GRINDING研削盤
高速で回る砥石の、とても硬く細かい砥粒の一粒一粒で、工作物を少しずつ削り取るのが研削です。焼入れした硬い部品を µm の精度で仕上げられます。研削盤の種類、砥石の選び方と表示の読み方、ドレッシング、研削条件と焼け・びびりの対策を、砥石メーカー・研削盤メーカーの公開資料と大学・公設試の報告で確かめてまとめました。下のシミュレータで、平面研削の条件・円筒研削のスパークアウト・センタレスの造円作用を動かして見られます。
最後は
スパークアウトで
削り切る!

▦研削盤の種類
平面研削盤Surface grinding machine
横軸角テーブル形平形砥石の外周で、左右に往復する角テーブル上の工作物を削り、サドルの前後送りで全面を削る。新潟大学の実習機(電磁チャック・油圧テーブル)もこの形[9][10]
横軸円テーブル形平形砥石の外周で、回転テーブル上の工作物を削る[9]
立軸角テーブル形・立軸円テーブル形(ロータリ)カップ・リング・セグメント砥石の端面で削る。回転テーブルのものはロータリー平面研削盤として製品化されている[9][11]
両頭平面研削盤向かい合う 2 枚のディスク砥石で工作物の両面を同時に削る(スルーフィード形・キャリア形)[9]
門形平面研削盤大きな工作物向けの門形の構造[11]
成形研削盤砥石を成形して、平面と形状(溝・段・R など)を研削するコンパクトな機械[11]
得意平らな面の厚さと平行度をそろえる仕事。新潟大学の実習課題は、指定厚さ ±0.005 mm に仕上げて平行度を出すもの。鋼の工作物はマグネットチャックに吸着させて保持する。超砥粒砥石で超硬合金を Ra 2.1 nm まで鏡面研削した公設試の例もある[10][12][13]
円筒研削盤Cylindrical grinding machine
トラバース研削砥石を半径方向に一定量切り込んだまま、工作物を軸方向に往復させて削る。砥石幅より長い軸やロールに向き、精度を安定させやすいが時間はかかりやすい[14][9]
プランジ研削砥石を工作物の半径方向に押し込み、砥石幅の範囲を一度に削る。段付き形状や量産に向き、加工時間が短い。長い工作物ではたわみ・うねりが出やすい[14][9]
アンギュラ研削(アングルスライドプランジ)砥石台を斜めに傾けて切り込み、外径と端面(テーパも)を 1 回のつかみで続けて削る。外径と端面の位置関係・角度の精度を保ちやすい[14][9][11]
得意シャフトやロールなど回転体の外径(長いものはトラバース、段付き・量産はプランジ、外径と端面を続けて削るならアンギュラ)。工作物はセンタで支えてケレで回すか、チャックでつかむ[14][8]
内面研削盤Internal grinding machine
普通形工作物を回し、穴より小さい砥石を穴の中で回して削る[9]
プラネタリ形(砥石軸公転形)砥石軸が穴の中で公転しながら削る方式[9]
センタレス形・シュー形内面研削にもセンタレス形・シュー形という方式がある[9]
センタレス研削盤(心なし研削盤)Centerless grinding machine
通し送り(スルーフィード)調整車(調整砥石)の軸を少し傾けておき、工作物に回転と軸方向の送りを同時に与えて、ブレード上を通過させながら連続で削る。調整車の回転が速いほど、傾斜角が大きいほど送りが速い。着脱が要らず連続で高能率。通し送りでは調整車を 3° 程度傾けることが多い[15][9][16]
送り込み(インフィード、停止研削)工作物・ブレード・調整車の位置関係を保ったまま、研削砥石の方へ切り込む。段付き・R 形状なども削れる[15][9]
エンドフィード・接線送り(タンジェンシャル)ほかの方式。形状・精度・能率で使い分ける[15][9]
得意ピン・ローラ・シャフトなど円筒形の外周を、センタ穴なしで大量に高精度に削る仕事。研削砥石・ブレード(支持刃)・調整車の 3 点で工作物を支えるので、少ない取り代で真円が出て、ブレードがあるので長い工作物もたわみにくい[15][17]
工具研削盤Tool and cutter grinding machine
得意バイト・ドリル・フライス・ホブ・ブローチ・ピニオンカッタ・エンドミルなど切削工具の刃付け・再研削[9]
歯車研削盤・ねじ研削盤Gear grinding / thread grinding machine
得意焼入れ後の歯車の歯面、ボールねじなどのねじ。研削盤メーカーの製品群に歯車研削盤・ねじ研削盤があり、精密ボールねじの研削にはねじ研削盤が欠かせない[11][18][9]
ジグ研削盤Jig grinding machine
得意精密順送金型や光学部品など、1/1000 mm 以下の精度が要る穴・輪郭の仕上げ。砥石を上下に往復させるチョッピングのストロークを持つ(三井精機の比較表で 95〜135 mm)[18]
複合研削盤・センタ穴研削盤Multi-process grinder / center hole grinder
得意砥石軸を複数持ち、外径・内径などを 1 台で続けて削る(段取り短縮・精度向上・省スペース)。センタ穴研削盤は円筒研削の基準になるセンタ穴を仕上げる機械[11]
▶研削シミュレータ
平面研削では、砥石・テーブル速度・切込み・取り代を変えると、パス数と時間、比研削除去率 Q′、等価研削厚さ heq、速度比、接触弧の長さ、焼けの傾向がその場で変わります。円筒研削では、工作物の剛性と砥石の切れ味によって実際の寸法が指令より遅れ、スパークアウトで追いつく様子を、センタレスでは回すほど丸くなる様子を見られます。
◎研削とは
◉砥石の 5 つの因子と表示の読み方
砥粒の種類
| 記号 | 砥粒 | おもな用途 | ヌープ硬度 |
|---|---|---|---|
| A | 褐色アルミナ(A 系) | 炭素鋼・合金鋼の生材・調質材。一般鉄鋼の自由研削、生材の精密研削[3][4][19] | 2050 |
| WA | 白色アルミナ(A 系) | 焼入れ鋼(HRc50 以上)の精密研削、軽研削[3][4][19] | 2070 |
| PA | 淡紅色アルミナ(A 系、ノリタケの記号) | 工具鋼・合金鋼(HRc50 以上)・鋳鉄の普通研削[3] | 2060 |
| SA | 解砕形アルミナ(A 系) | 焼入れ鋼・鋳鉄の高能率研削[3] | 2060 |
| CX | CX(ノリタケの高精度・高能率研削用の A 系砥材) | 炭素鋼・工具鋼・合金鋼・鋳鉄・ステンレスの高能率・高寿命研削[3] | 2190 |
| C | 黒色炭化けい素(C 系) | 非鉄・非金属・鋳鉄[4][3][19] | 2500 |
| GC | 緑色炭化けい素(C 系) | 超硬合金[4][3][19] | 2500 |
| CBN(B) | 立方晶窒化ホウ素(超砥粒) | 鉄系(焼入れ鋼など)。ダイヤモンドに次ぐ硬さと熱伝導率[3][4] | 4700 |
| SD(ダイヤモンド) | 合成ダイヤモンド(超砥粒) | 超硬合金・サーメット・セラミックス・ガラス・フェライト・石材など非鉄・非金属。地球上で最も硬く熱伝導率も高い[3][4] | 7000〜8000(ノリタケ)/約 7000(クレトイシ) |
結合剤
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- 砥粒
- 褐色アルミナ(A 系) — 炭素鋼・合金鋼の生材・調質材。一般鉄鋼の自由研削、生材の精密研削ヌープ硬度 2050白色アルミナ(A 系) — 焼入れ鋼(HRc50 以上)の精密研削、軽研削ヌープ硬度 2070淡紅色アルミナ(A 系、ノリタケの記号) — 工具鋼・合金鋼(HRc50 以上)・鋳鉄の普通研削ヌープ硬度 2060解砕形アルミナ(A 系) — 焼入れ鋼・鋳鉄の高能率研削ヌープ硬度 2060CX(ノリタケの高精度・高能率研削用の A 系砥材) — 炭素鋼・工具鋼・合金鋼・鋳鉄・ステンレスの高能率・高寿命研削ヌープ硬度 2190黒色炭化けい素(C 系) — 非鉄・非金属・鋳鉄ヌープ硬度 2500緑色炭化けい素(C 系) — 超硬合金ヌープ硬度 2500立方晶窒化ホウ素(超砥粒) — 鉄系(焼入れ鋼など)。ダイヤモンドに次ぐ硬さと熱伝導率ヌープ硬度 4700合成ダイヤモンド(超砥粒) — 超硬合金・サーメット・セラミックス・ガラス・フェライト・石材など非鉄・非金属。地球上で最も硬く熱伝導率も高いヌープ硬度 7000〜8000(ノリタケ)/約 7000(クレトイシ)
- 粒度
- 粗い粒。バリ取り・切断などの自由研削に多い細かい粒。寸法精度・面粗さが要る機械研削に多い(粒度と面粗さの関係は一定ではない)
- 結合度
- 軟らかい(A)硬い(Z)砥粒を保持する力の強さ。結合剤が多いほど硬い
- 組織
- 数字が小さいほど砥粒が多く「密」、大きいほど「粗」(砥粒率はノリタケの表)
- 結合剤
- ビトリファイド — 粘土・長石などの窯業原料を焼成して砥粒を結合(ノリタケ 900〜1300 ℃、クレトイシ 1200 ℃ 前後)。保持力が強く、形がくずれにくく、品質が安定。精密研削の主役で、平面・内面・円筒・センタレス・工具研削など広く使う。超砥粒(CBN・ダイヤ)用にもあるレジノイド(樹脂) — フェノール樹脂などを 200 ℃ 前後で硬化。ビトリファイドより弾性があって衝撃を吸収し、強度が高いので高速の自由研削・切断・粗研削、センタレス・ロール研削などに使うゴム — 弾性に富む。センタレス研削の調整車(調整砥石)に使うメタル — ブロンズ系などの金属粉末が主原料。保持力・形状保持性が高く寿命が長い。超砥粒用で、ガラス・セラミックスなど硬くもろい材料に使う電着 — ニッケルなどのめっきで台金に砥粒を一層だけ固定。砥粒の突き出しが大きく切れ味がよい。総形ホイールも作れる
作用硬さと選び方
- 同じ砥石でも条件で『硬く作用』したり『軟らかく作用』したりする。砥粒 1 つの切込み深さ g が大きいほど砥粒に負荷がかかって脱落しやすく(軟らかく作用)、小さいほど摩滅しやすい(硬く作用)。軟らかく作用させる方向:砥石周速度を遅く・工作物周速度を速く・切込みを大きく・砥石径を小さく・工作物径を小さく(内面研削は逆)。工作物周速度と砥石周速度の比 v/V が同じなら、作用硬さは変わらない資料1件・参考[5]
- 接触弧が長いほど砥石は硬く作用するので、横軸平面研削には円筒研削より軟らかい砥石、立軸平面研削にはさらに軟らかい砥石を選ぶ資料1件・参考[5]
- ノリタケは材質(炭素鋼・合金鋼の生材/焼入れ、工具鋼、ステンレス、鋳鉄、超硬など)と研削方式(円筒・平面・横軸・セグメント・クリープフィード)ごとの標準的な砥石の砥材・粒度・硬度の選定表を公開している(カタログ vol.3 p.76、Web の選定表)資料1件・参考[3]
✦ツルーイングとドレッシング
正常形
刃先が鈍ると砥粒が適度に割れて新しい刃が出る状態。仕上面がよく砥石摩耗も少ない[5]
- 切りくずで見分ける切りくずも砥石の状態を教える。鋼で切れ味がよいとリボン状(流れ形)、鋳鉄のようなもろい材料で切れ味がよいと粉状(せん断形)、鋼で切れ味が悪いと粉状(むしり形)。目づまり・目つぶれでは切りくずが熱で溶けて球状になる(溶融形)資料1件・参考[5]
≈研削条件と焼け・びびり
- 等価研削厚さ heqQ′ を砥石周速度で割った長さ(ae × Vw ÷ Vs)。研削の過酷さを比べる指標資料1件・参考[29]
研削焼けと研削割れ
- 研削割れ研削割れは、研削熱による熱応力や組織変化の体積変化でできる微細な亀裂。炭素量の多い鋼ほど出やすく、焼戻し不足も原因になる。浸透探傷(カラーチェック)・磁粉探傷で調べる資料1件・参考[6]
焼け・割れのおもな原因
- 大きいワークや端面の研削は接触面積が大きく、研削液が届きにくいので焼けやすい。砥粒の切込みが小さく摩滅しやすい横当て研削・斜め切込み研削も同様資料1件・参考[21]
- 対策の順番ジェイテクトの勧める対策の順番:①クーラントノズルの確認 → ②ツルーイング(ドレス)の確認 → ③加工条件の変更 → ④研削液の種類の変更 → ⑤砥石仕様の変更資料1件・参考[6]
びびり・寸法のばらつき・真円度
💧研削液と工作物の保持
- 研削油(研削液)には潤滑・洗浄・冷却の 3 つの働きがあり、精度・能率・砥石寿命に効く資料1件・参考[3]
- 水溶性は希釈水の中に原液を入れて薄める(逆にするとゲル化して溶けにくいことがある)。補給液の濃度管理と屈折計での濃度測定を組み合わせる資料1件・参考[3]
- マグネットチャックの作業面には黄銅・樹脂のセパレータがあるので、これらを腐食させにくい研削油を選ぶ資料1件・参考[12]
工作物の保持
⚙平面研削の段取り
- チャック面を拭き、工作物のばりを取って拭く
- 工作物をチャック中央に、長手をテーブル運動と平行に置いて吸着させ、吸着を確かめる(ひずみがあれば中へこみ側を下に)
- 油圧ポンプと砥石軸を起動し、手送りで工作物を砥石の下へ持ってくる
- テーブルドッグでストロークを決める(左右のオーバーランは工作物から 30〜50 mm)
- テーブルを左右に動かし(10〜12 m/min 程度)、砥石を静かに下げて工作物の表面に当てる
- 研削液を出し、自動切込み(荒 0.015 mm)・自動前後送りで全面を荒研削する
- 仕上げは切込み 0.005 mm で指定寸法まで削り、最後にスパークアウトする
- テーブルを止め、チャックの励磁を切り、砥石の回転が止まったのを確かめてから外す。厚さ(6 か所)と平行度を測る
新潟大学の実習の手順をもとにしています[10]
!よくある失敗
- 側面使用を目的としない砥石の側面で削る・最高使用周速度を超える → 法令違反で破裂の危険
不調の原因と対策(19 件)と安全・法令は 研削盤の保全と安全へ。
↗学ぶ順番
- 安全と砥石の扱い覆い・試運転(始業 1 分以上、交換時 3 分以上)・最高使用周速度・側面使用の禁止・打音検査。砥石の取替えは特別教育を受けてから
- 砥石の表示が読めるWA 60 K 7 V のような表示を、砥粒・粒度・結合度・組織・結合剤に分けて読む
- 平面研削盤で平行な板を作るチャックの扱い・ストローク設定・荒と仕上げの切込み・スパークアウト・厚さと平行度の測定
- ツルーイング・ドレッシングで切れ味を変えるドレッサの送りと切込みを変えて、面粗さと切れ味・焼けやすさがどう変わるか体験する
- 砥石の状態と切りくずを見分ける目こぼれ・目づまり・目つぶれ、切りくずの形から砥石の状態を判断する
- 円筒研削:センタ作業とトラバース・プランジセンタ穴・ケレ・心押しの押し圧、粗研→精研→微研→スパークアウトのサイクル
- 条件を数値で考える周速度・速度比・Q′・研削比を計算し、焼け・びびり・寸法ばらつきの原因を条件から説明できるようにする
- 専門の研削へ内面・センタレス・超砥粒(CBN・ダイヤ)ホイール・歯車研削
ケズリバ編集部の組み立てです。
ƒよく使う式
砥石周速度
Vs = π × Ds × ns ÷ 60000
- Vs:砥石周速度(m/s)
- Ds:砥石外径(mm)
- ns:砥石回転数(min⁻¹)
工作物周速度(円筒研削)
Vw = π × dw × nw ÷ 1000
- Vw:工作物周速度(m/min)
- dw:工作物径(mm)
- nw:工作物回転数(min⁻¹)
速度比
q = Vs ÷ Vw(同じ単位にそろえる)
- q:速度比(無次元)
- Vs:砥石周速度
- Vw:工作物周速度・テーブル速度
比研削除去率(研削能率)
Q′ = ae × Vw
- Q′:砥石幅 1 mm あたりの除去率(mm³/(mm·s))
- ae:切込み(mm)
- Vw:工作物速度・テーブル速度(mm/s)
プランジ研削の比研削除去率
Q′ = π × dw × vfr
- Q′:mm³/(mm·s)
- dw:工作物径(mm)
- vfr:砥石台の半径方向の切込み速度(mm/s)
等価研削厚さ
heq = ae × Vw ÷ Vs = Q′ ÷ Vs
- heq:等価研削厚さ(mm。µm で表すことが多い)
- ae:切込み(mm)
- Vw:工作物速度(mm/s)
- Vs:砥石周速度(mm/s)
砥粒切込み深さ(ノリタケ)
円筒:g = 2a (v/V) √(1/D + 1/d) √t / 内面:g = 2a (v/V) √(1/D − 1/d) √t / 平面:g = 2a (v/V) √(t/D)
- g:砥粒切込み深さ(mm)
- a:砥粒切れ刃間隔(mm)
- v:加工物周速度(m/min)
- V:砥石周速度(m/min)
- D:砥石直径(mm)
- d:加工物直径(mm)
- t:砥石の切込み(mm)
接触弧長さ(ノリタケ)
l = √t ÷ √(1/D ± 1/d)(円筒は +、内面は −)/ 平面:l = √(t × D)
- l:接触弧長さ(mm)
- t:砥石の切込み(mm)
- D:砥石直径(mm)
- d:加工物直径(mm)
研削比
G = 除去した工作物の体積 ÷ 砥石の摩耗体積 → 砥石の摩耗体積 = 除去体積 ÷ G
- G:研削比(無次元)
比研削エネルギー(研削比エネルギー)
u = P ÷ Qw = Ft × Vs ÷ (Q′ × b)
- u:比研削エネルギー(J/mm³)
- P:研削動力(W)
- Qw:除去率(mm³/s)
- Ft:接線研削抵抗(N)
- Vs:砥石周速度(m/s)
- b:研削幅(mm)
工作物に入る研削熱(ジェイテクトのモデルの骨組み)
H = Ft × (Vs + Vw)、Hw = Rw × H、qw = Rw × Ft × (Vs + Vw) ÷ (lc × b)
- H:研削熱(W)
- Ft:接線研削抵抗(N)
- Vs:砥石周速度(m/s)
- Vw:工作物周速度(m/s)
- Rw:工作物への熱の分配割合(0〜1)
- lc:接触弧長さ(mm)
- b:工作物の幅(mm)
- qw:工作物への熱流束(W/mm²)
法線研削抵抗と除去率の比例
Fn = kc × Z′(ジェイテクト 2007)/ Fn = a × Dactual + b(ジェイテクト 2013)
- Fn:法線研削抵抗(N)
- kc:研削能率に対する法線抵抗の傾き(研削特性)
- Z′:研削能率(mm³/(mm·s))
- a:砥石切れ味(比例定数。切れ味が落ちると大きくなる)
- Dactual:実切込み量
- b:クーラントの動圧による力
実切込みの一次遅れ(たわみ)とスパークアウト
Dactual = Dcom × (1 − e^(−t/τ))、τ = a × π × D × b ÷ (K × V)
- Dactual:実切込み量
- Dcom:指令切込み量
- t:時間(s)
- τ:時定数(s)
- a:砥石切れ味
- D:工作物径
- b:加工幅
- K:工作物剛性(N/µm)
- V:砥石周速度
スパークアウト中の削り残し(一次遅れモデルからの導出)
r(t) = r0 × e^(−t/τ)
- r:削り残し(指令位置と実寸法の差、mm)
- r0:切込みを止めた瞬間の削り残し(=たわみ量 e = Fn ÷ K)
- t:スパークアウトの時間(s)
- τ:時定数(deflection-lag)
平面研削の段取り計算(幾何の関係)
パス数 N = 取り代 ÷ ae(切り上げ)、1 ストロークの時間 ≒ (L + 2 × オーバーラン) ÷ Vw、1 層の前後送り回数 ≒ 工作物幅 ÷ 前後送り量
- L:工作物の長さ(mm)
- オーバーラン:工作物の端から先にテーブルが行き過ぎる量(mm、新潟大学の例 30〜50 mm)
- Vw:テーブル速度(mm/s)
- ae:1 パスの切込み(mm)
センタレスの造円作用(ミクロン精密の例)
e_n = e0 × (1 − r)^n
- e_n:n 回転後のひずみ(mm)
- e0:最初のひずみ(mm)
- r:1 回転あたりの減少割合
- n:工作物の回転数(回)
条件を変えるとどうなるか
| こうすると | こうなる |
|---|---|
| 砥石周速度 Vs を上げる | 焼けの危険が増える(熱の発生が増える)。砥粒切込みは小さくなり砥石は硬く作用する[21][6][5] |
| 切込み ae を上げる | 除去率・研削抵抗・熱が増え、焼けやすい。研削比 G は下がる(いちばん効く)[21][6][28] |
| 同じ除去率 Q′ のまま Vw を上げて ae を下げる(速く薄く) | 工作物の最高温度が下がり焼けにくい。研削比も上がる[30][28][31] |
| ドレスしてからの時間が長い(目つぶれ・目づまりが進む) | 研削抵抗・熱が上がり、焼け・びびりが出やすい[5][23][6] |
| ドレスのリードを速く・切込みを大きく | 切れ味が上がり焼けにくいが、面は粗くなる[21][3] |
| 研削液が研削点に届かない・潤滑性が低い | 焼け・割れが出やすい[21][6][22][32] |
| 工作物・機械の剛性が低い | 実切込みの遅れ(時定数)が大きくなり、スパークアウトに時間がかかる。不足すると段差・形状誤差が残る[7][10] |
| スパークアウトを長くする | 面粗さ・寸法精度・真円度がよくなる(削り残しが指数的に減る)。不足は真円度不良の原因[10][7][8] |
| Vw ÷ Vs を一定に保ったまま両方を変える | 砥石の作用硬さは変わらない[5] |
| 研削中に工作物・砥石が熱膨張する | 加工中はふくらんだ分を削り、冷えると縮んで寸法が小さくなる(日本大学の例で 28.3 µm の切増し)[14][34] |
| 除去率 Q′ を上げる | 比研削エネルギー u は下がる傾向(同じ体積を削るエネルギーは減る)が、動力 P = u × Q′ × b は増える[25] |
公開資料の数値
- 研削点の温度は 1000 ℃ を超えることがある資料1件・参考[1]
- ジェイテクトの円筒プランジ研削(CBN #120・集中度 200、φ400 mm、Vs 120 m/s、SCM415H 浸炭焼入れ HRC60、φ68 mm、エマルション 30 L/min):Vw 0.53 m/s では Z′ 20 mm³/(mm·s) で再焼入れが出た(5・12 では出ない)。Vw 1.77 m/s では Z′ 20 でも実験では出なかった(解析では微小に出る)資料1件・参考[30]
- ノリタケの円筒斜め切込み研削(CBN ホイール φ380、SCM435 焼入れ HRc48、φ100):従来品は研削能率 10 mm³/s で目に見える焼けが出た。特殊コーティングのホイールは 25 mm³/s で焼けが出た資料1件・参考[21]製品の比較試験。研削能率の単位は mm³/s(幅あたりではない)
- ジェイテクトのびびり予測の検証条件:円筒プランジ、Z′ 1 mm³/(mm·s)、CBN #120・集中度 200、φ160 mm、Vs 119 m/s、SCr420 浸炭焼入れ HRC64、φ32 mm、Vw 0.50 m/s、切込み φ0.3 mm。真円度は解析 0.40 µm・実験 0.54 µm資料1件・参考[30]
- ジェイテクトのたわみ補償の試験:クロム鋼(浸炭焼入れ)φ29 mm・幅 20 mm、センタ間 270 mm、工作物剛性 4.4 N/µm(低剛性部)・13.8 N/µm(高剛性部)、ビトリファイド CBN #120・集中度 150・φ120 mm、Vs 80 m/s、Vw 0.4 m/s、粗研の Z′ 8.4 mm³/(mm·s)、エマルション 20 倍資料1件・参考[7]
- 52100 鋼(HRC58〜60)の円筒プランジ研削(φ16 in のビトリファイド砥石、Vs 6000 sfpm ≒ 30.5 m/s、研削幅 0.5 in)で、比研削エネルギー 7.1〜13.3 hp·min/in³(≒ 19〜36 J/mm³)、Q′ を上げると下がる資料1件・参考[25]
- 日本大学の円筒プランジ研削:砥石の熱膨張 5.7 µm、工作物の熱膨張 25.2 µm、砥石摩耗 3.4 µm、実際の切増し 28.3 µm資料1件・参考[34]
- 研削に使った研削液のうち、砥石と工作物の接触域に届くのは約 10 %資料1件・参考[32]
- 定常研削での切れ刃の弾性的な上すべり深さは 0.2 µm 程度で、除去の主体は切削資料1件・参考[36]
⇄関係するページ
📚出典
砥石・研削盤メーカーの公開技術資料・技報、大学・公設試の報告と実習資料、公的研究機関の報告を 2026-10-14 に確かめました。研削条件は砥石・工作物・機械で大きく変わるので、砥石メーカーの推奨値と機械の取扱説明書から始めてください。
- クレトイシ「砥石の基礎知識「研削加工とは」(定義・特長と欠点)」
- クレトイシ「砥石の基礎知識「研削加工の位置付け」(機械工作の分類)」
- ノリタケ「汎用品 総合カタログ vol.3(NORITAKE PROFESSIONAL SERIES)技術資料:研削砥石の表示方法・研削砥石の概要(砥粒・粒度・結合度・組織・結合剤)・ツルーイング/ドレッシング・研削油(ノリタケクール)」
- クレトイシ「砥石の基礎知識「砥粒」(使用砥粒と用途、超砥粒)」
- ノリタケ「テクニカルサポート情報「研削加工の基礎」(砥石の4つの状態・切りくずの形・砥粒切込み深さ・接触弧長さ・砥石の作用硬さ)」
- ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「『研削焼け』『研削割れ』とは?発生メカニズム・原因・対策」」
- ジェイテクト「JTEKT ENGINEERING JOURNAL No.1011(2013)頼経・田野・酒井・村上「円筒研削における工作物たわみ補償に関する研究」」
- ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「円筒研削における真円度不良の原因と対策」」
- クレトイシ「砥石の基礎知識「研削加工の種類」(円筒・内面・心なし・平面・工具・自由研削・切断ほか)」
- 新潟大学 工学部 機械工場「実習テキスト 第12章「平面研削盤による研削加工および精度測定」」
- 岡本工作機械製作所「製品ラインナップ(平面・成形・円筒・内面・複合・センタ穴・歯車研削盤ほか)」
- カネテック「総合カタログ p.43(マグネットチャックの吸着力・磁極ピッチとワーク厚さ・電磁チャックの規格・研削油剤の選定)」
- 宮城県産業技術総合センター「設備紹介「平面研削盤」(ナガセインテグレックス製 SGE-520SLD2-E2、超硬合金の加工事例、2019.10 改訂)」
- ジェイテクト「技術・情報コラム「円筒研削盤の基礎と精度不良の見極めガイド|診断チェックリスト付」」
- ミクロン精密「技術ニュース「センタレス研削の原理 ~研削の種類とその特徴についての説明~」(2022-06-29)」
- SME(米国製造技術者協会)「Tips for Trouble-Free Centerless Grinding(2017年5月)」
- ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「センタレス研削用砥石 タフエース」」
- 三井精機工業「ジグ研削盤(比較表:ストローク・テーブル寸法・チョッピングストローク)/工作機械トップ(ねじ研削盤)」
- クレトイシ「砥石の基礎知識「仕様表示」」
- クレトイシ「砥石の基礎知識「結合剤(ボンド)」」
- ノリタケ「NORITAKE TECHNICAL JOURNAL 悩み解決「研削焼けを抑制する使用技術と高能率研削用ビトリファイドCBNホイール Σホイール」(2020)」
- UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: Typical Grinding Errors – And How to Eliminate Them」
- ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「目こぼれ・目つぶれ・目詰まりの現象と研削加工への影響」」
- ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「ツルーイングとドレッシングとは(目的と評価軸の違い)」」
- 米国エネルギー省 OSTI(オークリッジ国立研究所・Milacron)「Krueger, Yoon, Gong, McSpadden, O'Rourke, Parten: New Technology in Metalworking Fluids and Grinding Wheels Achieves Tenfold Improvement in Grinding Performance(2000, OSTI ID 771407)」
- 栃木県産業技術センター「研究報告 No.21(2024)山下・近藤・小池「AE センサを用いた研削加工状態の推定」」
- 高知工科大学「学士論文要旨(2006)高橋宏彦「平面トラバース研削における砥石寿命の自動判定」」
- 鹿児島大学「田中秀穂「円筒重研削における研削要因」鹿児島大学工学部研究報告 第20号(1978)pp.25-33」
- MDPI(Materials 誌、Europe PMC 経由で全文取得)「González, Pereira, Fernández-Valdivielso, López de Lacalle: Comparison of Flank Super Abrasive Machining vs. Flank Milling on Inconel 718 Surfaces. Materials 2018, 11(9), 1638. doi:10.3390/ma11091638」
- ジェイテクト「JTEKT Engineering Journal No.1004(2007)小野﨑・齋藤「加工プロセスに基づいた研削シミュレーション技術の開発」」
- 鹿児島大学「田中秀穂・南俊美「円筒重研削における19A砥石の性能、ならびに、研削盤の能力について」鹿児島大学工学部研究報告 第17号(1975)pp.1-9」
- UNITED GRINDING(STUDER・BLOHM などの親会社)「Motion blog: The use of cooling lubricant for grinding」
- ジェイテクト(ジェイテクトグラインディングツール)「研削技術サイト 技術コラム「研削加工におけるビビリの原因と対策」」
- 日本大学 理工学部「第64回 学術講演会論文集 K-4 井下田・山田ほか「円筒研削での砥石熱膨張量が工作物除去量に及ぼす影響」」
- 精密工学会(金沢大学学術情報リポジトリ掲載)「上田隆司・鳥居明人・山田啓司「鋼の平面研削における熱流入割合」精密工学会誌 Vol.60 No.11(1994)pp.1616-1620」
- 大阪大学「奥山繁樹「研削熱に関する研究」博士論文 内容の要旨(1981)」
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