ホブ設計・選定とトラブル対策
ホブはウォームに切れ刃を設けたフライスカッタで、ホブの回転に合わせて被削歯車を回し、歯すじ方向に送ることで歯形を創成する。送り以外がすべて回転運動なので、ほかの歯切工具より生産性が高い。平歯車・はすば歯車の前加工から仕上げまで使われ、ラック・スプロケット・スプライン・ウォーム用の専用ホブや、熱処理後に使う超硬ホブもある。

✎設計・選定のしかた
見出しを開くと中身が出ます。印刷するとすべて開いた状態で出ます。
ホブの切削原理と取付け角
3
基準ラック(モジュール・圧力角・歯丈)の決め方
7
- 歯車の基準ラックが定まれば工具の基準ラックが定まる。工具の歯形は 歯末のたけ hkc・歯元のたけ hfc・歯厚 Sc・切込み歯丈 hc で表す。[1]資料1件・参考
- JIS(圧力角 20°):工具 hkc 1.25m、hfc 1.25m、Sc 0.5πm、hc 2.25m(歯車側 hkg 1m、hfg 1.25m、Sg 0.5πm)。[1]資料1件・参考
- DIN(20°):工具 hkc 1.1m〜1.3m、hfc 1.1m〜1.3m、Sc 0.5πm、hc 2.1m〜2.3m。[1]資料1件・参考
- プリシェービング(20°):工具 hkc 1.35m、hfc 1.25m、Sc 0.5πm−Ss、hc 2.35m(歯車側 Sg 0.5πm+Ss)。[1]資料1件・参考
- Fellows 低歯(20°):工具 hkc 1.25m₂、hfc 1.25m₂、Sc 0.5πm、hc 2.25m₂。モジュールは m₁/m₂ で表し、m₂ は歯丈を計算するモジュール。AGMA STUB:hkc 1m、hfc 1m、hc 1.8m。SYKES(ダブルヘリカル):hkc 1.15m、hfc 1m、hc 1.95m。[1]資料1件・参考
- シェービング代の推奨値(歯厚で):mn≦2.25 は 0.05〜0.08、2.25<mn≦3.5 は 0.06〜0.10、3.5<mn≦5 は 0.08〜0.12、5<mn≦12 は 0.10〜0.15。[1]資料1件・参考
- ホブの圧力角は基準圧力角と変えて設計できる(転位設計:歯切り PCD を変え、基準圧力角とは違う圧力角でホブのラック歯形を設計すること)。不二越の事例では、圧力角 20° のホブで出たトレーリング側歯元の歯面傷が、圧力角 15° に転位設計したホブで解消した(ドライ・クライム)。[2]資料1件・参考
歯形修整(プロチュバランス・セミトッピング)の選び方
5
- カッタ歯形の記号(JIS B4350 による):P=プリシェービング歯形(シェービング代に相当する量だけ歯厚を薄くし、歯末の丈を高くする。一般に被削歯車歯数の少ないものに適用)。PP=歯末にプロチュバランス(こぶ)付き。PS=セミトッピング(面取り)付き。PSP=プロチュバランスとセミトッピングの両方付き。S-TOP=仕上げ用のセミトッピング歯形。プリグラインディング用は (PG)(PGP)(PGS)(PGSP)。[1]資料1件・参考
- 記号の順位:第1順位 P(Pre-shaving)または PG(Pre-grinding)、第2順位 S(Semi-topping)、第3順位 P(Protuberance)。仕上げ用は S-TOP のみ。[1]資料1件・参考
- プロチュバランス付きホブ(こぶ付きホブ)は、シェービングまたは研削で仕上げる歯車の前加工用。シェービング(研削)の際に、被削歯車歯底のすみ肉にシェービングカッタ(研削砥石)の歯先部が干渉しないようにする。[1]資料1件・参考
- プロチュバランスの大きさは、通常シェービング代(研削代)と相手歯車のかみ合い有効歯丈から決める。[1]資料1件・参考
- ワークの『噛み合い長さ不足』の原因として、ホブ歯丈不足・ホブ刃先R過大・ホブ刃先コブ形状不良・設計間違いが挙げられている。[3]資料1件・参考
面取り付きホブの面取り量と共用
4
- 面取り付きホブは、ホブ切りの際に歯車の歯先部に面取りを施したい場合に使い、ホブの歯底に面取り部を設けたもの。[1]資料1件・参考
- 面取り付きホブを共用する場合は、共用歯車の歯数と転位係数、後加工があるときは仕上げ代も考えて歯車の面取り量を計算する必要がある。[1]資料1件・参考
- 例:歯数35枚(x=0、C=0.1m)の標準平歯車用に設計したホブを転位歯車に共用すると、面取り量は歯数が多いほど、また転位係数がマイナスになるほど大きくなる(m=1、α=20°)。[1]資料1件・参考
- ホブ取付角を変えると被削歯車の歯厚が減る。それを補うためにホブの切込みを控えると、面取ホブでは歯先面取量が減る。[4]資料1件・参考
被削歯車の歯数・転位係数による制約
2
条数の決め方
7
- n条ホブはホブ1回転につき n ピッチ割り出すため、1条ホブの n 倍の速度で加工できる。ただしホブ1刃当りの切削負荷が増えるため送りを若干下げる必要があり、単純に条数倍の能率向上は不可能。[1]資料1件・参考
- 多条化すると歯車の各歯を仕上げる切れ刃数が少なくなり、歯形多角形誤差が大きくなる(歯形多角形誤差は条数の2乗に比例)。切削負荷も大きくなり、ホブ盤の剛性が低いと歯すじの曲がりが出やすい。ニデックの資料でも、条数を増やすとホブ切り精度が1ランク低くなりやすく、欠けが生じやすいとしている。[1][5]
- 多条ホブでは切りくずが厚く短くなり、切りくずとすくい面の接触位置が切れ刃エッジから遠のくため、切れ刃の後退や決壊を抑えて寿命が向上する。同能率で加工するなら切削速度や送り量を低くでき、さらに長寿命化を期待できる(ただし剛性の高いホブ盤でないと十分な効果が得られないことがある)。[1][5]
- 三菱マテリアルの基準:一般的な多条化の限界は『ワーク歯数÷6以下』(例:歯数12では2条まで)、かつホブの進み角 10° 以下。生産ラインでの実績は6条まで。[1]資料1件・参考
- ニデックの目安:『(ワーク歯数÷条数)≧ 9』とし、限界値はホブ盤によっても違う。多条ホブでは『ワーク歯数÷条数』が割り切れないことが原則。条数を増やす場合は『条数×アキシャル送り速度(mm/t.rev.)』が 8 を超えないように注意する。[5]資料1件・参考
- ニデックの条数・溝数設定基準:ワーク歯数 NT20 以下 → 1条 10〜12溝(仕上げ、PS)、2条 12〜14溝(PS)。NT20 以上 → 1条 10溝(仕上げ、PS)、2〜3条 12〜14溝(PS)、4〜5条 14〜17溝(PS)。[5]資料1件・参考
- 条数を減らした場合:ホブ切り精度(歯形・ピッチ)がよくなり、ホブ自体の精度も確保しやすく、ホブ価格が下がる。反面、加工能率を上げにくく、高速切削にせざるを得ないので工具摩耗に不利。条数を増やすとホブ価格は上がる。[5]資料1件・参考
溝数の決め方
4
- 溝数を増やすと:ホブ切り多角形歯形誤差が減る。送り量を大きくでき能率向上が期待できる(ニデック:ホブ軸の切削力を多少減らしアキシャル送りを多少上げられる)。多条ホブの精度劣化を緩和できる。[1][5]
- 溝数を増やすと有効刃幅(刃付け可能刃幅)が小さくなる(同一ホブ外径の場合)。ニデックはさらに、切れ刃自体の強度低下、刃付け研削コストとホブ価格の上昇を挙げる。[1][5]
- 溝数を減らすと:刃付け可能刃幅が増え刃付け回数が増える(同程度の摩耗量として)。切りくずが厚くなり、ホブ摩耗は増えずむしろ減る。反面、ホブ軸の切削力が多少増えて歯すじ精度が多少悪くなり、多角形歯形誤差が大きくなる。[5]資料1件・参考
- 通常はカタログの標準寸法(溝数)を使う。[1]資料1件・参考
外径・全長の決め方
5
- 外径は通常カタログの標準寸法を使う。ワーク(ショルダギヤ)やホブ盤等の干渉がある場合は、干渉しない径を選ぶ。[1]資料1件・参考
- 小径化すると切削速度を変えずに回転数を上げられるため高能率化が期待できる。注意点は、有効刃幅が小さくなり、進み角が大きくなること。穴径(ホブアーバ径)の変更が必要な場合がある。[1]資料1件・参考
- 全長は通常カタログの標準寸法を使う。量産ではロング化するとシフト可能範囲が広くなり、再研削1回当たりの加工数が多くなる。加工可能数は全長比率ではなくシフト範囲の比率で増えるため、全長比率以上に加工数が多くなる。シフト範囲の小さい大歯数・大モジュールのワークほど効果が大きい。[1]資料1件・参考
- 全長の変更にはホブ盤の仕様やシフト時の干渉等を確認しておく。シフト開始・完了位置とも機械のシフト可能範囲に入ること。[1][6]
- ホブ外周切刃の作用長さは、被削歯車の径・捩れ角・ホブ外径・ホブ進み角・ホブ切り法で変わる(例:β=30°、2条ホブ、クライムで、歯車外径とホブ外径 d0 60〜115 ごとの作用長さ図表)。[7]資料1件・参考
すくい角・刃溝リードの決め方
5
- すくい角は通常 0° を使う。ホブはすくい面を半径方向に研げば理論的に正しい歯形が現れるように仕上げてあるので、すくい角を与えたり中高にするような刃付けは、圧力角や歯形の狂い(被削歯車の歯形誤差)になる。[1][8]
- すくい角は切れ味の向上を目的に付けることがあるが、効果はケースにより異なる。すくい角を付けるとクレータ摩耗は浅くなるが、最深部がエッジに近づく傾向がある。[1]資料1件・参考
- TiN コーティングホブの試験では、切削速度 100m/min ではすくい角の効果がいちじるしいが、130・160m/min の高速では効果は認められない。すくい角の大きいホブほどクレータ深さ(KT)は浅いが、クレータ最深部と歯先切れ刃までの長さ(KM)が短くなり、歯先切れ刃の後退を生じている。[1]資料1件・参考
- ニデックではすくい角を図面および刻印に明記する(すくい角 0° の場合は明記なし)。[9]資料1件・参考
- 刃溝リード:進み角が大きくなる場合、工具形状としては歯直角にリードを付けることが理想だが、再研削の難易度が高くなる。ラックホブのようにカッタが全長方向で同じタイミングの加工になる場合には有効(必要)。[1]資料1件・参考
材種・コーティングの選び方(ホブ)
8
- 三菱マテリアルの基準:材質は一般加工で KMC3、高速ウェット加工で KVC5、高速ドライ加工で DH01B。コーティングは中・低速ウェット加工でバイオレットまたは Ti コーティング、高速ドライ加工で DP コーティング、超高速ドライ加工でスクイ面コート付きの GV40 または DP コーティング。[1]資料1件・参考
- 三菱マテリアルの切削速度の目安(図):ウェット・スクイ面コート無しで TiN/バイオレット(約 50〜120m/min)、ウェット・スクイ面コート有りで GV40(約 100〜150m/min)、ドライ・スクイ面コート無しで DP(GV50)(約 100〜180m/min)、ドライ・スクイ面コート有りで GV40(約 100〜200m/min)、DP(GV50)(約 200〜300m/min)。[1]資料1件・参考
- ニデックの選択マップ(ホブ、材質):約 50m/min 以下・低硬度では SKH55・SKH51・MAC B。〜150m/min では MACH11・MACH7・MACH5(wet)・MAC C(wet)、高硬度(HB220 以上の非調質鋼等)では MAC B(wet)・MACH13。150〜300m/min では浸炭鋼(〜HB180)に GRANMET SF・MACH11、それ以上の硬さに MACH11、さらに高硬度に MACH13。[10]資料1件・参考
- ニデックの選択マップ(ホブ、表面処理):〜100m/min・低硬度で黒色ダイナミック、〜150m/min でスーパードライⅠ・Ⅱ、〜200m/min でスーパードライⅢ(フルコート)、〜300m/min・HB300 までで MightyShield Σ(フルコート)。[10]資料1件・参考
- ニデックの GRANMET SF:耐熱性(高温硬さ)と耐摩耗性にすぐれ、クレータ摩耗対策用。超硬ホブ並の切削速度 300m/min 以上に対応するとしている。事例(m2.25、歯数46、PA17.5°、捩れ角23°、SCM415、3口16溝、スーパードライⅢ、400m/min、アキシャル送り 1.7mm/rev、ドライ、ノーシフト40個。ホブ材質は GRANMET SF と MACH11 を記載)で『切削長 4倍』『摩耗 40%低減』とされている。[11]資料1件・参考
- ニデックの MACH13:耐チッピング性を高めた欠け対策用の鋼種で、Wet・Dry 両用。同社の位置づけは SKH55=汎用材(Wet)、MACH5=標準材(Wet)、MACH7=標準材(Dry)。[12]資料1件・参考
- ドライホブ切りでは切削油の潤滑・冷却・切りくず排出の役割がなくなるため、ドライ用ホブには高い潤滑性能・高い耐熱性・切りくずを噛み込まない高い排出性が要る。不二越の解析では浸炭材のドライホブ切りの切削温度は 150m/min で最高約 800℃、250m/min で最高約 900℃で、母材とコーティングに 900℃以上の耐熱性が必要と考えられる。[2]資料1件・参考
- すくい面コーティング有りの場合は、高温の切りくずがすくい面を擦過してえぐるクレータ摩耗の発生が遅くなる。再研削・再コーティングで常にすくい面にコーティングがあれば、安定して V=200m/min 以上の高速ドライホブ切りができる(不二越の Hyper DuAl ホブ)。[2]資料1件・参考
精度等級の選び方
3
切削速度と送り量の決め方
2
シフトの決め方(範囲・量・方向・方法)
7
- ホブの摩耗は食付き側(荒切り領域)の刃に最大摩耗が生じ、その摩耗量で再研削時期が決まる。そこで一定の切削長ごとにホブのセッティング位置をホブ軸方向に移動し、最大摩耗を各刃に分散させ、再研削までにできるだけ多くの歯車を加工する(シフト)。[1][7]
- ホブシフトは3項目を正しく設定する:ホブシフト範囲(創成残りとホブの破損を防ぐためシフト位置を正確に)、ホブシフト量(ワーク・ホブ・加工条件に合わせる)、ホブシフト方向(常に新しい切れ刃が創成側に来る方向)。[6]資料1件・参考
- 総シフト量は歯車加工に必要なホブ長さから求める(ホブ盤の中心線から両側に必要なホブの長さを、歯数・ねじれ角別に図10で示す。A:近寄り側、B:遠のき側)。[1]資料1件・参考
- シフト方法の比較:毎回シフト(1個ごと)=摩耗箇所が分散されるが、シフト時間がサイクルタイムに影響。間欠シフト(数個ごと)=サイクルタイムを短くできるが、間欠個数を多くしすぎると異常摩耗の恐れ。1ピッチシフト(ホブの1ピッチごと)=ホブの振れの影響を受けないので歯厚・歯形が安定するが、間欠個数が多いと異常摩耗、少ないと工具寿命が短い。マルチシフト(スタート位置をずらして繰り返す)=摩耗箇所が分散されるが、ホブの振れの影響で歯厚・歯形が変わる恐れ。[6]資料1件・参考
- シフト方向:一方向シフト=常に新しい切れ刃が創成側となる方向にシフト。シフト端到達で寿命、または起動位置に戻す。加工精度は望ましいが戻すのに時間がかかる。往復シフト=シフト端で戻しながら使う。工具寿命が長い場合に採用し、戻す時間が不要でサイクルタイムが短くなる。[6]資料1件・参考
- NC ホブ盤ではおまかせプログラムでシフト範囲が自動計算される。ホブ外周切刃の作用長さは厳密には各ホブ・歯車データにより工具メーカーが計算する。[7]資料1件・参考
- ニデックの1回のシフト量の式は、創成中心となる切り刃を①→②→③…の位置にシフトさせる計算式で、摩耗量の最適化や加工精度の安定化につながる最適シフト量を求める式ではない。[6]資料1件・参考
コンベンショナルカットとクライムカット
2
専用ホブ(ラック・スプロケット・超硬・ウォームホイール)
6
- ラックホブ:自動車のステアリング装置(ラック&ピニオン)のラックを加工するホブ。ラックの精度は操舵性に影響するので高精度が要る。特長:歯厚・圧力角などの歯の形状精度は数μm以内。20〜50の歯を持ち、累積ピッチ誤差は 20μm 以内。不等歯厚ラックホブは各山の歯厚やピッチを数μmずつ変化させる。[1]資料1件・参考
- ラックホブのようにカッタが全長方向で同じタイミングの加工になる場合は、刃溝リードを付けることが有効(必要)。[1]資料1件・参考
- スプロケットホブ:チェーンピッチ(CP)6.35〜38.1 の寸法表と、ASA I 形の標準歯形(ローラチェーン呼び番号 40〜120)がある。ASA II 形では Cl=0。[1]資料1件・参考
- 超硬ホブ:小径化・多溝化・多条化が可能なソリッドタイプ。高温特性にすぐれドライ加工に最適な (Al,Ti)N コーティング(ミラクルコーティング)を採用し、切削速度 300m/min 以上の超高速加工が可能(三菱マテリアル)。焼結時の収縮挙動の制御と研削加工技術により高精度ソリッド超硬ホブを製作できる。[1]資料1件・参考
- 工程上、超硬ホブ切りは熱処理後の仕上げ工程に置かれる(歯車製造工程図)。外歯車の仕上げ加工手段として『超硬ホブ:高硬度材・大歯車』が挙げられている。[1]資料1件・参考
- ウォームホイール用ホブ:SAACKE はモジュール 0.5〜約20mm、外径 φ32〜200mm、進み角 45° まで製作し、技術設計の段階で歯面の当たり(接触パターン)のシミュレーションを行うとしている。[13]資料1件・参考
÷計算式
ホブの計算機(進み角・シフト量・送りマーク)
進み角 = sin⁻¹(m × Zw /(外径 − 歯末のたけ × 2))。シフト量は創成中心の切れ刃を次の刃の位置へ移す量で、摩耗を最適にする量ではありません(ニデック)。送りマークは歯底 fR = R − √(R² − S²/4)(R=ホブ半径)、歯面 fS = fR × sin α。歯末のたけの初期値は 1.25m です。
ホブの取付け角(はすば歯車)
ホブと歯車のねじれ方向が同じ:φ = β₀ − γ / ちがう:φ = β₀ + γ[1]資料1件・参考
- φ
- ホブの取付け角
- β₀
- 歯車のねじれ角
- γ
- ホブの進み角
計算例 平歯車では取付け角=γ(図3)
1回のシフト量(直線溝のホブ)
l = Zw × m × π /(cos γ × i) (ニデック表記:ℓ = Mn × π × z /(cosγ × i))[1][6]
- l(ℓ)
- シフト量 mm
- Zw(z)
- ホブの条数
- m(Mn)
- モジュール(ニデックはホブ歯直角モジュール)
- γ
- ホブの進み角 deg
- i
- ホブの溝数
計算例 ニデック:Mn 1.5、γ 3°、z 3、i 16 → ℓ = 1.5×π×3÷cos3.0×16 = 0.88
ホブの有効シフト長さ
S = l − ( K + 2a )、K = k + k0、a ≒ π / 2 m、k0 = Ca・cosβ / tanαn・cosτ[7]資料1件・参考
- S
- ホブシフト範囲 mm
- l
- ホブ刃長 mm
- K
- ホブ切刃作用範囲
- k
- ホブの創成中心からのホブ外周切刃の作用長さ(図表から読む)
- k0
- ホブの創成中心からの歯形創成範囲(片側)
- a
- ホブ余裕長さ
- Ca
- ホブカッタアデンダム
- αn
- 工具圧力角(ノーマル)
- β
- 歯車の捩れ角
- τ
- ホブ取付角
計算例 歯車 m2.25 PA14.5° NT25 β30° D0 70、ホブ d0 90 2条 刃長 l 130 → k=23、k0=13、K=36、a=3.5、S = 130 − (36 + 7) = 87 (mm)
送りマーク高さ
歯底:fR = R − √(R² − S²/4)、歯面:fS = fR × sinα[1]資料1件・参考
- fR
- 歯車歯底の送りマーク高さ
- fS
- 歯車歯面の送りマーク高さ
- R
- ホブ半径 mm
- S
- 送り量 mm/rev
- α
- 圧力角 deg
ホブ切り加工時間
T = Z・l・N /(F・n・Zw)= Z・N(l₁ + b + l₂)/(F・n・Zw)[1]資料1件・参考
- T
- ホブ盤の歯切り時間 分
- Z
- 歯車の歯数
- l
- ホブが動く距離 mm
- N
- 切削回数(切込み回数)
- F
- 歯車1回転当りのホブの送り mm/rev
- n
- ホブの毎分回転速度 min⁻¹
- Zw
- ホブの条数
- b
- 歯車の歯幅 mm
- l₁
- 切り始めにホブが動く距離 mm
- l₂
- 切り終りにホブが動く距離 mm
切り始め・切り終りのホブ移動距離
平歯車:l₁ > √(he(dc − he))、l₂ > 0 / はすば歯車:l₁ > √(he((dc + dK − he)/cos²φ − dK))、l₂ > dc・cosβ₀・tanφ / tanαc[1]資料1件・参考
- he
- ホブの切込み深さ(D+F)mm
- dc
- ホブの直径 mm
- dK
- 歯車の歯先円直径(外径)mm
- φ
- ホブの取付け角
- β₀
- 歯車のねじれ角
- αc
- ホブの圧力角
ホブ取付角誤差による歯厚減少
△W = mn * { sin²γ * (⊿ε)² / (2*tanαn) } * ( g / sin³γ + Z ) (スパーギヤの式。ヘリカルギヤは仮想歯数 = Z / cos³β を入れる)[4][14]資料1件・参考
- △W
- 歯厚減少量
- mn
- ホブのノーマルモジュール
- αn
- ホブ圧力角
- Z
- 被削歯車の歯数
- γ
- ホブ進み角
- ⊿ε
- ホブ取付角誤差
- g
- ホブ口数(条数)
- β
- 歯車捩れ角
計算例 m2、α20°、ホブ外径φ80 の場合:取付誤差 15′→歯厚減少 2μm、30′→8μm、45′→18μm、1°→32μm(ドライホブ切りの歯面傷対策の表)
すくい角誤差による圧力角の狂い
sin⊿α = tanδ・cos2α・tan⊿γδ、tan⊿γδ = tanε・tanαn・cosγ[8][1]
- δ
- 切れ刃面が半径方向を向いていない狂い(すくい角誤差)deg
- ⊿α
- 被削歯車の圧力角の狂い
- ⊿γδ
- ホブ側面二番角
- ε
- 外周二番角
- αn
- ノーマル圧力角
- γ
- ホブ進み角
計算例 δ = 3° につき ⊿α = 10′ の狂い(三菱マテリアルの表ではすくい角誤差 1° で圧力角誤差 約3′)
向心度(すくい面の中高・中凹)による歯形の狂い
⊿tq = (rp / R)・⊿q・tan⊿γδ[8][1]
- ⊿tq
- 被削歯車の歯形の狂い
- rp
- ホブピッチ円半径
- R
- 任意半径
- ⊿q
- 切れ刃面の中高または中凹の量
- ⊿γδ
- ホブ側面二番角
計算例 ⊿q = 0.1mm につき歯形の狂い 6μm(三菱マテリアルの表でもすくい面の凸量 0.1mm で歯形誤差 約6μm)
溝分割誤差の計算(JIS B4355 試験番号5-6 の簡易測定)
Avg = (No.1 + No.2 + … + No.n)/n、S1 = Avg − No.1、S2 = Avg − No.2 …。単一分割誤差 = S の絶対値の最大。累積分割誤差 = S1, S1+S2, S1+S2+S3 … の最大値−最小値[15]資料1件・参考
- No.k
- k番目の溝で読んだテスタAの値
- n
- 溝数
- S
- 平均差分
計算例 16溝ホブの測定例:単一分割誤差 4.7μm、累積分割誤差 9.8μm
向心度測定のブロックゲージ高さ
ブロックゲージ高さ = センター中心高さ(H) − すくいオフセット量、中心高さ(H) = hm −(D/2)[9]資料1件・参考
- H
- センター中心高さ
- hm
- ストレートバー頂点の高さ(ブロックゲージとの比較測定)
- D
- ストレートバーの外径
計算例 すくい角が 0° でない場合にブロックゲージ高さを変更する
スプロケットホブの標準歯形(ASA I 形)
Pn = 1.011P、Cl = 0.07(P − Dr) + 0.05、Ds = 1.005Dr + 0.08、C = 0.287Ds、H = 0.27P、E = 0.03P[1]資料1件・参考
- P(CP)
- チェーンピッチ
- Dr
- ローラ直径
- Pn
- ホブピッチ
- Ds
- 歯底の円弧の直径
- Cl, C, H, E
- 歯形寸法(図による)
計算例 呼び番号40:CP 12.70、Dr 7.94 → Pn 12.84、Cl 0.38、Ds 8.06、C 2.31、H 3.43、E 0.38(ASA II 形では Cl=0)
⚠トラブルと対策
症状を開くと、考えられる原因と対策が出ます。原因は上から順に疑うとは限りません。ワーク・機械・工具の組み合わせで変わります。
歯形誤差が大きい・歯形のうねりが大きい[1][3]p.21
主な原因
- ホブの溝分割誤差(切刃面ピッチ不良)
- ホブの歯すじ誤差
- ホブの取付け不良(ホブアーバへの取付精度不良)・ハブの振れ
- ホブ軸方向のガタ
- 穴径過大
- ホブの歯形不良
対策
- 再研削時の割出し誤差を確認する
- ホブの歯すじ(回転ピッチ)誤差を確認する
- ホブアーバ上でホブの偏心(振れ)を確認する
- ホブ軸のスラストと先メタルの傷みを確認する
圧力角誤差が大きい・歯形が倒れる[1][3]p.21
主な原因
- ホブのすくい角誤差
- ホブの圧力角誤差(ホブ歯形不良)
- ホブ向心度不良
- ホブ有効刃幅を超えての使用
- ハブの振れ
- 歯車の取付け不良
- 測定誤差(ワーク測定時のワーク振れ)
対策
- 再研削時の砥石オフセット量が正しいか確認する
- ホブの圧力角を確認する
- 有効刃幅と残り刃幅を確認する
- 歯車のたおれと歯車端面の振れを確認する
- 測定機のデータと測定機上での取付けを確認する
噛み合い長さ不足[3]
主な原因
- ホブ歯丈不足
- ホブ刃先R過大
- ホブ刃先コブ形状不良
- 設計間違い
対策
資料に対策の記載はありません。左の原因を一つずつ確かめてください。
ワークのピッチ不良[3]
主な原因
- ハブが振れている
- 歯スジ精度不良
- 切刃面ピッチ不良
- ホブアーバへのホブの取付精度不良
- ワーク測定時のワーク振れ
対策
資料に対策の記載はありません。左の原因を一つずつ確かめてください。
多条ホブで歯溝の振れ(ピッチ誤差)が出る[1]p.20
主な原因
- 多条ホブの切れ刃面ピッチ誤差が、そのまま直接ピッチ誤差になる
対策
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ワークのリード不良[3]
主な原因
- 歯スジ精度不良
- ホブ盤の精度不良
- ワーク測定時のワーク振れ
対策
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面取り量が過大・過小(面取り形状誤差が大きい)[1][3]p.21
主な原因
- ホブのすくい角誤差
- ホブの面取り起点寸法誤差(面取高さ不良)
- 歯車の歯厚誤差・歯切追い込み寸法不良
- 歯車(ワーク)の外径誤差
- ホブの取付け角誤差・取付角間違い(面取りが小さくなる)
- ホブ向心度不良
- 設計間違い
対策
- 再研削時の砥石オフセット量が正しいか確認する
- ホブの面取り起点寸法を確認する
- 歯車の歯厚を確認する
- 歯車の外径を確認する
- 歯車のねじれ角とホブの進み角を確認する(転位設計ホブの場合は注意が必要)
左右の面取量が異なる/歯により面取量が異なる[3]
主な原因
- 左右が異なる:ホブの面取高さ不良、歯スジ精度不良
- 歯により異なる:ハブが振れている、歯スジ精度不良
対策
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ワーク外径・歯厚・底径の寸法不良[3]
主な原因
- ホブ歯厚、歯丈寸法不良
- 歯切追い込み寸法不良
- ホブ向心度不良
- 設計間違い
- ホブ取付角間違い
対策
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歯形面および外周部のむしれ[3]
主な原因
- ホブ刃尻切上り部の干渉
対策
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歯車の面粗さが悪い[1]p.21
主な原因
- ホブの切れ味が低下
- 切削油に問題がある
対策
- 加工数を見直す
- 摩耗対策(ホブ材質・コーティングの変更)をおこなう
- 溶着しにくい切削油にかえる
- 切削油の供給量を増やす
- 新品の切削油に入れ替える(劣化)
ドライホブ切りで全歯面の同じ位置に傷(生成中の切粉による傷)[14][2]
主な原因
- 生成中の切粉により歯面が傷つけられる
- ドライ加工では切りくず離れが悪く、切りくずがほとんどカールせず長くのびる
対策
- 傷のある歯面側のホブ切刃進入角度が大きくなる方向に、15′〜1° くらいの範囲で取付角を変更する(取付角を変えるとワーク歯厚が減るので、公差によっては設計変更が必要)
ドライホブ切りで傷のある歯と無い歯が混在(切粉の再噛込み、溶着が見られることも)[14]
主な原因
- 既に切り離された切粉が再び加工点に噛み込む
対策
- 傷のある歯面側のホブ切刃進入角度が小さくなる方向に、15′〜1° くらいの範囲で取付角を変更する
- エアーノズルの方向を切削点にできるだけ近づけ、切粉を加工点に寄せ付けない
ドライホブ切りでトレーリング側の歯元付近に歯面傷[2]
主な原因
- トレーリング側(仮想切削ラックの遠のき側のフランク)の切りくずの噛み込み
対策
- ホブを転位設計(圧力角 20°→15°)してトレーリング側の切りくず形状を変える(不二越の事例で歯面傷が解消)
摩耗が大きい[1]p.21
主な原因
- ホブの耐摩耗性不足
- 切削速度が速い
- 加工設備・治具に問題がある
対策
- 耐摩耗性が高いコーティング膜を採用する
- 耐クレータ性にすぐれた材質を採用する
- 可能であれば切削速度を遅くする。能率低下が問題となる場合には小径化や多条化を検討する
- これまでと摩耗量に変化がないか、特定の加工設備で摩耗が大きくないか確認する
チッピングが発生する[1]p.21
主な原因
- ホブのじん性不足
- 送り量が大きい
- クレータ摩耗が大きい(クレータ摩耗の決壊によるチッピング)
- 加工設備・治具に問題がある
対策
- じん性が高い材質を採用する
- 可能であれば送り量を小さくする。能率低下が問題となる場合には小径化や耐摩耗性にすぐれたコーティングを採用して切削速度を速くする
- クレータ摩耗の決壊によるチッピングの場合は、切削速度を遅くするか耐クレータ性にすぐれた材料を採用する
- これまでとチッピング発生状況に変化がないか、特定の加工設備で発生していないか確認する
ホブの欠損(クラックを起点としている)[3]
主な原因
- 刃付時の研削割れ
- 歯形研削時の研削割れ
- 切削熱による刃先クレータ付近の割れ
- 製作熱処理工程時の割れ
対策
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ホブの欠損(一気に欠損している)[3]
主な原因
- ホブ母材の不良、硬度が高い、もろい
- 速送り時の突っ込み
- ワーククランプのゆるみにより加工中ワークが廻される
- 切削油の吐出量不足、掛かり具合不良により刃溝に切粉がつまる
- 治具等、高硬度のものを切削
対策
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刃溝に切粉が詰まった状態で摩耗している(切りくず詰まりによる異常摩耗)[3][2]
主な原因
- 刃溝の容積が小さい
- 切削油の吐出量不足、掛かり具合不良等により刃溝に切粉がつまる
- ドライ加工では回転毎に切りくずが刃溝に蓄積→飽和→詰まり、厚く長い切りくずが前刃の背面部に干渉して刃溝にはまり込む
対策
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PVD(コーティング)が剥離している[3]
主な原因
- PVD処理不良(前処理不良、処理プロセス異常 他)
対策
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クレータ摩耗にバラツキがある[3]
主な原因
- ホブシフトにバラツキがある
対策
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均一に摩耗している(異常摩耗)[3]
主な原因
- 母材硬度
- 材料不良
- 熱処理不良
対策
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刃先Rのつなぎ部が摩耗[3]
主な原因
- 刃先Rのつなぎ部の角ばり
対策
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同一切削条件でも工具摩耗がばらつく[16]
主な原因
- 被削材の熱処理の違いによる組織(結晶粒度)の差。ニデックの調査(SCM420H)では焼きなまし材(粒度番号6、HB168)の方が焼準材(粒度番号8、HB155)より硬いが粒径が大きく、工具摩耗は少なかった。組織・硬度の差が小さい場合(SCR420H1)は摩耗量にも差が出なかった
対策
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↻再研削・寿命の管理
- 刃付けの時期は一般に切れ刃刃先部の二番摩耗(外周・リーディング側・トレーリング側)で決める。コーティングホブでは 0.1〜0.2mm の二番摩耗で再刃付けするのが経済的。ホブの摩耗は 0.3mm 付近を越えると急激に増える。[8]資料1件・参考
- クレータ摩耗が問題になることもある。クレータ摩耗の目安は、摩耗位置が切れ刃エッジに近い場合 0.03〜0.04mm、遠い場合 0.05〜0.08mm。時期を誤ると、二番摩耗が少なくてもクレータ摩耗で切れ刃エッジが決壊し、異常摩耗に結びつくことがある。[8][2]
- 最大摩耗は食付き側(荒切り領域)の刃に生じ、その摩耗量で再研削時期が決まる。シフトで最大摩耗を各刃に分散させ、再研削までの加工数を増やす。[1]資料1件・参考
- 刃付け盤にホブを取り付ける際は振れのないよう正しく取付ける(10μm 以内)。[8]資料1件・参考
- すくい面は半径方向に研ぐ。すくい角や中高を与える刃付けは圧力角や歯形の狂いになる。再研削誤差の影響(三菱マテリアル):溝の分割誤差 0.1mm で歯形誤差 約6μm、すくい角誤差 1° で圧力角誤差 約3′、すくい面の凸量 0.1mm で歯形誤差 約6μm、溝のリード誤差 1° で圧力角誤差 約10′、取付けの振れ 0.025mm でうねり 約9μm。[1][8]
- 再研削条件(CBN ホイール):研削速度 1,800〜2,000m/min、送り速度 150〜250mm/min、切込み量 0.1〜0.15mm/PASS。[1]資料1件・参考
- 刃付時・歯形研削時の研削割れは、クラックを起点とした欠損の原因になる。[3]資料1件・参考
- 再研削・再コーティングで常にすくい面にコーティングがあれば、安定して V=200m/min 以上の高速ドライホブ切りができる。すくい面コーティング無しでは、クレータの土手(切れ刃エッジ)決壊から生じる VB 摩耗に注意する(不二越)。[2]資料1件・参考
- 再コートの有無(三菱マテリアルの表):TiN・バイオレットは再コート無し、GV40 は有り(再コーティング仕様)、DP(GV50)は無し・有り(DP コーティングホブは再研削仕様)。[1]資料1件・参考
- 溝数を減らすと刃付け可能刃幅が増え刃付け回数が増える。溝数を増やすと刃付け研削コストが上がる。[5]資料1件・参考
- 全長を長くするとシフト範囲が広がり、再研削1回当たりの加工数が全長比率以上に増える。[1]資料1件・参考
- 向心度の結果は『歯先上がり(歯元→歯先に向かって+)』『歯先下がり』と表現して伝える。歯先で 0 セットして歯元に向かって測ると符号が逆転し、追加工時のオフセット方向を間違える。[9]資料1件・参考
◎工具の検査
- 溝分割精度(JIS B4355 試験番号5-6)の簡易測定:準備物は両センター台、ストレートマンドレル、スタンド付テコ式ダイヤルゲージテスタ2個(目量0.002mm)。ホブをマンドレルに付けて両センター台にセットし、隣接する溝のすくい面の歯中央にテスタA・Bを当てて 0 セット。テスタを退避させ、ホブを軸方向に動かして1溝分割し、テスタAを次の溝の歯中央に合わせ、テスタBが 0 を示すまでホブを回してテスタAを読む。これを全溝で1周繰り返し、最後に No.1 溝で 0 に戻ることを確認する。[15]資料1件・参考
- 向心度(JIS B4355 試験番号7)の簡易測定:準備物は両センター台、テコ式ダイヤルゲージテスタ1個(目量0.002mm)、ブロックゲージ一式、ストレートバー、マイクロメータ。センター中心と同じ高さにブロックゲージを組み、その上でテスタを 0 にセット。歯底付近にテスタ端子を移し、テスタが 0 を示すまでホブを回す(テスタで調整しない)。歯先方向にテスタを動かし移動量を記録する。すくい角が 0° でない場合はブロックゲージ高さを変える。[9]資料1件・参考
- JIS B4355 の試験番号5-7 に刃付精度の測定方法が記述されている(ニデックは『少々抽象的』とし、専用測定機なしでできる方法を紹介)。[15][9]資料1件・参考
- ホブアーバ上でのホブの偏心(振れ)、ホブの歯すじ(回転ピッチ)誤差、ホブ軸のスラスト、先メタルの傷みを確認する(歯形誤差が大きいとき)。取付けの振れ 0.025mm で歯形のうねり 約9μm になる。[1]資料1件・参考
- 有効刃幅と残り刃幅を確認する(有効刃幅を超えた使用は圧力角誤差の原因)。[1]資料1件・参考
- 摩耗の測り方:最大VB摩耗=逃げ面に生じる摩耗の、切削方向の最大幅。最大KT摩耗=すくい面摩耗のうちくぼみが生じる摩耗の、くぼみの最大深さ。KM=クレータ最深部と歯先切れ刃までの長さ。[2][1]
- ワーク側の確認:歯車のたおれ・歯車端面の振れ、測定機のデータと測定機上での取付けを確認する。[1]資料1件・参考
☑注文時に決めること
工具メーカーに見積・製作を頼むときに伝える項目です。歯車の要目表(図面の表)から決まるものが大半です。
| 項目 | なぜ要るか・決め方 |
|---|---|
| モジュール(またはダイヤメトラルピッチ)と圧力角 | 工具の基準ラックは歯車の基準ラックから決まる。標準ソリッドホブは m1〜20(DP 24〜1¼)。[1] |
| 歯形の種類(基準ラック:JIS・DIN・Fellows 低歯・プリシェービング・AGMA STUB・SYKES)と歯丈 | 種類ごとに工具の hkc・hfc・Sc・hc が違う。[1] |
| 歯形記号(P・PP・PS・PSP・S-TOP、研削前は PG・PGP・PGS・PGSP) | シェービング前・研削前・仕上げ用で歯形が変わる。記号は JIS B4350 による。[1] |
| シェービング代(研削代)とプロチュバランスの大きさ | プロチュバランスは通常シェービング代(研削代)と相手歯車のかみ合い有効歯丈から決める。[1] |
| 面取り(セミトッピング)の量・起点寸法と共用する歯車 | 共用する場合は歯数・転位係数・仕上げ代を考えて面取り量を計算する。起点寸法誤差は面取り形状誤差の原因になる。[1] |
| 条数とねじれ方向(右・左) | 条数で能率・精度・寿命が変わり、限界は歯数と機械で決まる。ねじれ方向が歯車と同じか逆かで取付け角(β−γ/β+γ)が変わる。[1][5] |
| 溝数 | 多角形誤差・送り・有効刃幅・刃付け回数に効く。通常はカタログの標準寸法。[1][5] |
| 外径・全長・穴径(A式/B式)・ハブ・キー溝(キー溝付き/端面キー溝付き) | 外径はワーク(ショルダギヤ)やホブ盤との干渉で決め、全長はシフト範囲と機械仕様で決める。穴径はホブアーバ径に合わせる。標準寸法以外の外径・全長・穴径も製作可。[1] |
| すくい角と刃溝リード | すくい角は通常 0°。付ける場合は図面・刻印に明記され、向心度の測定(ブロックゲージ高さ)にも要る。進み角が大きい場合やラックホブでは刃溝リードを検討する。[1][9] |
| 精度等級(A 級・AA 級) | 前切加工用は通常 A 級、ホブ仕上げ用は AA 級を推奨。[1] |
| 材種とコーティング(再コーティング仕様か) | ウェット/ドライ、切削速度、被削材硬さで選ぶ。再研削後に再コートするかで寿命と使い方が変わる。[1][10][2] |
| 被削歯車の諸元(歯数・転位係数・ねじれ角と方向・外径・歯幅・材質と硬さ・熱処理) | 小歯数・負転位ではアンダカットや多条化の制約がある。外周切刃の作用長さ(シフト範囲)は各ホブ・歯車データから工具メーカーが計算する。被削材の組織も工具摩耗に効く。[1][7][16] |
| 加工条件と機械(ホブ盤の機種・シフト可能範囲・ウェット/ドライ・クライム/コンベンショナル) | 条数の限界はホブ盤によって違い、全長変更には機械仕様やシフト時の干渉の確認が要る。[1][5] |
| スプロケットホブ:チェーンピッチと歯形(ASA I 形/II 形) | チェーンピッチで外径・全長・穴径が決まり、歯形寸法はローラ直径から計算する。[1] |
| ラックホブ:歯数(山数)と不等歯厚の有無 | ラックホブは 20〜50 の歯を持ち、不等歯厚ラックホブは各山の歯厚やピッチを数μmずつ変える。[1] |
ケズリバ(kezuriba.net)/gears/tools/hob/ より印刷
+あわせて知りたいこと
全工具共通:歯切工具のハイス材種と表面処理(三菱マテリアル)
7
- 溶解材:KMC3(SKH55 / M35 相当、標準材・高Co、ホブ・ピニオン)、KVC5(耐摩耗性向上、ホブ)、DH01B(耐熱・靭性向上、ドライ加工用、ホブ)、SKH51(M2、標準材、ピニオン・シェービング)、KHV1(SKH53 / M3-2、耐摩耗性向上、シェービング)、KHVX(被研削性・耐溶着性向上、シェービング)、HSP(耐摩耗・被研削性向上、高硬度材加工用、シェービング)。[1]資料1件・参考
- 粉末材:KHA(標準材、ホブ・ピニオン・シェービング)、KHA30(ホブ・ピニオン)、KHA50(SKH10 / T15 相当、耐摩耗性向上、ホブ・ピニオン)、KHAZ(耐摩耗性・靭性向上、ピニオン)。[1]資料1件・参考
- コーティング:TiN・バイオレット(ホブ・ピニオン)、GV40(高速加工用・再コーティング仕様、ホブ・ピニオン)、DP(高速ドライ加工用、ホブ)、ミラクル(超硬母材、ホブ)。表面処理(シェービングカッタ):窒化酸化、STH(特殊表面処理、耐摩耗性向上)。[1]資料1件・参考
- コーティング性能比較(表2):硬さ HV は TiN 1,900、バイオレット 2,800、GV40 3,500、DP(GV50)3,300。酸化開始温度は 620・840・1,100・1,250℃。加工用途は TiN とバイオレットがウェット、GV40 と DP がドライ・ウェット。[1]資料1件・参考
- TiN コーティングで無処理ホブの4倍以上の工具寿命。バイオレットコーティング((Al,Ti)N の特殊単層膜)は TiN の1.5倍の皮膜硬度で耐摩耗性が向上(工具寿命 TiN の2倍以上)し、耐熱性にすぐれ高能率切削が可能。[1]資料1件・参考
- (Al,Ti)N 膜(ミラクルコーティング)は、アークイオンプレーティング法という物理蒸着法(PVD 法)で作られる。PVD 法のコーティングは密着性に優れ、基板の損傷やはく離が起こりにくい。[1]資料1件・参考
- 不二越の多元系耐酸化膜(Hyper DuAl コーティング)は大気中 1000℃×1時間の加熱で酸化深さ 1.9μm(TiAlN は 4.5μm で母材まで損傷)、膜硬さ約 2500〜2800HV(従来の TiAlN 膜 2400〜2600HV)。[2]資料1件・参考
全工具共通:工具材質・表面処理選択マップ(ニデック)
3
- 加工条件(切削速度)と被削材硬度(HB)に対する適用の目安として、ブローチ・シェービング・ピニオン・ホブごとに工具材質と表面処理の適用範囲を示したマップ。被削材は浸炭鋼(〜HB180)、高強度浸炭鋼(HB180〜220)、非調質鋼(HB220〜300)、超耐熱鋼・炭素鋼・合金鋼・鋳物を想定。[10]資料1件・参考
- 材質の例:ブローチ(〜5m/min)は浸炭鋼に MAC B・SKH51・SKH55、高硬度に MAC D・MAC B・GRANMET BR。シェービング(カッタ周速〜100/150)は MACH3・SKH51、高硬度に MACH3・MAC B。ピニオン(50〜100m/min)は低速・浸炭鋼に MAC A・SKH55・SKH51、それ以外に MX-1・MAC L・MAC B。[10]資料1件・参考
- 表面処理の例:ブローチは浸炭鋼にホモ処理・イソナイト、高硬度にナノダイナミックⅠ・Ⅱ。シェービングは MightyShield ε・スーパーコート・ホモ処理。ピニオンは低硬度に黒色ダイナミック、それ以外にスーパードライⅢ・スーパードライⅠ。[10]資料1件・参考
全工具共通:歯車の用途と要求精度・加工方法、歯車形状による工具の選定
3
- 用途と品質等級の目安:精密ゲージ・測定用マスタギヤ DIN 3、生産用マスタギヤ・航空機 DIN 4(JIS 0)、航空機トランスミッション等 DIN 5〜6(JIS 1〜2)、自動車・輸送機器・工作機械 DIN 7(JIS 3)、中低速の輸送機器・農業用トラクター等 DIN 8〜9(JIS 4〜5)、農業用トラクター・産業機械のトランスミッション DIN 10(JIS 6)、一般の農業機械 DIN 11〜12(JIS 7〜)。ヘリカルギヤは騒音面でスパーギヤより1〜2級低い等級を選定できる。[1]資料1件・参考
- 外歯の平歯車はホブ(精度○・能率◎)、ピニオンカッタ(○・○)、ラックカッタ(◎・△)、総形カッタ(△・△)で加工でき、仕上げにはシェービングカッタ(m1〜m14)、ギヤロール(m1〜m3)、超硬ホブ(高硬度材・大歯車)を使う。段付き・はすば歯車や内歯車はピニオンカッタ・ラックカッタ・ブローチなど。[1]資料1件・参考
- 歯車製造工程:歯車素材(旋削加工・下穴加工)→ ホブ切り/ギヤシェーパ/ブローチ → 面取り → シェービング → 熱処理 → 超硬ホブ切り・中仕上げ・ホーニング・研削 → 検査(マスタギヤ)。[1]資料1件・参考
全工具共通:基本的な歯車チャートの読み方(ニデック)
3
- チャート中央の水平の線が計算上の理論値(理想歯形・理想歯すじ)で、理論値からの差を誤差として表す。[17]資料1件・参考
- 歯形(Profile):歯形勾配誤差(圧力角誤差)fHα=歯形を近似した直線の評価開始点と終点との差(歯形角度の評価)。全歯形誤差 Fα(DIN では Ff)=ねらいなしのインボリュート歯形の評価範囲内の最大点と最小点の差。歯形形状誤差 ffα(DIN では ff)=うねりの評価。[17]資料1件・参考
- 歯すじ(Lead):歯すじ傾斜誤差(ねじれ角誤差)fHβ=歯すじを近似した直線の評価開始点と終点との差。全歯すじ誤差 Fβ=評価範囲内の最大点と最小点の差。歯すじ形状誤差 ffβ(DIN では fβf)=歯すじのうねりの評価。参照規格は JIS 1702-1 1998、ISO 1328-1 1995、DIN 3961 1978。[17]資料1件・参考
ホブ加工の誤差の形から原因を探す(チャートの読み方と組み合わせ)
5
- 歯形勾配誤差(圧力角誤差 fHα)・歯形の倒れが大きい → ホブのすくい角誤差(1° で圧力角 約3′)、刃溝のリード誤差(1° で 約10′)、ホブの圧力角誤差、向心度不良、有効刃幅を超えた使用、歯車の取付け不良、測定誤差。[1][3][8]
- 歯形形状誤差(うねり ffα)が大きい → 溝の分割誤差(0.1mm で 約6μm)、すくい面のふくらみ(0.1mm で 約6μm)、ホブ取付けの振れ(0.025mm で 約9μm)、ハブの振れ、穴径過大、ホブ軸方向のガタ。[1][3][8]
- 歯形多角形誤差が目立つ → 条数が多い(条数の2乗に比例)、溝数が少ない。[1][5]
- ピッチ誤差が大きい → ハブの振れ、歯スジ精度不良、切刃面ピッチ不良、アーバへの取付精度不良。多条ホブでは切れ刃面ピッチ誤差がそのままピッチ誤差になる。[1][3]
- 歯すじ(リード)誤差が大きい → ホブの歯スジ精度不良、ホブ盤の精度不良、ワーク測定時の振れ。多条化による切削負荷増大で歯すじが曲がることもある。[3][1]
工具摩耗の用語(不二越の用語解説)
1
- リーディング側=歯車に対して仮想切削ラックの近寄り側のフランク。トレーリング側=遠のき側のフランク。摩耗はかど摩耗・逃げ面摩耗・すくい面摩耗(クレータ摩耗)に分けて見る。[2]資料1件・参考
⚙ほかの歯切り工具
📚出典
印のない値は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。材種名・コーティング名はメーカーの商品名で、メーカーどうしの比較はしていません。「p.」は三菱マテリアルのカタログ(C004J-H)の本文ページです。
- 三菱マテリアル「歯切工具/ブローチ 総合カタログ C004J-H」
- 不二越「NACHI-BUSINESS news Vol.7B1 高能率・長寿命「Hyper DuAl ホブ」」
- ニデックマシンツール「ホブ加工に関する不具合と要因」
- ニデックマシンツール「ホブ取付角誤差が歯厚及び面取量に及ぼす影響」
- ニデックマシンツール「ホブカッタ条数・溝数の設定目安」
- ニデックマシンツール「ホブシフト方法」
- ニデックマシンツール「ホブの有効シフト長さ」
- ニデックマシンツール「ホブの刃付け研削について」
- ニデックマシンツール「ホブ刃付精度の測定方法 ~向心度編~」
- ニデックマシンツール「工具材質・表面処理選択マップ」
- ニデックマシンツール「ホブ新材料 GRANMET SF(グランメット Speed Fine)」
- ニデックマシンツール「耐チッピング性を極めたホブ新鋼種「MACH13」」
- SAACKE(ザッケ)「Worm Milling Cutters and Worm Wheel Hobs」
- ニデックマシンツール「ドライホブ切りの歯面傷対策」
- ニデックマシンツール「ホブ刃付精度の測定方法 ~歯溝分割編~」
- ニデックマシンツール「ドライホブ加工におけるホブ摩耗に対するワーク熱処理の影響」
- ニデックマシンツール「基本的な歯車チャートの読み方」