GRINDING研削盤

高速で回る砥石の、とても硬く細かい砥粒の一粒一粒で、工作物を少しずつ削り取るのが研削です。焼入れした硬い部品を µm の精度で仕上げられます。研削盤の種類、砥石の選び方と表示の読み方、ドレッシング、研削条件と焼け・びびりの対策を、砥石メーカー・研削盤メーカーの公開資料と大学・公設試の報告で確かめてまとめました。下のシミュレータで、平面研削の条件・円筒研削のスパークアウト・センタレスの造円作用を動かして見られます。

最後は
スパークアウトで
削り切る!

マスコットのチップス

▦研削盤の種類

平面研削盤平らな面を仕上げる円筒研削盤軸の外径を仕上げる内面研削盤穴の内面を仕上げるセンタレスセンタなしで量産
イメージ図

平面研削盤Surface grinding machine

横軸角テーブル形平形砥石の外周で、左右に往復する角テーブル上の工作物を削り、サドルの前後送りで全面を削る。新潟大学の実習機(電磁チャック・油圧テーブル)もこの形[9][10]

横軸円テーブル形平形砥石の外周で、回転テーブル上の工作物を削る[9]

立軸角テーブル形・立軸円テーブル形(ロータリ)カップ・リング・セグメント砥石の端面で削る。回転テーブルのものはロータリー平面研削盤として製品化されている[9][11]

両頭平面研削盤向かい合う 2 枚のディスク砥石で工作物の両面を同時に削る(スルーフィード形・キャリア形)[9]

門形平面研削盤大きな工作物向けの門形の構造[11]

成形研削盤砥石を成形して、平面と形状(溝・段・R など)を研削するコンパクトな機械[11]

得意平らな面の厚さと平行度をそろえる仕事。新潟大学の実習課題は、指定厚さ ±0.005 mm に仕上げて平行度を出すもの。鋼の工作物はマグネットチャックに吸着させて保持する。超砥粒砥石で超硬合金を Ra 2.1 nm まで鏡面研削した公設試の例もある[10][12][13]

円筒研削盤Cylindrical grinding machine

トラバース研削砥石を半径方向に一定量切り込んだまま、工作物を軸方向に往復させて削る。砥石幅より長い軸やロールに向き、精度を安定させやすいが時間はかかりやすい[14][9]

プランジ研削砥石を工作物の半径方向に押し込み、砥石幅の範囲を一度に削る。段付き形状や量産に向き、加工時間が短い。長い工作物ではたわみ・うねりが出やすい[14][9]

アンギュラ研削(アングルスライドプランジ)砥石台を斜めに傾けて切り込み、外径と端面(テーパも)を 1 回のつかみで続けて削る。外径と端面の位置関係・角度の精度を保ちやすい[14][9][11]

得意シャフトやロールなど回転体の外径(長いものはトラバース、段付き・量産はプランジ、外径と端面を続けて削るならアンギュラ)。工作物はセンタで支えてケレで回すか、チャックでつかむ[14][8]

内面研削盤Internal grinding machine

普通形工作物を回し、穴より小さい砥石を穴の中で回して削る[9]

プラネタリ形(砥石軸公転形)砥石軸が穴の中で公転しながら削る方式[9]

センタレス形・シュー形内面研削にもセンタレス形・シュー形という方式がある[9]

得意穴の内径。砥石軸を 2 本・4 本持つ機種や長尺の工作物用の機種もある。[11][9]

センタレス研削盤(心なし研削盤)Centerless grinding machine

通し送り(スルーフィード)調整車(調整砥石)の軸を少し傾けておき、工作物に回転と軸方向の送りを同時に与えて、ブレード上を通過させながら連続で削る。調整車の回転が速いほど、傾斜角が大きいほど送りが速い。着脱が要らず連続で高能率。通し送りでは調整車を 3° 程度傾けることが多い[15][9][16]

送り込み(インフィード、停止研削)工作物・ブレード・調整車の位置関係を保ったまま、研削砥石の方へ切り込む。段付き・R 形状なども削れる[15][9]

エンドフィード・接線送り(タンジェンシャル)ほかの方式。形状・精度・能率で使い分ける[15][9]

得意ピン・ローラ・シャフトなど円筒形の外周を、センタ穴なしで大量に高精度に削る仕事。研削砥石・ブレード(支持刃)・調整車の 3 点で工作物を支えるので、少ない取り代で真円が出て、ブレードがあるので長い工作物もたわみにくい[15][17]

工具研削盤Tool and cutter grinding machine

得意バイト・ドリル・フライス・ホブ・ブローチ・ピニオンカッタ・エンドミルなど切削工具の刃付け・再研削[9]

歯車研削盤・ねじ研削盤Gear grinding / thread grinding machine

得意焼入れ後の歯車の歯面、ボールねじなどのねじ。研削盤メーカーの製品群に歯車研削盤・ねじ研削盤があり、精密ボールねじの研削にはねじ研削盤が欠かせない[11][18][9]

歯切り法の比較 →

ジグ研削盤Jig grinding machine

得意精密順送金型や光学部品など、1/1000 mm 以下の精度が要る穴・輪郭の仕上げ。砥石を上下に往復させるチョッピングのストロークを持つ(三井精機の比較表で 95〜135 mm)[18]

複合研削盤・センタ穴研削盤Multi-process grinder / center hole grinder

得意砥石軸を複数持ち、外径・内径などを 1 台で続けて削る(段取り短縮・精度向上・省スペース)。センタ穴研削盤は円筒研削の基準になるセンタ穴を仕上げる機械[11]

▶研削シミュレータ

平面研削では、砥石・テーブル速度・切込み・取り代を変えると、パス数と時間、比研削除去率 Q′、等価研削厚さ heq、速度比、接触弧の長さ、焼けの傾向がその場で変わります。円筒研削では、工作物の剛性と砥石の切れ味によって実際の寸法が指令より遅れ、スパークアウトで追いつく様子を、センタレスでは回すほど丸くなる様子を見られます。

    ◎研削とは

    ◉砥石の 5 つの因子と表示の読み方

    砥粒の種類

    記号砥粒おもな用途ヌープ硬度
    A褐色アルミナ(A 系)炭素鋼・合金鋼の生材・調質材。一般鉄鋼の自由研削、生材の精密研削[3][4][19]2050
    WA白色アルミナ(A 系)焼入れ鋼(HRc50 以上)の精密研削、軽研削[3][4][19]2070
    PA淡紅色アルミナ(A 系、ノリタケの記号)工具鋼・合金鋼(HRc50 以上)・鋳鉄の普通研削[3]2060
    SA解砕形アルミナ(A 系)焼入れ鋼・鋳鉄の高能率研削[3]2060
    CXCX(ノリタケの高精度・高能率研削用の A 系砥材)炭素鋼・工具鋼・合金鋼・鋳鉄・ステンレスの高能率・高寿命研削[3]2190
    C黒色炭化けい素(C 系)非鉄・非金属・鋳鉄[4][3][19]2500
    GC緑色炭化けい素(C 系)超硬合金[4][3][19]2500
    CBN(B)立方晶窒化ホウ素(超砥粒)鉄系(焼入れ鋼など)。ダイヤモンドに次ぐ硬さと熱伝導率[3][4]4700
    SD(ダイヤモンド)合成ダイヤモンド(超砥粒)超硬合金・サーメット・セラミックス・ガラス・フェライト・石材など非鉄・非金属。地球上で最も硬く熱伝導率も高い[3][4]7000〜8000(ノリタケ)/約 7000(クレトイシ)

    結合剤

    表示を読んでみる

    砥粒
    粒度
    結合度
    軟らかい(A)硬い(Z)砥粒を保持する力の強さ。結合剤が多いほど硬い
    組織
    数字が小さいほど砥粒が多く「密」、大きいほど「粗」(砥粒率はノリタケの表)
    結合剤

    作用硬さと選び方

    ✦ツルーイングとドレッシング

    正常形

    刃先が鈍ると砥粒が適度に割れて新しい刃が出る状態。仕上面がよく砥石摩耗も少ない[5]

    目こぼれ

    結合度が条件に対して軟らかすぎ、砥粒がほぼ原粒のまま抜け落ちる。切れ味はよいが砥石摩耗が多く、面が荒れ、形がくずれ、抜けた砥粒でスクラッチも出る[5][23]

    目づまり

    気孔がふさがり切りくずの逃げ場がない状態。アルミ・銅・ステンレスのような軟らかく粘い材料や、鋳物・石材の乾式研削で起きやすい。研削抵抗が上がり、振動・びびり・むしれ・焼けの原因[5][23]

    目つぶれ

    砥粒の刃先が平らにすり減り切れない状態。結合度が硬すぎる、砥粒の硬さが足りない、砥石周速度が速すぎるときに起きやすい。研削抵抗と熱が増えて、びびり・研削焼け・研削割れが出る[5][23][3]

    ≈研削条件と焼け・びびり

    研削焼けと研削割れ

    焼け・割れのおもな原因

    びびり・寸法のばらつき・真円度

    💧研削液と工作物の保持

    工作物の保持

    ⚙平面研削の段取り

    1. チャック面を拭き、工作物のばりを取って拭く
    2. 工作物をチャック中央に、長手をテーブル運動と平行に置いて吸着させ、吸着を確かめる(ひずみがあれば中へこみ側を下に)
    3. 油圧ポンプと砥石軸を起動し、手送りで工作物を砥石の下へ持ってくる
    4. テーブルドッグでストロークを決める(左右のオーバーランは工作物から 30〜50 mm)
    5. テーブルを左右に動かし(10〜12 m/min 程度)、砥石を静かに下げて工作物の表面に当てる
    6. 研削液を出し、自動切込み(荒 0.015 mm)・自動前後送りで全面を荒研削する
    7. 仕上げは切込み 0.005 mm で指定寸法まで削り、最後にスパークアウトする
    8. テーブルを止め、チャックの励磁を切り、砥石の回転が止まったのを確かめてから外す。厚さ(6 か所)と平行度を測る

    新潟大学の実習の手順をもとにしています[10]

    !よくある失敗

    不調の原因と対策(19 件)と安全・法令は 研削盤の保全と安全へ。

    ↗学ぶ順番

    1. 安全と砥石の扱い覆い・試運転(始業 1 分以上、交換時 3 分以上)・最高使用周速度・側面使用の禁止・打音検査。砥石の取替えは特別教育を受けてから
    2. 砥石の表示が読めるWA 60 K 7 V のような表示を、砥粒・粒度・結合度・組織・結合剤に分けて読む
    3. 平面研削盤で平行な板を作るチャックの扱い・ストローク設定・荒と仕上げの切込み・スパークアウト・厚さと平行度の測定
    4. ツルーイング・ドレッシングで切れ味を変えるドレッサの送りと切込みを変えて、面粗さと切れ味・焼けやすさがどう変わるか体験する
    5. 砥石の状態と切りくずを見分ける目こぼれ・目づまり・目つぶれ、切りくずの形から砥石の状態を判断する
    6. 円筒研削:センタ作業とトラバース・プランジセンタ穴・ケレ・心押しの押し圧、粗研→精研→微研→スパークアウトのサイクル
    7. 条件を数値で考える周速度・速度比・Q′・研削比を計算し、焼け・びびり・寸法ばらつきの原因を条件から説明できるようにする
    8. 専門の研削へ内面・センタレス・超砥粒(CBN・ダイヤ)ホイール・歯車研削

    ケズリバ編集部の組み立てです。

    ƒよく使う式

    砥石周速度

    Vs = π × Ds × ns ÷ 60000

    • Vs:砥石周速度(m/s)
    • Ds:砥石外径(mm)
    • ns:砥石回転数(min⁻¹)
    例:試算:Ds = 205 mm、ns = 3000 min⁻¹ → Vs = 3.1416 × 205 × 3000 ÷ 60000 ≒ 32.2 m/s(33 m/s の砥石なら範囲内)[3]

    工作物周速度(円筒研削)

    Vw = π × dw × nw ÷ 1000

    • Vw:工作物周速度(m/min)
    • dw:工作物径(mm)
    • nw:工作物回転数(min⁻¹)
    例:オークリッジ国立研究所の試験:外径 4 in(101.6 mm)、主軸台 公称 100 min⁻¹ → Vw = 3.1416 × 101.6 × 100 ÷ 1000 ≒ 31.9 m/min ≒ 0.53 m/s(試算。試験では周速一定になるよう回転数を自動で変えていた)[25]

    速度比

    q = Vs ÷ Vw(同じ単位にそろえる)

    • q:速度比(無次元)
    • Vs:砥石周速度
    • Vw:工作物周速度・テーブル速度
    例:栃木県産技センターの平面研削:Vs 25.8 m/s、テーブル 10 m/min(0.167 m/s) → q = 25.8 ÷ 0.1667 ≒ 155(試算)[5][22]

    比研削除去率(研削能率)

    Q′ = ae × Vw

    • Q′:砥石幅 1 mm あたりの除去率(mm³/(mm·s))
    • ae:切込み(mm)
    • Vw:工作物速度・テーブル速度(mm/s)
    例:栃木県産技センター:ae 5 µm、テーブル 10 m/min → Q′ = 0.005 × 166.7 ≒ 0.83 mm³/(mm·s)(試算)[29][25][7][30]

    プランジ研削の比研削除去率

    Q′ = π × dw × vfr

    • Q′:mm³/(mm·s)
    • dw:工作物径(mm)
    • vfr:砥石台の半径方向の切込み速度(mm/s)
    例:オークリッジ:切込み速度 0.03638〜0.10914 in/min、径 4 in から約 1 in 減らすまで研削 → π × 3.5 × 0.03638 ≒ 0.400、π × 3.5 × 0.10914 ≒ 1.200 in³/(min·in)。論文の Q′ = 0.4〜1.2 と一致(≒ 4.3〜12.9 mm³/(mm·s))[25]

    等価研削厚さ

    heq = ae × Vw ÷ Vs = Q′ ÷ Vs

    • heq:等価研削厚さ(mm。µm で表すことが多い)
    • ae:切込み(mm)
    • Vw:工作物速度(mm/s)
    • Vs:砥石周速度(mm/s)
    例:栃木県産技センター:Q′ 0.83 mm³/(mm·s)、Vs 25.8 m/s → heq = 0.83 ÷ 25800 ≒ 3.2 × 10⁻⁵ mm ≒ 0.032 µm(試算)[29]

    砥粒切込み深さ(ノリタケ)

    円筒:g = 2a (v/V) √(1/D + 1/d) √t / 内面:g = 2a (v/V) √(1/D − 1/d) √t / 平面:g = 2a (v/V) √(t/D)

    • g:砥粒切込み深さ(mm)
    • a:砥粒切れ刃間隔(mm)
    • v:加工物周速度(m/min)
    • V:砥石周速度(m/min)
    • D:砥石直径(mm)
    • d:加工物直径(mm)
    • t:砥石の切込み(mm)
    例:相対比較(試算):平面研削で v を 2 倍 → g は 2 倍(軟らかく作用)[5]

    接触弧長さ(ノリタケ)

    l = √t ÷ √(1/D ± 1/d)(円筒は +、内面は −)/ 平面:l = √(t × D)

    • l:接触弧長さ(mm)
    • t:砥石の切込み(mm)
    • D:砥石直径(mm)
    • d:加工物直径(mm)
    例:試算:平面研削 D = 205 mm、t = 0.01 mm → l = √(0.01 × 205) ≒ 1.43 mm[5]

    研削比

    G = 除去した工作物の体積 ÷ 砥石の摩耗体積 → 砥石の摩耗体積 = 除去体積 ÷ G

    • G:研削比(無次元)
    例:オークリッジ:52100 鋼(HRC58〜60)、29A(溶融アルミナ)砥石、Q′ 0.6 in³/(min·in)(6.45 mm³/(mm·s)) → 研削液により G = 3.9(EP なし)〜34.7(EP 多め)。ゾルゲル砥石(3M)では 33.2〜219.4[25][28][31]

    比研削エネルギー(研削比エネルギー)

    u = P ÷ Qw = Ft × Vs ÷ (Q′ × b)

    • u:比研削エネルギー(J/mm³)
    • P:研削動力(W)
    • Qw:除去率(mm³/s)
    • Ft:接線研削抵抗(N)
    • Vs:砥石周速度(m/s)
    • b:研削幅(mm)
    例:オークリッジ:52100 鋼、29A 砥石、Vs 30.5 m/s、Q′ 0.6 in³/(min·in) → u = 8.7〜11.2 hp·min/in³ ≒ 24〜31 J/mm³(換算)。全条件では 7.1〜13.3 hp·min/in³ ≒ 19〜36 J/mm³[25][30]

    工作物に入る研削熱(ジェイテクトのモデルの骨組み)

    H = Ft × (Vs + Vw)、Hw = Rw × H、qw = Rw × Ft × (Vs + Vw) ÷ (lc × b)

    • H:研削熱(W)
    • Ft:接線研削抵抗(N)
    • Vs:砥石周速度(m/s)
    • Vw:工作物周速度(m/s)
    • Rw:工作物への熱の分配割合(0〜1)
    • lc:接触弧長さ(mm)
    • b:工作物の幅(mm)
    • qw:工作物への熱流束(W/mm²)
    例:試算:Ft = 30 N、Vs = 30 m/s、Vw = 0.17 m/s、Rw = 0.8、lc = 1.43 mm、b = 15 mm → H ≒ 905 W、Hw ≒ 724 W、qw ≒ 34 W/mm²(数値は式の使い方を示す仮の値)[30]

    法線研削抵抗と除去率の比例

    Fn = kc × Z′(ジェイテクト 2007)/ Fn = a × Dactual + b(ジェイテクト 2013)

    • Fn:法線研削抵抗(N)
    • kc:研削能率に対する法線抵抗の傾き(研削特性)
    • Z′:研削能率(mm³/(mm·s))
    • a:砥石切れ味(比例定数。切れ味が落ちると大きくなる)
    • Dactual:実切込み量
    • b:クーラントの動圧による力
    例:相対比較(試算) → 同じ Z′ で a が 1.5 倍(切れ味低下)なら Fn も 1.5 倍、たわみも 1.5 倍[30][7]

    実切込みの一次遅れ(たわみ)とスパークアウト

    Dactual = Dcom × (1 − e^(−t/τ))、τ = a × π × D × b ÷ (K × V)

    • Dactual:実切込み量
    • Dcom:指令切込み量
    • t:時間(s)
    • τ:時定数(s)
    • a:砥石切れ味
    • D:工作物径
    • b:加工幅
    • K:工作物剛性(N/µm)
    • V:砥石周速度
    例:ジェイテクト:同じ工作物の低剛性部 4.4 N/µm と高剛性部 13.8 N/µm → τ は剛性に反比例するので、低剛性部の τ は高剛性部の 13.8 ÷ 4.4 ≒ 3.1 倍(試算)。論文でも低剛性部はたわみの整定に長い精研時間が要った[7][10]

    スパークアウト中の削り残し(一次遅れモデルからの導出)

    r(t) = r0 × e^(−t/τ)

    • r:削り残し(指令位置と実寸法の差、mm)
    • r0:切込みを止めた瞬間の削り残し(=たわみ量 e = Fn ÷ K)
    • t:スパークアウトの時間(s)
    • τ:時定数(deflection-lag)
    例:試算:Fn = 44 N、K = 4.4 N/µm → r0 = 10 µm。τ = 2 s なら 4 s のスパークアウトで約 1.4 µm まで減る[7][10]

    平面研削の段取り計算(幾何の関係)

    パス数 N = 取り代 ÷ ae(切り上げ)、1 ストロークの時間 ≒ (L + 2 × オーバーラン) ÷ Vw、1 層の前後送り回数 ≒ 工作物幅 ÷ 前後送り量

    • L:工作物の長さ(mm)
    • オーバーラン:工作物の端から先にテーブルが行き過ぎる量(mm、新潟大学の例 30〜50 mm)
    • Vw:テーブル速度(mm/s)
    • ae:1 パスの切込み(mm)
    例:試算:取り代 0.1 mm を 荒 0.015 mm で 0.08 mm、仕上げ 0.005 mm で 0.02 mm → 荒 0.08 ÷ 0.015 = 5.3 → 6 パス、仕上げ 4 パス。L = 100 mm・オーバーラン 40 mm・Vw = 10 m/min(166.7 mm/s)なら 1 ストローク ≒ 1.08 s[10]

    センタレスの造円作用(ミクロン精密の例)

    e_n = e0 × (1 − r)^n

    • e_n:n 回転後のひずみ(mm)
    • e0:最初のひずみ(mm)
    • r:1 回転あたりの減少割合
    • n:工作物の回転数(回)
    例:ミクロン精密:e0 = 0.1 mm、r = 10 %、n = 50 → 0.1 × 0.9^50 ≒ 0.00052 mm ≒ 0.5 µm(資料の『0.5 µm』と一致)[15]

    条件を変えるとどうなるか

    こうするとこうなる
    砥石周速度 Vs を上げる焼けの危険が増える(熱の発生が増える)。砥粒切込みは小さくなり砥石は硬く作用する[21][6][5]
    切込み ae を上げる除去率・研削抵抗・熱が増え、焼けやすい。研削比 G は下がる(いちばん効く)[21][6][28]
    同じ除去率 Q′ のまま Vw を上げて ae を下げる(速く薄く)工作物の最高温度が下がり焼けにくい。研削比も上がる[30][28][31]
    ドレスしてからの時間が長い(目つぶれ・目づまりが進む)研削抵抗・熱が上がり、焼け・びびりが出やすい[5][23][6]
    ドレスのリードを速く・切込みを大きく切れ味が上がり焼けにくいが、面は粗くなる[21][3]
    研削液が研削点に届かない・潤滑性が低い焼け・割れが出やすい[21][6][22][32]
    工作物・機械の剛性が低い実切込みの遅れ(時定数)が大きくなり、スパークアウトに時間がかかる。不足すると段差・形状誤差が残る[7][10]
    スパークアウトを長くする面粗さ・寸法精度・真円度がよくなる(削り残しが指数的に減る)。不足は真円度不良の原因[10][7][8]
    Vw ÷ Vs を一定に保ったまま両方を変える砥石の作用硬さは変わらない[5]
    研削中に工作物・砥石が熱膨張する加工中はふくらんだ分を削り、冷えると縮んで寸法が小さくなる(日本大学の例で 28.3 µm の切増し)[14][34]
    除去率 Q′ を上げる比研削エネルギー u は下がる傾向(同じ体積を削るエネルギーは減る)が、動力 P = u × Q′ × b は増える[25]

    公開資料の数値

    📚出典

    砥石・研削盤メーカーの公開技術資料・技報、大学・公設試の報告と実習資料、公的研究機関の報告を 2026-10-14 に確かめました。研削条件は砥石・工作物・機械で大きく変わるので、砥石メーカーの推奨値と機械の取扱説明書から始めてください。

    1. クレトイシ「砥石の基礎知識「研削加工とは」(定義・特長と欠点)」
    2. クレトイシ「砥石の基礎知識「研削加工の位置付け」(機械工作の分類)」
    3. ノリタケ「汎用品 総合カタログ vol.3(NORITAKE PROFESSIONAL SERIES)技術資料:研削砥石の表示方法・研削砥石の概要(砥粒・粒度・結合度・組織・結合剤)・ツルーイング/ドレッシング・研削油(ノリタケクール)」
    4. クレトイシ「砥石の基礎知識「砥粒」(使用砥粒と用途、超砥粒)」
    5. ノリタケ「テクニカルサポート情報「研削加工の基礎」(砥石の4つの状態・切りくずの形・砥粒切込み深さ・接触弧長さ・砥石の作用硬さ)」
    6. ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「『研削焼け』『研削割れ』とは?発生メカニズム・原因・対策」」
    7. ジェイテクト「JTEKT ENGINEERING JOURNAL No.1011(2013)頼経・田野・酒井・村上「円筒研削における工作物たわみ補償に関する研究」」
    8. ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「円筒研削における真円度不良の原因と対策」」
    9. クレトイシ「砥石の基礎知識「研削加工の種類」(円筒・内面・心なし・平面・工具・自由研削・切断ほか)」
    10. 新潟大学 工学部 機械工場「実習テキスト 第12章「平面研削盤による研削加工および精度測定」」
    11. 岡本工作機械製作所「製品ラインナップ(平面・成形・円筒・内面・複合・センタ穴・歯車研削盤ほか)」
    12. カネテック「総合カタログ p.43(マグネットチャックの吸着力・磁極ピッチとワーク厚さ・電磁チャックの規格・研削油剤の選定)」
    13. 宮城県産業技術総合センター「設備紹介「平面研削盤」(ナガセインテグレックス製 SGE-520SLD2-E2、超硬合金の加工事例、2019.10 改訂)」
    14. ジェイテクト「技術・情報コラム「円筒研削盤の基礎と精度不良の見極めガイド|診断チェックリスト付」」
    15. ミクロン精密「技術ニュース「センタレス研削の原理 ~研削の種類とその特徴についての説明~」(2022-06-29)」
    16. SME(米国製造技術者協会)「Tips for Trouble-Free Centerless Grinding(2017年5月)」
    17. ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「センタレス研削用砥石 タフエース」」
    18. 三井精機工業「ジグ研削盤(比較表:ストローク・テーブル寸法・チョッピングストローク)/工作機械トップ(ねじ研削盤)」
    19. クレトイシ「砥石の基礎知識「仕様表示」」
    20. クレトイシ「砥石の基礎知識「結合剤(ボンド)」」
    21. ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「研削焼けを抑制する使用技術と高能率研削用ビトリファイドCBNホイール Σホイール」(2020)」
    22. UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Typical Grinding Errors – And How to Eliminate Them」
    23. ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「目こぼれ・目つぶれ・目詰まりの現象と研削加工への影響」」
    24. ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「ツルーイングとドレッシングとは(目的と評価軸の違い)」」
    25. 米国エネルギー省 OSTI(オークリッジ国立研究所・Milacron)「Krueger, Yoon, Gong, McSpadden, O'Rourke, Parten: New Technology in Metalworking Fluids and Grinding Wheels Achieves Tenfold Improvement in Grinding Performance(2000, OSTI ID 771407)」
    26. 栃木県産業技術センター「研究報告 No.21(2024)山下・近藤・小池「AE センサを用いた研削加工状態の推定」」
    27. 高知工科大学「学士論文要旨(2006)高橋宏彦「平面トラバース研削における砥石寿命の自動判定」」
    28. 鹿児島大学「田中秀穂「円筒重研削における研削要因」鹿児島大学工学部研究報告 第20号(1978)pp.25-33」
    29. MDPI(Materials 誌、Europe PMC 経由で全文取得)「González, Pereira, Fernández-Valdivielso, López de Lacalle: Comparison of Flank Super Abrasive Machining vs. Flank Milling on Inconel 718 Surfaces. Materials 2018, 11(9), 1638. doi:10.3390/ma11091638」
    30. ジェイテクト「JTEKT Engineering Journal No.1004(2007)小野﨑・齋藤「加工プロセスに基づいた研削シミュレーション技術の開発」」
    31. 鹿児島大学「田中秀穂・南俊美「円筒重研削における19A砥石の性能、ならびに、研削盤の能力について」鹿児島大学工学部研究報告 第17号(1975)pp.1-9」
    32. UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: The use of cooling lubricant for grinding」
    33. ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「研削加工におけるビビリの原因と対策」」
    34. 日本大学 理工学部「第64回 学術講演会論文集 K-4 井下田・山田ほか「円筒研削での砥石熱膨張量が工作物除去量に及ぼす影響」」
    35. 精密工学会(金沢大学学術情報リポジトリ掲載)「上田隆司・鳥居明人・山田啓司「鋼の平面研削における熱流入割合」精密工学会誌 Vol.60 No.11(1994)pp.1616-1620」
    36. 大阪大学「奥山繁樹「研削熱に関する研究」博士論文 内容の要旨(1981)」
    37. g23 新潟大学 実習
    38. g24 栃木県産技センター
    39. g25 高知工科大学
    40. g12 ジェイテクト
    41. g13 ジェイテクト
    42. g28 オークリッジ