、工具の減り方は 工具寿命の読みものにまとめています。

国内の大手:仕事の出どころと部品の大手

加工の仕事は、装置メーカーから直接、あるいは装置メーカーの協力会社・部品メーカーを通って流れてきます。営業先を考えるときは、「誰が図面を出すか」と「その工場がどこにあるか」を押さえます。売上は各社の決算資料による最新の通期の値です。

製造装置メーカー(部品の発注元)

会社主な装置主な生産拠点売上(最新期)
東京エレクトロン成膜・塗布現像・エッチング・洗浄山梨(韮崎)・岩手(奥州)・宮城(大和町)・熊本(合志)2 兆 4,435 億円(2026 年 3 月期)[92]
SCREEN ホールディングスウエハ洗浄・塗布現像・熱処理滋賀(彦根・野洲)6,057 億円、うち半導体製造装置 4,860 億円(2026 年 3 月期)[93]
アドバンテスト半導体試験装置(テスタ)・ハンドラ群馬・埼玉1 兆 1,286 億円(2026 年 3 月期)[94]
ディスコダイサー・グラインダ・ポリッシャと、ブレード・砥石広島(呉)・長野(茅野)4,369 億円(2026 年 3 月期)[95]
KOKUSAI ELECTRICバッチ式(縦型炉)・枚葉式の成膜富山(砺波・富山)2,351 億円(2026 年 3 月期)[96]
荏原製作所CMP 装置・ドライ真空ポンプ熊本(南関町)・神奈川(藤沢)精密・電子 3,423 億円(2025 年 12 月期)[97]
日立ハイテクエッチング装置・測長 SEM・検査装置山口(下松)・茨城(ひたちなか)—[98]
キヤノンi 線・KrF 露光装置、ナノインプリント栃木(宇都宮)・茨城(阿見)—[99]
ニコンArF 液浸などの露光装置埼玉(熊谷)—[100]
東京精密プローバ・ダイサー・グラインダ・CMP、三次元測定機東京(八王子)・茨城(土浦)1,668 億円、うち半導体製造装置 1,279 億円(2026 年 3 月期)[101]
アルバックスパッタなどの真空成膜装置、真空部品神奈川(茅ヶ崎)ほか2,691 億円、うち半導体・電子部品製造装置 883 億円(2026 年 6 月期)[102]
ダイフククリーンルームの搬送・保管滋賀(日野)—[103]
ローツェウエハ搬送ロボット・EFEM(アルミ部品は海外の自社工場で内製)広島(福山)・ベトナム—[104]

売上は決算短信の通期の値(億円未満は四捨五入)。拠点は各社の公開資料と報道によるもので、すべてではありません。

プロセス部品・セラミックス・石英の大手

静電チャックやセラミック部品は、衛生陶器やばね、セメント、耐火物の会社が本業の技術を生かして大きく育てた分野です。たとえば TOTO は、セラミック事業の売上が全社の 1 割に満たない 674 億円なのに、営業利益は 289 億円で全社(537 億円)の半分を超えています(2026 年 3 月期)[111]。

会社半導体向けに作るもの主な拠点規模の目安
フェローテック HD石英・シリコン・セラミックス・CVD-SiC 部品、金属の受託加工、部品洗浄石川・熊本・山形・岡山など、中国半導体等装置関連 1,851 億円(2026 年 3 月期)[105]
京セラ静電チャック・セラミックヒーター・露光装置用セラミックス滋賀(東近江)・鹿児島(川内)半導体関連部品 3,794 億円(2026 年 3 月期)[106]
日本特殊陶業静電チャック・真空チャック・セラミックヒーター宮城(仙台・富谷)連結 7,312 億円(半導体向けは非開示、2026 年 3 月期)[107]
日本ガイシAlN のサセプター(ヒーター)・静電チャック愛知(半田・小牧)・岐阜(多治見)、石川(能美)に新工場半導体製造装置用製品 1,433 億円(2026 年 3 月期)[108]
新光電気工業セラミック静電チャック長野(中野)—[109]
住友大阪セメント静電チャック(ナノ複合セラミックス)千葉(市川・船橋)新材料 181 億円(2026 年 3 月期)[110]
TOTO静電チャックなどのセラミック製品—セラミック事業 674 億円・営業利益 289 億円(2026 年 3 月期)[111]
日本発条(ニッパツ)成膜用ヒーター・冷却板・シャワーヘッド神奈川(伊勢原)・長野(宮田)産業機器ほか 1,245 億円(半導体部品を含む、2026 年 3 月期)[112]
東海カーボンSiC のフォーカスリング(生産の中心は韓国)熊本(黒鉛素材)ファインカーボン事業 561 億円(2025 年 12 月期)[113]
三菱マテリアルシリコンの電極板・リング(細穴・深穴)——[114]
東ソー・クォーツ石英ガラスの加工品山形(山形・米沢)非上場[115]
MARUWA石英のボート・チューブ、高純度 SiC 部材愛知連結 745 億円(半導体向けは非開示、2026 年 3 月期)[116]
クアーズテックSiC の炉部品・シリコン部材・石英山形(小国)・神奈川(秦野)ほか非上場[117]

受託加工・表面処理の大手

装置部品の受託加工を主力にする上場企業は多くありません。

会社中身規模の目安
マルマエ装置の真空部品・高精度部品の機械加工・溶接・表面処理の一貫生産(鹿児島県出水市)精密部品事業 91 億円(2026 年 8 月期)[118]
トーカロチャンバーの内部品などへの溶射の受託(兵庫県神戸市)半導体・FPD 製造装置用部品への溶射 248 億円(2026 年 3 月期)[119]

受託加工の上場企業から読めること鹿児島県出水市のマルマエは、半導体製造装置の真空部品を、機械加工・溶接(電子ビーム溶接を含む)・表面処理までの一貫生産で作っています。半導体分野の売上に占める消耗品の割合は 2025 年 8 月期に 71.8%で、消耗品は半年から 1 年ほどで交換されるものが多く、装置の投資が止まっても需要が比較的底堅いと説明しています。ただし前回の調整局面では、消耗品まで在庫を積み上げすぎて一時的に大きく落ち込んだ、とも書いています[122]。「大物を削れる設備」と「消耗品の繰り返しの仕事」の組み合わせは参入を考える会社の目標の一つですが、消耗品も波と無縁ではありません。

半導体に強い工作機械・研削盤のメーカー

ウエハの研削・切断はディスコと東京精密が大手で、研削盤メーカーの岡本工作機械製作所は半導体関連装置が売上の約 3 割を占めます[120]。ジェイテクトは SiC など硬脆材のウエハを 2 枚同時に研削する研削盤を出しています[121]。

論文で見る新しい加工技術

半導体の加工は、パワー半導体の SiC と、AI 向けの先端パッケージで大きく動いています。日本の大学・研究所と装置メーカーの論文・技報から、現場に関わるものを選びました。

SiC ウエハ:硬すぎて時間とお金がかかる

産総研の河田氏の解説では、6 インチ 1 枚の実加工時間は SiC が 40〜54 分、Si が 7〜12 分で、約 5 倍かかります。とくに切断と CMP(化学機械研磨)が遅く、ダイヤモンド砥粒も減るので、コストは 5 倍では済みません[73]。そこで次の技術が出てきました。

技術何が新しいか数値
レーザースライス(KABRA)インゴットの内部にレーザーで分離層を作って剥がす。ワイヤで削り取らない(ディスコ)6 インチで 1 枚 約 3.1 時間 → 10 分、素材ロス 約 180 µm → 80 µm、取れる枚数 約 1.4 倍[75]。2017 年の論文ではロス 260 µm → 120 µm、20 mm のインゴットから 32 枚 → 42 枚[74]
精密レーザースライシング加工痕が結晶のオフ角に沿って鋸歯状にできる仕組みを突き止め、条件を詰めた(埼玉大学)カーフロス 最大 36 µm[76]
マルチワイヤ放電スライス砥粒を使わず、ワイヤごとに放電を制御して複数枚を同時に切る(三菱電機)同時に最大 20 枚、ワイヤソー比で加工コスト約 80% 減(同社の説明)[88]
超音波援用研削工具に超音波振動を重ね、研削力を下げて延性モードで削りやすくする研削力 最大 82.6% 減、亜表面クラックの深さ 30.8% 減[80]
プラズマ援用研磨(PAP)プラズマで表面を酸化して軟らかくし、SiC より軟らかいセリア砥粒で削る。スラリーを使わない(大阪大学)プラズマで硬さ約 1/8[77]。GaN で Sq 0.28 → 0.08 nm[78]
触媒表面基準エッチング(CARE)触媒の基準板が触れたところだけエッチングして、基準板の形を写す。砥粒なし(大阪大学)SiC・GaN でほぼ原子レベルの平坦面[79]
ELID 研削砥石を電解でドレッシングしながら削る(理化学研究所)CVD-SiC は割れのない面になったが、焼結 SiC は切込み 0.1 µm でも損傷が残った[81]

部品加工の会社に効くところSiC はウエハだけでなく、フォーカスリングやボートなど装置の部品にも使われます。ELID の研究のように、同じ SiC でも作り方(CVD か焼結か)で削りやすさが違うので、図面の材料名だけで見積もらず製法を確かめます。超音波援用やダイヤ工具の数値は、部品の研削にもそのまま考え方が使えます。

切る・薄くする:ステルスダイシングと先ダイシング

浜松ホトニクスのステルスダイシングは、ウエハの内部にレーザーを集光して改質層を作り、テープを広げて割ります。水も削りくずも出ない完全なドライ加工で、切りしろがありません[82]。ディスコの比較では、SiC のダイシングは品質重視なら超音波ダイシング、生産性重視ならステルス(超音波の 5 倍以上の速さ)が向いています[83]。薄いチップは、先に溝を切ってから裏面を研削して分ける DBG(先ダイシング)で割れを減らします[46]。

先端パッケージ:nm の平らさとガラスの穴

  • ハイブリッド接合:チップどうしを Cu の電極と絶縁膜ごと直接貼り合わせる技術で、成否は CMP で決まります。貼り合わせ面は RMS 0.5 nm 以下、Cu 電極の出っ張りは 1 nm 以下が求められます[84]。研究機関の 3 段 CMP では Cu のへこみ(ディッシング)3 nm 未満、粗さ 0.3 nm 未満を達成しています[85]。
  • ガラスコア基板の穴(TGV):レーザーでガラスを改質してから薬液で溶かして穴をあけます。薬液によって穴のテーパ角が 34°(HF)と 63°(KOH)に変わります[86]。国内では 515×510 mm の大型ガラスコア基板のサンプル提供が始まっています[87]。

装置の部品にも新しい作り方

  • 金属の積層造形(3D プリンタ):ろう付けで作っていた冷却プレートを、形に沿った流路の一体品にして、温度の均一性が 60% 上がったという造形機メーカーの事例があります[89]。削る仕事は、造形後の仕上げ・シール面・ねじに移ります。
  • 8 インチ化:SiC 基板は 8 インチになると加工変質層で反りやすくなり、変質層を取って反りを 50 µm 以下に抑える特許が出ています[91]。
  • 次の材料:酸化ガリウムを大気圧プラズマで原子レベルに平らにする研究(Sa 0.057 nm)も出ています[90]。

参入の入口:4 つの道

半導体メーカー(工場=ファブ)メモリ・ロジック・パワー半導体。装置を買い、消耗品を交換する製造装置メーカー前工程(成膜・エッチング・洗浄・露光)と後工程(研削・切断・検査)ユニット・部品メーカー真空バルブ・ガス部品・搬送ロボット・セラミックス・石英・SiC 部品加工の会社(Tier 2・3)切削・研削・溶接・板金・表面処理・精密洗浄・組立図面は支給。決めた工程で作り続ける装置メーカーへ直接納めることも消耗品・再生・リング・電極板・石英管・部品の洗浄・再溶射・削れた部品の作り直し工場が動く限り出る仕事ウエハメーカー・インゴットのスライス・研削・ラップ・研磨加工は専用装置と工具の世界A装置メーカーの協力会社部品・ユニットの図面加工B部品メーカーの外注セラミックス・石英・バルブC消耗品・再生工場の近くで回る仕事D工場の設備・保全治具・設備部品・保全
半導体のサプライチェーンと、機械加工の会社の 4 つの入口(概念図)。入口の分け方は支援機関の整理[11] と各社の調達方針[14][15] をもとにした。
入口どんな形か向いている会社
A 装置メーカーの協力会社
(いちばん多い)
装置メーカーや、その 1 次・2 次の協力会社から、図面支給の部品・ユニットを受ける。大物チャンバー・フレームから小物までアルミ・ステンレスの切削、溶接、組立ができる会社。大物の設備を持つ会社
B 部品メーカーの外注セラミックス・石英・バルブなどの部品メーカーの工程の一部(穴あけ・研削・溶接)を受ける硬脆材の研削、ダイヤ工具の扱い、細穴に強い会社
C 消耗品・洗浄・再生半導体の工場で使った装置の部品の精密洗浄・ブラスト・溶射・アルマイトや、削れた部品の再生[24]工場の近くの会社、表面処理・洗浄の設備を持つ会社
D 工場の設備・治具・保全半導体の工場の建設・増設に伴う設備の部品、治具、保全用の部品[11]短納期の一品ものに強い地場の会社

装置メーカーは調達の方針を公開しています。東京エレクトロンは「門戸を広く開放し、公正な取引の機会を提供」すると書き、新しく取引を始めるときは独自のセルフアセスメント(STQA)で品質・コスト・情報セキュリティ・人権や環境を確かめ、品質は実地で監査します。取引が始まってからも、重要部品や品質問題のあった取引先は 3 年ごとに実地監査を受けます[14]。SCREEN は「サプライヤーの提案を積極的に検討」すると明記しています[15]。ディスコ[16]や Rapidus[17]も方針を公開しているので、営業の前に読んでおくと、監査で何を聞かれるかが分かります。

参入した会社の例(社名は出していません)静岡県の製缶・機械加工の会社は、重工や工作機械向けの大物加工の技術を生かして、半導体・FPD 装置向けの大型真空チャンバや架台を、製缶から機械加工・表面処理・ヘリウムリーク検査まで一貫で作っています[23]。秋田県の部品メーカーのグループは、CVD・エッチング・スパッタ装置の部品の精密洗浄と表面処理を、銅を持ち込まないラインで請け負っています[24]。どちらも「削る」だけでなく、その前後の工程まで持っているのが共通点です。

求められる体制:監査で見られること

項目中身準備
品質開発・設計の段階からのつくり込みと変更管理の徹底[14]ISO 9001 の仕組み、工程表(QC 工程表)、検査成績書、ロットの追跡
清浄度洗浄・梱包・保管の手順。クリーンルームの清浄度は ISO 14644-1 のクラスで表す(クラス 5 は 0.5 µm 以上の粒子が 1 m³ あたり 3,520 個まで)[21]自社のクリーンブースか、洗浄会社との組み合わせ
人権・労働・環境RBA(責任ある企業同盟)の行動規範 第 8 版への同意[20][14]、ISO 14001 などの環境の仕組み[14]労働時間・安全・環境の記録
紛争鉱物・化学物質紛争鉱物の調査票(CMRT・EMRT)、含有化学物質の情報と不使用保証書[14][15]。化学物質の情報伝達は chemSHERPA から新しいプラットフォーム(CMP)へ移りつつある[22]材料・めっき・油の調査票を仕入先から取れるようにする
BCP・供給の柔軟さBCP のアセスメント、急な需要の増減への対応、継続的な原価低減[14]代わりの機械・外注先、在庫の持ち方
情報セキュリティ・輸出管理取引先向けの情報セキュリティ基準、輸出入関連法令の遵守[14]図面データの置き場所と閲覧者を決める。部品でも該非判定を求められることがある

航空機や医療機器と違い、半導体の部品加工には「これを取らないと入れない」業界の認証はありません。そのかわり、各社の監査と調査票が入口になります。北海道の支援機関も、まず業界のルールを紹介し、コーディネーターが現場で指導してから個別のマッチングに進む、という順番で支えています[12]。

展示会・商談会と支援

  • SEMICON Japan 2026:2026 年 12 月 9〜11 日、東京ビッグサイト。第 50 回で、入場は無料(事前登録制)[18]。装置・部品・材料のメーカーが集まるので、どの会社が何を作っているかを一度に見られます。
  • 地域のコンソーシアム:九州・東北・中国・中部・北海道・関東に、人材育成とサプライチェーン強化のコンソーシアムがあります[10]。九州の「チャレンジマーケット」は大手の技術ニーズに中小企業が提案する商談会で、2024 年度(東京エレクトロン九州)は参加 31 社・商談継続 10 件・成約 2 件でした[10]。
  • 北海道:北海道中小企業総合支援センターが半導体関連取引支援室を置き、半導体の受発注コーディネーター 10 名(元大手の役員・技術者など)で取引をあっせんしています(2025 年に 143 件)[11]。2026 年 10 月 27 日には札幌で受発注拡大商談会があります[13]。
  • 設備投資の補助:従来のものづくり補助金は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に変わりました。新事業進出枠は補助率 2 分の 1、上限は従業員数によって 2,500 万〜7,000 万円(賃上げ特例で最大 9,000 万円)、下限 750 万円で、第 1 回の締切は 2026 年 10 月 30 日です。賃上げなどの目標に届かないと返還を求められることがあります[19]。

募集の時期と条件は毎年変わります。申し込む前に各機関のページで確かめてください。

参入までの順番(目安)

0〜3 か月狙いを決める・大物か精密・消耗品か・近くの装置・部品メーカー・展示会・商談会で聞く3〜12 か月仕組みを足す・洗浄・梱包の手順・ロット追跡・変更管理・測定とリーク検査半年〜1 年半試作と監査・工場監査・品質の取り決め・試作・検査成績書・工程を決めて凍結1 年〜量産と広げる・納期と品質の実績・洗浄・表面処理を内製・消耗品・再生へ
参入までの順番の目安。期間は会社と顧客によって大きく変わり、公的な統計は見当たらない。
  1. 狙いを決める:大物のチャンバー・フレームか、精密部品・消耗品か、洗浄・再生か。自社の機械と、近くにある装置・部品メーカーの工場から決めます。
  2. 業界のルールを知る:調達方針・行動規範・グリーン調達基準を読み、展示会や地域の商談会で「今、何が足りないか」を聞きます。
  3. 仕組みを足す:洗浄と梱包の手順、ロットの追跡、変更の申請、測定の記録。リーク検査や洗浄を外に出すなら、組む相手を先に決めます。
  4. 試作と監査:セルフアセスメントと工場の監査を受け、試作品と検査成績書を出します。決めた工程は勝手に変えません。
  5. 量産と広げる:納期と品質の実績を積み、洗浄・表面処理・組立を内製するか、消耗品・再生の仕事を足して波に強くします。

現実のハードルと対策

ハードル中身対策の例
景気の波2009 年は世界で約 46%減、国内工場向けは 2019 年度に 29.5%減[5][4]半導体は売上の一部に。消耗品・再生の仕事、ほかの業界と共用できる設備
清浄度と傷小さな傷でも汚れがたまるので「傷厳禁」。洗浄・梱包まで含めた管理[23]当て物・治具・運搬の手順。洗浄の外注先と組む
価格と柔軟さ継続的な原価低減と、急な需要の増減への対応を同時に求められる[14]段取りの短縮、自動化、多台持ち
成約までが狭い商談会で 31 社 → 継続 10 件 → 成約 2 件の例[10]得意な加工を 1 枚で示し、試作で実力を見せる
人の取り合い大手の工場の近くでは賃金が上がり、JASM の初任給は全国平均より 5 万円以上高い[7]自動化と多能工化。採用の地域を広げる
需要の時期工場の建屋の完成が装置の搬入の時期を決めてきた[4]顧客の工場の計画を聞き、設備の入れ時を合わせる
補助金の条件賃上げ・付加価値の目標。新事業進出枠は下限 750 万円[19]小さな投資は自己資金か別の制度で

向いている会社・向いていない会社

向いている
  • アルミの薄肉・大物、ステンレスの溶接、硬脆材の研削のどれかで他社に負けない
  • 傷・打痕を作らない段取りと運搬が身についている
  • 検査成績書・ロットの追跡・工程の凍結ができる
  • 洗浄・表面処理・リーク検査の仲間が近くにいる
  • 景気の波を前提に資金を計画できる
慎重に考えたい
  • 売上の大半を一気に半導体に寄せようとしている
  • 現場の判断で工具・油・工程をどんどん変えて改善してきた
  • 切削油や外注のめっきの中身を把握していない
  • 好況の今だけを見て、大きな設備をすぐ買おうとしている

よくある質問

半導体の部品加工に必要な認証はありますか?
航空機の JIS Q 9100 のような業界共通の必須認証はありません。装置メーカーごとのセルフアセスメントと実地監査、行動規範への同意、紛争鉱物・化学物質の調査票、ISO 14001 などの環境の仕組みが求められます[14]。ISO 9001 があると監査の話が早く進みます。
クリーンルームがないと仕事は取れませんか?
加工そのものは普通の工場で行い、洗浄・梱包をクリーンルームで行う形が多くあります。自社に無ければ、精密洗浄の会社と組むのが現実的です。組立を ISO クラス 5 の部屋で行う仕様もあるので、どこまで求められるかを図面と仕様書で確かめます[25]。
どの材料から始めるのがよいですか?
旋盤・マシニングの会社なら、装置の部品の大半を占めるアルミ(A5052・A6061)とステンレス(SUS316L)からです。セラミックス・石英・SiC は工具・機械・時間の読みが違うので、研削や超音波加工の設備と経験を足してからにします[49][72]。
景気の波にはどう備えますか?
消耗品・再生の仕事は工場が動く限り出るので、装置の部品と組み合わせると波を和らげられます。受託加工の上場企業でも、消耗品の割合を高めて波を小さくしています[122]。
航空機・医療機器の経験は生かせますか?
変更管理、記録、清浄度の考え方は共通です。航空機・医療機器・防衛の参入の記事もあわせて読んでください。

表面処理の寸法は 黒染め・めっきの見分け方と寸法変化、工具の値上がりは タングステン高騰と超硬工具、材料の性質は 材料データベースにまとめています。

出典・参考資料

  1. SEMI「世界半導体製造装置販売額は 2025 年に 15% 増の 1,350 億ドルへ到達」(2026 年 4 月)
  2. SEMI「世界半導体製造装置の 2026 年央市場予測発表 半導体製造装置市場は 2028 年に 2,290 億ドルへ到達見通し」(2026 年 7 月)
  3. SEMI「半導体製造装置の 2026 年第 2 四半期世界販売額は前年同期比 23% 増」(2026 年 9 月)
  4. 日本半導体製造装置協会(SEAJ)「2026 年 7 月発表 半導体・FPD 製造装置 需要予測(2026 年度〜2028 年度)」(PDF)
  5. SEAJ「Back Number 半導体製造装置 世界規模(販売高)」(PDF)
  6. 経済産業省「AI・半導体産業基盤強化フレーム」
  7. 経済産業省 商務情報政策局「半導体政策の動向」(中部経済産業局 掲載、PDF)
  8. Rapidus「IIM」
  9. 経済産業省 商務情報政策局「Rapidus 株式会社の事業の進捗状況について」(PDF)
  10. 鈴木清己「新生シリコンアイランド九州の実現に向けた九州と大分の挑戦」(地方創生フォーラム資料、PDF)
  11. 北海道中小企業総合支援センター「半導体関連取引の拡大・参入促進に向けた取組」(2026 年 6 月現在、PDF)
  12. 北海道中小企業総合支援センター「半導体関連取引の拡大・参入促進に向けた取組」(2025 年 6 月現在、PDF)
  13. 北海道中小企業総合支援センター・北海道機械工業会「ほっかいどう受発注拡大商談会 2026 発注企業募集のご案内」(PDF)
  14. 東京エレクトロン「サプライチェーンマネジメント」
  15. SCREEN ホールディングス「サプライチェーン・マネジメント」
  16. ディスコ「購買基本姿勢」
  17. Rapidus「調達方針」
  18. SEMI「第 50 回「SEMICON Japan 2026」 新エリア「TechLeaders Arena」を開設」(2026 年 10 月)
  19. 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」
  20. Responsible Business Alliance「Code of Conduct」
  21. ISO 14644-1:2015「Cleanrooms and associated controlled environments — Part 1: Classification of air cleanliness by particle concentration」
  22. CMP コンソーシアム(旧 chemSHERPA)「chemSHERPA について」
  23. 東金属産業「大型真空チャンバーの設計・製作における重要ポイント」
  24. YURI ホールディングス「精密洗浄」
  25. Swagelok「Ultrahigh-Purity Process Specification (SC-01)」MS-06-61(PDF)
  26. Swagelok「Special Cleaning and Packaging (SC-11)」MS-06-63(PDF)
  27. SEMI F19「Specification for the Surface Condition of the Wetted Surfaces of Stainless Steel Components」
  28. SEMI F20「Specification for 316L Stainless Steel Bar, Forgings, Extruded Shapes, Plate, and Tubing for Components Used in General Purpose, High Purity and Ultra-High Purity Semiconductor Manufacturing Applications」
  29. SEMI F1「Specification for Leak Integrity of High-Purity Gas Piping Systems and Components」
  30. SEMI F78「Practice for Gas Tungsten Arc (GTA) Welding of Fluid Distribution Systems in Semiconductor Manufacturing Applications」
  31. VAT「UHV gate valve Series 108」Product data sheet(PDF)
  32. ミスミ「高純度ガス用溶接 SUS 配管」
  33. JEDEC「J-STD-046A Customer Notification Standard for Product/Process Changes by Electronic Product Suppliers」
  34. 米国特許 US11332827B2「Gas distribution plate with high aspect ratio holes and a high hole density」
  35. 米国特許 US8221579B2「Method of reusing a consumable part for use in a plasma processing apparatus」
  36. 東ソー・クォーツ「製造プロセス」
  37. 日本ファインセラミックス「超精密平坦加工」(イプロス)
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  39. 神戸製鋼所「アルハイス」カタログ(PDF)
  40. 富商「チャンバーのアルマイト加工」(イプロス)
  41. 九州経済産業局「会員企業情報」(竹下、PDF)
  42. オークマ「導入事例 株式会社エイエルアイ 様」
  43. 京都大学 ナノテクノロジーハブ拠点 利用報告書「種々の表面処理したアルミニウム合金の表面特性」(F-20-YA-0026、PDF)
  44. 京都大学 ナノテクノロジーハブ拠点 利用報告書「アルミニウム合金の真空特性」(F-19-YA-0026、PDF)
  45. 天野ほか「イットリウム系セラミックのプロセスガスプラズマ照射による影響に関する研究」プラズマ・核融合学会 第 37 回年会 2P40(PDF)
  46. ディスコ「DBG Process」
  47. オークマ「MCR-S」
  48. 牧野フライス製作所「V56i」
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  63. タカトリ「MWS-SiC12F」
  64. ノリタケ「SiC 半導体向け研削・研磨ツール」
  65. 岸本正俊「[技術の芽]ウェーハの固定砥粒加工化」ノリタケ(PDF)
  66. ディスコ「NBC-Z」
  67. ディスコ「超音波ダイシングアプリケーション」
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  69. アルバック「HELIOT900 仕様」
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  73. 河田研治「パワーデバイス用 SiC ウエハ加工の現状と展望」精密工学会誌 Vol.89 No.5, pp.359-362(2023)
  74. 平田和也・山本涼兵・西野曜子・村澤尚樹・高橋邦充「SiC インゴットの新しいレーザスライシング ―KABRA プロセスの開発―」精密工学会誌 Vol.83 No.9, pp.829-832(2017)
  75. ディスコ「KABRA:SiC ウェーハメイキングプロセス新時代へ」
  76. 山田洋平・池田知陽・池野順一「SiC の精密レーザスライシング 第 1 報:カーフロスを考慮したスライシング法の検討」砥粒加工学会誌 Vol.64 No.12, pp.635-642(2020)
  77. 山村和也ほか「プラズマ援用研磨による 4H-SiC (0001) 表面の高品位仕上げ加工」砥粒加工学会誌 Vol.55 No.9, pp.534-539(2011)
  78. 山村和也「難研磨材料のスラリーレスプラズマ援用研磨と電気化学機械研磨」精密工学会誌 Vol.88 No.6, pp.440-444(2022)
  79. 山内和人・佐野泰久・有馬健太「触媒表面基準エッチングによる単結晶 SiC, GaN, ZnO 表面の平滑化」表面科学 Vol.33 No.6, pp.334-338(2012)
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  93. SCREENホールディングス 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)
  94. アドバンテスト 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月27日)
  95. ディスコ 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月22日)
  96. KOKUSAI ELECTRIC 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月13日)
  97. 荏原製作所 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日付)
  98. 日立ハイテク 笠戸地区 半導体製造装置新製造棟 竣工のニュースリリース
  99. キヤノン 2025年12月期 決算概要
  100. ニコン 2026年3月期 決算資料(IR ライブラリ)
  101. 東京精密 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)
  102. アルバック 2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年8月14日)
  103. ダイフク 決算/2025年12月通期の売上高6607億円、過去最高を更新
  104. ローツェ 2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
  105. フェローテックホールディングス 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月15日)
  106. 京セラ 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日)
  107. 日本特殊陶業 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月30日)
  108. NGK株式会社 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年4月30日)
  109. 新光電気工業 静電チャック生産能力増強のお知らせ(2021年10月4日)
  110. 住友大阪セメント 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月13日)
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  112. 日本発条『2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)』の一部訂正(2026年5月25日、訂正後の全文添付)
  113. 東海カーボン 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年2月12日)
  114. 三菱マテリアル シリコン加工品
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  116. MARUWA 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月8日)
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