プレス機械の給油・潤滑

給油する場所・油の種類と粘度(ISO VG)・交換の目安。点検の周期・判定の数値・油種は、プレスメーカーの取扱説明書と、機械・安全装置の銘板の表示が最優先。特定自主検査は資格のある人か登録検査業者が行う。安全装置の取付け・調整は特別教育の対象業務。ここにある法令の要点は 2026-10-06 に e-Gov と厚生労働省の公開資料で確かめたもので、改正に注意すること

⛽給油する場所と油

場所機械油(例)間隔の目安
ウェットタイプのフリクションクラッチ・ディスクブレーキの油機械プレスメーカー指定の油判定基準:油漏れがなく油量が適正。取り出した油に異物の混入・あわ立ち・乳化・変色・著しい汚れがないこと特定自主検査(年1回)で油量・油漏れ・油の状態を見る[2](資料1件・参考)
乾式ブレーキの摩擦面(油を入れてはいけない所)機械プレスなし(油脂類を付けない)動力プレス機械構造規格 第24条はブレーキ面に油脂類が入らない構造を求めている(湿式ブレーキを除く)。特定自主検査基準もライニングへの油の付着がないことを判定基準にしている。油が付くと制動力が落ちる給油作業のたびに注意[3][2](資料1件・参考)
油圧プレス・油圧式プレスブレーキの作動油タンク(リザーバ)油圧プレス油圧装置メーカーの指定する作動油空気中の湿気が凝結してタンクに水がたまるので、運転休止時にドレン抜きから水を抜く(油研工業)。特定自主検査基準は、取り出した作動油に異物・あわ立ち・乳化・変色・著しい汚れがないことを見る油面は常に監視。性状の検査は初めの半年は 3 か月ごと、その後は 6 か月ごと(油研工業の油圧ユニットの例)。ドレン抜きは月1回程度[5][2]
軸受・ガイド(ギブ)・歯車(機械本体の潤滑)共通取扱説明書の指定油。プレスでは軸受・ガイド・歯車など多くの箇所に使うので、汎用・多目的潤滑油を使うことが多い(アイダ)同じ粘度グレードでも添加剤の違いで不具合が出た例があり、指定外の油による故障は保証の対象外になる(アイダ)。特定自主検査基準は「潤滑系統の機能が正常で確実に給油されている」ことを判定基準にしている給油は機種の給油方式(集中給油など)による。油は定期交換[1][2]
空圧機器の油霧給油器(オイラー)共通機器メーカー指定のオイラー用油安全装置管理指針の作業開始前点検と定期検査、特定自主検査基準(空圧系統)の項目作業開始前に油の有無、定期検査で油量・濁り・滴下量[4][2](資料1件・参考)

🛢油の種類と選び方

汎用・多目的潤滑油ISO VG(40 ℃の動粘度 mm²/s の中央値)で表す。数字が大きいほど粘い
軸受・ガイド・歯車など多くの箇所を一つの油でまかなう。添加剤で性能を上げたものが多い 潤滑油は異物・摩耗粉によるスラッジ、水の混入、酸化、添加剤の消耗で劣化するので定期交換が要る(アイダ)[1](資料1件・参考)
メーカー指定の油(指定油)
プレスの機種・周辺機器の用途ごとにメーカーが油種と粘度を決めている 日本鍛圧機械工業会は、潤滑油を交換部品の一つとして、必ずメーカー指定のものに替えるよう求めている[1][6]
作動油(石油系)
油圧プレス・油圧式プレスブレーキの動力を伝える 油研工業の更油基準の例:40 ℃動粘度の変化 ±10 %、全酸価の変化 0.5〜1.0 mgKOH/g、水分 0.2 vol% 以上で交換。汚染度は NAS 10 級以内(ISO/DIS 4406 18/15)、戻りラインに 25 µm 以下のフィルタを勧めている。銘柄を替えるときは十分にフラッシングする[5](資料1件・参考)
石油系作動油の更油基準(油研工業の例)
項目交換の目安
動粘度(40 ℃)の変化±10 %
全酸価の変化0.5〜1.0 mgKOH/g
水分0.2 vol% 以上

📚出典

印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。

  1. アイダエンジニアリング「アイダプレス情報館「プレス機に使用される潤滑油について」」
  2. 厚生労働省「動力プレス特定自主検査基準(令和7年厚生労働省告示第323号、令和8年1月1日適用)」
  3. 厚生労働省「動力プレス機械構造規格(昭和52年労働省告示第116号。厚生労働省 法令等データベース)」
  4. 厚生労働省「プレス機械の安全装置管理指針(平成27年9月30日 基発0930第11号。静岡労働局掲載)」
  5. 油研工業「YA パック(低騒音標準小形油圧ユニット)取扱説明書 JM-1028」
  6. 日本鍛圧機械工業会(JFMA)「パンフレット「鍛圧機械 予防・保守保全のおすすめ」」