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プレス機械の保全作業の安全
止めて・錠を掛けて・札を付ける。法令と規格が求めること。点検の周期・判定の数値・油種は、プレスメーカーの取扱説明書と、機械・安全装置の銘板の表示が最優先。特定自主検査は資格のある人か登録検査業者が行う。安全装置の取付け・調整は特別教育の対象業務。ここにある法令の要点は 2026-10-06 に e-Gov と厚生労働省の公開資料で確かめたもので、改正に注意すること
⚠法令・規格が求めること
- 労働安全衛生規則 第131条(プレス等による危険の防止)
安全囲いなどで身体の一部が危険限界に入らないようにする。作業の性質上それが難しいときは、プレスの種類・圧力能力・ストローク数・停止性能などに合った安全装置(手払い式を除く)を付ける。切替えスイッチをどの位置にしても措置が効いていること
対策の順番は、①安全囲いによるノー・ハンド・イン・ダイ、②安全プレス、③安全装置。足踏みから両手押しボタンへの切替えも有効(日鍛工の解説・管理指針) 手払い式安全装置は原則使用禁止で、当分の間はストローク長さ 40 mm 以上で防護板の長さ以下、毎分ストローク数 120 以下の両手操作式のプレスに限り使える(安衛則 附則 第25条の2)。安全装置構造規格の 2011 年改正で、手払い式の製造も原則禁止になった[1][2][3][4]
- 労働安全衛生規則 第131条の2(スライドの下降による危険の防止)・第131条の3(金型の調整)
金型の取付け・取外し・調整で身体の一部が危険限界に入るときは、安全ブロック等を使わせる(労働者も使う義務がある)。金型の調整でスライドを動かすときは寸動で、寸動機構がなければ手回しで行う
動力プレスは安全ブロック等と、その使用中はスライドが動かないインターロックを備えている(構造規格 第6条)。安全ブロックを本来の用途以外(型外し)に使った死亡事例がある[1][5][6](資料1件・参考)
- 労働安全衛生規則 第132条(クラッチ等の機能の保持)
プレス等のクラッチ・ブレーキその他制御のために必要な部分の機能を、常に有効な状態に保つ
作業開始前点検・特定自主検査で見つけた異常は補修する(第137条)。日常の手入れの根拠になる条文[1](資料1件・参考)
- 労働安全衛生規則 第133条・第134条(プレス機械作業主任者)、施行令 第6条第7号
動力プレスを 5 台以上もつ事業場では、プレス機械作業主任者技能講習の修了者から作業主任者を選ぶ。職務は、プレスと安全装置の点検、異常時の措置、切替えキーの保管、金型の取付け・取外し・調整の直接指揮
10 台使っていながら作業主任者を選んでおらず、作業者の危険な方法を誰も止めなかった死亡事例がある(厚労省)。5 台未満でもキーの保管者を決める(第134条の2) 5 台未満の事業場では、作業主任者の職務のうち点検・異常時の措置・金型作業の指揮を担当する人が安全装置の点検を行う(管理指針)[1][7][8][6][2]
- 労働安全衛生規則 第36条第2号(特別教育)
動力プレスの金型、シャーの刃部、プレス・シャーの安全装置・安全囲いの取付け・取外し・調整の業務には、特別教育を受けた人を就かせる
- 労働安全衛生規則 第134条の3・第135条の2・第135条の3、安衛法 第45条、施行令 第15条
動力プレスは 1 年以内ごとに 1 回、9 項目の定期自主検査を行い、記録を 3 年残す。これは特定自主検査で、資格をもつ社内の人か登録検査業者が行い、検査標章を貼る
2026年1月1日から、特定自主検査は厚生労働大臣の定める基準(動力プレス特定自主検査基準)に従って行うことが法律上の義務になった(安衛法 第45条第3項)。それまでの「動力プレスの定期自主検査指針」は廃止 社内で行う場合の資格は第135条の3 第2項(学歴に応じた点検・整備の経験年数と厚労大臣が定める研修、またはプレス作業主任者で 10 年以上の経験など)。シャーは第135条で同じく年1回の自主検査が要る(特定自主検査ではない)[1][7][9][3][10]
- 動力プレス特定自主検査基準(令和7年厚生労働省告示第323号)
検査対象の構造・装置ごとに、検査方法と判定基準を決めた告示。機械プレス(別表第1)、液圧プレス(別表第2)、安全プレス(別表第3)の 3 表
以前の指針は推奨だったが、告示は法令の一部。従わない検査業者は改善命令・業務停止・登録取消しの対象になる。中身は旧指針をもとにしていて、文言の整理などを除き大きくは変わっていない(厚労省) 「当該機械の構造及び性能に照らし適正」とされた判定は、メーカーの基準値で行う。どうしても確認できなければ同種機械の基準値などで判定する(基発1226第2号)[11][12][13](資料1件・参考)
- 労働安全衛生法 第42条・第44条の2、施行令 第14条の2(構造規格と型式検定)
動力プレスは動力プレス機械構造規格に、安全装置はプレス機械又はシャーの安全装置構造規格に合わなければ、譲渡・貸与・設置できない。安全装置と安全プレスは型式検定を受け、合格標章のないものは使えない
- 労働安全衛生規則 第86条・別表第七、安衛法 第88条(計画の届出)
クランク軸等の偏心機構をもつ機械プレスと液圧プレスを設置・移転し、または主要構造部分を変更するときは、工事開始の 30 日前までに所轄の労働基準監督署に届け出る
届書には圧力能力・ストローク長さ・停止性能・クラッチとブレーキの型式・オーバーラン監視装置の設定位置などと、構造図、検定合格標章の写しを添える(別表第七)。監督署によっては独自の書式があるので事前に確かめる(アイダ)[1][9][14][3]
- 労働安全衛生規則 第107条(掃除等の場合の運転停止等)
掃除・給油・検査・修理・調整で危険があるときは機械を止め、起動装置に錠を掛け表示板を付けるなどして、ほかの人が動かせないようにする
日鍛工は、保守保全の事故を防ぐため、作業計画と手順書を作り、ロックアウト(電源の施錠)とタグアウト(表示板)を行うよう勧めている。製造業の保守保全中の死傷者の最多は、はさまれ・巻き込まれ(日鍛工の資料、平成19年)[1][15]
- 労働安全衛生規則 第108条の2(ストローク端の覆い等)
移動するテーブルなどのストローク端が危険なときは、覆い・囲い・柵などを設ける
2011年の改正で工作機械以外にも広がり、タレットパンチプレスのテーブルなども対象(厚労省のリーフレット)[1][16][3]
- 騒音規制法施行令 別表第一・振動規制法施行令 別表第一(特定施設)
騒音規制法では、呼び加圧能力 294 kN 以上の機械プレス、液圧プレス(矯正プレスを除く)、3.75 kW 以上のせん断機などが特定施設。振動規制法では、液圧プレス(矯正プレスを除く)と機械プレス、1 kW 以上のせん断機などが特定施設
指定地域内で特定施設を置くときは、設置工事の 30 日前までに市町村長に届け出る(騒音規制法 第6条、振動規制法 第6条)。敷地境界での規制値は地域ごとに決まり、条例で対象機械が追加されている場合もある(日鍛工)[17][18][19][20][21]
条文は要点をケズリバの言葉でまとめたものです。正確な文言は e-Gov 法令検索の原文で確かめてください。
📚出典
印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。数値・周期は機種ごとの指定が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。
- 厚生労働省「労働安全衛生規則(e-Gov 法令検索。第36条・第86条・第108条の2・第131条〜第137条)」
- 厚生労働省「プレス機械の安全装置管理指針(平成27年9月30日 基発0930第11号。静岡労働局掲載)」
- 日本鍛圧機械工業会(JFMA)「法規解説「プレス機械の安衛法一覧表」」
- 厚生労働省「プレス機械又はシャーの安全装置構造規格の改正について(審議会資料 参考2)」
- 厚生労働省「動力プレス機械構造規格(昭和52年労働省告示第116号。厚生労働省 法令等データベース)」
- 厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例「加工品を上型から外すために置いた安全ブロックが飛来し死亡」」
- 厚生労働省「労働安全衛生法施行令(e-Gov 法令検索。第6条第7号・第14条の2・第15条)」
- 日本鍛圧機械工業会(JFMA)「法規解説「プレス作業主任者等」(プレス機械作業主任者とプレス関係安全特別教育一覧表)」
- 厚生労働省「労働安全衛生法(e-Gov 法令検索。第42条・第44条の2・第45条)」
- 厚生労働省「特定自主検査制度について(厚生労働省ウェブページ)」
- 厚生労働省「リーフレット「特定自主検査基準が制定されました」(2026年3月)」
- 厚生労働省「高所作業車特定自主検査基準等の制定等について(令和7年12月26日 基発1226第2号)」
- 厚生労働省「動力プレス等の自主検査指針の廃止に関する公示(自主検査指針公示第28号)」
- アイダエンジニアリング「アイダプレス情報館「プレス機を設置・移設・改造するときは『設置届』が必要です」」
- 日本鍛圧機械工業会(JFMA)「パンフレット「保守保全作業を安全に実施するには」」
- 厚生労働省「リーフレット「機械による労働災害防止対策を強化するため労働安全衛生規則を改正しました(プレス機械対策を中心に)」(2011年)」
- 環境省「騒音規制法施行令 別表第一(e-Gov 法令検索)」
- 環境省「振動規制法施行令 別表第一(e-Gov 法令検索)」
- 環境省「騒音規制法 第6条(特定施設の設置の届出)(e-Gov 法令検索)」
- 環境省「振動規制法 第6条(特定施設の設置の届出)(e-Gov 法令検索)」
- 日本鍛圧機械工業会(JFMA)「法規解説「騒音と振動」(プレス機械の騒音と振動の規制と対策一覧表)」