潤滑油とグリース

ISO VG の 40℃ 動粘度の範囲を引く計算、工作機械の油の種類と VG、油圧作動油の選び方、グリースの NLGI 番号。

違う銘柄の
グリースは
混ぜないでね。

マスコットのチップス

÷ISO VG の範囲

ISO 粘度グレード(ISO VG)とは

工業用潤滑油を 40℃ の動粘度(mm²/s=cSt)で区分する分類(ISO 3448。JIS では JIS K 2001『工業用潤滑油-ISO 粘度分類』)。グレードの数字が 40℃ 動粘度の中心値で、各グレードの幅は中心値の ±10%。隣のグレードとはおよそ 1.5 倍ずつ違う。[1][2][3]

ISO VG の 40℃ 動粘度(中心値と範囲、mm²/s)

グレード中心値下限上限
VG 22.21.982.42
VG 33.22.883.52
VG 54.64.145.06
VG 76.86.127.48
VG 1010911
VG 151513.516.5
VG 222219.824.2
VG 323228.835.2
VG 464641.450.6
VG 686861.274.8
VG 10010090110
VG 150150135165
VG 220220198242
VG 320320288352
VG 460460414506
VG 680680612748
VG 100010009001100
VG 1500150013501650

範囲は中心値 ±10% なので計算でも出せる(中心値 × 0.9〜1.1)。ISO 3448 の本文は有料のため、数値は Anton Paar の掲載表で確認した。VG 2200・3200 は今回確認していない。[1](資料1件・参考)

工作機械で使う油の種類と代表的な VG(記号は ISO の工業用潤滑油分類)

用途symbolvg
主軸・軸受・クラッチFC(さび止め・酸化安定性)5, 10, 22, 32
主軸・軸受(耐摩耗性付き)FD2, 5, 10, 22, 32
滑り面(摺動面油)G(油性・付着性・スティックスリップ防止)32, 68, 100, 150, 220, 320
油圧装置HL(さび止め・酸化安定性)32, 46, 68
油圧装置(耐摩耗性付き)HM15, 22, 32, 46, 68
油圧・滑り面兼用HM にスティックスリップ防止性を足したもの32, 68
密閉歯車(平歯車・かさ歯車、中荷重)CKB32, 68, 100, 150
密閉歯車(ウォーム、高荷重)CKC(極圧性付き)100, 150, 220, 320, 460, 680
グリースXBCEAちょう度番号 00, 0, 1, 2, 3

出光興産の『工作機械油』適油選定表(推薦油の銘柄は省略)。油圧・滑り面兼用の行は、同表で記号が HL と表示されているが説明は『HM にスティックスリップ防止性を付加』で、記号の表記を確認できていない。実機では機械メーカーの指定油を優先する。[4](資料1件・参考)

油圧作動油の粘度の選び方(機械メーカーの指定がないとき)

ポンプ周囲 5〜40℃周囲 40〜80℃
ベーンポンプ 7 MPa 以下VG32VG46、VG68
ベーンポンプ 7 MPa 以上VG46VG68
ギヤポンプVG32、VG46VG100
ラジアルプランジャーポンプVG32VG68、VG100、VG150
アキシャルプランジャーポンプVG68VG68、VG100

周囲温度(5〜40℃/40〜80℃)とポンプの種類で選ぶ出光興産の目安。機械メーカーの推奨粘度があればそちらを使う。[5](資料1件・参考)

ボールねじ・リニアガイドの潤滑剤

日本精工のカタログでは、ボールねじはグリースならリチウム石けん系で基油動粘度 30〜140 mm²/s(40℃)、油なら ISO VG32〜100。高速で熱変位を嫌う用途や低温では粘度の低いもの、低速・高温・揺動・高荷重では粘度の高いものを勧める。リニアガイドの間欠給油は VG68〜220、オイルミストは霧化しやすい VG32〜68。[6](資料1件・参考)

リニアガイドのグリース点検・補給の目安

日本精工の目安:点検は 3〜6 か月ごと(汚れ・切りくずの混入を見る)、補給は通常 1 年ごと、年 3,000 km を超える搬送装置などは 3,000 km ごと。点検結果で伸び縮みさせる。[6](資料1件・参考)

転がり軸受に必要な動粘度(運転温度で)

bearing下限
玉軸受、円筒ころ軸受13 mm²/s 以上
円すいころ軸受、自動調心ころ軸受20 mm²/s 以上
スラスト自動調心ころ軸受32 mm²/s 以上

40℃ ではなく実際の運転温度での値。ジェイテクトのカタログは、運転温度と dmn 値((外径+内径)/2 × 回転数)・荷重から VG を選ぶ表も載せている(例:0〜60℃、dmn 30 万以下、普通荷重で VG46)。[7](資料1件・参考)

グリースのちょう度と NLGI 番号

nlgipenetration用途
0355〜385集中給脂用
1310〜340集中給脂用、低温用
2265〜295一般用
3220〜250一般用、高温用
4175〜205特殊用途

ちょう度はグリースの見かけの硬さで、決められた金属の円すいが自重で 5 秒間に沈んだ深さ(mm)の 10 倍(25℃、60 回混和)。数字が大きいほど柔らかい。表はジェイテクトのカタログの範囲(0〜4 番のみ。000・00・5・6 番の範囲は未確認)。出光興産の工業用グリースは 00〜3 番。[7][8]

一般用は 2 番

ジェイテクトは 2 番を一般用とし、日本精工はローラーパック(直動案内)のグリースにちょう度 2 番がよいとする。[7][6]

銘柄の違うグリースを混ぜない

増ちょう剤の種類が違うと構造が壊れることがあり、同じ種類でも添加剤の違いで悪影響が出ることがある。やむを得ないときは同じ増ちょう剤のものを選び、事前に試す。[7][6]

📚出典

印のない項目は、別々の発行元の資料 2 つ以上で一致したものです。製品の数値は各メーカーの資料が優先します。文はケズリバの言葉でまとめています。

  1. Anton Paar「ISO Viscosity Classification(Anton Paar Wiki、ISO 3448 の表)」
  2. ジャスコエンジニアリング「回転粘度計を用いた工業用潤滑油の動粘度測定(JEBT49004、2026/1)」
  3. 日本規格協会「JIS K 2241:2017 切削油剤(プレビュー:目次まで)」
  4. 出光興産「適油選定ガイドライン 工作機械油」
  5. 出光興産「適油選定ガイドライン 作動油」
  6. 日本精工「精機製品カタログ(NSKリニアガイド・ボールねじ・モノキャリア、CAT.No.3162)」
  7. ジェイテクト「ボール&ローラーベアリング 技術解説(CAT.NO.B2001-8、Koyo)」
  8. 出光興産「適油選定ガイドライン グリース」